【米国株】JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase:JPM)の銘柄分析

米国株

今回はJPモルガン・チェース(JPM)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

商業銀行のJPモルガン・チェース銀行と、投資銀行のJPモルガンを保有している、米国最大の資産総額を誇る金融機関です。

(出典:JPモルガン・チェース アニュアルレポート)

ちなみにモルガン・スタンレーという会社もありますが、元々は同じ会社が分離したものです。ティッカーシンボルはMSになります。

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JPモルガン・チェース(JPM)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

米国の金融機関は、商業銀行と投資銀行に大別されます。商業銀行については、ウェルズ・ファーゴの記事をご参照ください。JPモルガン・チェースにもチェース銀行という商業銀行があります。

【バフェット銘柄】ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo:WFC)の銘柄分析【米国株】

投資銀行(Investment Bank)について

さて、JPモルガン・チェースにはJPモルガンという投資銀行が存在します。これ、別に銀行でも投資家でもありません。Investment Bankを和訳しただけで、中身は企業の資金調達(株/債券)、M&A仲介・アドバイザリーで利益を上げる「証券会社」に近い事業です。

つまり、彼ら自身が投資するのではなく、証券売買の仲介がメインです(傘下のアクティブファンドが目立ってはいるのですが、トレード収入は投資銀行の本業ではありません)。

以下を読むと面白いのですが、金融規制に守られた株式による資金調達(ECM)が投資銀行の収入源で、この手数料を得るために増資やIPOを優先的にアドバイスするインセンティブが働くという点は覚えておきたいです。

参考投資銀行部門というビジネス

決算書から

という前提を確認した上で、簡単に決算を見ます(アニュアルレポート前半の市場分析は詳しすぎて全部見切れません……)。

(出典:JPモルガン・チェース アニュアルレポート)

  • Investment banking fees:投資銀行業務の手数料収入。
  • Principal transactions:自己売買による収入。
  • Lending and deposit related fees:貸出、デポジットに関連した収入。
  • Asset management, administration and commissions:資産運用業務のコミッション収入。ただ世界的にはコミッション収入って消す方向ですよね(投資するしない含めてのアドバイザリーなのに、売買回数が多いほどコミッション収入が増えるのでは中立性がないから)。
  • Securities gains:有価証券に関連した収入。発行手数料とかだと思われます。
  • Motgate fees and related income:モーゲージ債の手数料収入。
  • Card income:クレジットカードの手数料収入。ビザみたいな決済の国際ブランドではなく、イシュアやアクワイアラに該当します。
  • Net interest income:最後にひっそりと足されてますが、最大はやはり利息収入になります。一般的な銀行業務として、貸出金利がそのまま利息収入になりますね。

最初に見たセグメント別の売上だと以下のように分類されます(微妙に数字が違うのですが、これは「Provision for credit losses:貸倒引当金」をこの後計上するためです、おそらく)。利益もまとめて載っていていたので理解しやすいかと。

(出典:JPモルガン・チェース アニュアルレポート)

  • Consumer & Community Banking:商業銀行業務に当たり、一般的なイメージの銀行業務(預金者からお金を借りて、企業や個人ローンに貸出)です。なので、ウェルズ・ファーゴと同じく、利息収入(interest income)が最も大きく、利息収入以外ではクレジットカードの手数料収入が大きくなっています。
  • Corporate & Investment Bank:投資銀行業務になります。内訳では「Principal transactions:自己売買による収入」が最も大きいですね。
  • Commercial Banking:どちらかと言うと中堅クラスの法人向けに投資情報の提供から資金調達まで一貫した金融ソリューションとして対応している事業みたいです。内訳の最大はInterest income(利息収入)になります。
  • Asset & Wealth Management:資産運用によるコミッション収入です。

競合

総合金融機関としてウェルズ・ファーゴで一通り見たので、そちらをご参照。

【バフェット銘柄】ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo:WFC)の銘柄分析【米国株】

アニュアルレポートに効率性/収益性での他社比較が載っていて(有利なものしか載せていないのでしょうが)、まあ業界トップクラスであることは間違いありませんね。

(出典:JPモルガン・チェース アニュアルレポート)

投資銀行ランキングだとJPモルガンは5位でした。1位がゴールドマン・サックス、2位がモルガン・スタンレーです。

参考「世界の投資銀行」ランキング ゴールドマンが首位奪還

市場

ここも投資銀行について考えましょう。システムトレードによるマネーゲーム化が進み、資金流入が倍々ペースで増加し、手数料収入も増加と思っていましたが……意外とそうでもない?

リーマンショック前水準は遠く、ずっと横ばいです。これが規制の効果とすると、もう以前の水準には戻らないかもしれませんね。

(出典:野村資本市場研究所)

(出典:野村資本市場研究所)

(出典:野村資本市場研究所)

最後の資料、年に3.5兆ドルの証券発行があったら、そのうちほんの0.0x%の手数料でも収入はとんでもないことになりますね。

参考野村資本市場研究所

プラス要素としては中国でも投資銀行業務を開放する可能性があること、でしょうか。しかし、現時点ではアジア市場は中国の投資銀行が非常に強く、独走状態です。米国金融機関の進出は遅れています。

参考中国、ついに投資銀行業務を欧米勢に開放か

リスク要素

金融業としてのリスク(低金利やフィンテックの脅威)はウェルズ・ファーゴと同じですので、JPモルガン固有のリスクを考えましょう。

制裁と罰金

中国政府高官の親族を縁故採用したとか、金利不正操作で罰金とか色々出てきますが、まあ顧客影響が大きいわけではないのでいいです。

問題はリーマンショックの影響を世界に広げた住宅ローン証券の不正販売(投資家に十分な説明をせず販売)について、130億ドルもの罰金を支払うことになったことでしょう。これはもちろん史上最高額です。

参考JPモルガン、和解金130億ドルで合意 史上最高額

ウェルズ・ファーゴでも辛口で書いたんですが、金融機関なんて信用ありきの事業です。リーマンショック以降の改善を期待したいですね。

でないとITが金融市場に参入し、銀行がこれまで果たしてきた経済の潤滑油としての役割を単純に取って代わられてしまうのではと。

規制強化の対象

近年の規制強化によって、投資銀行の収益源だったデリバティブ事業など、金融危機前ほどハイリスク・ハイリターンなビジネスが出来なくなっています。世界市場へ与える影響も以前ほどではありません。

そもそも、金融機関の規制については以下2つの方向性があります。

  • 市場透明性を確保するため:クライアント・クリアリング、FRTB等
  • 金融機関の財務安全性を担保するため:自己資本比率規制(バーゼルⅢ)、レバレッジ規制等

今後どういった領域で緩和されるのか(M&A)、リスク計算はどうすべきか(AI活用によるリスク試算)といった点にも注意が必要です。

JPモルガン・チェース(JPM)の財務分析

PL

安定ながらやや落ちているかな。2009年に一気に売上が増えたのはベアスターンズ買収の影響ですね。

利益率は一貫して改善が進んでいて、最近は30%超えになっています。高いですね。

ROEは10%程度で市場平均をやや下回る状況が続いています。

BS

私達の銀行預金は銀行にとっては借入金扱いのため、自己資本比率はやはり低めになります。

金融危機からそろそろ10年になり、不良債権処理はほぼ完了したと言っていいのでしょうか。このうちどれだけがハイリスクな資産か分からないですね。

CF

意外というか、FCFは年によってマイナスになっていたりと、あまり余裕がありません(絶対値は凄まじいのですが)。

株主還元指標

総還元性向60%は他の長期保有銘柄と比較すればかなり低いと感じます。ウェルズ・ファーゴも平均すると60%前後でしたが、自己資本比率の維持が必要なので、あまり株主還元が出来ないセクターなんではないかと(おそらくは)。

配当性向は30%と余裕がありますが、劇的に上がることはないと思いますし、またリセッション期には減配もするでしょう。

直近配当利回り:2.15%

JPモルガン・チェース(JPM)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

JPモルガン・チェース(JPM)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

ITバブル時期のほうが高かったんですね。

  • 最高値:93.98ドル(2017年)
  • 最安値:14.96ドル(2009年)

リーマンショック前の高値:52ドル付近とITバブルの高値:67.5ドル付近の二つの壁があります。それを突破するたびに力強く急騰しました。

16年後半から17年にかけて暴騰していますが、トランプ相場のお祭りという他にも、多くのストップを巻き込んで一方通行で上がったものと思われます。

今後の値動き予測

5年チャート

最後の暴騰が目につきますが、個人的に見て欲しいのは15年中盤頃につけた、「一度目」の結果のほうです。67.5ドルにタッチしたと思ったら急に反転して、逆に突破した52ドルまで一気に落ち込みました(ということは、52ドルはサポートラインになったわけです)。

ここに大量のストップがあることが分かるでしょうか。大きな抵抗帯=大勢が目安にするポイントには通常多くの逆指値注文が刺さっていて、どれだけ勢いがあっても一発で飲み込むことは滅多にないです(それまでの買い手も利確売りに回るから)。

だから、こうした上昇トレンドにおいても非常に高い勝率で売りを仕掛けることが出来ます。

あくまで一度目のチャレンジだから良いのであって、二度三度と続くと勝率も期待リターンも落ちていきます。一番怖い最初に飛び込まないと利益が割に合わないのです。

当サイトを見に来ていただける方は長期投資家が多いと思うので、無縁の話かもしれませんが、知っておいて損はないと思います。

1年チャート

ということで、高値の壁を超えたから次の期待リターンが設定出来ないのが現状です。

JPモルガン・チェース(JPM)の投資戦略

まとめ。

  • 商業銀行のJPモルガン・チェース銀行と、投資銀行のJPモルガンを保有している、米国最大の資産総額を誇る金融機関。
  • 住宅ローン証券の販売で罰金130億ドル、近年の規制強化、低金利と、リーマンショック後はわりと逆風が続いてきた。
  • 利益率30%と非常に高いが、投資家還元はそれほどではない。
  • チャートでは史上最高値圏。

回答

あれこれ書きましたが、結局金融セクターは難しいという感想。

大手金融機関は立派な社会インフラです。利益率は30%超で設備維持投資も不要、手数料収入の仕組みで比較的安全なビジネスモデルと、魅力的には見えます。

一方で低金利が続き、企業が資金調達を銀行に依存しない構造に変わり、地域密着の小口リテールで稼ぐか(ウェルズ・ファーゴ)、M&Aやアドバイザリー、新しい証券化商品の販売で稼ぐしかありませんが、規制強化でそれも難しい状況です。

しかもこれからフィンテックをはじめとしたデジタル・ディスラプター(破壊者)との競争も見えています。

投資シナリオからのアプローチが難しい銘柄は無理をせず、とりあえずまとめてセクターごと投資するに限ります。

幸いS&P500に占める金融セクターの割合は2割近くありますので、その辺をベンチマークにするETFやインデックスファンド投資で対処という結論。


ついでの話ですが、今の株や為替変動は実需影響5%以下で、ほとんどが投機による変動になっています。

投機で稼ぐための機関投資家のロジックはなんだと思いますか? ストップを狩ることです。既にあるポジションの反対売買が加速させる弾になりますので、機関投資家はしばしば個人投資家のストップを狩りに行って、そこからの反発を取りに行く動きをすることがあります。一瞬ストップを超えるヒゲつけて戻るときとかね。

まあでも損した時に限って「機関投資家に自分のポジション監視されてる!」とか言い訳しないようにしましょう(笑)


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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