【米国株】ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences:GILD)の銘柄分析

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今回はギリアド・サイエンシズ(GILD)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

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ギリアド・サイエンシズ(GILD)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

ヘルスケアの中でもバイオファーマと呼ばれるバイオ医薬品に強みを持つ製薬会社で、かつてはHIVのスタリビルド、現在はB型肝炎とC型肝炎(HCV)の特効薬ハーボニー(ソバルディ)というブロックバスターによって、わずか数年のうちに売上1兆円超えを達成した世界屈指のファーマです。

ハーボニーがどれだけ凄いのかというと、全医薬品で売上2位というレベルです。なにせ治癒率が90%と他製品を圧倒しているので、一気に市場を奪うことが出来たのです。

(出典:メディサーチ)

そのハーボニーも、元々は110億ドルで買収したファーマセットのパイプラインです。とっくにペイしましたし、振り返るとお買い得だったということですね。

決算書から

さて、決算書から他の医薬品も見ておきましょうか。

(出典:ギリアド・サイエンシズ IR)

  • HCV products(C型肝炎):ハーボニー、ソバルディで全体の半分近くを占めています。しかしながら、ハーボニーが前年比-34%、ソバルディ-24%と既にピークアウトしています。アッヴィのヴィキラパック、メルクのZepatierが登場して価格下落圧力がかかっていることと、投薬期間が短くなっていることが原因です。ちなみに、日本では早くも特例拡大再算定が適用されて31%も価格が下がりました。
  • HIV:エイズ関連の医薬品はかつての主力事業でした。しかし、アトリプラは18年の特許切れを迎えて既に二桁減少傾向、スタリビルドも横ばいになっており、全体的に低調です。

日本の医薬品市場においても15年度はトップ2独占でした。凄すぎw

(出典:Answer News)

こうして見ると、他の大手製薬会社が多数の医薬品を保有しているのに対して、どちらかといえば市場を絞って集中投資し、一つ一つが巨大な医薬品をポートフォリオに保有するギリアドという印象です。まだ新しいバイオファーマなので、そりゃそうなりますよね。

あと海外売上比率も載せておきます。米国が2/3、海外が1/3です。日本も8%程度ありますね。

(出典:ギリアド・サイエンシズ IR)

将来の方向性

ギリアドが次に拡充するパイプラインを考えていきましょう。肝臓とHIVは今の主力として、Oncology(がん)、Inflammation(炎症)あたりは今のところまだまだ薄い領域なので、進出していくでしょうか。

(出典:ギリアド・サイエンシズ アニュアルレポート)

パイプラインを見るとOncology、Inflammationはそろそろフェーズ3も増えてきていますね。

(出典:ギリアド・サイエンシズ HP)

(出典:ギリアド・サイエンシズ HP)

これらがそこまで騒がれているっぽい感じではないので、またM&Aで有力なパイプラインを引っ張ってこないといけないように思います。

競合

医薬品市場は症例ごとに細分化されており、各マーケットにリーダーが異なります。なので、全体像としては売上高で見ておけば十分だと思います。

ファイザーでもお借りした資料を載せておきます。ギリアドは8位です。ハーボニーが早くもピークアウトしたため、順位を落としています。

(出典:Answers News)

大手製薬会社はあらゆる領域で争っていますし、創薬ベンチャーのM&A合戦でも火花を散らしています。有力なものは別途記事を書いておりますので、リンク貼っておきます(コピペ連打になってすみません)。

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まとめた記事もあるのでどうぞ!

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市場

全体論についてはVHTの記事をご参照ください。

【VHT】ヘルスケア関連銘柄【製薬・バイオテクノロジー】
生活必需品のような安定株もあれば、バイオテクノロジーのような人気化しやすい株もある、ヘルスケア関連の銘柄を見てみましょう。 ※ごめんな...

個別に見ると、現在主力のハーボニーが対象としているC型肝炎(HCV)は、全世界で患者数1.5億人にも登ると言われる病気です。放置すると肝臓がんに繋がりかねないため、完治90%を超えるハーボニーがいかに素晴らしいものか分かると思います。

ハーボニーのシェアは以前は9割を超えているらしいですが、今どうなんでしょうか。

その頃はライバルのヴィキラパック(ABBV)が4%なので、全く相手になっていません。その後でPBM最大手エクスプレス・スクリプツは高額すぎることからハーボニーを処方リストから外し、ヴィキラパックのみを対象医薬品としたため、もっとシェア取られたと思っています。

リスク要素

新薬開発失敗リスク

お馴染みです。製薬会社のリスクとして仕方ない面があります。失敗の可能性があるからこそ、各企業はパイプラインを強化して数撃ちゃ当たるのビジネスをやっているのです。

パテントクリフとジェネリック医薬品

これももうお決まりですね。特許切れによってジェネリック医薬品に取って代わられるリスクです。米国のジェネリック医薬品シェアは9割なので、特許切れになったタイミングで業績がガクンと落ちます。

ギリアドについて言えば、ハーボニーは14年なので問題ありませんが、これまで事業を牽引してきた「アトリプラ」、「スタリビルド」等のHIV医薬品が、2020年までに軒並み特許切れになります。

完治=将来の売上減少

素晴らしい医薬品を作ったためのジレンマですね……。

ハーボニーの治癒率90%というのは、将来の患者数を激減させています。これはつまり早い段階で売上がピークアウトするということでもあります。例えば完治まで何度も投薬が必要なBMYのオプジーボとは、一人あたりの収益力が異なるということです。

加えて薬価問題もあります。日本の製薬ビジネスは半年ごとに薬価が勝手に下げられるので、売り出しはじめが一番儲かるのは定説です。これから米国でも薬価は落とされて行くと思われ、売上減少は早くもやって来ることになりそうです。

ギリアド・サイエンシズ(GILD)の財務分析

PL

ハーボニーが世に出て、あっという間に業績が3倍になりました。利益率60%も驚異的な水準で、ブロックバスターの破壊力がよくわかります(元々利益率は40%近くで非常に高かったのですが、ここ3年くらいは異常なレベルです)。

とはいえ、決算でも見たように16年で早速売上が下がっており、この売上は永続しないことも読み取れます。

各指標が高く、見事な業績です。

BS

バランスシートも十分安全圏です。後述のキャッシュが異常すぎて問題は感じません。

CF

キャッシュの余剰が以上なレベルですねw

投資支出も製薬会社の割にそこまで大きくないというのもあるのですが、そもそも営業キャッシュが他の会社より一桁大きいのが理由です。

有り余ったお金で次のパイプラインをどう取って行くのか注目です。

株主還元指標

最近、配当還元をスタートさせましたが、これは賛否両論あります。

ギリアドは典型的なバイオファーマであり、基本的には株価上昇をもって投資家に報いて来ました。ハーボニーから得られるキャッシュも永続しないことを考えると、内部留保して次の成長の柱へ投資するほうが賢明なように思えます。

もしかすると、今はどこも高騰してしまっており、ギリアドの考える適正な買収水準に達していないという判断かもしれませんね。といってもここ1年バイオ株は総じて不調なので、ギリアドにはチャンスが巡ってきているようにも思えます。

直近配当利回り:2.79%

ギリアド・サイエンシズ(GILD)のチャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

ギリアド・サイエンシズ(GILD)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

うーん、すごいチャートです。ハーボニーの期待値が上がっていく12年頃から上昇し、実際に販売開始した14年以降さらに急勾配で上昇していきました。

そして、今はピークアウトした決算を受けて暴落しています。上がるスピードが早すぎたため、落ちるスピードも尋常ではありません。

  • 最高値:123.37ドル(2015年)
  • 最安値(リーマンショック後):15.88ドル(2010年)

今後の値動き予測

5年チャート

ピーク時とリーマンショック前の最高値の間を取ると、既に50%以上の下落幅になっています。依然として利益率は高くキャッシュもあるものの、予想以上にハーボニーの売上が萎むのが早く、マイナスの反応をしたようです。

1年チャート

直近1年、とてもきれいな下落チャートです(笑)FXのデイトレなら間違いなく売りで突っ込む場面ですね。

ギリアド・サイエンシズ(GILD)の投資戦略

まとめます。

  • ギリアド・サイエンシズはC型肝炎の特効薬ハーボニー、ソバルディがブロックバスターとなり、世界2位のメガバイオファーマに成長した。
  • もう一つの主力HIV医薬品の特許切れが近いこと、ハーボニーも早くもピークアウトしてきていることから、すぐに次のパイプライン拡充が必要と考えられる。
  • 営業利益率は60%を超え、莫大なキャッシュがあり、M&Aの資金は十分にあると思われる。配当に回すべきかどうかについては賛否両論。
  • チャートとしては、売上減少を受けて大幅な下落がはじまっている。

回答

素晴らしい事業と素晴らしい業績を誇る企業でした。

HIV医薬品の特許切れと、ハーボニーのピークアウトという二つの谷が近い将来にやって来ることを考えると、早くも次の柱を立てていかなければならないでしょう。

しかし、ギリアドのポテンシャルは十分にあると思います。M&Aも非常に慎重に進めている印象で、キャッシュも豊富です。次も上手くやれるのではと個人的には期待します。

バイオ株はバブルが終わったと言われますが、確かに市場の興味がここ1年くらいバイオ株に向いてないことは事実です。とはいえ熱しやすく冷めやすい市場ですから、きっとまとまって吹き上がる時期が来ます。

長期投資向けではない銘柄ですので、当ブログの米国株記事を読んで下さっている方には投資対象から外れるかもしれませんが、ハーボニーの次を作ることが出来るかどうかの問いにイエスと言えるのであれば、十分買いだと思っています。投資戦略としては2~5年程度の中期で値上がり益(と、最近はじめた配当益)を取りに行く狙いが良いですね。


パイプラインが見えてこないうちは投資するのが怖い、でも発表されちゃうと暴騰する……というのがバイオ株です。そもそもブロックバスターなどそうそう生まれるものではなく、利確は大抵根拠なき熱狂のうちに済ませます(事業として成果が出る前)。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス

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