【連続増配】コルゲート・パーモリーブ(Colgate-Palmolive:CL)の銘柄分析【米国株】

米国株

今回はコルゲート・パーモリーブ(CL)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

米国株トレーダーならたぶん良く知っていて、それ以外の人は名前も聞いたことない、そんな会社じゃないでしょうか。歯磨き粉の世界トップシェアを持っていて、日用品セクターの大手です。

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コルゲート・パーモリーブ(CL)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

不況になったら節約のために歯を磨くのをやめるなんて人はいません。オーラルケアはエチケット、つまり生活必需品なのです。

決算から

決算書のセクター分けは以下のようになっています。アニュアルレポートに事業の全体像が分かるような一枚資料挟んでくれる会社は、それだけで好感度上がりますw

(出典:コルゲート・パーモリーブ)

  • Oral Care(オーラルケア):47%で最多を占めていますね。歯磨き粉「Colgate Total」、手動歯ブラシのトップシェアをはじめとして、Colgateブランドはオーラルケア市場で首位に立っています。
  • Personal Care(パーソナルケア):20%。液体ハンドソープ「Softsorp」で世界トップシェア、石鹸、ボディソープは世界2位です。
  • Home Care(ホームケア):18%。柔軟剤「AJAX」と食器用洗剤で世界2位。
  • Pet Nutrition(ペット・ニュートリション):15%。ニュートリションは栄養補助食品のことです。米国にあるveterinary clinic(獣医)でトップシェアと書いてあります。ペット市場は世界的に拡大傾向にあり、日本の例で言えば数年前に15歳以下の子供の数を上回っています(日本の15歳以下子供:1700万人、犬猫:2400万匹)。

ブランド一覧もプレゼン資料にありました。

(出典:コルゲート・パーモリーブ)

また、売上高に占める北米比率はわずか21%しかなく、残り79%は海外売上になります。P&Gも60%くらいで高い数字でしたが、コルゲート・パーモリーブはそれを更に上回る数字です(なお、花王は海外売上比率30%以下です)。

(出典:コルゲート・パーモリーブ)

今後の戦略

また、今後の戦略として4点を掲げています。

  • ブランド戦略:TVやSNSなどのメディア横断マーケティング、特に70%をデジタル経由として取り込む見込みです。また、実店舗の分布、品揃え、店舗の視認性で顧客リーチを増やしたいと書いています。さらに、歯科医や獣医といった専門家から評価を高め、ブランド価値を上げていきます。
  • イノベーション:ニーズにマッチした、多数の価格帯、機能の同一ブランド製品を設けて、プライオリティを維持。
  • 効率性:4年で約3.4億ドルのコスト削減と高い利益率。再投資の優先順位として新製品、新ブランドの構築を第一にしています。
  • 勝利に導く:人材育成と持続可能な発展。

競合

決算書にちょくちょく出てくる競合の「Corp.1」というのは大抵がP&Gですね。

【米国株】プロクター・アンド・ギャンブル(P&G:PG)の銘柄分析【連続増配】

あとはネスレとか。日本市場では花王(4452)、ライオン(4912)もライバルですが、世界進出という意味ではほとんどの市場では被っていません。

市場

最近は高機能化の付加価値をつけた、高額のオーラルケア製品が売れ行きを伸ばしているそうです。これはいい流れですよね。単価が上がれば利益率も高くなります。

以下は国内のデータですが、人口減の日本でも市場拡大している状況ですから、世界的にはもっと拡大していると思われます。日本でもオーラルケアに気を使う人が増えた印象ですし、

(出典:富士経済)

そして、そんなオーラルケア市場において、コルゲート・パーモリーブのいくつかの製品は、世界トップシェアを持っています。

Toothpaste(歯磨き粉)は世界でダントツトップの43.7%にも登ります。

(出典:コルゲート・パーモリーブ)

Toothbrush(手動歯ブラシ)もトップシェア。

(出典:コルゲート・パーモリーブ)

リスク要素

歯を磨かなくなる社会変化……あるか?

人類がいつから歯磨きしてたのかちょっと調べてみたら、後期旧石器時代のクロマニヨン人時代に遡るみたいでした。つまり、古来から人の習慣として根付いているわけですね。

もしこの習慣が変わるとして、どんなテクノロジーなんでしょう。うがい薬一発で歯がピカピカになる製品とか出たら不要になるでしょうか。みんなが開き直って入れ歯当たり前の社会になったら不要になるでしょうか。難しそうですね。

思いつかなかったので、社会変化からリスクはないんじゃないかと思います。世界で人口が増えればそのままコルゲート・パーモリーブの顧客が増えて、売上が増えるのです。

P&Gほど巨大ではない

コルゲート・パーモリーブ、売上高はP&Gの1/5程度とそんなに大きな会社ではありません。だいたい日本の花王(4452)と同じくらいになります(利益は2倍近い差がありますが)。

為替影響(ドル高)

一つ前のアボット・ラボラトリーズ(ABT)の記事でも同じことを書きました。

【連続増配】アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories:ABT)の銘柄分析【米国株】

ウォルマート経由の売上高が11%(PBは問題ないのか?)

決算書に気になる表現があったので転記。というか、やっぱりウォルマートって大きい会社なんですね。プライベートブランドとか出し始めたらどうなんでしょうかね。

【米国株】ウォルマート(Walmart:WMT)の銘柄分析【連続増配】

まあコルゲート・パーモリーブもオンライン販売強化していますし、流れはどこも一緒です。

コルゲート・パーモリーブ(CL)の財務分析

PL

売上は13年度を境にして減少傾向です。利益率は横ばいです。売上減少については、ベネズエラ事業の非連結化、為替影響とされています。

次のバランスシートで出てきますが、債務超過のため最新年度は数値が算出出来ていません。また、自社株買いが多すぎてROEが膨れ上がっている状況です。

文字が潰れて目立たないくらいですが、営業利益率は18%前後と高水準をキープし続けており、ポイント高いです。これで生活必需品セクターの安定感も持っているのですから、評価されるわけですね。

BS

はい、債務超過きました。フィリップ・モリスと一緒で、借金して自社株買いを繰り返しており、大量の金庫株を持っています。要は株価の上下はコルゲート・パーモリーブのバランスシートにも大きく影響するわけですね。

【シーゲル銘柄】フィリップ・モリス(Philip Moris:PM)の銘柄分析

フィリップ・モリス同様、事業の安定収入を担保にした積極的な投資家還元の現れです。結局キャッシュフローが安定しているので、借金が増えたところで倒産はありえないのです。

ということで、自己資本比率でスクリーニングにかけるとNGが出てしまいます。生活必需品セクターの大手がなぜ? という視点できちんと理由を調査してから考えるべきでしょう。予測や因果関係の説明が不可能な株価と違って、財務諸表には「そうなった理由」が必ずあります。

CF

キャッシュフローの安定性を見てください。このかけ離れた位置に上2本線と0に近い下1本線は優良企業のサインみたいなものです。

イノベーションに関わる研究開発費は大体2.8億ドル規模だそうです。

株主還元指標

53連続増配で、DPS成長率は緩やかに右肩上がりを継続しています。配当性向は前10年平均して50%程度なので、まだ余力ありと考えて大丈夫です。

日用品セクターは市場の急激な成長が見込めないので、株価の上昇ではなく配当還元によって投資家に報いるのです。米国の経営者は株主を何よりも意識しますので、将来もずっと増配を続けるでしょう。

【配当王】米国株50年以上連続増配銘柄一覧(コメントつき)【Dividend Kings】

それにしても、このコルゲート・パーモリーブより上にまだ15社もあるのが信じられないw

直近配当利回り:2.07%

株価が上がりすぎているせいで、利回りは低めに出ていますね。

コルゲート・パーモリーブ(CL)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

コルゲート・パーモリーブ(CL)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

うーん、止まる気配なしですね。リーマンショック影響もほとんどなく、かつての25ドル前後の狭いレンジは二度と戻らないんじゃないかというくらい遠いです。この株価なので利回りも低め。

  • 最高値:74.88ドル(現在)
  • 最安値(リーマンショック後):27.18ドル(08年)

リーマンショック後から上トレンドがずっと継続しており、天井が見えなくなっています。逆に下限は一回だけヒゲ伸ばした45ドル付近がサポートラインになるでしょうか。

今後の値動き予測

5年チャート

14~16年は62ドル~75ドルの踊り場にあるんですね。上のパワーを溜めていて、少しずつ上限がつり上がっているように見えます。

1年チャート

上昇の勢いが止まったところの壁だった72ドルは、超えたような超えないような……。ここでもう一回落ちたらしばらく62~75ドルがレンジになるかもしれないですね。

コルゲート・パーモリーブ(CL)の投資戦略

まとめです。

  • オーラルケア市場のトップシェア製品を多数有しており、世界での売上高が全体の8割近くになっているグローバル企業。
  • 規模としてはP&Gの1/5、花王と同じくらい。
  • 歯磨きは後期旧石器時代から続く人の生活習慣であり、人が増える限りコルゲート・パーモリーブのビジネス拡大は続く見込み。
  • チャートはずっと上トレンド継続で株価は高く、利回りは低め。

回答

日用品という安定優良銘柄なので、安かったら買いたいなと思うのですが、いかんせん高い。53年連続増配銘柄ということもあり、市場でも評価され人気化している銘柄だと思います。

競合のP&Gもブランドを65本程度に絞っている過程で売上高が減少していますが、株価はやはり右肩上がり。といっても、コルゲートのチャートのほうがより急勾配です。

45ドルが当面の下限と見ているので、せめて62ドル(レンジ下限)が妥協でしょうか。P&Gほど絶対的な企業ではないですし、配当利回りが低いため配当で損益ラインの切り下げも期待出来ず、あまり高いところで買いたくはないです。

先日XOMを買いましたが、景気サイクルのリセッション期にある銘柄を時間分散しながら上手く拾えるのが理想なんですけどね……。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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