【米国株】フェイスブック(Facebook:FB)の銘柄分析

テーマ株

今回はフェイスブック(facebook)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

言うまでもなくSNSの王様で、世界有数のIT企業ですね。

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フェイスブック(FB)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

フェイスブックの数字をまとめてみました。

  • 会員数世界一のSNS:フェイスブック最大の強み
  • DAU (デイリーアクティブユーザー) :12億3000万人(前年同期18%増とまだまだ成長中、うちモバイルDAUは23%増の11億5000万人)
  • MAU (月間アクティブユーザー):18億6000万人(前年同期17%増、うちモバイルMAUは21%増の17億4000万人)
  • スティッキネス(DAU/MAU):66%=ユーザの利用頻度が落ちていない
  • 北米以外:ユーザの85.2%は北米以外の地域
  • 動画再生回数:1日あたり100億回以上(動画プラットフォームとしてYoutubeに迫る)
  • メッセンジャー(Messenger):ユーザ10億人以上(MAU)
  • ワッツアップ(Whatsapp):ユーザ10億人以上(MAU)
  • インスタグラム(Instagram):ユーザ6億人以上(MAU)
  • 一日の平均滞在時間:フェイスブック(17分)、インスタグラム(5分)
  • 一日のページビュー数:フェイスブック(16回)、インスタグラム(28回)
  • 広告シェア:全広告売上の17%を占める(首位はグーグル:33%)
  • 直近決算:売上高は前年同期比51%増の88億900万ドル、純利益は128%増の35億6800万ドル

まーSNSの巨人って感じですね(適当)。地域別売上比率だと北米が半分、ヨーロッパ2割弱、アジア1割ちょい、残りその他って感じでしょうか。世界中でインフラ投資をしているので、数年後には「Rest of World」が急増することは間違いありません。

(出典:Facebook IR)

で、ビジネスモデルとしてはグーグルと全く同じ、デジタル広告収入一本足です。実に95%以上が広告収入(その他(Other)はほとんどない)。

(出典:Facebook IR)

ARPUもあったので載せておきましょう。ARPUはユーザ一人あたりの収益という意味で、北米が非常に高いです。

(出典:Facebook IR)

広告収入について、一般的にはこちらのサイト様にあるように「デジタル広告」「課金」「物販手数料」の3タイプの収入口があるようです。

フェイスブックは普通のデジタル広告に特化していて、自前のSNSプラットフォームにユーザを集め、そこに広告を載せる形で収益を上げます。

SNSという性質上、個人情報を多く有するため、グーグルよりも広告ヒット率、成約率が高いようです。具体的には、エッジランクというシステムによって広告にヒットするであろうターゲット層に広告表示することが可能です。

逆に、これ以外のマネタイズはフェイスブックの課題になります。例えばメッセンジャーやワッツアップは物販手数料モデルとして動き出しています。

フェイスブックは昨年、メッセンジャーを使ってブランド各社がユーザーと1対1でチャットできる機能を追加した。ブランド側はメッセージの中に「購入する」ボタンを設けるなど、コミュニケーションをカスタマイズすることが可能だ。

出典:Forbes

ついでにメッセンジャーにはLINEのようなスタンプ機能があり、ここも課金モデルとしてマネタイズ出来そうですよね。

新規技術について

最近フェイスブックが買収した企業として有名なのは、以下3つです。

  • インスタグラム(Instagram:1000億円程度)
  • ワッツアップ(Whatsapp:1.9兆円程度)
  • オキュラスリフト(Oculus:2000億円程度)

インスタグラムは言うまでもなくM&Aにおける大成功事例です。現在、月間ユーザ数は6億人を超えており(後発ながら既にTwitter超え)、フェイスブックと異なる若年層の取り込みに成功しました。

最大の特徴は写真に特化したSNSということで、フェイスブックと同じエッジランクというデジタル広告表示システムを流用可能なため、フェイスブックからすれば広告表示の「面」が広がったことになります(しかも写真SNSということで、映像広告が出しやすい)。

インスタグラムは15年の時点で広告収入が15億ドルを超えており、ペイ出来たどころか安すぎる買い物だったということになります。

オキュラスリフトはVRですね。以前長々と記事を書いたのですが、フェイスブックが「新しいソーシャル体験」として特に力を入れている分野の一つです。

VR(バーチャルリアリティ)についてまとめた 市場規模、大手各社の動き

オキュラスリフトもフェイスブックの流れを引き継いだプラットフォームモデルとしています。

今後10年スパンでは、こうしたAR/VRの他、インターネットの提供や人工知能についても実用化を目指すとしています。

→こちらのサイト様の解説が非常に詳しくて参考になります。

競合

SNSについては競合分析が重要になってくると思います。まあそれぞれの強みとかオススメポイントみたいなのは他の比較サイトに譲るとして、抱えているユーザ、マネタイズ戦略、エコシステムの観点から考察したいと思います。

ユーザ数などの情報は以下のサイト様をご参考。

【最新版】2017年2月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ

LINE

マネタイズという点で一番上手いモデルを作っていると思うのがラインです。MAUは2.1億人程度。アクティブユーザー数も非常に多く、最注目と言ってもいいかもしれません。

下の図はラインの決算から引っ張って来ましたが、コンテンツやコミュニケーションという売上軸があることが分かると思います。読み替えると、コンテンツ=ゲームやマンガで、コミュニケーション=スタンプです。

(出典:LINE IR)

特にLINEスタンプは非常にユニークなマネタイズモデルだと感じますね。それ自体がプラットフォームであり、ラインのサービスが拡大する毎に使う機会が増えて、収益拡大に貢献します。

ツイッター(Twitter)

匿名がいいのか、日本では非常に人気の高いアプリです。MAUは全世界で3億人。短い文章をどんどん出して、拡散させる力が非常に強いSNSで、どちらかというと若い世代のほうが利用者が多いようです。

マネタイズに非常に苦労しており、身売りのニュースが何度か……。フェイスブックと同じくデジタル広告モデルで、ツイートの間にプロモーションを挟む形にしています。

Google+(グーグルプラス)

後発ながらMAUは5.4億人、ただアクティブユーザー数はそこまで多くないらしいです。グーグル全体のエコシステムの中でマネタイズしており、特にフィードに広告を挟むということはしていません。検索からの広告収入モデルが収益源です。

グーグルのエコシステムについては以前書いた個別銘柄記事をご参照ください。

【米国株】グーグル、アルファベットの銘柄分析(GOOGL、Google、Alphabet)

市場

デジタル広告市場については、以下の2点を理解すればOKだと思います。

  • デジタル広告が主流に
  • モバイル広告が主流に

で、そのどちらにも強いのがフェイスブックであるということですね。

北米でデジタル広告が伸びており、16年の途中で逆転。ちなみに、米国広告市場規模は全世界の37%と圧倒的な割合を占めており、今後の動向を見る上で外せない地域になっています。

(出典:DIGIDAY)

各セクター毎の広告支出内訳(黄色のモバイルが伸長)

(出典:DIGIDAY)

成長ベースではほぼ完全にモバイル広告のみ。

「詰まるところ、どこで広告支出が増えるのかを予想するには、どこで人々がもっとも長く時間を過ごすかを調べる必要がある」と、調査会社アルティミターグループ(Altimeter Group)のアナリスト、オマー・アクタル氏は語る。「この問いに対する答えは、ますますモバイルになりつつある」。

出典:http://digiday.jp/agencies/5-charts-forecasting-the-2017-global-ad-market/

(出典:DIGIDAY)

また、将来は動画コンテンツがより中心にやって来ると言われています。今でもトラフィックの6割は動画ですが、今後は8~9割になると。フェイスブックもカンファレンスで何度も動画への注力について言及していますね。

フェイスブックの自動再生は、タイムラインに「再生」ボタンを押さなくても動画が勝手に流れ出す仕組みになっていて、これはコンテンツとしても、動画広告としても非常に相性がいいです。ということで、ソーシャルメディアにおける動画広告市場の成長も重要な指標です。

(出典:DIGIDAY)

最近、スマホを回転しないで見ることが可能な縦動画が人気化してきているらしいです(調査では4割が縦動画しか見ないんだとか)。

リスク要素

デジタル広告収入のみのビジネスモデル

デジタル広告市場が拡大しているとは言え、それ一本に頼ったビジネスモデルに不安定さがあることは確かです。

特に、広告表示数に限界が見えてきていることは知っておいたほうが良いでしょう。

(出典:BLOGOS)

フェイスブックの将来の成長が、アナリストたちから不安視されているわけ

若者人気の陰り(SNSブームの変遷)

フェイスブックは企業にも利用される一方で、若年層の人気に陰りが見えています。いち早くトレンドを察知してインスタグラムを買収してますので問題ないと思いますが(スナップチャットは買収失敗しましたけども)、SNSもサービスの多様化に伴って利用者が分散すると思います。というか複数の使い分けですね、みんなやってますよね。

インスタグラムのように、無理にフェイスブックで取り込むよりも新しいブランドを立てる方向で広げると思いますが、ネットワーク効果が落ちることにはなります。

フェイスブック(FB)の財務分析

PL

上場後、年率50%近くの凄まじいペースで成長していることが分かると思います。営業利益率は40%近くとIT企業らしく高い水準を保っています。

意外とROEは低めです(米国平均が12%程度なので、10%割っているとそれほど良くないイメージを持っておけば大丈夫)。

BS

自己資本比率90%超えの超優良経営、というかキャッシュが溢れているのでなにかやろうと思ったらポンと現金を出せる強みがあります。

「Current Asset」=流動資産は金額にすると2兆円超えです。中々お目にかかれない数字ですよ。お金の面での心配は不要です。

CF

キャッシュがどんどん貯まる一方ですが、このところは設備投資も増強してきています。

株主還元指標

これまで配当や自社株買い戻しによる還元は行っていません。

フェイスブック(FB)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

フェイスブック(FB)-Yahoo!ファイナンス

フェイスブックが上場したのは2012/5/18ですので、それほど長期間のデータはありません。

過去の最高値、最安値

  • 最高値:135.49ドル(現在)
  • 最安値:17.55ドル(12年9月)

上場してからず――――っと右肩上がりでした。逆に金融危機などの試練は通っていないとも言えます。

今後の値動き予測

1年チャート

キレイにラインが引けました。それだけです。

135ドルの抵抗らしきものはそのうち突破するでしょうが、下限値も取りにくいです。

フェイスブック(FB)の投資戦略

まとめます。

  • ユーザ数世界最大のSNSで、なおかつ現在も加入者二桁成長を続けている
  • メッセンジャー、インスタグラムなどのフェイスブックとは別のサービスも展開し、好調を維持
  • 収入源は広告モデル一辺倒で、別サービスでは別のマネタイズが求められる
  • 自己資本比率9割のキャッシュリッチ企業で、安全性には問題がない
  • 12年の上場以来ずっと右肩上がりで、ターゲットの取りにくいチャートになっている

回答

私は成長株にブレイクアウト手法で儲けようというのが苦手なので完全パスです。

グーグルやマイクロソフトの記事でも書きましたが、既にユーザは囲っており、あとは各サービスを連携させるエコシステムとしてのプラットフォームをどうやって構築するかなんだと思います。

一日の長い時間を利用するSNSサービスだからこそ、広告収入しかマネタイズ出来ないのは非常にもったいない。足元ではそろそろ世界展開や広告拡大に飽和感が出ていますが、フェイスブックの次の戦略やいかに。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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