【2020年9月時点】新型コロナウイルス関連銘柄(ワクチン)まとめ【COVID-19】

テーマ株

今回は新型コロナの関連株特集として、ワクチン関連株の紹介をやっていきます。

動画も一緒に作ったので、こっちを垂れ流しで見てもらっても分かりやすいと思います。

そろそろワクチンの臨床試験も最終段階に入り、いよいよ成果が待ち遠しい時期になりました。

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コロナ関連テーマの種類

コロナに関連する株はいくつかありますが、大きな商機があるのはワクチンと治療薬の2つです。

もちろん検査キットや医療関連のクラウドサービスなども連れ高(特に後者はNASDAQの影響で)となっていますが、やっぱり中心になるのはコロナをいかにして抑え込めるかという根本的な部分。

ということで、今回はワクチンを中心に見ていきたいと思います。

コロナワクチンの動向

コロナのワクチンは現在、34種類の候補が上がっており、早いものでフェーズ3まで来ています。ロシアで先行して承認されたものはありますが、臨床試験が完了したものはありません。

(出典:AnswersNews)

医薬品(ワクチン)の許認可が降りるまで

医薬品というのは、許認可が降りる前に段階を追った臨床試験が必要になります。きちんと効果があるか、副作用の問題はないか等が確認出来てから、民間で販売可能となるわけです。

以下は日本のケースだから厳密にはちょっと違いますが、概ねこんな感じで進みます。

(出典:群馬大学)

フェーズ3(臨床試験第3相試験)というのは、臨床試験の最終段階になります。

フェーズ3は大規模調査になるため、フェーズ1、2で成果が出たからと言って、必ずしも成果が認められるわけではありません。

  • フェーズ1:少人数の健康な成人に、薬の安全性を確かめるために少量を投与
  • フェーズ2:少数の患者に、有効性や安全性、既存製品との比較などを確かめる
  • フェーズ3:多数の患者に投薬し、最終的な有効性、安全性、使い方の確認を行う

非常にざっくりとしたデータですが、だいたいパイプラインのうちフェーズ3を突破するのは1割程度と言われています。

さらに既存医薬品もありますから、その中で製品として販売されるのはごく一部。おまけに薬価改定と特許切れ(パテントクリフ)問題もあり、稼げる時期も短期になります。

創薬ビジネスは険しい道なのです。

ただし、後者についてはコロナワクチンは完全なブルーオーシャンです。

かつ、先行しているアストラゼネカやファイザーなどは、許認可が降りた場合に購入してもらうことを欧米各国との間で事前に合意とっています。

参考欧州委、初のワクチン事前購入契約を英アストラゼネカと締結

参考加藤厚労相 新型コロナウイルスワクチンの供給で米国ファイザーと基本合意 21年6月までに6000万人分

通常は効果が分かってから量産体制に入るのですが、今回は先行投資をして試験と量産を並行して行う構えです。

要は、うまく行ったら爆上げ間違いなしなのです。

主力はフェーズ3にある4銘柄

コロナワクチン関連銘柄で主力になるのは、現在フェーズ3にある以下の4銘柄です。トランプ政権の「ワープスピード計画」対象でもあります。

  • アストラゼネカ
  • モデルナ
  • ファイザー
  • バイオエヌテック

早ければ10月にも承認(緊急使用許可(EUA))が降りるとされていましたが、政治圧力には屈しない(=大統領選挙前に安全性を無視して承認することはない)という声明が出たので、21年初めくらいの承認、量産される見込みになるかもしれません。

参考モデルナ急落、ワクチンへの政治圧力の排除表明-「売り」判断も響く

ワクチンの効果や摂取すべき頻度は、まだはっきりしていません。個別の状況は後ほど見ていくことにします。

参考新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(9月4日UPDATE)

ワクチンとは

補足ですが、ワクチンとは「病原体(抗原)を攻撃してくれる物質=抗体を作るために、身体に注入するもの」となります。

ワクチンには以下の3種類あります。

  • 生ワクチン:病原体を毒性を弱めて体内に注入し、それに対して抗体を作らせるもの(BCG(結核菌)など)
  • 不活化ワクチン:病原体の特徴的な一部を体内に注入し、それに対して抗体を作らせるもの(インフルエンザなど)
  • トキソイドワクチン:細菌が出す毒素を無毒化して体内に注入し、それに対して抗体を作らせるもの(破傷風など)

さらに、コロナワクチンとしては様々な種類があり、どれが一番適しているかというのも、今後見ていく必要があります。

  • ウイルスベクターワクチン
  • メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン
  • DNAワクチン
  • 組み換えたんぱく質ワクチン
  • 組み換えウイルス様粒子(VLP)ワクチン
  • 不活化ワクチン

例えばアストラゼネカのワクチンはウイルスベクターワクチン、モデルナのワクチンはmRNAワクチンに分類されますが、これらは承認事例が非常に少ないワクチンです。

ただ、効果の持続性や摂取頻度など、ある程度時間が立たないと分からないワクチンの性能もあるので、先行している4社は、治験成功すればかなりの売上を見込めると思います。

参考DNA・mRNA・ベクター… 多様なワクチンの違いは?

なお、ワクチンは健康な人に注入するため、安全性に対する調査が重要となります。そのため、医薬品よりさらに治験が長くなるのが通常です。

それだけ実現されたワクチンは市場独占力が強くなるとも言えます。

また、予防医療の重要性が増していることから、ワクチン市場自体も年7%成長しており、2024年には世界で584億ドルになると予想されています。

(出典:valuepress)

コロナワクチン関連銘柄(感染症、パンデミック)

アストラゼネカ(AZN)

アストラゼネカはイギリスの大手製薬企業です。売上243億ドル。

主な領域は心臓血管、胃腸、感染症、神経科学、腫瘍学及び呼吸・炎症の6つで、高コレステロール血症治療薬のクレストール、前立腺癌/乳癌治療薬のゾラデックス、気管支喘息治療薬のパルミコートなど多数の主力製品を持っています。

アストラゼネカのコロナワクチン

現在最も先行しているアストラゼネカは、オックスフォード大学と共同でワクチン開発に取り組んでいます。

ヒトに感染する際に足がかりとする「スパイクたんぱく質」の遺伝子を組み込んだ、ウイルスベクターワクチンという分類になりますが、その中でアストラゼネカはチンパンジーアデノウイルスを用いています。

フェーズ1、フェーズ2とも副作用少なく、免疫反応は良好。

6月からフェーズ3に入り、英国、ブラジル、南ア、米国など世界で5万人規模の臨床試験中です。

9月9日、患者の一人に副作用が出て試験を中断したと報道があり、株価が8%近い下落をしています。

参考英アストラゼネカがコロナワクチン試験を中断、有害反応の疑い-報道

業績影響

アストラゼネカは米国、ドイツ、フランス、などをはじめ、販売契約20億本のワクチン提供契約を取り交わしています。日本も1.2億本の事前購入契約を結んでいますね。

参考加藤厚労相 新型コロナウイルスワクチンの供給で米国ファイザーと基本合意 21年6月までに6000万人分

体力がある大企業なので、生産能力自体に問題はないでしょう。30億本の生産を想定しているとのことです。

ということで、先行して販売できれば利益が大きいものになると思いきや、アストラゼネカは利益なしで提供する方針を掲げています。社会的意義を考えて、というものです。

価格はインフルエンザ同等の40ドルと言われているので、30億本全部売れば1200億ドル……。

参考新型コロナワクチン、価格は「インフル並み」の 40ドル…米政府の契約、世界の指標となるか

大型株とはいえ、これだけ売上が伸びるととんでもない話になります。また一部でも、(利益には影響しなくとも)社会貢献でブランド力を高め、プレゼンスを上げることでアストラゼネカのビジネスに追い風になるでしょう。

株価動向

現在のPERは66倍と高く、株価もずっと右肩上がり。

下限は直近安値の40ドル付近になるでしょうか。

とはいえ、ここ数年売上が落ち続けていたので、コロナワクチンに対する期待で下駄履いている状態と思われます。

開発が成功しない場合、より下がった30ドルのラインを見たほうがいいかもしれません(まあ、そんなニュースが出たら投げ売りする以外の戦略はないのですが)

上限は50ドル、60ドルと10ドル刻みに抵抗体があって折り返していますが、一番手ということもあり、成功時には100ドルは固いと思われます(100ドル突破すれば120ドル程度までは止まらないと思いますが)

モデルナ(MRNA)

mRNA薬の製造販売を軸とする製薬ベンチャー。

20年7月、コロナワクチンによって時価総額3兆円に成長し、ベンチャー企業ながらNASDAQ100入りが報じられました。

モデルナ、ナスダック100指数採用へ-ワクチン期待で時価総額3兆円

モデルナのコロナワクチン

モデルナはメッセンジャーRNA(mRNA)を用いたワクチンで、フェーズ1、フェーズ2の臨床試験では副作用も少なく免疫反応は良好でした。

7月末からフェーズ3に移り、3万人で臨床試験中です。9月に被験者の登録を終える予定とありますが、声明もあり承認時期はもう少し先になる見通しが上がっています。

業績影響

19年売上は6000万ドル(60億ちょっと)、営業利益は5.5億ドルの赤字でした。

創薬ベンチャーによくある話ですが、まだ製品を持っていない中でコロナワクチン期待だけでここまで時価総額3兆円になったんですね。ハイプ・サイクルで言うと①期待先行フェーズです。

モデルナも米国で1億回分(1600億円)+4億回分追加オプション、日本で4000万回分など次々事前購入契約を結んでいます。米国単価は30.5→24.8ドルらしいので、アストラゼネカより安い?

参考モデルナ、コロナワクチン1億回分供給で米政府と合意-約1600億円

ベンチャーとして生産能力が弱い部分は国が先行投資してくれるため、21年までに最大10億本の量産が可能と発表があります。

まあ単純計算でMAX1000億ドルの売上が期待できるわけです。そうなったらこの株価は正当化されます。

なお、モデルナは原価を上回る価格で販売すると明言していますが、利益を求めないアストラゼネカやファイザーのワクチンの価格によっては、不利に働くかもしれません。

株価動向

コロナワクチンの先行事例となって以降、株価が急上昇しています。

既にチャート分析が出来るような状態ではないため、当たればブロックバスター確実、まだまだ余裕であがるでしょう。

参考程度ですが、日本で売上最大手の武田薬品工業で時価総額6兆円、先程見たアストラゼネカが14兆円です。

モデルナは現在時価総額3兆円ちょっとと既に高騰していますが、コロナワクチンに対する期待値を考えれば、成功したらここから数倍は余裕であるかなと思います。

なにせちょっと前に分析したテスラが、現在時価総額22兆円で日本の自動車メーカー上場9社合計を抜きましたからね。テスラのEV販売台数はトヨタの1/30しかない36万台です。

【米国株】テスラ(Tesla:TSLA)の銘柄分析【自動車銘柄の時価総額トップ】

今年はコロナ影響で投資先が少ないながら、異次元量的緩和でマネーは溢れている状況ですので、数少ない有望投資先に群がるのは仕方ないのかもしれません。

ファイザー(PFE)

ファイザーの企業分析はこちらの記事をどうぞ。

【米国株】ファイザー(Pfizer:PFE)の銘柄分析【高配当】

2020年度の医薬品企業の売上高としては、ロシュに次ぐ世界2位でした。

(出典:AnswerNews)

なおワクチンのシェアもメルクに次ぐ世界2位です。肺炎球菌向けのワクチン:プレベナー13は世界で最も売れているワクチンです(世界で7億5000本以上接種されています)

(出典:tpc)

ファイザーのコロナワクチン

ファイザーは後述のバイオエヌテックと共同でワクチンを開発しています。

モデルナと同じくメッセンジャーRNA(mRNA)を用いたワクチンで、フェーズ1、フェーズ2で少し副作用があったものの、やはり免疫反応は良好でした。8月からフェーズ3に入っています。

業績影響

アストラゼネカ、モデルナと同じく、既に各国で事前購入契約が結ばれています。

参考米、コロナワクチン1億回分供給確保 ファイザーなど2社と契約締結

21年までに12億回分のワクチンを量産可能の見込みです。

アストラゼネカの40ドル単価とすると、1回の投入でも480億ドルの売上に影響します。売上はバイオエヌテックと折半として、最大値ならとんでもない数字です。

また、CEOがコロナワクチンで利益を取るのは良くないと発言しているので、利益影響は小さくなると思われます。

株価動向

製薬大手ではあるものの、ここ数十年は新薬創出が出来ず、M&Aで優秀なパイプラインを持つベンチャーを買収してきました。

それを反映するようにずっとレンジ相場でうだつの上がらないチャートでして、正直コロナ銘柄とは感じられない程度の上昇しかしていません。PER15倍は市場平均より低い。

下限は30ドルが大きなサポートライン、上限45ドルはワクチンが承認されれば超えそうな気がしますが、上がってもせいぜい50ドルなのかと思うくらい上値が重たいです。

バイオエヌテック(BNTX)

バイオンテックとかビオンテックとか言い方は諸説あります。ファイザーと共同でコロナワクチンを開発している、ドイツのバイオベンチャーです。

バイオエヌテックのコロナワクチン

ワクチンについてはファイザーの項目で紹介したので割愛します。

業績影響

19年度の売上は1億ドル(100億円)程度で、1.8億ドルの赤字でした。モデルナ同様に典型的な創薬ベンチャーですね。

ファイザーと折半としても売上はMAX240億ドル、他との競争や価格下落で1/10になっても同社は売上10倍以上に成長するわけです。

株価動向

株価上昇は完全にコロナワクチン期待値で先行していて、今の時価総額は1.5兆円とモデルナの半分程度になっています。

チャートが短く、想定ポイントを算出しにくいですが……ワクチンがダメならこの時価総額はありえないので、下限はゼロ、上限は成功すれば100ドル超えて3~4倍くらいになってもおかしくないと思います。

その他のコロナワクチン関連銘柄

これからフェーズ3に入っていこうか、という次の候補です。いずれもワープスピード計画の対象。

有効性と安全性が先行したものより良い場合は、余裕で巻き返しあり得る案件です。

  • ジョンソン&ジョンソン(JNJ)/エマージェント(EBS)
  • ノヴァヴァックス(NVAX)
  • メルク(MRK)
  • ヴァックスアート(VXRT)

最後に:キャピタルゲイン狙いの投資で注意すること

あまり期待しすぎない

こういう創薬ビジネスは当たり外れが激しく、プロであっても選定は難しいです。成功したら一発大きいですが、失敗すればそれまで。

失敗すれば既に高騰している以上、大幅な下落は免れないでしょう。今もちょいちょい悪材料が出るたびに2桁%下落していますしね。

投資の最悪は退場なので、外れることを前提としたポジションサイジングを心がけるべきです。

シナリオが崩れたらやめる

大型株はコロナワクチンが不発でも良い業績を維持し、ある程度のリターンをもたらすと思います。実際、ヘルスケアセクターの平均リターンは市場平均を上回ります。

しかし、私は投資の一貫性を重視したほうがよいと思います。

コロナワクチンに期待して投資したのであれば、それが不発=シナリオが崩れた場合は引き上げるのが懸命でしょう。

短期的なキャピタルゲインを狙って買った株が、うまく行かなくなると「長く持っても安心の株だから」と自己正当化して持ち続ける、これは投資のよくある失敗例です。損失を確定させるのは嫌だという、プロスペクト理論で話をしました。

プロスペクト理論で分かる、心理メカニズムが投資判断に与える影響

また株価が上がれば良いですが、いつか戻らない株が出てきたときにドカンと大損するパターンです。

利食いは難しい

どれをいつ買うかより、どのタイミングで利食いするかのほうが難しいです。特にコロナワクチンは注目銘柄がある程度決まっているので。

ファンダメンタルあるいはチャートで判断出来ればいいですが、難しいときに私は機械的にリスク・リターンが1:1以上になるポイントに設定します。

暴落時に最大50%毀損して手放すと考えるなら、リターンも50%以上に設定します。購入価格ベースなので市場の変動を無視していますが。

で、一度出たらもう入らない。チマチマ取ろうとするとコツコツドカンで最後やられます。

この手のテーマ株は短期で人気化して、祭りが終わるとさっと引くので、リスクコントロールを重視しつつ、適当にイン&アウトしていこうと思っています。


動画再掲。

 

この記事を見る人はテンバガーの動画も興味あるかもしれません。

 

テンバガーのポイント記事

テンバガー(大化け株)の特徴をまとめておく

ではでは。

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