【米国株】コストコ・ホールセール(Costco Wholesale:COST)の銘柄分析

いつもシェアありがとうございます。シェアボタンはこちらです。

今回はコストコ(COST)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。日本でも人気ですので、知っている方も多いと思います。

スポンサーリンク

コストコ(COST)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

コストコは会員制の小売店で、生鮮食品から日用品、家電に衣服まで、幅広い商品がほとんど卸値と同じ価格で販売されていることが特徴です。店内は巨大な倉庫になっており、メーカーから卸した商品をそのまま陳列する形式です。

(出典:コストコIR)

世界中に725店舗あり、1/3は海外にあります。日本にも25店あるみたいですね。神奈川にも川崎、金沢シーサイド、座間の3店舗あります。

(出典:コストコIR)

ビジネスモデル

コストコは会員制のビジネス形態を取っており、年会費を払って会員にならないと買い物が出来ません。年会費は日本だと4400円、米国だと55ドルです。

会員制というのは優れたストック収入のビジネスモデルです。例えばスポーツジムや学習塾、携帯料金、アマゾンプライムなんかもそうですね。

前払いで利用料を取って囲い込みしてしまうと、「せっかくお金を払ったのだから」と自社サービスを利用しようというインセンティブが働きます。そこで他の自社サービスと組み合わせることで消費者に依存させ、スイッチングコストを高めることによって、将来に渡って安定した収入源になるのです。しかもキャッシュが先に入りますので、資金繰りにも困りません。

さて、コストコに話を戻しましょう。コストコの場合、年会費と別に小売業で売れただけお金になりますので、会員制モデルによるリピーター獲得のシナジーが非常に強く発揮されます。

また、PLを見てみると分かりますが、グロスマージン(=売上ー仕入原価)は10%程度しかありません。本当にほぼ仕入れ値で販売しているということですね。

(出典:コストコIR)

そして、この10%の中で人件費や倉庫等の固定資産維持費用を捻出すると、利益はほとんどゼロになります。下のPLに載せていますが、コストコの営業利益率はわずか2%しかありませんからね。

ちょうどメンバーシップ収入(年会費)が2.28%なので、要は利益のほとんどは年会費からもたらされているわけです。

安定したストック収入部分が担保されているので、売るものを究極に切り詰められるとも言えます。そして、こうした真に消費者の利益を追求する企業の姿勢は、消費者にもちゃんと伝わります。消費者の信頼はブランド価値という無形資産になって、バランスシートに見えない形で企業に大きな価値をもたらします。

コストコの年度更新(Renewal rate)は90%を超えていることからも、顧客満足度の高さが伺えます。

コストコの価値

どうしてコストコはこれほど人気なのでしょうか。

一つは間違いなく安いから、もう一つは価値の高い人気商品をたくさん入荷しているから、最後にコストコというお店自体が「楽しい」という消費者体験に繋がっているから、だと思います。

まず、コストコはコスト削減が命なので、一般的な小売業とは違った事業運営をしています。

  • 広告マーケティング:コストコは広告にお金を使いません。
  • ディスプレイ:商品はキレイに陳列されるのではなく、ダンボールやパレットの上にそのまま乗せています。
  • 仕入値下げ:大量仕入れによるディスカウントを行います。
  • プライベートブランド:PB商品の質が高いと評判で、もちろん安価です。
  • 商品種類:生鮮食品はもちろん、ワインやPBのベーカリーショップ、肉屋と魚屋、ダイヤモンドに家電に衣類まで。
  • 併設施設:フードコートや薬局など

私が注目したいのは、コストコの大きな倉庫を見て回ること自体の楽しみです。よくよく考えてみて、いくら安いと言っても年会費払って遠出してピザやらお肉やらの買い物をしますか? 普通近所のスーパーで済ませてしまいますよね。

それをコストコまで引き込んでくるためのポイントが消費者体験です。

下の写真を見ると、もはや複合施設やテーマパークに近い施設です。コストコは休日に家族や友達と行く場所なんですよね。

広いスペースなので歩き回ると一日潰せるし、フードコートも充実しています。せっかく来たのだからとカゴいっぱいに買い物すれば満足感も違うでしょう。

会員の囲い込みと消費者体験は、他の小売やアマゾンをはじめとしたネット小売とも異なる強みになるんじゃないかと思っています。

(出典:コストコIR)

そうそう、前にマスターカードの記事でコストコと独占契約を解消したという内容を書きました。コストコ側から見ると、ビザに乗り換えたことでカード手数料を節約し、増収増益に貢献したことになっています。

【米国株】マスターカード(Master Card:MA)の銘柄分析
今回はマスターカード(MA)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。 先日ビザ(V)を分析しましたが、ほとんど同じ...

売上高の8%もあったんだから、手数料も特価出せなかったんですかね。それだけビザが規模の経済で価格勝負に強いってことかもしれませんが。

競合

同じ店舗型の小売業としてはウォルマート・ストアーズ(WMT)になります。以前分析記事を書いていますので、合わせてどうぞ。

【米国株】ウォルマート(Walmart:WMT)の銘柄分析【連続増配】
今回はウォルマート(Walmart:WMT)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。 言うまでもなくバフェット銘柄...

ウォルマートもコストコのような会員制クラブ「サムズ・クラブ」を運営しています。ただ、全体的な統計で低所得者層がウォルマート、中高所得者層や業者はコストコに行っているというデータもあります。ある程度の住み分けはされていて、消費者の質はコストコに軍配が上がります。

しかしながら、潜在的な脅威としての競合他社はやはりアマゾンになるでしょう。こちらも記事は書きましたが、クラウドとか次世代技術のネタばかりになってますw

【米国株】アマゾン(Amazon:AMZN)の銘柄分析
今回はアマゾン(Amazon)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。 アマゾン(AMZN)の事業内容 ビジネスを3...

アマゾンがどこまで脅威になるかという点については両論あります。私はコストコの価値を単なる価格の安さではない消費者体験に見ているので、アマゾンに侵食されないと思っています。

市場

食品や日用品小売なので、お決まりのように人口動態グラフを貼っておきます。人口が増えれば利用者も増えるという簡単な理屈として。

(出典:Population Pyramid)

2100年には112億人になります。しかもコストコの顧客層に重なる富裕層が増えます。

(出典:Zukunftsinstitut, 世界銀行, ブーズ・アンド・カンパニー分析)

リスク要素

アマゾン、アマゾン、アマゾン……

たぶん大丈夫じゃないかと。もちろんある程度のパイは取られるかもしれませんが、全面競争とは違った形になりそうな印象です。

ただし、以下のような正反対の主張もありますので、投資前には両方の理屈を見て検討したいところです。

参考【コストコ】、増収増益を維持もアマゾンに対して免疫になる強みがあるとはいえない!?

※アマゾンは確かに生鮮食品に参入しますし、あの物流網があれば成功するでしょう。しかし、そこが本質的な競争部分ではないという見方を私はしているということです。

会員数伸び率の落ち込み

会員数は増えているものの、伸び率が鈍化している点は気がかりです。以前は10%以上の伸び率でしたが、ここ2年は5%を下回っています。

(出典:コストコIR)

合わせて売上の伸び率も鈍化傾向です。

(出典:コストコIR)

店舗を閉鎖しているウォルマートとは反対に新規出店は今までと同じペースで増やしているみたいなので、ある程度コアになる顧客層は取り込んでしまったということでしょうか。

下のプレゼン資料がたぶん店舗数の話だと思うんですが、違ったらすみません^^;

(出典:コストコIR)

コストコ(COST)の財務分析

PL

売上高はずっと拡大を続けています。会員数も中間層以降の層を相手に拡大しており、ビジネスの好調さが読み取れます。

一方で利益率は3%以下と小売の中でも最低水準です。コストコの経営方針が卸値とほとんど同じ価格で売るというものなので仕方ありませんね。この僅かな利益の源泉は会員の年会費ですので、会員数や年会費の増減は注目です。

BS

自己資本はそれなりに多くなっています。小売なので現金収入が多め、固定負債は少なめになっています。

CF

思った以上に投資キャッシュフローが大きくなっており、フリーキャッシュフローの余剰は小さいです。とはいえ、事業の根幹である営業キャッシュフローはずっと大幅プラスで推移しているので、問題はないと思います。

大量仕入れの交渉で、ディスカウントの他に支払いの繰り延べもやっているはずです。以下の図で、商品を仕入れてから顧客に売れるまでのタイムラグがほとんどありません。

アマゾンほどではないものの、小売のリスクになるキャッシュ枯渇はほぼ押さえていると見て大丈夫です。

(出典:ハーバード・ビジネス・レビュー)

コストコがウォルマートよりコンバージョンサイクルが良いのは、コストコのほうが商品を絞っているからです。より大量仕入れとなるので、バイイングパワーが大きくなります。

株主還元指標

近年は連続増配をしていますが、利益率は低いですしキャッシュに余裕がある感じでもなかったので、そこまでは期待出来ないかもしれません。

配当性向は3割以下ですが、総還元性向は年によってブレがあります。自社株買いを結構やっているんですね。

直近配当利回り:0.95%

コストコ(COST)のチャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

コストコ(COST)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

チャートも人気がすごいことになっていますね。節目の200ドルくらいまで突っ込んで行きそうです。

  • 最高値:183.18ドル(現在)
  • 最安値(リーマンショック後):26.17ドル(2009年)

今後の値動き予測

5年チャート

16年あたりから踊り場に差し掛かっていますが、最新の足で抜けたと思います。170ドルは今度サポートラインになりそうです。

1年チャート

コストコ(COST)の投資戦略

まとめます。

  • 会員制の小売店で、生鮮食品から日用品、家電に衣服まで、幅広い商品がほとんど卸値と同じ価格で販売されていることが特徴。
  • ビジネスモデルとしては年会費を担保に非常に安価に提供しており、むしろ利益率のほとんどは年会費のみ(営業利益率は2~3%)。
  • 価格の安さ、商品の質、消費者体験が強みとなっており、年度更新率は90%を超えている。
  • チャートでも長期で上昇トレンドが継続。

回答

いい事業だと思うのですが、投資対象としてどうかというと……微妙なところです。ビジネスモデル的に利益率2~3%は将来もずっとこのままだと思われるためです。

そういった意味だと、アマゾンに投資する感覚と似ていますね。あちらも小売の利益はほとんどありません(大半はクラウドが生んでいる)。

アマゾンはプライムへの移行を促したりとマネタイズ化していくフェーズが残っていますが、コストコに同様の余地があるかというと……難しいと思うんですよね。年会費を倍にして株主還元なんてことはあり得ないですし。

投資家還元の源泉となる利益が伸びないのであれば、株価の上昇で投資家に報いるしかありません。となると取得価格がそのまま収益率を左右することになりますので、買い水準は遥か下です。


実は一度も行ったことがないので……一日招待券手に入れてちょっと行ってみたくなりました。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス

▲TOP

▲TOP