【高配当】デューク・エナジー(Duke Energy:DUK)の銘柄分析【米国株】

米国株

今回はデューク・エナジー(DUK)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。配当利回り4%に迫る、米国最大の電力会社です。

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デューク・エナジー(DUK)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

日本では地域ごとに電力会社が分かれていたところに、去年から電力小売りを自由化しました。以下懐かしい記事リンク貼っておきます。この記事の後、銘柄探しやってません。

電力自由化によるビジネスモデルとリスク、競争のポイント

米国も13年時点で既に7つの州が電力小売自由化しており、そこでは地域独占がありません。といっても、やはり地域集中して独占したほうが効率が良いので、実際には地域ごとに強い電力会社が変わる形になりそうですが。

デューク・エナジーの主力地域は、フロリダ、インディアナ、ケンタッキー、ノースカロライナ、オハイオ、サウスカロライナの6州です。かつてはラテンアメリカの事業を持っていましたが、16年12月には売却済みのため、売上は米国内のみです。

(出典:デューク・エナジーHP)

東海岸沿いにある州が中心で、自由化はされていない地域になります(後述)。

また、電力以外にもガス事業も運営しています(ほぼ電力の会社ですが)。電力として750万、ガスとして160万の顧客がいます。単位が書いてませんが世帯のはずです(だから3000万人くらいのユーザーがいるということ)。

(出典:デューク・エナジーHP)

決算書先読みになってしまいますが、基本は火力発電です。燃料は天然ガスと石油、石炭がそれぞれ1/3程度を占めています。一方でNuclear(核)=原子力発電が未だ2割近くあり、リスクとして気になります。推移としてはここ3年で石炭が減ってきている以外に大きな変化はありません。

(出典:デューク・エナジー アニュアルレポート)

決算書

Revenue一括になってて内訳が見当たらない……。とりあえず、州ごとの提供サービス相手の違いが以下になります。

どちらかと言うと住宅地域と産業地域の違いという感じのデータでしかありませんね。インディアナ州は産業が活発で、フロリダは住宅がたくさんあると。

(出典:デューク・エナジー アニュアルレポート)

地域ごとの売上は以下のようになります(ギガワット単位だけど)。カロライナ2州合計が最も高く、次がプログレスエナジーそのまま、その次がフロリダ州です。

(出典:デューク・エナジー アニュアルレポート)

競合

競合といっても強い地域が違っているので、同業他社って感じですけどね。四季報でライバル企業に載っていた電力会社は以下の通り。

  • アメリカン・エレクトリック・パワー(AEP):中西部のオハイオ州、南部テキサスなど11州、540万世帯へ供給。テキサスは完全自由化されているのでどうなんでしょう。
  • ネクステラ・エナジー(NEE):時価総額は電力トップ。フロリダ州が基盤で、フロリダの約半分を押さえる電力会社です。あれっ、デューク・エナジーと競争してるじゃんw
  • PG&E(PCG):サンフランシスコのあるカリフォルニア州を中心に電力で530万、ガスで440万世帯へ供給。再生可能エネルギーが3割を占めるらしい有能。
  • サザン(SO):電力・ガス事業で全米2位。電力はジョージア州、ガスはイリノイ州が主力だそうで、両方合わせて11州900万世帯へ提供。利回り4.6%近く、非常に高いですね。

デューク・エナジーを選んだのは単に米国で最大だったから。見るとどれも変わらないような気がしますが、地域ごとの特徴で選ぶといいかもしれません。

下は人口の多い地域が赤にマッピングされています。これだとカリフォルニアとテキサスが良さそうですが、ここらは再生可能エネルギーを技術革新で作ってしまうかもしれないですね。

(出典:アメリカ地域ランキング)

市場

米国の電力需要は中国に次いで世界2位です。

(出典:三井物産戦略研究所)

ついでに売上業者内訳と市場規模も。日本で中心的な私営電力会社(東京電力など)は、事業者数の割合では6%ですが売上だと60%を占めています。

(出典:三井物産戦略研究所)

うーん、あとは主力地域のうち最も住宅への電力供給が多かったフロリダ州の人口統計を見ておきましょうか。

人口が多いということはそれだけ潜在的な契約世帯が多いことを意味します。公共サービスなんて一度繋いだら後は数十年チャリンチャリンのビジネスですから、考えやすいですよね。

ってググったらGoogle先生が出してくれました(前からこんなの出ましたっけ?w)。この上がり方見るに、たぶんこれからも増えるでしょ。

リスク要素

東電(原発問題)

東日本大震災が発生するまで、東電は日本屈指の安定高配当銘柄で、楽勝高給ホワイト企業ランキング上位常連でした。震災直前の利回りは6%近かったので、1億円あれば600万の配当収入が得られていたわけです。

それが今や見る影もないくらいに落ちぶれて、世間イメージも最悪な状態になりました。潰れなかった(潰せなかった)のは流石ですが、もしこれが日本じゃなかったら潰して国営化とかする可能性もあるんでしょうか?

(出典:Yahoo! ファイナンス)

なんにせよ、原子力発電のように、人類にはまだ制御出来ない技術を扱うことの難しさを感じます。リスクとは不確実性です。目先の利益や効率性にばかり気を取られ、大きなリスクを負うことがないようにしたいものです。

地震分布

念のため米国の地震分布とデューク・エナジーの主力地域を照らし合わせてみましょう。下の世界地震分布で赤くなっているところが危険度の高いポイントです。

(出典:気象庁)

先程も見た通り、デューク・エナジーの主力地域はフロリダ、インディアナ、ケンタッキー、ノースカロライナ、オハイオ、サウスカロライナの6州で、東海岸側に集中していますね。

米国の地震多発地帯は西海岸側のカリフォルニアやオレゴンになりますので、地震のリスクは高くなさそうです。

ただし、フロリダ州などの南海岸地域はハリケーンという気象災害に悩まされています。デューク・エナジーではありませんが、ハリケーンによって送電網が破壊される被害もあり、原発が緊急停止した問題も過去に発生しています。

余談ですが、国内や世界のどこが安全か、みたいなネタは好きです。災害マップとか見てると、日本は治安という意味では高い評価ですが、自然災害リスクや地政学的リスクが高く、総合評価で東京は先進国で最も危険な都市という扱いです……。

高金利

下で見ますが、電力業界は設備投資に多額の投資を続けており、FCFに余裕はありません。とすると、金利が低いことは電力株に追い風となります。

投資をするには内部留保を使うか、株や社債で調達するか、銀行から借金するかしかありませんから。

資源価格

資源価格が上がることは収益を圧迫する要因になりえます。石油は結構記事書きましたね。

【ETF】コモディティ(原油)への投資【日本株、米国株】

代替エネルギーや再生可能エネルギー

これも他の記事で何度も見ましたね。技術革新は経済成長の一要因で、エネルギーセクターが常に脅威に晒され続ける(だから過小評価される)理由でもあります。

エネルギーが変わるというか、例えば太陽光発電や風力発電の伸長がリスクですね。どの程度の割合かは分かりませんでしたが、一応再生可能エネルギーもセクターには入っていたので多少のリスクヘッジにはなると思っています。

電力自由化

小売市場自由化は州単位で方針決定されていて、13年時点ではまだ7州らしいです。自由化すれば当然競争激化しますので、悪材料です。

(出典:三井物産戦略研究所)

自由化された州のほうが平均して電気料金が下がります。競争が生まれるのですから当たり前といえば当たり前ですが、資源価格変動による上限規制も撤廃されるものですので、どちらかと言うと資源価格次第というほうが正しいと思われます。

(出典:三井物産戦略研究所)

公共セクターは市場平均に対してアンダーパフォーム

シーゲル先生の赤本には、過去数十年のデータで公共セクターは市場平均にアンダーパフォームしていることが述べられています。

S&P500の平均10.85%に対して、公共セクターは9.52%しかありません。このセクターで値上がり益は期待出来ないため、インカムゲイン狙いの長期バイ・アンド・ホールドしかないのですが、この投資法に優位性がないということになります。

セクター平均リターン(%)
ヘルスケア14.19
生活必需品13.36
情報技術11.39
エネルギー11.32
一般消費財11.09
金融10.58
資本財10.22
電気通信9.63
公共事業9.52
素材8.18
S&P500平均10.85

そうそう、こんなところで書くのもどうかと思うのですが、シーゲル先生の言う「リターンに対するインカムゲインの寄与度が97%である」というデータについて一点だけ。

あれは実際のところ「配当再投資分のキャピタルゲイン」もインカムゲインとして計算しているため、長期になるほど有利な指標です(97%というのは130年運用した前提での寄与度なので、当然配当=インカムゲインが大きくなる)。そこを分割するとどのくらいか、というデータは分かりません。

デューク・エナジー(DUK)の財務分析

PL

電力株なんで動きはあまりないのが普通ですが、11年にプログレスエナジー買収、16年にはピードモントナチュラルガスの統合によって大きく成長しています。

資源価格の変動はあまり業績影響ないんでしょうかね? 見た感じ無風状態です。

市場平均よりは上くらいの利益率と、大幅に下回るROE。まあ電力事業自体の特色で、事業を維持するための設備投資が非常にかかるので、これは仕方ないですね。

BS

やはり固定資産が非常に多い。自己資本比率が右肩下がりですが、一応30%超えているので大丈夫でしょう。東電を見ると安全性評価は財務健全性ではない気もしますし。

CF

キャッシュフローには余裕がありません。特定地域の特定顧客へ決まった月額料金でサービスを提供しているため、営業キャッシュフローは伸びないです。

その割には投資CFが圧迫していて、FCFもプラスとマイナスを行ったり来たりしています。

株主還元指標

電力株のなにが良いかって、やっぱりこの利回りですよね。基本的には安定した事業であることを担保に、ほとんど全て投資家還元しています。利回りも4%に迫っており、とても魅力的です。

直近配当利回り:3.97%

デューク・エナジー(DUK)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

デューク・エナジー(DUK)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

株価ちょっと高めといえば高め。でもこの株価帯で利回り4%って凄いですよ。

あまり考えず、落ちたら買い増しすることを前提にしてもいいかもしれませんが、購入に踏み切るには結局リスクをどう捉えるか次第でしょう。

  • 最高値:89.97ドル(2015年)
  • 最安値:21.33ドル(2003年)

今後の値動き予測

5年チャート

動きが小さいチャートですが、15年につけた高値の壁90ドルを目指して3回目にチャレンジしそうです。チャート的には今回か、その次かで超えそうですが……そうなるといよいよ買い場がなくなります。

1年チャート

ここだけ切り取ると方向感はありません。

デューク・エナジー(DUK)の投資戦略

まとめ

  • デューク・エナジーの主力地域は、フロリダ、インディアナ、ケンタッキー、ノースカロライナ、オハイオ、サウスカロライナの6州。
  • 原子力発電が2割占めるのは、東電のことを考えると少しリスクに思える。他にも金利や再生可能エネルギーと発電、
  • 利回りは4%に迫り、非常に高く魅力的。
  • チャートでは高値の90ドル付近へ。

回答

安定性については震災後は若干疑問もつけられるようになった電力株ですが、やはりこの高配当は魅力的すぎます。

この株価だと悩みますが、90ドルの壁で反発して、もし70ドルまで来たらちょっと持ってもいいかもしれない、という感じ(80ドルくらいで再反転しそうですが)。

電力銘柄のどれにするかについては、テロの脅威もあるのでなるべく原子力発電は避けたいです。その観点でもうちょっと探してもいいかもしれません。

長期投資において、永続的な利益を生むかどうかという観点では、ブランド価値や市場ニーズで安定している生活必需品セクター、ヘルスケアセクターに劣ることは事実です。ただまあ将来は読めないことも事実。

配当収入が損益分岐点を切り下げるので、それを担保に買ってもよいかどうか、リスクリワードを加味して考えたいですね。


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企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
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