【高配当銘柄】ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の事業、ファンダメンタル分析【米国株】

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ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications:VZ)のファンダメンタル、チャート分析です。

前回AT&Tをやったので、その続きということで。米国通信事業者の1位と2位ということで、両株はよく似ていて、ベライゾンもやっぱり高配当銘柄です。ちなみにダウ30銘柄のひとつ。

【高配当銘柄】AT&T(T)の事業、ファンダメンタル分析【米国株】
AT&T(T)のファンダメンタル、チャート分析です。 連続増配33年、利回り5%という銘柄ですので、短期的なキャピタルゲイン狙...

連続増配は11年と案外短いものですが、利回り4%超は魅力的。

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ベライゾン(VZ)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

決算書を見ても、ベライゾンはワイヤレス(Wireless)事業とワイヤライン(Wireline)事業を展開しています。調べても分かりにくかったのですが、たぶんこういうことです。

  • ワイヤレス事業:売上の3/5くらいを占める、一般的にイメージする通信事業。傘下にあるベライゾン・ワイヤレスは米国内に1.1億人もの契約者を抱える、米国最大の通信事業者です(13年に1300億ドルでボーダフォンから完全子会社化)。
  • ワイヤライン事業:売上の2/5くらいを占める、光ファイバーネットワーク、動画や音声の通信サービス、あるいは法人向けのソリューション、データセンターといった事業。

上がQレポート、下がアニュアルレポート。レポートにはWirelessとWirelineで細分化して内訳も書かれています。あと売上は米国内のみでInternationalの項目はありません。

(出典:Verizon IR情報)

(出典:Verizon IR情報)

この他、決算ハイライトには色々と数字が載っていますが、とりあえず最新決算は予想より悪い数字が並びました。

  • 売上高成長率は前年比-5.6%(3期連続で減収減益)
  • EPSは予想89ドルに対し86ドル
  • 契約純増数は59万件(予想72万件)
  • ちなみに、TモバイルUSは120万件の純増だった模様。などなど

この会社について重要なのはAT&Tと同じく、成熟している通信事業から次の成長軸をどこに置くかという一点です。

デジタル広告を次の柱に

ベライゾンの目指す方向性は直近のM&Aを見れば分かるように、デジタル広告です。

15年にハフィントンポスト等の独自の広告自動配信網を持つAOLを買収(44億ドル)し、16年には米国Yahooのインターネット事業部門を買収(51億ドル)しました。これによって、ベライゾンはデジタル広告においてGoogleとFacebookに次ぐ業界3位になりました(1、2位が圧倒的過ぎますけども)。

※つい最近、ヤフーは10億人の個人情報流出事件がありました。ちょっと前にも5億人の流出をやらかしていて、これが原因で統合が破談するんじゃないかとも……。

余談ですが、現在ソフトバンク下にある日本のヤフーは、ご存知の通り日本のポータルサイトとしてGoogleと並ぶ人気を維持しており、18期連続増収増益というソフトバンクの主力事業です。米国ヤフーは日本ヤフーの株式を36%程度保持している状態なので、ソフトバンクが買い取るでしょうか。もし放置するとロイヤリティがベライゾンに入ることになりますし、TOBを仕掛けて日本ヤフー事業を狙うこともあり得るし、ソフトバンク・スプリント連合は頭の痛い問題になりそうです。

とりあえず、AOLとヤフーを傘下におさめたことで、広告・検索領域やポータルサイト、そして月3.6億人と言われる利用ユーザを手に入れることが出来ました。あとはコンテンツを充実させ、ユーザを回遊させ、デジタル広告で稼ぐだけ。

ということで、20代の若い世代をターゲットに、15年10月からスマホ向け無料動画配信サービス「go90」を開始しました。無料でコンテンツを配信しながら広告収入で運営するモデルを築こうとしています。

競合

AT&Tの再掲になりますが、競合としてはAT&T(T)、Tモバイル(TMUS)、スプリントを買収したソフトバンク(9984)です。加入者順位では以下のようになっています。

ベライゾン、AT&Tの2強で、ここ2社で7割近くのシェアを握っています(余談ですが、ベライゾンも元はAT&Tの子会社が集まったもの)。あとはソフトバンクの孫さんが合併しようとして失敗したTモバイルが絶好調で、スプリントを抜いて3位になりました。通信ケーブルや基地局といった設備投資が大きな業界なので、数多くのプレイヤーがひしめき合う構造にはなり得ません。

(出典:BI Intelligence)

米国は人口が伸びているとはいえ既に100%を超えたスマホ普及率から見ても通信事業としては停滞感が拭えず、各社は新しい方向性を模索しています。全体的にネット放送に傾倒しているのは同じですが、ビジネスモデルはそれぞれ特色が出てきています。

競合3社の戦略

AT&Tはコンテンツ配信事業から制作事業へと転身を図り、15年に衛星放送首位のディレクTV、16年にはCATV2位のタイム・ワーナーを買収(後者は合意のみ)しました。ビジネスモデルの軸にコンテンツ販売や広告収益をプロットしようという狙いですね。動画コンテンツは通信事業と親和性が高く、優良コンテンツは自社契約の囲い込みにもなります。

Tモバイルは斬新なキャンペーンを打ち出すことでAT&Tを上回る加入者純増状態で、着実に2強のシェアを奪っています。また、CATV最大手Comcastによって買収されるのではという噂もありました。

スプリントは長らく停滞していましたが、トランプが大統領になったことで風向きが変わる可能性があります(米国で5万人の雇用を作ると言ったから歓迎されそう)。

デジタル広告ビジネスの壁は厚い

そして、今後目指すべきデジタル広告の領域では、Google、Facebookが圧倒的な地位を既に築き上げており、牙城を崩すことは容易ではないです。

Googleがシェア35.4%、Facebookがシェア13.2%と、2社で寡占市場を形成しています。3位になったとはいえ、ベライゾンは6%しかないのです。

デジタル広告はリスティング広告とディスプレイ広告とがありますが、検索サービスとして世界で圧倒的なユーザ数を持つGoogleにリスティング広告は軍配が上がりますし、Facebookのディスプレイ広告はヒット率が高いことで有名です。

また、中心に据える動画コンテンツの配信サイトとして見れば、Youtubeはもちろんのこと、Netflix、Amazon、Huluなどの多数ユーザとオリジナルコンテンツを抱えるサービスはたくさんあります。となると差別化要因は独自コンテンツになりますが、コンテンツ制作に60億ドル投資するNetflixに対して、ベライゾンは2億ドル程度とまだまだ控えめなところ。利用者が多くなるほど広告ビジネスは旨みが出てくるので、いかにシェアを獲得するか打ち手を考える必要があります。

市場

同じく再掲になりますが、市場は停滞しています。もうスマホ所持者は100%を超えており、ネットワーク普及率やエリアカバー率も90%超え、米国内に新しいパイはありません。それでいて国内インフラ事業なので、他産業のように成長を海外に求めることも出来ません。

(出典:ITU)

一方で、デジタル広告市場については、見通しの明るいデータが数多くあります。

PwC、年次調査 「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2016-2020」を発表

世界のエンタテイメント&メディア業界の消費者支出と広告収入は、今後5年間で年平均成長率4.4%の成長を示し、2015年の1兆7,200億米ドルから2020年には2兆1,400億米ドルに達する見込みです。

出典:PwC年次調査

ヤフー買収の最有力候補 ベライゾンが狙うデジタル広告の覇権

アメリカでは来年にはデジタル広告がテレビCMを追い抜くと見られているためだ。プライスウォーターハウス(PwC)が6月8日に発表した年次調査「グローバル・エンタテインメント&メディアアウトルック」によると、広告収入において今後最も期待できるのはモバイル広告だ。

2015年には207億ドル(約2兆2,000億円)でインターネット広告の総売上の34.7%を占めていたモバイル広告は、2020年までには49.4%にまで伸びると見られている。

出典:Forbes JAPAN ビジネス

リスク要素

現行キャリア市場の飽和

既に飽和気味のキャリア事業は、キャッシュを稼ぐという意味では非常に安定したビジネスに変わりありませんし、1.1億人以上の契約者を有するベライゾンが潰れることはないでしょう。

ただ、差別化がなくなり価格競争がさらに激化すると、利益を圧迫してキャッシュが枯渇し、次の事業へ投資が難しくなります。

デジタル広告ビジネスの成否

今のところ強者の戦略(フォロワーの真似をして市場を奪う)を進めているように見えますが、そのままではGoogleやFacebookから市場を奪うことは難しいでしょう。

デジタル広告が社運を賭けた投資ですので、成長軌道に乗せられるか否かが一番注目すべきポイントです。

ベライゾン(VZ)の財務分析

PL

微妙に上昇傾向ではあるんですが、ほぼ横ばいの売上高と、微妙に上がったり下がったりの営業利益。

ただ、直近の決算では前年比マイナス成長になっており、加入者伸び率の鈍化、価格競争激化による収益圧迫が見て取れます。

AT&Tと同じく、多額の設備投資が圧迫し、効率性指標は基本的に低いです。AT&Tと比較すると、ややベライゾンの方が悪く見えるでしょうか。

ただまあ、二桁台の営業利益率をずっと維持しているところから、まだしばらく安全圏という感じがしますけども。

BS

現状維持のための設備投資が膨大で、固定資産が非常に大きいことが特徴。流動資産1割:固定資産9割。自己資本比率が10%切ってるからこれもAT&Tより悪いですね。

年々悪化してますが、資本を食い潰しながら新規事業に投資している状況ですか。

CF

さすがのインフラ事業でキャッシュは非常に安定しています。一方でやっぱり投資CF割合が大きく、営業CFの5割以上を吸い上げてしまいます。

その他の指標

配当はいいペースで上がってきていますが、配当性向を見ると結構無理して捻出している感が出ています。利回り4.5%はそれだけで魅力がありますけどね。

ベライゾン(VZ)のチャート分析

とりあえずリアルタイムチャートリンク置いておきます。

ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

やっぱりAT&Tみたく動きのないチャートですが、上限下限の幅はベライゾンの方がやや広いです。

上限:72ドル、下限:25ドルですが、直近二回頭叩いている55ドル付近が壁ですね。ダウ銘柄ですが、ダウが2万突破したタイミングで55ドルの壁を超えられなかったのが痛い。

で、どこまで落ちたらリスクリワード釣り合うのかと言えば、このチャートの真ん中にある40ドル以下ですかね。13年からの下限壁を塗り替えることになるので、その頃は結構業績悪化しているでしょう(それでもたぶんキャッシュは稼げるので、配当込みで考えれば40ドルでも割安水準かな)。

今後の値動き予測

5年チャート

直近の3トップがキレイすぎませんか。

AT&Tと同じく、山叩いて高値更新できないままズルズル落ちてきています。明確な線ではないですが45ドルのラインが5~6回意識されているので、次の下落も45ドルまで行くと思います。そこ割ったら38ドルまでなにも抵抗帯がありません。

1年チャート

全体で見れば狭いレンジ圏内なんですが、トレンドラインがきれいに取れますね。

これが理想なんですよ。一つ目の抵抗帯と次の抵抗帯の間に邪魔するものがないので、ずっと往復してくれるんです。そうすると上限下限が意識されて、そこの間に止まるポイントができなくなります。

ベライゾン(VZ)の投資戦略

  • 通信事業は成熟しきった市場で、ベライゾンはデジタル広告ビジネスに進出しようとしている
  • 固定設備投資が大きく、常にCFを圧迫している
  • 配当を除く経営指標はあまり良くない
  • チャートは上限超えられず一旦45ドルくらいまで落ちそう
  • リスクリワード的には40ドル以下がいいかな

また、以下はAT&T同様です。

  • 寡占市場かつ生活に欠かせないインフラということで、とりあえずしばらくは安定だと思う(新しい通信デバイスとして車が出てきている)
  • 急激な変化というより徐々に悪くなるので、退避シナリオは外部市況も含めて検討すべき

回答

なんだかんだ言っても社会インフラなので潰れはしないと思います。最近の価格競争で利益率が減少傾向、大規模なM&A、高い配当性向から配当の落ち込みは懸念されますが、どこもかしこも高値で投資先が見当たらない今日このごろ(休むも相場なんですが)、40ドル以下で仕込めるなら良い投資だと思います。


AT&Tの記事も書いていますので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。

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AT&T(T)のファンダメンタル、チャート分析です。 連続増配33年、利回り5%という銘柄ですので、短期的なキャピタルゲイン狙...

これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス

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