【米国株】CVSヘルス(CVS Health:CVS)の銘柄分析

米国株

今回はCVSヘルス(CVS)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

実は最近までタバコ事業も持っていましたが、ヘルスケアのイメージを押し出すために売却しました。合わせて、CVSケアマークからCVSヘルスに名称変更しています。

アニュアルレポートから拾ってきた下の図で、CVSヘルスが巨大企業であるということが分かると思います。

(出典:CVSヘルス)

店舗が約10,000、23億の処方があって、9千万人のPBMメンバーがいる、米国最大級のドラッグストアチェーンであるとのことです。

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CVSヘルス(CVS)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

CVSヘルスの事業の特徴は、ドラッグストア事業(CVS Pharmacy)とPBM事業(後述)が両立していることです。元々ドラッグストア大手だったCVSは、2007年にPBM大手ケアマークを買収し、垂直統合に舵を切りました。

ヘルスケア領域のうち、顧客窓口であるドラッグストア、ドラッグストアに売っている薬品管理とそれに付随して薬品の納入に関わるPBM事業、ドラッグストアへの来場者を増やす簡易クリニックや専門クリニックの併設と、上流から下流まで垂直統合した事業モデルを持つ、総合ヘルスケア事業と言えるでしょう。

ただ、決算書ではその区分ではなく以下の単語で登場します。読み替えてみましょう。

  • Pharmacy Services:薬局及び薬局関連サービス。主にPBMによる収益となり、売上は全体の65%程度を占めます。
  • Retail/LTC(Long term care) Segment:簡易クリニックによる処方薬や一般的な医薬品、化粧品などの売上がここに含まれます。ミニッツクリニックを2006年に買収しまして、これが8000店舗くらいあります。割合としては残り35%です。
  • Corporate:法務やコンプライアンス部門など、収益と関わりのない部門っぽいですね。

一枚紙で比較した資料がなかったので二枚に分けますが、利益率に大きな違いがありますね。PBM事業はグロスマージン4.9%とほとんど儲かっていないのに対して、Retail事業は30%近くあります。ただ、PBMについては規模の経済が働くため、M&Aによるシェア拡大を優先していることもあるので、利益は後回しとして売上は拡大しています。

(出典:CVSヘルス)

(出典:CVSヘルス)

上は小売り&卸売、下はヘルスケアサービスということで、Pharmacyセクターが低利益率になっています。PBMも薄いマージンを得ていくビジネスですから、これは仕方ないことなのでしょうかね。PBM事業でマージンをつけず、医薬品販売として利益を確保するというなら、CVSにしか出来ない戦略ということになりますが……。

PBMは継続的な価格圧縮、Retailは薬価下落インフレでともにマージンが減っている状況で、直近の決算では期待収益を下回ってしまい、株価が下落しています。

PBM(Pharmacy Benefit Manager)とは

PBM(Pharmacy Benefit Manager)は和訳すれば薬剤給付管理で、第三者機関が処方箋の管理を行うことです。また、PBMは膨大な処方情報を元に製薬会社と薬価交渉を行い、薬局へ安価な医薬品を納入する卸売事業と見ることも出来ます。日本にはそうした名称の組織がないため、イメージしにくいですね。

うーんと、お客さんの処方箋情報をまとめて持っているということは、必要な医薬品をまとめて発注かけるということになりますよね(PBMは医薬品の給付と支払いの仕事を持っています)。

で、医薬品というのは似たような効果を持つものがいくつもありますよね。頭痛の時にバファリンとイブクイック、どっちにするかみたいな感じで。

複数の選択肢があれば、PBMは相見積もりを取るような感じで、両社から値引き交渉をはじめます。製薬会社がなぜ値引きに応じるかというと、選ばれた医薬品は推奨医薬品リスト(Formulary)として扱われることで、保険の適用が認可され、薬の売れ行きに大きく影響してくるからです。

現在、米国PBMは大手3社によってほぼ寡占市場を形成しています。バイイングパワーは物量が多いほど効果を発揮するため、当然の成り行きですね。

参考PBM(Pharmacy Benefit Manager)のビジネスモデルでジェネリック医薬品の普及が加速

CVSヘルスはドラッグストアも運営しているため、PBMとしての薬価交渉の果実を二度受けることが出来ます。

ドラッグストア(薬局)及び簡易クリニックの展開

薬局・コンビニエンスストア事業としても米国最大規模で、全体で9700店舗近くに登ります。小売業の中の売上ランクでウォルマートに次ぐ規模と言えば分かりやすいでしょうか。

一層の勢力拡大に向けて、15年に小売大手・ドラッグストア6位のターゲット(TGT)薬局部門を買収しました。これを含めて5年で2200店舗増設しています。

また、ドラッグストアへの入店を呼び込むために簡易クリニックを店舗内に併設しています(2006年にミニッツクリニックを買収)。日本のドラッグストアでも最近同じ取り組みが増えてきましたが、わざわざ病院に行くほどでもなく、ちょっとした診断や相談に足を運びやすいのです。

特に高齢者からすると、地元の薬局に街の看護師さんがいてくれるとありがたいですよね。病院のように高い費用もかかりませんし。2015年には長期介護施設向けのPBM大手オムニケアを買収し、高齢者向けサービスを充填させました。

加えて、がん等の高額治療向け専門クリニック(Specialty Pharmacy)も設置を進めています。競争が少なく利益率が高いため、今後のCVSの成長領域とされています。

競合

これもPBM事業と薬局事業で分けます。

PBM

上で見たように、PBMは3社寡占市場です。CVSヘルスは業界2位という立ち位置です。CVSのシェアは31%っぽいので、本当に3社くらいしかいませんね。

  • エクスプレス・スクリプツ(ESRX):米国首位のPBMで、1億人の処方データを有しています。
  • ユナイテッド・ヘルス(UNH):米国3位のPBMであり、米国の医療保険でも最大手です。オバマケアによって国民皆保険制度が導入されたことにより業績伸長していますが、トランプの対応次第ではひっくり返る可能性もあります。

ユナイテッド・ヘルスは別で記事にしようとしていますので、書き上がりましたら読んでもらえると嬉しいです。

ドラッグストア

ドラッグストアとしては、シェア2位の老舗ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が最大のライバルです。

ウォルグリーンズは店舗数13,200店で、うち米国内が6割程度です。現在、全米3位のドラッグストアチェーン店ライト・エイドの買収を進めていますが、こちらが約5000店を展開していますので、成立すればCVSヘルスを再度逆転することになっています。

ただ、ここ最近の両社の戦略は基本的に真逆になっていて、ウォルグリーンズはPBM事業を売却し、欧州最大のドラッグストアチェーン店のブーツ・アライアンスを買収することで海外進出を加速しています。

CVSが米国内に集中しプレゼンスを上げようとしている点と比較して、どちらが収益を上げやすいんでしょうね。ちょっとウォルグリーンズの分析がまだなので何とも言えませんが、米国事業のほうが利益率は高いイメージがあります。

市場

世界のヘルスケア市場については以前VHTの記事でもまとめました。対GDP比でもヘルスケアセクターは18%近く、かつ年々に成長しています。

米国も高齢者が増えており、薬局のお世話になる人もこれから増えるでしょう。(廃止されるかもしれませんが)オバマケアによる皆保険制度で低所得者層にも医療が開放されたことも市場拡大に繋がっています。

【VHT】ヘルスケア関連銘柄【製薬・バイオテクノロジー】

CVSのマーケットシェアはCVSのレポートにも載っていましたが、ヘルスケア業界の中でもまさにBtoCの先端にある企業です。利用者の母数が増えて市場拡大することが、そのままCVSの事業拡大に繋がります。

(出典:CVSヘルス)

リスク要素

利益率の低下

PBM、Retailともに利益率の低下に苦しんでいますが、これが構造的なものかどうかが問題です。難しい判断ですが、PBMはビジネスモデル的に低利益率は仕方なく、Retailは落ちているといってもグロスマージンは30%叩き出しています。。

また、今後の施策を見ていると、高付加価値のクリニックビジネスを拡大する見込みのため、改善しそうな気がしています。シナジー効果で一般向け医薬品も売っていければなお良いです。合わせてコスト削減として店舗設置見直しやSCM改善も進めて、利益率を改善してもらいたいものです。

トランプリスク

ヘルスケア全般はトランプに槍玉に挙げられており、好影響とは言えないでしょう。CVSヘルスに関して言えば、薬価改定による値下げは卸売マージンを失うことを意味するはずです。

ただ、CVSヘルスをはじめとしたPBMは薬価を下げることで多くの消費者に低コストで医薬品を提供出来るようにする機関であり、社会的な存在意義がある組織です。むしろトランプに好まれる組織ではないかと思います。最新決算プレゼンにもそんな感じの記述があります。

(出典:CVSヘルス)

PBM不要論に逆らえるか

ITによってメーカーと消費者が直接結びつくようになり、中間卸が立場を失っています。だって卸が入った分、彼らのマージンだけ高く販売されることになりますからね。PBMだってマージンを取るビジネスモデルですから、一見、彼らを除くとより安く医薬品が提供されるような気がします。

薬価交渉がトランプの一喝で出来れば、ですが。米国民間企業は逞しく、国を相手のロビー活動もお手の物ですので、PBMなしに交渉が上手くいくとは思えません。

一つ言えるのは、製薬会社からしたら値下げするには相当な理由が必要ということです。なぜなら新薬開発には数十~数百億もの開発費用をかけ、長ければ十年近い歳月をかけ、それでもパイプラインの中で開発成功するものは10に1つと言われています。そして開発した中で製品として売上が立つものはさらにその中から10に1つです。

高すぎる薬価とは、それら消えていった分の開発費用も含まれているわけです。薬価改定は民衆受けはいいかもしれませんが、将来の医薬品開発の競争力を奪うことになるので……バイオ株にも投資している身としては、それはやめてほしいなと思ったりするものです(最後関係ない)。

医薬品のネット販売

日本の場合、昔は第3種医薬品しかネット販売不可でしたが、4年前に法改正されて第1種~第3種医薬品まで基本的に全て販売可能になりました。これはアメリカでも同じ状況のようです。

参考11. アメリカ医療の基礎知識 (その3) – 医薬品について

差別化に向けては専門性の高いサービスを提供することが重要と思われます。となると、やっぱり鍵は簡易クリニックですね。

CVSヘルス(CVS)の財務分析

PL

売上が伸びていますが、利益成長は思ったほど奮いません。ちなみに、16年度の売上大幅増は合併によるものです。

小売業という区分で考えれば仕方ないことかもしれませんが……EPS成長もROEも自社株買いが下駄を履かせていると考えると、米国株としては決して高い水準とは言えません。

BS

バランスシートの中身は流動資産が現金、固定資産が土地建物になるかと思いきや、Goodwill(のれん)が半分近く占めていました。M&Aを繰り返しているからでしょうか。自社店舗に組み込み済みなので、減損はないと思います。

直近で自己資本比率が落ちていますが、長らく50%以上を維持しており、安全性には問題を感じません。

CF

キャッシュフローの伸びは非常に印象が良いです。投資は増えていませんので、売上&営業利益が伸びていくだけフリーキャッシュフローも伸びています。

株主還元指標

総還元性向は100%以上ながら配当性向は30%程度と余力があります。自社株買いは積極的で、70%を超えています。

直近配当利回り:2.18%

CVSヘルス(CVS)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

CVSヘルス(CVS)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

リーマンショック後の好調から一転して現在は大幅安の状況が続いています。そんなに下がるほど悪いニュースありましたかね……?

  • 最高値:113.58ドル(15年9月)
  • 最安値(リーマンショック後):23.19(08年)

どこまで落ちるか考えるのですが、とりあえずリーマン高値の45ドルあたりまでと見ています。となると中央値が75ドル付近となり、現在値でリスクリワードが釣り合うわけです。

今後の値動き予測

5年チャート

3トップつけて落ちていて、今の水準はそれなりに安くなってきてます。

1年チャート

この1年は下落トレンド継続。チャートだと75ドルの直近安値ラインは割ると思われるのですが、下がったら買い増しでOKで、ここで一回買ってもいいかな……。

CVSヘルス(CVS)の投資戦略

まとめです。

  • CVSヘルスは全米最大のドラッグストアチェーン、全米2位のPBMの、総合ヘルスケア企業である。
  • PBMとして安価に医薬品を仕入れてドラッグストアで販売する、垂直統合型のビジネスモデルを持っている。
  • ドラッグストア内に簡易クリニックを併設することで、顧客単価を上げつつ差別化を図っている。
  • チャートは下落傾向にあり、75ドル付近でもリスクリワードは釣り合いそうに見える。

回答

今後の高齢社会において重要度が増してくるドラッグストアチェーンの最大手で、事業が立ち行かなくなることはまず考えられません。CVSヘルスは競合と比較してもビジネスモデルの一貫性が取れていて、成長&安定に安心感を持ちました。

私は調べていてそういう印象を持ったのですが、株価はどうも売り込まれていますね。減益やらトランプやらの逆風は多いですが、17年も増収見込みですし、M&Aが多いことからCVSを成熟企業と捉えると上手くいかないのではと思います。

ハイプ・サイクルと事業ライフサイクルで解説したように、シェア拡大期に利益を追い求めると、「二兎追うものは一兎をも得ず」になりがちです。

事業ライフサイクルとハイプ・サイクルから、投資戦略について考える

ヘルスケアセクター全体が不調のため下落していますが、CVSはこれから客数が増える方向にしか進みませんので、どこかで反転すると思っています。個人的には買いだと思います。


ぶっちゃけ、今回の記事は特に読みにくいですよねw

CVSヘルスは投資家向けの情報が非常に豊富なので、まとめるのが逆に大変でした……^^;


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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