【米国株】インテル(intel:INTC)の銘柄分析

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今回はインテル(intel:INTC)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。17年は半導体も調子良さそうですよね。

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インテル(INTC)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

インテル入ってるとかいうCM、今も流れてますか? 私達が日常で使うパソコンのCPUシェアの8割を握っており、私の自作PCもインテルの「Core i5」で作っています。

PC出荷台数は年間2億5000万台で、そのうち2億台にインテルのチップが入っていると計算すると……チップ1つあたり平均単価が4000円として8000億円ですね。

参考世界PC出荷台数、16年は7.2%減の見通し、18年にはプラス成長へ

しかしながら、昨今はPC出荷台数が減少傾向にあることも事実で、インテルは大きな打撃を受けています。インテルの決算書を見てみましょう。

(出典:intel IR)

  • Client Computing Group(CCG):これがPCプロセッサ部門で、全体の5割を占めています。最新決算で販売台数は7%減少も、エントリーモデルの価格を上げて平均単価を7%上昇させたことで前年比プラス成長となりました。
  • Data Center Group(DCG):データセンター事業。売上だと3割弱ですが利益だと全体の5割を占める、今後の稼ぎ頭です。
  • その他、IoTや不揮発性メモリの事業グループはまだ1000億円以下の収益です。今後はこれらが事業の柱となっていく見込みですね。

また、地域別売上高を見ると米国で20%、海外で80%と海外比重が非常に高いことが分かります。

インテルのビジネスモデル

インテルの特色は、設計、製造・開発、販売までを全て一貫して自社で行う垂直統合モデルを採用していることです。以前当ブログでアマゾンの分析をしましたが、あそこも同じようなモデルを持っていますね。

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半導体業界ではこれを、IDM(Integrated Device Manufacturer)モデルと呼ぶそうです。

(出典:intel IR)

プロセスが全体最適化されて、ハード・ソフトの一貫性が取れ、高いパフォーマンスを出すことが出来る上、開発サイクルも早くなる……つまりは高性能なCPUが作れるということですね。

一方で、現在主流のビジネスモデルは水平分業かつファブレス経営型のモデルです。要するにIPコアの開発(半導体)、チップの設計(ファブレスメーカー)、チップの製造(ファウンダリ)という別会社にそれぞれの工程で分けていくモデルです。

ソフトバンクが買収して騒がせたARMは典型的なこのビジネスモデルで、彼らはIPコア設計を行い、それをライセンスという形態でパートナーに開放しています。また、同業界のライバル、クアルコム(Qualcomm)やエヌビディア(NVIDIA)も同様にIPは自社開発しますがチップ製造はファウンダリに委託しています。

例えるならOSからハードから全て自社で揃えるアップルのiphoneと、標準化してサードベンダーにハードを開発してもらってシェアを伸ばしたグーグルのAndroidの違いですね。

市場形成初期段階ではムーアの法則もあって「いかに高性能なCPUを作るか」に主眼がありました。新製品の出来次第で市場を全て取ることが出来たのです。しかしながら、今や技術が飽和した上にニーズが多様化(現在のトレンドはモバイル向けの低価格&小消費電力)し、他社と組み合わせて提案出来るARMのチップが優位に立っています。

ちなみに、ムーアの法則とは半導体チップ上のトランジスタ数は18カ月ごとに倍増していくという理論でしたが、事実上終焉を迎えました。

参考ムーアの法則、終焉

将来戦略

インテルは成長が見込めないPCプロセッサからデータセンター、IoT事業へと軸足を移してきています。下は決算プレゼン資料からの引用ですが、PCの飽和に対してデータセンター、不揮発性メモリ、IoTの拡大を目論んでいるようです。

……モバイルを捨てている(後述)のは内緒です。iphone初代のプロセッサを供給していればこんなことにはならなかったのにね。

(出典:intel IR)

インテルのお金の使い方からも読み取れますね。まず当面はデータセンター事業、さらにその先の2020年以降に向けてIoTといったところでしょうか。

(出典:intel IR)

インテルは売上の22%までをR&Dとして拠出、M&Aにも積極投資をしています。また、過去10年にわたり、株主にFCFの100%を超える還元をしています(40%が配当、60%が自社株買い)。

M&Aというと、最近は半導体業界全体でも再編が進んでおり、インテルは機械学習に強みを持った「Nervana」を買収しました。

これはエヌビディア(NVIDIA)のAI向けGPUへの対抗ですね。PCゲーマーならグラボGeforceシリーズでお馴染みのGPUですが、これはCPUより遥かに性能が高く、より高度な計算を要するAI向けにうってつけです。

参考Intel、機械学習を手掛けるNervanaを買収へ

半導体業界の再編は以下の記事でまとめられていますが、実に16件もの買収がありました。単に足し算してシェアを引き上げたいという思惑以外にも、それぞれの企業が持つ技術のシナジーがあると思いますので、あの小さなチップにそれだけ色々な設計が組まれているということですね。

参考2016年半導体業界再編を振り返る (1/6)

競合

競合他社は数多くありますが、それぞれ個別に記事を起こそうと思うので、ここでは簡単にします。

→クアルコム、エヌビディアの記事を書きました!

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現時点で半導体の売上高という観点から言うと、インテルは未だに世界トップ。ガートナーの発表によれば25年連続の1位だとか。というか7位の東芝……。

(出典:ガートナー)

PC市場が落ち、スマホ市場がだんだんとピークアウトしている現在、先程見たようなIoTやAI、自動車向けのプロセッサが次の主軸になると見られています。その巨大市場を掻っ攫った企業がこのランキングでトップを取ることは言うまでもないでしょう。

また、寡占市場を形成するデータセンター事業も盤石ではないようです。特に人工知能を活用し、ユーザ企業ごとにデータセンター最適化ソリューションが提案出来る、グーグルやIBMが割って入ってきています。ハードウェアベースのインテルもソフトウェア事業へ進出しなければ生き残れないでしょう。

市場

半導体市場はまだ成長する

2030年までの半導体市場予測では、NAND市場が8%、DRAM市場が3.7%、メモリ全体では6.0%成長すると推定されています。

参考2020年以降の半導体製造装置業界はどうなる? – SEAJが探る勝ち残り戦略とは

(出典:日本半導体製造装置協会)

電子機器を利用する人口割合の増加やIoTの普及により生成されるデジタルデータ量も急激に増加し、約52倍の440ZBになると予測される。 このため、大量に発生するデータ(ビッグデータ)とその保管、そして保管されたビッグデータの分析、解析による有効利用を支える半導体デバイスの中心として、SSDなどのメモリやFPGAなどのロジックICの需要は格段に高まることが予想される。

出典:日本半導体製造装置協会

また、同記事後半にはマネタイズ戦略として従来の売り切りモデルから課金モデル(クラウドサービス)への転換も挙げられています。まあクラウド導入のメリット一般論ですが、稼働率のピークに合わせたシステム設計は中小企業には負担が大きく、必要時に課金することで柔軟な構築が可能となれば、より多くの採用が広がります。そうした無数の中小がロングテールとして半導体市場を支えることになります。

車載用チップ

現在の半導体市場の内訳は、PCとスマホで半導体市場の6割を占めています。しかしこれらが成長鈍化することから、自動車向け市場が有望であると注目を浴びています。

実際、インテル、クアルコム、エヌビディア各社がそれぞれに動きがあります。以前見ましたが、米国ではスマホよりも車のほうが通信事業者の加入者数が多くなっており、既に市場として急浮上しつつある状況です。

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インテルももちろん投資を強化しています。BMWとの提携発表もあり、これからの動向に注目です。

(出典:intel IR)

ちなみに、現時点では自動車分野でもNXPを5兆円で買収したクアルコムや、AI向けに強いエヌビディアが先行しています。

リスク要素

主幹事業の衰退と新規ビジネス

PC用プロセッサでは圧倒的なワイドモートを築き上げており、いかにPC出荷台数が低迷してきたと言っても、今後もキャッシュの源泉となることに疑いはありません。WintelPCはビジネス向けに相変わらず欠かせないものですしね。

あとはPCプロセッサ以外の事業軸を作る上でのリスクをどう見積もるかです。どれも競争の激しい市場ですので、将来性には慎重な見極めが必要です。

海外売上比率が高いこと

国外売上高が全体の8割を占めているということで、まずは為替影響が大きくなります。

また、海外で稼いだお金は米国に送金しない限り課税されません(米国企業は実に2.4兆円の資産を海外に持っていると言われる)。

法人税率は35%ですが、現在トランプが海外送金分は一時的に10%にするという、所謂レパトリ減税策を本当に実行するのであれば、一気にお金が米国内に帰ってくることになります。その時の主なお金の使い道は「自社株買い」になるようです。急に現金が増えても投資先はありませんからね。

以下の記事が参考になります。

参考第112回 米国企業の海外利益課税の問題について

インテル(INTC)の財務分析

PL

売上、利益は横ばいであるものの、グロスマージンは63%と凄まじい収益率を誇ります。独占力ある製品を有している強みですね。

高い営業利益率、ROEです。若干下げつつありますが、まだ高い水準だと思います。

BS

自己資本が大きく財務は安定ですね。垂直統合型の宿命ですが、設備投資が負担になってバランスシート上に固定資産も大きくなります。

シーゲル先生的には(特に現状維持のための)設備投資が必要な事業は避けるべきで、マイナスではあるかもしれません。

CF

高い営業利益があるため、多額の設備投資やM&Aでお金を使ってもなお余剰キャッシュは十分です。

株主還元指標

成熟して投資家還元色が濃くなっています。上で見ましたが配当よりもやや自社株買いも多く、溢れたキャッシュを毎年きちんと還元する姿勢があります。

インテル(INTC)のチャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

インテル(INTC)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

ITバブルと崩壊後がよく見えるチャートで、2000年以降にインテル株を買って報われた人はまずいないでしょう。

  • 最高値:75.69ドル(2000年9月)
  • 最安値:12.06ドル(2009年11月)

12~38ドル付近の狭いレンジを15年かけて往復してきました。

今後の値動き予測

5年チャート

半導体市場が反転して大幅増になった14年に一気に上昇し、かつての上限38ドル付近にとどまったあと、典型的な売りサインとか言われるトリプルトップを形成し元に戻りました。

しかしながらトレンドラインに割りと忠実な形で反転したあと、現在は再度38ドルの壁を突破しようとしています。ここを突破すると実質天井がないんですよね。突破した場合は50ドルまで買い優勢で進むかと。

1年チャート

直近1年はかなり好調でした。38ドルは既に3~4回叩いているポイントですし、トレンドラインに沿って下値が切り上げられて徐々にパワーを溜めている状態なので、チャート的にはそろそろ突破しそうです(しかも今丁度トレンドラインにタッチしたところで、リスクリワード最大化ポイント。これがデイトレの5分足チャートとかだったら、私は突破する方に賭ける形です)。

インテル(INTC)の投資戦略

まとめましょうか。

  • PC用プロセッサでは圧倒的なワイドモートを築いたインテルだが、スマホではクアルコム&ARMの牙城を崩せなかった。
  • PC出荷台数減少に伴い、インテルは次の成長の柱を創ろうとしている。データセンター、IoT(車載用チップ含む)、不揮発性メモリなどがそれにあたる。
  • チャート的にはそろそろレンジ上限の38ドルを突破しそうに見える。

回答

IoT市場が新たに立つ中で、インテルのポジションはもう1~2年見ないと決まらないように思います(そして、その頃投資しようとしても遅いw)。

しかし、個人的な感想ではインテルの垂直統合モデルが今の半導体市場に合っているとは思えませんでした。

今後はクラウド環境もあってよりユーザの母体が大きくなることを考えると、今後のプロセッサに必要なのは、多様なニーズに1to1で対応出来る少量多品種モデルかなと。それに向いているのはARMの水平分業モデルなんじゃないでしょうか。

例えばアップルの垂直統合モデルが機能するのはそれら一連のブランド価値を提供出来るからであって、インテルのように機能そのものの優位性を謳った売り方をしていませんよね……と書いていて、機能性で勝負するにしても、CPU<GPUの状況でエヌビディアにどう対抗するのかという視点も必要だなと思いました。鍵はM&Aでしょうか。

ぶっちゃけインテルの将来を気にしなくても、このチャートだったら35ドルで買って49ドル利確22ドルor突破出来ないまま30ドル割ったら損切りで、1年以内に勝負つくと思います(まあそんな投資をやるなら小型株のほうが適しているわけですが)。色々な戦略が考えられると思いますね。

本業の関係上、ハイテク産業はわりと広範囲を見ているのですが、半導体はどうも微妙で、記事にミスがあったらごめんなさい。


実はインテルがARMのファウンダリになってチップ作ってたりとか、完全な垂直統合でもなくなってきているらしいことは、念のため付け加えておきます。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
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シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
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