【エネルギー株】ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell:RDSB)の銘柄分析

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今回はロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

一つ前にユニリーバの記事を書いたのですが、こちらも英蘭企業で米国市場でもADRとして購入可能となります。ロンドン市場とアムステルダム市場に上場していますが、配当源泉徴収の関係上、ロンドン市場のADRである【RDSB】のほうを購入しましょう。

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ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

石油銘柄はエクソン・モービル(XOM)とシェブロン(CVX)を既に書いているので、ほとんど同じです。リンク貼って省略が多発しますがご容赦ください。

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事業内訳

エクソン・モービルやシェブロン同様に石油メジャーの一社で、生産量はヨーロッパ内では最大の、石油メジャー内でもエクソン・モービルに次ぐ世界2位のエネルギー企業となります。

石油メジャーの定義通り、石油の探鉱(採掘)から販売までの全事業を垂直統合したビジネスモデルになります。同じ内容の図がHPにあります。

(出典:ロイヤル・ダッチ・シェル IR)

川上川下比率と確認埋蔵量

エネルギーセクターを見るポイントは以下2点でしたね。

  • 川上川下比率:原油の探鉱・開発・採掘までを川上、石油の精製・販売を川下と呼びます。利益率が良いのは川上のほうですが、川上は原油高で儲かり(販社に高く売れるから)、川下は原油安で儲かる(安く原油が仕入れられれば差益が大きくなるから)構造のため、川上川下比率によって企業がリスクをどれだけヘッジしているか確認出来ます。
  • 確認埋蔵量:回収可能性90%以上の油田です。新たに手に入れた油田と採掘した油田の比率で100%を超える=消費するより多くの油田を手に入れたとなり、将来の安全性を図ることが出来ます。

川上川下比率については、IR情報から算出するとほとんど川下の企業ですね。

川上15%、川下85%程度です(重複無視で)。エクソン・モービルが川上7割、シェブロンに至っては9割だったことを考えると、全く事業形態が違いますね。ロイヤル・ダッチ・シェルは原油安でもある程度儲かる構造になります(日本でもシェルマークのガソリンスタンドをよく見かけますので、意外でもないかな? って感じですかね)。

利益では大きく差が開いています。川上部門の稼ぐ力は物凄いですが不況時には油田減損でお荷物になってしまいます。

(出典:ロイヤル・ダッチ・シェル IR)

以下は原油価格推移で、やはり価格が高いと川上部門、低いと川下部門の利益が上昇します。といっても、足し算すると原油高のほうが合計値が高くなるので、川下比率が高いと言っても川上で稼ぐ石油メジャーなんですね。

(出典:ロイヤル・ダッチ・シェル IR)

確認埋蔵量については以下のページがあるのですが、100%を超えているかどうかは見当たりませんでした。四季報によると、埋蔵量は世界3位らしいです。

参考PROVED RESERVES AND PROVED UNDEVELOPED RESERVES

決算書

決算書の残りを見ておきましょう。

地域別の売上比率は以下の通り。欧州企業のため欧州比率が35%程度あるものの、アジア・オセアニア・アフリカも同様に35%あり、大きなマーケットシェアを保有しています。

(出典:ロイヤル・ダッチ・シェル IR)

また、16年2月には英天然ガス開発大手のBGグループを約700億ドル(!)で買収し、事業ポートフォリオを強化しています。もちろんですが、同セクターにおいて過去数十年でも最大規模の買収案件だそうです。これでも安いタイミングで買えたと思うんですけどね。

エネルギーセクターのお隣さんの関係にある天然ガス事業を補強することで、総合エネルギー企業としてポジションを高め、かつ統合によるコスト削減等シナジー効果も見込んでいます。このあたりの効果についてはみずほ銀行のレポートが大変分かりやすいです。

参考Shell による BG 買収

これ、15年の事業計画ですが、BG買収はまさに中期目標の「深海油田開発」と「天然ガス」領域強化のための一手です。

(出典:みずほ銀行)

エネルギー事業全体としてエクソン・モービルに肉薄、LNG事業は圧倒的な首位になります。

(出典:みずほ銀行)

最後に、2020年以降に向けて代替エネルギーにも着手しています。バイオ燃料や水素ネットワーク、風力、太陽光を合わせた総合エネルギーソリューションを展開する方針です。

(出典:ロイヤル・ダッチ・シェル IR)

投資のプライオリティとして「New Energies」がしっかり考慮されていることが確認できます。合わせて、中期目標だった天然ガス事業は、最新のTodayに「Integrated Gas」として載っていますね。

(出典:ロイヤル・ダッチ・シェル IR)

競合

エクソン・モービルで詳しく書きましたが、エネルギーセクターのプレイヤーは大きく3種類で、石油メジャー・OPEC・シェールガス(中小)です。これにプラスアルファとして代替エネルギーが加わってくるのが市場状況となります。

  • 同業者(エクソン・モービルやシェブロンなど)
  • OPEC、中東国
  • シェールガス
  • エネルギー(石炭や天然ガス)
  • 代替エネルギー(太陽光、風力など)

市場

原油については個別で記事を書いています。

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市場としてはほとんど横ばい成長の中、代替エネルギーをはじめとしたリスク要素が積み上がっていく構造になります。

リスク要素

エクソン・モービルの記事でかなり詳しく書いたつもりなので、抜粋して再掲します。

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  • 石油価格変動:長期的には上がっている傾向です。枯渇は警告されているほど喫緊の課題ではないようです。
  • 競合のエネルギー:石炭、天然ガス、シェールガス
  • 代替エネルギー(技術革新):潜在的な脅威であり、いつか石油がメジャーエネルギーの座を落ちる日が来るかもしれません。ロイヤル・ダッチ・シェルについて言えば、早くから代替エネルギーに進出していることがプラスに働くと思います。
  • エコ社会の浸透:社会が本格的に持続的発展へと舵取りするなら、代替エネルギーが政策として優先されることになります。

ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)の財務分析

PL

エクソン・モービルと同じく、原油安影響で最盛期から売上半減、利益もほとんどありません。とはいえ、好調時でも営業利益率は10%以下にとどまっていましたので、平均12%程度のエクソン・モービルやシェブロンより稼ぐ力はやや低いと評価します(川上比率が低いからだと思います)。

BS

事業が不調でも安定性指標は特筆すべきレベルです。油田開発の投資が大きくなるので流動比率は小さくなりますが、これは事業特性なので仕方ないと見るべきでしょう。

CF

フリーキャッシュフローがマイナスにブレたりして安定していません。投資抑制をしていますが、流石にこの市況ではお金に余力がなさそうです。

株主還元指標

連続増配は5年ですが、利回りは高く配当性向も概して50%程度と余地があります。

直近は業績悪くキャッシュフローもカツカツだったため数値が異常な結果になっていますが、原油価格がもう少し戻ったら安定した還元が出来るのではと思います。

直近配当利回り:3.41%

ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)のチャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

わりと安い件についてw

上下のラインはそれぞれ2度弾いているので非常にはっきりしています。

  • 最高値:88.13ドル(2014年)
  • 最安値:35.96ドル(2016年)

このレンジの中をウロウロしてくれているということです。見ての通り、エクソン・モービルに比べると川上比率が低めでちょっと収益力が弱かったり、投資家還元も米国企業に一歩劣るような印象はありますが、高利回りですしトップシェアで潰れそうではないので、60ドル手前なら十分リスクリワード釣り合います。

一応PERは22倍程度なので相応の評価はされているのですが、今は非常に業績が悪い段階でEPSも下落していますので、今後原油価格が乱高下する中でまた90ドルを目指すことは不思議じゃないです(そこで手放しちゃうと資産形成にならないですけども)。

今後の値動き予測

5年チャート

まだ頭を押さえられている形で、レンジを横断するような下落から半値も戻していません。

ちなみに、原油価格と同じ動きをしています。下のチャートが5年のWTI原油先物ですが、そっくりですよね。

(出典:楽天証券)

原油先物とロイヤル・ダッチ・シェルが投資先として異なるのは、配当の有無です。

金などの商品は全て金利を生まない現物商品なので、キャピタルゲインでしか儲けることが出来ません。一方のロイヤル・ダッチ・シェルは配当利回りが3.41%もあるので、何年も持っているうちに徐々に損益分岐点を切り上げてくれるインカムゲインの効果があります。

1年チャート

下値切り上げと上値の押さえつけは、どこかで爆発して上に飛ぶ鉄板パターンです。徐々に間隔が狭まっているので、そろそろ吹いてもおかしくないです。

ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)の投資戦略

まとめ。

  • 英天然ガス大手のBGを700億ドルで買収し、LNGで圧倒的トップシェア、石油を含めた総合エネルギー事業でもエクソン・モービルに肉薄。
  • 川下比率が8割超えているものの、全体としてはやはり川上で稼ぐ構造に変わりなく、原油高のほうが恩恵が大きい。
  • 原油安の影響は大きく、売上半減したり、フリーキャッシュフローがマイナスになったり、安定性には少し欠ける印象。
  • 今の株価が安めでリスクリワードが釣り合いそう。チャートとしてはそろそろ上に飛びそうな形に見える。

回答

IRが非常に読みやすく、投資家フレンドリーな印象を受けました。

エネルギービジネスということで様々なリスクがあるものの、それが原因でセクター全体がまだまだ過小評価されているのではと思っていますし、安いうちに仕込めればリスクも最小化出来ます。

あとは長期投資適格としてロイヤル・ダッチ・シェルがどうかというところです。

私はもし今後エネルギービジネス継続性に疑問が出てきた場合、ポートフォリオでどれを残すかと言えば、配当が安定しているエクソン・モービルを第一にすると思います。長期投資は配当再投資戦略が王道だからです。

ロイヤル・ダッチ・シェルは第二です。米国外企業でポートフォリオを補完することが出来ますし、事業としてもエクソン・モービルと異なる領域を持っているので、適格十分ではないかと思います。

長期投資は基本的にどれもホールド一択になるのですが、だからといって思考停止でホールドするだけでなく、万が一に備えた利確・損切りの出口シナリオは持っておきたいです。


インカムゲインを狙いつつ、こっちのルールで3~5年で利確する戦略も出来なくはないです。

ただ、こうしたテーマ系投資は本来時価総額の小さな企業向きの戦略で、せっかく安く仕込めた資産形成が可能な銘柄でやるべきではないと思います。

昔はこのあたりを理解せず大型株で安全性と収益性を両取りしようとか考えていたんですが、みずほを上がらないまま塩漬けにしちゃったり、VYMみたいに売らなければ良かったと後悔するような銘柄を手放したりと微妙な結果に終わりました。やっぱり投資戦略は一貫させないといけませんね。


調べてたら一つ問題があって、ADRには証券の発行管理費用なるものが別途かかるみたいなんですね。マネックスのHPに以下の記述があったのですが、SBIでも同じなんでしょうか(HPには記述なしでした)。

預託証券の発行管理に関する費用実費をご負担いただきます。
預託証券を発行する金融機関(預託銀行)から、一定期間毎に管理費用が徴収される場合があります。この管理費用について、お客様のADR保有残高に応じて、実費を外国株取引口座の米ドルのお預り金からお引落いたします。(不足する場合は、ご入金が必要となります。)
一般的に四半期~1年毎に1株あたり0.25~5セント程度の管理費用がかかります。

出典:マネックス証券 ADRとは

ロイヤル・ダッチ・シェルの場合で計算しても、最大で0.001%以下と大した金額じゃないんですが、長期でちりつもなのでちょっとイヤですね。ご参考まで。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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