【連続増配】スタンダード&プアーズ グローバル・レーティング(S&P Global Ratings:SPGI)の銘柄分析【米国株】

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今回はスタンダード&プアーズ(SPGI)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

企業名が長いので今後はS&Pと書きます。そうそう、S&P500などでお馴染みの格付け機関です。

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スタンダード&プアーズ(SPGI)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

格付け機関、3大格付け会社と呼ばれるうちの1社です。残りはムーディーズ(Moody’s)とフィッチレーティングス(Fitch Ratings Limited)になります。

債券とかにAa3とかBとかの評価がつくイメージくらいはあると思いますが、まずはビジネスモデルから把握してみましょう。

格付け機関のビジネスモデル

格付け機関のはじまりは1909年にジョン・ムーディーが鉄道会社債券に付けたものが最初と言われています。世界恐慌を経て第三者機関による評価の必要性が高まり、経済拡大とともに成長してきたビジネスです。

彼らが何を格付けしているのかというと、「信用」=返済能力をランク付けしたものです。

投資家は格付けによって投資先のリスクを把握し、投資先の選定を行います。銀行であれば融資の際にリスクプレミアム分をどれだけ上乗せするかの検討材料としています。

つまり、格付け機関はユーザーである投資家に対して、情報を売っているビジネスとなるはずです。

ですが、ここが妙なところですが、格付け機関のマネタイズモデルはあくまでも債券などを発行する「企業から」徴収するものになっています。歪な構造で、格付け機関に非常に有利な状況が伝わりますかね。

格付け機関で統一された指標があるからこそ、投資家の判断が楽になるわけです。そこのラインナップに乗っていないということは、投資を呼び込めないに等しいです。企業としてはお金を払ってでも格付けを「してもらう」必要があるわけですね。

ちなみに、この制度の歪みがリーマンショックを引き起こした原因でもあります。2000年に入って、格付け機関は投資銀行からお金をもらって証券化商品に格付けをするようになりました。本来信用リスクの高い(=返済能力の低い)サブプライム(低所得者)層のローンを証券化したものがサブプライムローンです。

これを評価する際の報酬が一律料金ではなく発行額に対する割合で支払われたため、高格付けを連発するインセンティブが働いたようです。そして格付け機関が太鼓判を押したサブプライムローンは証券化された上で世界中にばら撒かれ、世界中で発火したわけです。

今では第三者機関の監視もあるようですが、企業側としては格下げでもされようものなら債券金利が跳ね上がりますので、そこまではお金を払うインセンティブが働くはずです。どこまで透明性を確保したものなんでしょうね。

また、これとは別に投資家向けにアナリストの有料レポートの販売もあります。これは普通の証券会社と同じですね。

決算書

売上内訳は以下の通り。

(出典:スタンダード・アンド・プアーズ アニュアルレポート)

  • Subscription/Non-transaction revenue:全体の64%を占める主力事業です。Non-transactionは主に格付けの手数料、年会費、マーケットデータ利用料(ロイヤリティ)になります。「Surveillance:監視」とあるので、おそらくは依頼格付けでない方を差しているのかと。Subscriptionはデータ提供サービス等が該当します。
  • Asset linked fees:全体の7%程度を占めるビジネス。S&P500ベンチマーク指標条法の提供など。
  • Non-subscription/Transaction revenue:全体の30%弱を占める事業。Transctionは企業や政府の新規発行債券に対する評価、銀行融資評価などになります。こっちが依頼格付けじゃないかと思います。Non-subscriptionはたぶんコンサルティングだと思われます。

あるいは、具体的な事業で言えば以下の3つが主力です(セグメントレビューはこっちで書かれています)。

  • Ratings:これが信用格付けですね。規模としては25.35億ドルです。上述のように、Non-transactionとTransactionに大別されており、Non-transactionが54%です。
  • Market and Commodities intelligence:金融コンサルティングサービス、ファイナンシャルデータ提供ビジネスが該当します。規模としては25.85億ドルです。これもSubscription/Non-subscriptionに分かれますが、そのうち86%がSubscriptionです。
  • Indices(S&P Dow Jones):S&P500などのインデックスのベンチマーク指標情報を提供するビジネスで、規模は6.39億ドルです。Asset linked feesが大半を占めています。

また、米国の売上が全体の61%、海外が39%ですので、やはり世界中で利用されていることが分かります。

競合

ムーディーズの記事を書きましたので、合わせてどうぞ。

【米国株】ムーディーズ(Moody's:MCO)の銘柄分析
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3大格付け機関で世界債券格付けの95%を占めているようです。ローカルな格付けを除いて、ほぼ3社寡占市場ということですね。ムーディーズがトップシェアで40%近くあり、S&Pが続きます。

参考3大格付け会社、金融危機後も順風満帆―利益は過去最高水準に

大手3社は1929年大恐慌前からこうした情報を提供し続けており、過去データを重視する投資業界において実質的な参入障壁となっています。もはや経済インフラの一部となった格付け機関を潰すことは不可能ですし、他社の参入余地もなく、ロイヤリティを根拠に高い収益を見込むビジネスを展開出来ると、素晴らしい事業なのです。

(出典:富国生命)

全体で見ると、証券化格付けでボロ儲けはもう出来ませんが、コンサルティングサービス、データ提供が全体の3割を占めるまで成長してきています。

グローバル化への対応という点でも問題ありません。全世界スタンダードな格付けとローカライズされた格付け基準を持ち、世界中に根を張っています。

また、3社ごとの評価には若干のバラつきがあると言われています。なんでもS&Pが一番厳しめなんだとか。

ちなみにS&Pは最高が「AAA」表記、ムーディーズが「Aaa」表記です。日本のニュースで多いのはS&Pの方らしいです。

市場

何を書けばいいか難しいですが、債券市場はそろそろ折り返しではという声も大きいです。リーマンショック以降の銀行は国債ばっかり買ってきたため、債券利回りはどんどん低下していきました。

参考世界の債券市場、35年の強気相場終焉か? 日銀政策が転換点

リスクが増えるということは投資を控えることに繋がりますが、一方でリスク喚起する格付け機関の役割が重要になるとも言えます。

ちなみに私は自分のポートフォリオに債券を入れていません。債券は株と逆相関であること、イールドカーブの最適化に使えることで入れている投資家は多いと思いますが、ポートフォリオ理論が出た当時と状況が違うんじゃないかと。

国内債券、外国債券への投資を考える
株より安全で、預金より利回りが高い(逆なら夢の投資先)。そんな位置づけとなっている金融商品が債券です。 この記事ではポートフォリオを考...

今後金利上昇はほぼ見込めませんし、債券を無リスク資産と考えられません。リスク/無リスク資産のバランス調整は現金で行うので、債券を組み入れる必要性を感じないということになります。

リスク要素

信頼性の低下

サブプライムローン問題からのリーマンショックで世界的な金融危機を引き起こした原因のひとつとして、格付け機関の信頼性は大幅に低下しました。

お金の流れとして中立性に疑問がある点は拭えません。だってお金をもらってその会社を調査するわけですからね。

でも結局業界特有の参入障壁というか、既に社会にとってなくてはならない装置産業化していることを踏まえると、引き続き利用せざるを得ないでしょう。こういうポジショニングに優れたビジネスは安全性が高く、好みではあります。

訴訟リスク

既にある程度決着したのでしょうか。15年にキャッシュフローが大幅減少していますが、多額の罰金を支払ったためです。

参考Standard & Poor’s: サブプライムローン格付けに関わる不正行為で13億7500万ドルの罰金

高金利

格付け機関のビジネスとしては低金利のほうが良いと思います。高金利だとお金を借りにくくなる→投資を渋る動きになるので。

ロボアドバイザー(AI)

格付け機関は過去から統一された基準で投資先のリスクを図ることが出来るという点で必要不可欠のビジネスでした。

とはいえ調査はアナリストの手で行われるもの。将来そこをAIが代替する可能性はあると思われます。

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モーニングスターの参入

ムーディーズ調べてたらあったので追加。確かに対抗出来る金融機関はモーニングスターくらいかと。

参考米モーニングスター、社債格付け参入 大手3社に対抗

スタンダード&プアーズ(SPGI)の財務分析

PL

サブプライムローンからリーマンショックを引き起こした張本人ということもあって売上は半減しました。信用という意味でも地に落ちたのがわかりますね。

しかしながらゾンビのように復活してリーマンショック前水準までやってきています。しかも利益率は倍以上に成長しています。直近に限れば60%近いですよ。

BS

安全性低いですね~ムーディーズに至っては債務超過のバランスシートですよ。銀行なら分かるのですが、格付け機関がこんな低くなるのはなぜでしょうか……。

記載が見当たらないのですが、リーマンショックの賠償金関連??

CF

格付け機関なので固定費はほとんどなにもありませんので、営業キャッシュフローとFCFがぴったり平行に動いています。

リスク項目で見たように、16年に大幅減少したのは例のサブプライムローン問題の和解金です。

株主還元指標

地味に44年もの連続増配銘柄なんです。

米国株25年以上連続増配銘柄・有望15株(コメントつき)
下の記事で米国の50年以上連続増配株と、日本の連続増配株を見てみました。 見てきたように、連続増配企業...

利回り低いですけど、配当性向も低い状態で余力あります。ビジネスモデルの安定性と寡占市場を背景に今後も増配が続くんじゃないかと思います。

直近配当利回り:1.05%

スタンダード&プアーズ(SPGI)のチャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

スタンダード&プアーズ(SPGI)-Yahoo!ファイナンス

出来高、結構少ないんですね。

過去の最高値、最安値

金融セクターは例えばディフェンシブ銘柄よりリーマンショック影響が大きく復帰にも時間がかかったものの、今の右肩上がり成長は他の米国株と同じ動きです。

  • 最高値:139.45ドル(現在)
  • 最安値(リーマンショック後):14.72ドル(2009年)

今後の値動き予測

5年チャート

直近5年間では15年が躓いた以外順調に伸びています。リーマンショック後最安値からほぼ10倍ですし、相当プレミアムついていると思っています。

1年チャート

130ドル近辺の壁を突破したので、たぶん150ドルの節目まで止まらないんじゃないかと。

スタンダード&プアーズ(SPGI)の投資戦略

まとめ。

  • 世界3大格付け機関(ムーディーズ、スタンダード&プアーズ、フィッチ)で世界の95%を占め、圧倒的な寡占市場を形成している。
  • 社会インフラ化したビジネスモデルが非常に強く、過去のデータが重要視される投資情報ビジネスにおいて代替される可能性がない。
  • リーマンショック後は信頼性が低下、訴訟対応などがあったものの、売上、利益ともに右肩上がりで上昇してきている。
  • 地味に44年連続増配銘柄でもあるが、株価高騰し利回りは1%しかない。

回答

安かったら絶対仕込む銘柄でした。

こういうビジネスモデルの勝者は安心して投資出来ます。リーマンショックもみんなそろそろ忘れてきた頃でしょうし(笑)、当面競争はありませんから。

どうでもいい話ですが、私が数年前に読んだ本に、米国の学生に人気なのは投資銀行やコンサルで、こうした「地味」な仕事は不人気で給料も高くないと書いてあった記憶があります。

変化が少ないというのは投資において必ずしもマイナスにはならないことを私達はよく知っています。特に高い市場シェアを誇る会社にとっては。

合わせてムーディーズの記事も読んでもらえると嬉しいです!

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これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
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ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
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