テンバガー(大化け株)の特徴をまとめておく

投資理論

10倍株(テンバガー)は投資家なら誰もが狙いたいと思う銘柄です。まあ狙って当たるもんじゃないですが、特徴をまとめてみました。

17年のリライト記事なので、結構前のデータも残しています。

動画も作ったので、これで見てもらうと分かりやすいと思います。

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まずは過去のテンバガーを並べてみる

約10倍になったという株の数はそれぞれこんな感じです。年々減っている感じがします。

  • 2019年:2銘柄
  • 2018年:5銘柄
  • 2017年:9銘柄
  • 2016年:13銘柄
  • 2015年:20銘柄
  • 2014年:10銘柄

日本の上場企業は3500社くらいなので、絶好調の年でも0.3%というほぼ不可能に近いヒット率だと認識してください。

一応、「単年の」テンバガーとしての数字ですが。

2019年のテンバガー

名称コード市場安値高値年初来安値から上昇率テーマ
レアジョブ6096マザーズ217312514.4低位株
ホープ6195マザーズ9001140012.6低位株
REVOLUTION8894東2884
※終値56
10.5低位株

19年はテンバガー2銘柄しかありませんでした。

調べていると、終値ベースでは未達もその日のうちにテンバガー達成したREVOLUTIONという不動産株があったので追記。

低位株の傾向が強いですが、2銘柄で明確な傾向は出しにくいですね。

景気サイクルの終盤に差し掛かっており、全体的な株価高騰と過熱感で大幅な上昇がなかなかない一年でした。

日経平均は一年を通して好調で、セクター別で精密機器や電子機器の上昇が目立ちました。

参考【特集】2019年【株式市況早わかり】大納会29年ぶり高値、米中対立翻弄も米株高が後押し <年末特別企画>

2018年のテンバガー

名称コード市場安値高値年初来安値から上昇率テーマ
エムティジェネックス9820JQ19214595023.9不動産
ALBERT3906マザーズ12001673013.9AI
オウケイウェイヴ3808名古屋600806013.4低位株
地域新聞社2164JQ431500011.6低位株
エクストリーム6033マザーズ611629010.3低位株

18年はアベノミクス相場で初の株価マイナス年だったこともあり(まあ12月の暴落のせいで、それまではかなり好調だったのですが)、ちょっと少なくなりました。

東証一部、二部からエントリーはなく、すべて新興市場から上昇しています。

2017年のテンバガー

名称コード市場安値高値年初来安値から上昇率テーマ
サイバーステップ3810東2373798021.3ゲーム
ペッパーフードサービス3053東1583823014.1飲食店
アイケイ2722JQ499688013.7化粧品
リミックスポイント3825東2144182012.6ビットコイン
北の達人コーポレーション2930札幌124152112.2低位株
五洋インテックス7519JQ102124012.1低位株
夢展望3185東マ221250011.3RIZAP
ASJ2351東マ336370011.0低位株
大興電子通信8023東2180184310.2低位株

見事に低位株に偏っています。安値はすべて600円以下。

インテリア専門商社に、建設機械用ボルトの会社、ただの弱小IT会社に機械マニュアルを作ってる会社。テーマにかすりもしない銘柄が並びました。

ライザップがテーマ株化していたので、その関連株が上位にいるのと、賑わっていた仮想通貨関連株と電池関連株がちらほら見かけました。

2016年のテンバガー

銘柄コード時価総額成長率年初来安値年初来高値値上がり(倍)テーマ
ブランジスタ617634.911301585014.03ゲーム
雑貨屋ブルドッグ19.6低位株
さくらインターネット377815.626521107.96フィンテック
ドーン230314.848843808.98ドローン
アキュセラ・インク13.5バイオ
平田機工625813.2138286306.24有機EL
MRT603411.759257809.76ヘルスケア
ジースリー364710.8322066.44低位株
アスコット326410.6125132010.56不動産
タツモ626610.433013884.21有機EL
ジグソー39149.83765239206.35IoT
イグニス36899.62058126806.16ゲーム
グリーンペプタイド9.5バイオ

16年は個人的にはテーマ株の年だったかなと思っています。

さくらインターネットを中心としたフィンテック、そーせいグループを中心としたバイオの吹き上がりが異常で、全話題を掻っ攫っていた記憶があります。

2015年のテンバガー

15年は20銘柄のテンバガーがあり、スマホゲームの年でしたね。ガーラ、アクロディア、アクセルマークなど、スマホゲームやらない私でも会社名に記憶があります。

次に多いのが自動運転系。確かこの頃からZMP上場関連株って噂になってましたっけ。

また14年は画像処理が目立ってますが、この年もテーマより低位株寄りだったかもしれません。

テンバガーのセクター傾向

後半にテンバガーの特徴をまとめますが、低位株や特定テーマの期待先行の上昇という形が多く、実益が伴っているわけではありません。テーマ株らしいと言えばそうですが、狙って当てるのは難しい感じがします。

セクター分類ではIT、不動産、バイオの三強で、人材派遣やベンチャーキャピタルも入ってきます。

数としてはとにかくITセクターが強いのですが、細かく見ると~17年までスマホゲームやWebサービス系が多く、そこからAIやビットコインなどの次世代テクノロジーに注目が移っています。

とはいえそれらも遊び尽くされたと思うので、今買ってもテンバガーは期待できないでしょう。

最近はDXやニューノーマルを実現するIT技術でしょうか、いずれにしても日本的なSIビジネスはほとんどありません。

より長期のテンバガー

一方で、こんなデータもあります。かなり実践的なデータが多いので、読んでおいたほうがいいと思います。

参考日本株の5つに1つが10倍高 実はリーマン以降に達成

参考調査が示す10倍株の特色 7割は時価総額50億円未満

日経特集のタイトル通りなのですが、2008年のリーマンショック以降、12年間に日本株の5つに1つが10倍に成長したというデータです。意外と多いですよね。

日経平均株価自体がリーマンショック後の最安値から3倍以上になっているので、割合としてはそのくらいなのかもしれませんが……。

なお、20倍以上は338銘柄、50倍は93銘柄、100倍以上は33銘柄となっていて、倍率が高くなるほど聞いたことない銘柄が多いです。

銘柄コード上昇倍率テーマ
朝日インテック7747303バイオ
日創プロニティ3440296太陽光
UTグループ2146289人材派遣
そーせいグループ4565287バイオ
日本商業開発3252270不動産
北の達人コーポレーション2930257健康
Jトラスト8508253金融
ジーエヌアイグループ2160234バイオ
ガンホー3765216スマホゲーム
エスプール2471204人材派遣

またもう一つ気になるデータは、最安値から最高値への期間が平均で約7.3年であったということ。

アベノミクス相場という恩恵もあったと思いますが、先程までの単年テンバガーとは違い、売上・利益が伸びている銘柄を長く保有する必要があるということです。

17年11月の分析ネタ

テンバガーの中の一握りは、さらに上昇して投資家に多額のキャピタルゲインを還元しました。今や日本有数の会社ばかりです。

(出典:会社四季報)

過去の上昇率上位で見れば、ファーストリテイリングは1998年の安値から現在まで持っていると約235倍に膨れ上がっています。

同じように、ヤフーは144倍、ニトリが92倍、ゼンショーは60倍でした。

5年間に絞ると、リミックスポイントが強力でした。

(出典:株の窓口)

かつてはガンホー・オンライン・エンターテイメントが20円→1633円と80倍を達成したり、そーせいグループが91円→26180円と287倍を達成したりしました。

セクター、テーマ分け

上の46種類をセクターで分けてみましょう。

会社名テーマ小区分
リミックスポイントIT仮想通貨
ディップ人材人材
マルマエ電機有機EL
ディー・ディー・エスITセキュリティ
日本ライフラインヘルスケア医療機器
夢の街創造委員会ITサービス
平田機工電機有機EL
ミクシィITゲーム
フューチャーベンチャーキャピタル金融VC
ローツェ電機半導体
ペッパーフードサービス飲食飲食
アドテックプラズマテクノロジー製造その他
アイサンテクノロジーIT自動運転
福井コンピュータITソフトウェア
シノケングループ不動産不動産
インフォマートITフィンテック
内外テックITIoT
アウトソーシング人材人材
サイバーステップITゲーム
ベクトルITサービス
タツモ電機有機EL
クリエイト・レストランツ飲食飲食
ベンチャーリヴァイタライズ金融VC
ガンホー・オンライン・エンターテイメントITゲーム
アルバック電機有機EL
トリケミカル研究所電機半導体
パピレスIT電子書籍
モルフォIT画像処理
ベネフィット・ワン人材サービス
イー・ガーディアンITAI
テクマトリックスITセキュリティ
日本エスコン不動産不動産
ディア・ライフ人材人材
山一電機電機電機
薬王堂小売薬局
シーティーエスITサービス
Nutsサービスコンテンツ
アドバンテッジリスクマネジメント人材サービス
FPG金融金融
エスプール人材サービス
リンクアンドモチベーション人材サービス
Lifull不動産サービス
ブイ・テクノロジー製造電池
日本M&Aセンター金融VC
アスカネット製造ディスプレイ
アルデプロ不動産不動産

セクター別ではやはりITが一番強い結果になりました。切り取った期間的にゲームやバイオは消えちゃってますが。

  • IT:16
  • 人材:7
  • 不動産:4
  • 金融:4

記事によってはITとサービス業に分けているケースもありますが、やはりITセクターを中心に、成長力の高い新興企業が並んでいることを覚えておきましょう。

テンバガーになる銘柄の特徴

時価総額300億円以下

時価総額が小さいというのは最重要ピースで、ほぼ例外がありません。基本的には300億円以下、理想としては50億円以下が望ましいようです。

時価総額10億円→100億円になるのと、100億円→1000億円になるのとでは難易度が桁違いですからね。

500円以下の低位株

17年は顕著でしたが、株価500円を下回っている銘柄が多数を占めています。

低位株は上昇余地が大きいため、短期的な変動で2倍3倍を達成しやすいのですね。

チャートで見ると低迷している時期が長く、以下の3パターンである日突然吹き上がるケースが多いように見えます。

  • 仕手筋による仕掛けである場合
  • 業績の上方修正等で好感を受けて出来高が増加していった場合
  • テーマ株として人気化した場合

上場して10年以内、設立間もない若い会社

創立100年を超える会社よりも、設立から10年以内の若い会社、上場から10年以内、創業社長=オーナーの会社が多いです。

業績が急成長している(特に売上)

好業績、好決算は低位株が注目を集める大きな要素の一つですが、ここはパターンわけが必要かなと思います。

  • 売上の伸び、シェア拡大(①):単年テンバガー株は期待先行で、このケースが多い
  • 売上+利益の伸び(②~③):複数年かけてテンバガーを達成する銘柄は、売上や利益が二桁増となるケースが多い

以下のハイプ・サイクルと事業ライフサイクルの①期待先行フェーズと②売上拡大重視時期に当たります。

ITテーマ株やバイオセクターは典型的な①の期待先行フェーズで、特にバイオなど赤字にも関わらず株価が暴騰することがあります。

複数年で達成するテンバガーは、実収益を伴って上げていくことがほとんどです。売上や利益の前年比二桁増加がサインになります。

②の成長期は基本的に利益よりシェア拡大優先なので、売上の伸びほど利益やキャッシュはついてきていないケースも多いです。

事業ライフサイクルとハイプ・サイクルから、投資戦略について考える

テーマセクターに属する

人気化しないことにはテンバガーになりません。人気化する上で、将来性が期待されるセクターやテーマを有していることが重要です。

実際、先ほど見たように、過去のテンバガーはセクター(テーマ)に明らかに偏りが見られます。

今後もテーマは変わっていくと思いますが、テーマ株というのは、主要銘柄の他に関連株も連れて上がっていくので、テーマ株として人気化するシナリオを描けるかが基準の一つになります。

テンバガー銘柄のイグジッド戦略

テンバガーを掴めたとして、どこまで持っておくべきなのでしょうか。

テンバガー銘柄が落ちるのは早い?

先ほどのハイプ・サイクル①で急騰した株や仕手筋に使われた銘柄は資金の逃げも早いので、あまり長期で保有出来るものではありません。

テーマ株でも中心銘柄以外は10倍行かないので、数日、出来高が急騰したタイミングで無理せず切り上げる方がいいでしょうね。

(出典:Yahoo!ファイナンス)

基本的には3~5年スパンで考えたい

テンバガー達成の平均年数が7.3年だったように、有望株を仕込んだら思った以上に長く持ち続ける必要があります。

特に②の売上拡大で業績が伴っているうちは、焦って利食いせず持ち続けるほうがプラスになることが多いです。

(出典:Yahoo!ファイナンス)

もちろん、その持ち続けることが難しいのも事実です。

シナリオが崩れないうちは……というのが正しい答えですが、人間心理は損失を恐れる傾向があり、うまくいきません。

【投資家の必須科目】プロスペクト理論だけは勉強しておこう!

プロスペクト理論の実践で説明しましたが、心理面での問題を克服するためには、機械的な利食い・損切り判断が有効です。

2~3倍狙いの投資

そして最後に記事の趣旨と反しますが、テンバガー狙わずに2倍3倍くらいを狙うのが良いと思います。市場平均の年平均リターンは7%弱なので、大幅にアウトパフォームするでしょう。

反転した底値で買うことも、暴騰する中で高値で売ることも困難ですが、間の動きを取るのはそれよりハードルが低くなります。

あとは時間(期間)や大きなイベントの手前で利食いするのもよい戦略です。例えば2020年は11月に米国大統領選挙がありますが、結果次第で株価動向が大きく変わると思います。


この条件を元に次のテンバガー候補を書いてくのは、またそのうち。

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