アマゾン・リスクの大きいビジネス領域とは【Amazon/Risk】

市況解説、投資小ネタ

Your margin is my opportunity.

――――ジェフ・ベゾス

ビジネスのデジタルサービス化という潮流は不可避であり、アマゾンが侵食するのはほぼすべてのビジネス領域です。

中でも、今後2~3年で危険なビジネス領域は以下3つじゃないかと思います。

  1. 医薬品
  2. 銀行
  3. 物流
スポンサーリンク
スポンサーリンク

これから(あるいは既に)攻められる領域

医薬品

医薬品については既に販売していますね。

日本でも最近インターネット上やコンビニでも第三種医薬品の販売が認められてきており、ドラッグストアチェーンの潜在的な脅威になっています。

医薬品は基本どこで買っても成分は変わりませんし、体調悪いなら家に持ってきてくれたほうが嬉しいですしね。

また、米国にはPBMという独特の制度があります。PBM=医薬品の卸売業者みたいなものです。

製薬会社とまとめて価格交渉し薬局に安価で売るというもので、CVSヘルスなどの記事で詳しく書いています。

【米国株】CVSヘルス(CVS Health:CVS)の銘柄分析

果たしてこの制度で本当に消費者利益が保たれているのか、ということです。少なくともPBM企業の儲け分だけは不利益を被っていますね。

ITは中間業者を排除する仕組みですから、将来有望なヘルスケア市場がアマゾンに荒らされる可能性は非常に高いです。

銀行

アマゾンには50万のマーケットプレイスがあり、彼らの営業成績を正確に把握しています。端的に言えば与信判断が出来るということです。

現代のWeb上ではあらゆるデータが取れるので、銀行員よりもずっと正確な判断が出来ると思われます。

成績の良いマーケットプレイスのオーナーにはお金を貸して事業を大きくしてもらうことができますね。アドバイザリー業も可能でしょう。

IT監視による融資判定というとコマツの建設機器が有名で、あれも稼働率の高い建機の所有者には資金を貸し出したり、返済が滞れば遠隔操作で停止させるといった処置が取れます。

今は金融業の規制があって実現していませんが、遠くない将来に銀行業に参入するのではと感じます。巨大な決済インフラもありますし。

ただでさえフィンテックでオワコンの金融機関は真っ青ですね。

物流

クラウド世界の頂点にあるAWSは、元々アマゾン内部で運営に使っていたサーバを外部に公開したというだけのサービスでした。

当時稼げないと言われていたクラウドサービスは、今やアマゾンの利益のうち4~5割を占めます。

同じ理屈で、将来は巨大な物流網を売り物にするはずです。

アマゾンは自社で倉庫を持って、物流網を持って配送しています。これは、自社内ですべてコントロールしたほうがより早く確実に届くので、消費者の利便性も上がると信じているからです。

アマゾンだけでリソースを消費しきれなくなったときに、サービス展開が始まるのではないかなあと。

その頃にはピッキングロボやらルート最適化やらが盛り込まれた無人の物流網ですよ。ハードウェアへの投資がある分、他のIT企業では真似できません。利益率もとんでもないことになりそうですね。

小売ビジネスは手遅れに

アマゾンは元々オンラインの本屋さんでした。競争に負けた全米2位書店のBorders(ボーダーズ)は2011年に破産、ちなみに日本でもここ10数年で半減しています。

そこから徐々にラインナップを拡大し、おもちゃや洋服、家電なんかも扱うようになりました。

すると米百貨店大手のJCペニーやシアーズ、ビデオレンタル屋のブロックバスター、おもちゃのトイザらスなど、全部破産しました。トイザらスは記事を書きました。

小売業の破産申請も記録的なペースだと報じられています。小売で生き残るならニッチ市場を制覇するしかありません。

しかし、送料のペイが難しい家具も、チルド配送が難しい生鮮食品も、アマゾンは取り扱いをはじめました。残る市場はどこでしょう?

  • コストコみたいなアミューズメント施設としてのショッピングモール
  • 従業員が売り物に詳しく、説明を聞くことに価値があるショップ(家具のホームデポなど)や、専門性の高い商品を扱うショップ
  • アマゾンの配達より早い(近い)街のコンビニ(?)など

アマゾンはマーケットプレイスを含め1億点ほどの商品を有すると試算されていますから、ここで買えないものはほとんどないのです。だからみんなアマゾンを使う。

アマゾンのビジネスはロングテールです。

(出典:東洋経済オンライン)

ITが既存ビジネスの枠組みを破壊するとよく言われますね。

破壊と言っても根底から変えるわけではなく、ITを活用してちょっとだけ仕組みを変える。とにかく便利で、そして劇的に安くする。これがアマゾンの特徴だと思うのです。

危険な領域ダッシュ

アマゾンは手広くやりすぎていますが、他にもリーチしようとしている分野がいくつかあります。

  1. 広告ビジネス(←音声検索)
  2. 食品、生活必需品(←プライベートブランド)

ちなみに、多角化に失敗してきた過去の企業とアマゾンが異なるのは、アマゾンに強固なプラットフォームがあることです。自前の土表の上で好き勝手やっているだけなので、大外れしにくいのです。

広告ビジネス(←音声検索)

アマゾンはAmazon Echo:音声検索を重視しています。そして音声検索が広まれば、広告ビジネスが消えます。やめてほしいですね……><

アマゾンダッシュというサービスもあります。あれ、ボタンが500円で売り物がコーラとか電池とかの安物になってますが、中のチップは4,000円くらいするらしいですね。

数回買ったところで到底ペイできないので、最初からそこで儲けようと考えていないということです。

ホールフーズ買収と同じく、消費者への”ラストワンマイル”を獲得するために手を打っているということでしょうか。ほしいと思ったときに居合わせるって一番大事なことですよね。

アマゾン(Amazon)がホールフーズ(Whole Foods Market)買収!! 米国小売株の今後について詳細考察

また、なんと先日「あなたと同じものを買った人はこっちも買いました」的な協調フィルタリングのレコメンドエンジンを公開してしまいました。

参考アマゾン、自社で使ってきたAI機能をサービス化–レコメンドと時系列予測機能を提供

アマゾンから検索すると広告が表示されないので、Googleには脅威になります。

食品、生活必需品(←プライベートブランド)

さらに、アマゾンは自社プライベートブランドの商品を多数開発しています。そこまでブランド力の高くないナショナルブランドは取って代わられる可能性があります。

ちっちゃくて見えないかもですが、ソフトドリンク系はPB耐性が強いらしいです。コカ・コーラとか。

逆にミルクとかペーパーナプキンとかは弱い。なんだろうか。

あとは個社でシェアの強いところ。マコーミックとかの強力なナショナルブランドは今も株高で手が届きません。

余談

今回はデータ少なめ、文章多めで記事にしてみました。

日本にいるとイメージしにくいのですが、アメリカでのアマゾン侵食は相当進んできています。自分も今年アメリカに行って少しだけ垣間見てきました。

ことデジタル化という意味で、日本はアメリカの5年遅れで追いかけているイメージでして、日本で生き残っている書店やレンタルビデオ屋も、そろそろデッドラインじゃないかと。

ただ、郊外集積型の米国小売と違って、日本のコンビニやスーパーは歩いて行けるので、生活者の過疎化がない限りは生き残ると思われます。


関連記事です。

アマゾンの記事は大量に書いていますが、ホールフーズ買収記事は是非読んでください。アマゾンの戦略はいつも見応えがあります。

アマゾン(Amazon)がホールフーズ(Whole Foods Market)買収!! 米国小売株の今後について詳細考察

 

アマゾンの銘柄分析記事です。なるべく普遍的なデータを書いたつもりです。

【米国株】アマゾン(Amazon:AMZN)の銘柄分析

 

日本でアマゾンに最も近いのはソフトバンクかなあと思います。業種的には楽天ですが、やり口とかいろいろ。

【日本株】ソフトバンクグループ(9984)の超詳しい銘柄分析です【株価上昇中】
スポンサーリンク
スポンサーリンク
市況解説、投資小ネタ
フォローする

関連記事



このブログは和波の運営する雑記ブログです。
記事の質問やお仕事の相談など、お問い合わせフォームにてお気軽にご連絡ください。
和波の投資生活ブログ@米国株・ETF&テーマ株投資