【VWO】バンガードの新興国株式ETFを解説【EEM/eMAXIS Slim新興国株との比較も】

投資信託、ETF

新興国をポートフォリオに加えたいと思っている人は多いと思います。とはいえ市場の未整備や政治的リスク等の理由から、敷居が高いのも事実です。

そんな人にオススメなのがETFやインデックスファンドです。

日経平均のような形で特定の国全体へ投資することも可能ですし、今回ご紹介するように複数の新興国に一本で投資出来るものもあります。

手軽ながらリスクを抑られ、かつ高成長のうまみを十分に享受することが出来ます。

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“世界分散投資”は新興国へ投資できていない

バンガードのVTや、eMAXIS Slim全世界株式などなど。

これ一本で世界分散投資という投資信託は多いですが、基本的に時価総額比だと思ってください。

なので米国株が過半を占めます。中国を含めて新興国は10%程度になります。

ただし、GDP比で見れば米国経済は1/4以下でしかないわけです。逆に中国+インド+ブラジルで20%もあります。

それだけ株式市場では米国が強いことの証明とも言えます。

とはいえ経済成長という言葉を捉えるなら、むしろGDPのほうが感覚的には近いのではないかと思う人もいるでしょう。それも一理あると思います。

ポートフォリオの新興国比率を上げたいと感じる人は、個別に足せばよいわけですね。

新興国市場は宝の山

高い成長率

成熟した先進国に比べて高い成長率を誇る新興国市場は、高いリターンを期待できる格好の市場です。

(出典:IMF)

経済成長の要因は大きく分けて3つです。

  • (労働)人口増加
  • 資本投下
  • 技術進歩

とりわけ新興国であれば以下のようなポイントも気になる点ですね。

  • 人口が多く、なおかつ若い労働力を有すること
  • 中間層が拡大し、内需が大きくなっていくこと
  • 天然資源を領土内に持っていること
  • 主に製造業の伸長、製造拠点に

2050年には現在新興国と呼ばれている国のいくつかが、GDP上位に取って代わる見込みです。

例えば中国は2030年までに世界一の経済大国へ、インドは2050年までに世界二位の経済大国へ成長するという予測があります。

(出典:PwCレポート)

短期的には乱高下が激しくリスクも大きい市場、それでも長期的には成長余地が大きく、これ以上ない投資先になり得る……まさにETFのためにあるような市場です。

米国を上回るリターンを生む時期も

2005~2010年頃の新興国市場は、米国を上回るリターンを叩き出していました。

(出典:Dow Jones Weekly Newsleltter)

現代の構造として、先進国で溢れたマネーが次の投資先を求めて新興国へと向かうようになっています。

昨今の米国株高やコロナ対策での異次元量的緩和政策を考えると、次に上がる可能性が高い市場とも言えるわけです。

フロンティア市場への期待も

なお新興国の下にはフロンティア市場(MSCIの呼び方)としてさらに貧しいけれど人口の多い国々が控えています。これらの国もいずれは新興国カテゴリに入ってくるかもしれません。

こちらの3ページ参照です。

南米のアルゼンチンやアフリカのモロッコ、チュニジア、アジアではベトナムやパキスタンが入っています。

【VWO】バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFの基本情報

完全に常連さん、バンガードのETF。詳細は以下より。

参考バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF

  • ティッカー:VWO
  • ベンチマーク: FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ中国A株トランジション・インデックス
  • 基準価格:52.98ドル
  • 信託報酬:年率0.10%
  • 設定日: 2005/03/04
  • ETF純資産総額:8,663,941百万(米ドル)
  • 月間出来高:17,066万株
  • 構成株式銘柄数:5,222銘柄
  • 分配:四半期ごと(年平均利回りは2.5%程度)

組み入れ国名(上位10か国)は中国が4割超えてトップです。アジアが全体の7割を占めていて、かつ韓国がないことも特徴です。

構成国比率(%)
中国40.7
台湾18.3
インド11.8
ブラジル5.4
南アフリカ4.3
サウジアラビア3.3
ロシア2.7
タイ2.5
メキシコ2.1
マレーシア2.0

また、組み入れ銘柄上位は以下の通り。聞いたことある銘柄も多いですね。

構成銘柄上位比率(%)
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.6.2
Tencent Holdings Ltd.5.7
Alibaba Group Holding Ltd.4.9
Meituan1.7
Naspers Ltd.1.1
Reliance Industries Ltd.1.0
China Construction Bank Corp.0.8
Ping An Insurance Group Co. of China Ltd.0.8
JD.com Inc.0.8
Vale SA0.8

台湾のTSMC、ゲーム世界一&ウィーチャットペイのテンセント、世界最大の流通総額を誇るアリババなど。

記事更新前の4年前は中国の銀行などが数多くランクインしていましたが、全体的に少し順位を落としています。

全体で5,222銘柄、上位10社で23.8%の配分なので、上位はそこそこ比重高めです。組み入れ銘柄の業種としては金融、テクノロジーが多くなっています。

いくつかの銘柄について記事を書いているので、参考まで。

【中国株】テンセント(騰訊控股/Tencent:HKG00700)の銘柄分析
【中国最大】アリババ・グループ(阿里巴巴集団/Alibaba:BABA)の銘柄分析

【EEM】iシェアーズ MSCI エマージング・マーケットETFの基本情報

続いてブラックロック社の運営するiシェアーズシリーズ。若干の違いがあります。

参考iシェアーズ MSCI エマージング・マーケットETF

  • ティッカー:EEM
  • ベンチマーク: MSCIエマージング・マーケット・インデックス
  • 基準価格:53.98ドル
  • 信託報酬:年率0.68%
  • 設定日: 2003/04/07
  • ETF純資産総額:3,439,446百万(米ドル)
  • 月間出来高:74,155万株
  • 構成株式銘柄数:1,248銘柄
  • 分配:年2回(直近分配利回りは1.89%程度)

値動きはほとんど同じくらい、でも信託報酬がやや高め。銘柄数がVWOと比べれば少なめ(これでも十分多いですが)

組み入れ国名(上位10か国)は見ての通り、3番手が韓国というところが大きな違いですが、その他の違いは少ないのではないかと。4年前と比べて中国インドが伸びて、ブラジルメキシコは落ちましたね。

構成銘柄上位比率(%)
TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING6.15
TENCENT HOLDINGS LTD5.24
SAMSUNG ELECTRONICS LTD4.02
ALIBABA GROUP HOLDING LTD3.88
MEITUAN1.45
NASPERS LIMITED N LTD1.12
CIA VALE DO RIO DOCE SH0.99
RELIANCE INDUSTRIES LTD0.97
CHINA CONSTRUCTION BANK CORP H0.93
ALIBABA GROUP HOLDING ADR REPRESEN0.88

保有銘柄もサムスン電子以外はそう大差ないです。

上位10社で全体の25%近くとそれなりの規模を占めている点、業種上位に金融とテクノロジーが多い点はVWOと同じですね。

構成国比率(%)
中国37.45
台湾13.75
韓国13.07
インド9.96
ブラジル5.00
南アフリカ3.82
ロシア3.26
サウジアラビア2.79
メキシコ1.76
タイ1.67

【VWO】【EEM】比較

構成国、銘柄、値動き

どれもアジア市場が大きいです。また、チャートではほとんど同じ動きをしています。差になるのは韓国の有無くらいでしょうか。ただこれは結構大きいと思っています。

というのもですね、先進国株ETF(VEAなど)と新興国ETFを1:1で持った時に、韓国の比率が高くなりすぎる気がするんですよね。

韓国は成長が一巡しており、成長余地は少ないです。また、中国経済の影響が大きく、せっかく複数国に分散投資している意味合いが薄くなってしまいます。

コスト

コスト:VWO(0.10%)>>>EEM(0.68%)ですね。

長く持てば持つほどコストは響いてきますので、一番差が出ている部分かなと。

出来高、総資産=信用

出来高:VWO>EEM

正直このレベルになると出来高の差は関係ないです。

インデックスファンドとの比較

言い方がいろいろあるのですが、インデックスファンド=eMAXIS Slimとかの投資信託ことだと思ってください。

新興国投資におけるインデックスファンドとETFの違い

新興国投資を考えたときにポイントとなる、インデックスファンドとETFの違いは以下の通りです。

コスト

インデックスファンドは若干信託報酬が高いものの初期投資は無料(ノーロード)です。ETFは初期投資(購入費用)が発生する反面、信託報酬は格安のものが多いです。

新興国のインデックスファンドは以前は高コストと言われていましたが、かなり下がりましたね。

米国株の購入手数料も劇的に下がったとはいえ、コスト面でのETFの強みはほぼなくなったと言えます。

細かいことを挙げるなら、ETFは約定価格差分だけ得をするケースがあります。これはETFが株式同様リアルタイムで取引出来ることに対して、インデックスファンドはその日の取引価格が固定される関係で、市場価格と差が出るためです(ブラインド方式)。

逆に分配金なしのインデックスファンドであれば、分配金に対する課税が繰り延べ出来ますので、税制上有利になります。利確時まで課税が先延ばしになる点はプラスです。

ただこれもちゃんと計算すると、思ったほどの差にはならないことがわかります(もともとの信託報酬の差を覆すには、数十年かかる計算)

再投資

自動で再投資出来るインデックスファンドはもちろん、米国株も定期買いつけサービスが出てきているので、あまり差はないですね。

唯一、分配金再投資のDRIP制度がない部分はETFのマイナスです。

なおちょうどこの記事更新しているときに、マネックス証券で配当再投資&定期買いつけサービスを開始する予定とプレスリリースありました。

参考米国株定期買付(配当金再投資・毎月買付)サービスを開始

要するに

運用期間当面のコスト優位のETFを取るか、再投資の自動化で手間いらずのインデックスファンドを取るか、という違いです。

好みの差だったり、世界大手ファンドの運営母体という安心感をどう考えるかかなと。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの基本情報

数ある新興国系インデックス投信の中で、一番人気のファンドはおそらくeMAXIS Slim新興国株式だと思われます。人気ランキング上位を独占している、当ブログでもイチオシのシリーズですね。

【投資信託】eMAXIS Slimシリーズはオススメのインデックスファンド!
  • eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
  • ベンチマーク:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
  • 基準価格:13,469円
  • 信託報酬:年率0.187%
  • 設定日:2017/07/31
  • ETF純資産総額:372.8億(円)
  • 決算:年1回(分配金なし)

韓国があるのでVWOとは少し違いますが、そこを除けば構成国や主な上位銘柄はEEMと大差ないです。

純資産総額は右肩上がりで人気が伺えます。分配金なしで課税繰り延べも考えると、かなり良さげです。

ちなみに、新興国インデックスファンドは他にも以下のようなものが出ています。これ以外は高いのが多いかな。

最近だとSBI・VシリーズというバンガードとSBIのタッグを組んだファンドも出始めているので、ラインナップはこれから増えるかもしれません。

  • EXE-i新興国株式ファンド:信託報酬0.1105%
  • 楽天・新興国株式インデックス・ファンド:信託報酬0.232%

VWOを購入するにあたって

ということで、VWOを含めた新興国投資についての記事でした。

ETFであれば手軽に高いリターンを期待できる上に破綻リスクも小さくなります。

私はポートフォリオの一部に新興国株を入れておくことをおすすめしますので、興味を持たれた方は是非検討してみてください。

チャート分析

もう一度チャートを見てみましょう。

先に伝えておくと、この手の投資はポートフォリオに加えることに意味があるのであって、タイミングを図った投資はおすすめしません。あくまでも目安感です。

そんなに大きな値幅で動いているわけではなく、上下レンジで小幅な値動きです。上限は60ドル、下がっても20ドルは割りそうにないように見えます。

長らく40ドルを中心として、30ドル台はお買い得、45ドルで折り返しの壁というのが何年も続いていました。

直近は上抜けてしまっていますが、またこのラインに戻ってきそうな気はします。

おすすめの証券会社

米国ETFに興味を持たれたら、早速口座開設していきましょう。ひとまず以下のいずれかの証券会社で海外口座を開いておけば間違いないと思います。

SBI証券

日本一の口座数を持つネット証券で、米国株も多数取り扱っています。米ドル振替のスプレッドが縮小されて最安なこと、サイトが使いやすいことが良い点です。





楽天証券

SBIと並んで楽天も大手ネット証券で、ほぼSBIと互角です。どちらを選ぶかは好みですが、普段楽天ポイントを使う場合は楽天証券の方が色々お得になるのもGoodですね。


動画再掲です。

 

当ブログでは他のオススメETFも紹介しています。気になる方は以下の記事からどうぞ。

【結論記事】ETF、インデックスファンド記事まとめ

 

今回対象外だった先進国(特に米国)についてはこちらでご紹介していますので、合わせてポートフォリオをお考えいただければ幸いです。

【VTI】バンガード・トータル・ストック・マーケットETFは超おすすめの米国ETF!

 

以下のリンクから直接飛ぶことも可能です。

銘柄名
(リンク先は分析記事)
ティッカー
VTI(米国全株式市場)VTI
VYM/HDV/VIG(米国高配当セクター)VYM/HDV/VIG
VWO/EEM(新興国セクター)VWO/EEM
VDC/XLP(米国生活必需品セクター)VDC/XLP
VHT(米国ヘルスケアセクター)VHT
VBR/VBK(米国小型株)VBR/VBK
VEA/VGK(米国外株式市場:先進国・欧州)VEA/VGK
VT/VEU(全世界株式市場)VT/VEU
VSS/VXUS(米国外株式市場:小型株)VSS/VXUS
日経平均/TOPIX/JPX4001346/1348
S&P500/ダウ工業株30種VOO/DIA
パワーシェアーズQQQQQQ
PFF(米国優先株式)PFF
1570/1357(日経レバレッジ/ダブルインバース)1570/1357
GLD/IAU(金)GLD/IAU
1699/USO(原油)1699/USO
SLV/DBA/DBC/VDE(その他のコモディティ・エネルギー)SLV/DBA/DBC/VDE
REIT(不動産投資信託)-
インデックスファンドまとめ-
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