多くの人が生涯継続投資対象とすべき米国市場の有力指数は2種類あります。言うまでもなく、
- ダウ工業株30種平均
- S&P500
ですね。
どちらを買ってもいいんですが、データ的にはダウ優位、和波的にはS&P500でもいいかなという結論です。
分散効果は20銘柄くらいでほぼマーケットリスクに近似するとはいえ、S&Pのほうがメジャーなのと、ダウの30種類はやはり少ない感じという心理的な問題です。
大枠については以下の記事で解説しています。
今回はこれの補足記事になります。
目次(クリックで飛びます)
どんな基準で選定されているか
ちょっと前の記事で書ききれていなかったのが選定基準の話です。
ダウ工業株30種
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)編集者やダウ・ジョーンズ・インデックスの運用者などが協議して選定しています。
明確に定められた選定条件はありませんが、以下のポイントで選んでいるよう。時代を反映した銘柄が登場してきます。
- 米国にあり世界を代表する大型株であり、投資家に広く知られた企業であること
- 継続して事業が成長していること
- 単純平均指数のため、株価が一定に収まっているもの
- 輸送関連銘柄、及び電力、ガス等の公共関連銘柄はそれぞれ別の指数が存在するため、工業30種から除外
結構重要だと思うのが、株価を単純に平均した算出方法が制約になっている点。
構成銘柄に14ドルのGEがあるのに、例えば1000ドルのGOOGLを足してしまうとダウ指数が極端に上がってしまうので、ハイテク系など株価が高騰している場合は採用出来ません。
米国を代表すると言いつつ、少しオールドエコノミーに偏りが生じます(アップルは1/5に株式分割したため採用されていますが)。
入れ替えは不定期に数少なく
銘柄入替は不定期で、元々が30種類しかないので一度に多くの入替は発生していません。以下は拾い物。
ダウは米国を代表する指数ですので、世界中で多数のパッシブファンドが存在しています。当然ながら、銘柄入れ替えが発生すると株価も大きく動くんですね。
いずれにせよ、たったの30社で米国を代表する銘柄群を選定しないといけませんから、本当に一握りの大型株だけが名を連ねることを許されるのです。
危ない銘柄もある
余談ですが……開始以来唯一の生き残りであるGEですが、直近でも大赤字を計上してましたし、選定条件的にはいよいよ陥落するかもしれませんね。
そうしたらまた売られて株価が下がってしまいます。
S&P500
スタンダード・アンド・プアーズ社(SPGI)が選定している、米国主要500社の指数です。
500社の中で選定しているので、ダウよりも細かい規定がされています。
また、ダウと違って時価総額計算なので、採用不採用の選定は難しくありません。
- 時価総額:時価総額が61億ドル以上あること。
- 流動性:評価日までの各半期における売買高が最低 25万株あること。
- 本拠地:米国企業であること。つまり、10-Kを提出していること、米国の売上が大きいこと(しかし、米国売上比率が50%を超えていなくてもよい)。
- 浮動株:最低 50%が浮動株であること。
- セクター分類:セクター間のバランスの維持
- 財務健全性:直近の四半期および直近の連続4四半期で利益が黒字であること。
- IPO:最低でも上場から12か月後になってから検討。
どうでしょうか。
そもそも世界一上場基準の厳しい米国市場で、しかも直近黒字の優良企業に絞ったものがS&P500というわけです。
良い投資先に継続投資出来れば、たとえ暴落があってもいつか報われるので、期待リターンがマイナスになることはないと思っています。
なるべく入れ替えはおさえる
逆に除外要件は以下のようになっていて、頻繁な入れ替えはしない方針ですが、状況を見て適宜入れ替えをしています。
- 吸収・合併もしくは大規模な再編
- 基準の一項目以上を著しく逸脱した企業
特に利益指標については、選定基準から外れてしまう銘柄が必ず出て来ますので、定期的に入れ替えが発生しています。
入れ替えは投資対象に相応しくない銘柄を切ってくれるというメリットもありますが、S&P500ならではのデメリットも。
世界一有名なせいで、銘柄入れ替えを発表するとすぐアクティブ投資家が群がって買いに走り、指数に組み込まれた日には高値掴みになっていた、というものです。
頻繁な入れ替えをするとコストも上がるし高値掴みするしでリターンが下がるので、こちらもあまり入れ替えは活発ではないです。
SPGIの格付けビジネスはそれ自体が優秀
ちなみにSPGIは事業者としても非常に優秀です。直近の営業利益率は60%というものですから。
格付けビジネスというのが安定して高収益なモデルだ、という分析記事を長々と書いているので良ければどうぞ。
ライバル社はムーディーズ(MCO)です。こちらも記事にしています。
リターンとしてはダウがほんの僅かに優位か
株価としては切り取った期間でダウが優位だったり、S&P500が優位だったりしますね。全期間で出すと、ほんの僅かにダウ優位です。
赤がダウ、緑がS&P500、青がVTIです。やっぱVTIもいいですね~(*´∀`*)
ダウがS&P500に互角以上というのは、目を見張るデータです。
ダウに採用されているのは大型で値動きも大きくない株が多く、そうした株は小型株にパフォーマンスで劣後しがちです。
感覚的にも、成長余地が少ない大型株の値動きは一定の範囲に収まるように思うでしょう。
しかし、そんな条件下でもしっかりと利益を上げられる企業を選び抜ければ、パフォーマンスは負けないということです。
大きな会社が長年利益を上げ続けているというのは企業努力の賜物で、そうした会社へ気軽に投資出来るというのも素晴らしいことです。
おまけ:NASDAQ
NASDAQ総合指数はNASDAQに上場する企業の時価総額平均で、NASDAQ100はその中の上位100社の平均になります。
ご覧の通り、NASDAQは現状ダウやS&P500に圧勝していますね。
最近の株高を牽引していたのがNASDAQのハイテク株なので、当然の帰結ではありますが。
オススメの証券会社
以下のいずれかの証券会社で口座を開いておけば間違いないです。
SBI証券はこちら。
マネックス証券はこちら。
ダウもS&P500も素晴らしい投資対象で、投資のハードルがぐっと下がります。
記事中に出てきたVTIや、VTIを継続買い付けしてくれる投資信託の楽天全米も良い投資対象です。後者はつみたてNISAでも筆頭候補。
ではでは。