VR(バーチャルリアリティ)についてまとめた 市場規模、大手各社の動き

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VRについて2つ記事を書きました。

VR(バーチャルリアリティ)についてまとめた 主要HMD比較
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VR(バーチャルリアリティ)についてまとめた VRサービスまとめ、今後の展望、オススメ体験スポット
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今回はVR市場について、投資価値という観点から見てみましょう。

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VRの市場動向、予測規模

現在の市場規模

直近のVR市場全体の動向を見てみましょう。

以下のグラフの通り、2010年からの5年で資金調達額は加速度的に上昇しています。とはいえ、流石にまだ小さい水準に留まっています。

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(出典:PONOPLAZA)

トップ3としては、Oculusが9,400万ドル、Matterportが5,600万ドル、Razerが5,000万ドルを調達しており、まだ実用前の技術としては破格の金額です。

VRをビジネス活用する前に知っておきたいVRの市場規模と今後の動向について

集めた資金の投入先内訳としては、デバイス・サービス別(上)と用途別(下)でそれぞれ見てみます。

やはりデバイス・サービスとしてはHMDですね。まあ各社今年のリリースに向けて多額を投資してきたのでこういう結果なんだと思います。その後にコンテンツ制作、カメラと続きますが、将来的にはコンテンツがトップに立つでしょう。

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(出典:PONOPLAZA)

そして用途としてはエンターテイメント(ゲーム)が圧倒的。産業への適用もいくつか考えられていますが、当面はゲームコンテンツの新たな形での提供がメインになりそうですね。

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(出典:PONOPLAZA)

今後の成長

Digi-Capital試算によると、2020年までにAR/VRの市場は1,500億ドル規模になると予測しています(AR1,200億ドル、VR300億ドル)。

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(出典:Digi-Capital)

ARがVRを大きく上回る理由は、前にも書いた通り、現実に合わせるARの方が活用シーンが多いこと、スマホの普及と親和性がより高いことが挙げられます。

以下はゴールドマン・サックスの予測(AR、VR)です。

普及台数は5,000万~3億台程度、また価格は他のデバイス同様これから下がっていきます。

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(出典:Goldman Sachs)

ハードウェア市場は、場合によってはTVを上回るかも?

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(出典:Goldman Sachs)

VRの最近の動向、大手の動き

Facebook

一番VRに積極的なのは間違いなくFacebookです。彼らはまだ試作品段階でしかなかったオキュラスリフトを20億ドルで買収し、VRへの注目を浴びました。

実際、Facebookが「F8」カンファレンスにて示した今後10年のロードマップには、確かにVRの文字があります。コンピュータの将来に対して楔を打ち込むという意味でも、数年先を見越した投資であることが伺えます。

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(出典:Facebook)

Facebookが披露した「今後10年のロードマップ」–AIやVR、通信インフラ整備に注力へ

「VRが重要である理由の1つは、われわれが新しいソーシャル体験に取り組んでいることだ。VRは最もソーシャルなプラットフォームになる可能性がある。われわれがこの世界を実現できたら、テレビのような、今日物理的なものと考えられているものの多くが1ドルで購入できるアプリのようなものになるだろう。それが実現するまではしばらくかかりそうだが」(Zuckerberg氏)

Google

これまでは簡易版のGoogle Cardboardを提供するのみに留まっていましたが、ついに本格参入する模様です。

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(出典:Google)

Googleは「Google I/O 2016」にて、より高品質なスマホVRを提供するプラットフォーム「Daydream」を発表しました。新OSの「Android N」にVR機能が拡張されることとなり、対応スマホは今年の秋以降に発売されます。

Googleお得意のプラットフォーム戦略で、各メーカーが参入可能になった他、Google自身でもVRヘッドセットを開発していることも明らかにしました。

GoogleのスマホVRプラットフォーム『Daydream』とは

映像やマップ、ストリートビュー等、既にリリースしている主力サービスとマッチしたVRサービスが展開されると思います。

ちなみにGoogleのARは「Tango」という名称で、9月発売のLenovo「Phab 2 Pro」に搭載される予定です。Googleは世界中の空間を3D化した地図の制作を目論んでいるようです。

Apple、Microsoft、Amazon

IT業界の巨人として毎度名前の上がるこれらの企業動向はどうなっているのでしょうか。

  • AppleはAR、VRデバイス製作チームがあると噂され、メガネ型HMDの特許を申請した模様
  • MicrosoftはHoloLens他AR、VRに積極参入見込みで、Oculusともパートナーシップを結んだと発表
  • AmazonはAmazonビデオ内でVR動画も見られるプラットフォーム開発中であることを明らかにしました

任天堂

バーチャルボーイで時代の先を行った任天堂は、未だ目立った発表がありません。むしろバーチャルボーイでの失敗からVR投資に消極的になっている印象があります。

新ハードと噂される「NX」で実装があるのでしょうか。

スマホメーカーが相次いでVR HMDに参入

「仮想現実スマホ」が急増! 伸び悩む市場の救世主となるか

既に参入しているHTC、Samsungに加え、上記の記事ではLG、TCLコミュニケーションも提供しようとしていることが書かれています。

理由としてはスマホの普及が進み、成長率が鈍化していることが背景にあります。実際、画面、操作性はそろそろ革新性のあるアイデアはなくなった感がありますよね。

スマホ装着型のVRを投入することにより、単純なVR機の展開だけでなく、スマホとのシナジー(活用シーンの拡大)を目論んでいます。

ビジネスモデルを考える

最初に、2020年の収益内訳を見てみましょう。

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(出典:Digi-Capital)

収益源としてはゲームコンテンツ、ハードウェア(HMD主流?)、カメラ・映像、テーマパーク、その他ニッチマーケットですね。

ゴールドマン・サックスだとちょっと違う予測をしているのが気になりますが……AR込としても、ヘルスケア大きくない?

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(出典:Goldman Sachs)

数字の試算

2020年のVR市場:300億ドルから内訳を使って試算してみましょう。

  • ゲームコンテンツ:120億ドル程度。企業は無数にあり、メジャータイトル次第ですね。スマホ向けの軽いコンテンツ(特にソーシャルVR)のほうが数は売れそうで、利益率は高くなりそうです。
  • ハードウェア:50億ドル程度。黎明期には多数のメーカーが参入しますが、結局プラットフォームとして3~4社程度に絞られるので、1社あたり数十億ドル。まあGoogleやSonyみたいな巨大企業であれば大した金額ではないですね(結構薄利で売っていると噂も聞きますし)。
  • カメラ・映像:30億ドル程度。現在既にYoutubeやFacebookで360度動画対応しており、無数の投稿がされると思われます(投稿から収益は上げられない)。映画やカメラ筐体だと少しニッチなのかなあという印象。
  • その他ニッチマーケット:数十億ドル程度。特化技術を持った企業が独占するため、狙い目になるのはここでしょうか。

プラットフォームの覇者

ハイエンド、ローエンドそれぞれで顧客ターゲットが異なるので、生存戦略も変わりそうですが、結局プラットフォームを制するのはコンテンツ次第でしょう。

今年で主要プラットフォームは出揃いますので、これから数年でサードパーティをどこまで囲えるかが勝負です。

プラットフォームの浸透とアプリの増加はニワトリと卵

今回のHMDはサービスではなくプラットフォームです。つまりスマホの成功とある程度同じように進むと思われます。

スマホの成功は多数の優良アプリコンテンツが数年かけて充実してきたことに依ります。また、スマホ自体が電話の代替として日常で使う価値を提供していましたので、浸透も相乗効果で早かったものです。

翻って、HMDはそこまでの汎用性はありません。あくまでVRはゲーム、エンタメに新しい体験という価値を提供するものです。コンテンツはこれからですが、ゲームの開発基盤ならUnityによる統一化が出来ており、参入は難しくなさそうです。早く良質なコンテンツでユーザを呼び込み、収益を確立しなければ一時的なブームで終わるでしょう。

その意味で、既にプラットフォームデバイスであるスマホが浸透しているARは、VRよりも有利です。うーん、ARの市場調査を先にやればよかった(でも結局ARもVRもMRに統合されていきますしね)。

プラットフォーム浸透の壁

  • 価格が高い:特にハイエンドは数十万必要なため、コアゲーマー向けのニッチ市場での獲得に留まりそうです。ローエンドのスマホ装着型がどこまで伸びるかというところです。
  • 可搬性:正しくは持ち運び出来る大きさだけど、外で使えない(傍から見てると怪しすぎて)という欠点ですね。
  • 体験価値:VRは映像から魅力を伝えることが難しく、一度目の体験へいかに引き込むかが鍵です(特に高価なハイエンド機では)。だからもっとあちこちで体験会を開いてくださいね。
  • 画質、パフォーマンス向上:既に人間が知覚出来る水準以下の描写遅延しか発生しないらしいですが、今後増えるであろうソーシャルVRでは一箇所に大勢の人が集まるため、パフォーマンス向上が必要になります。また、没入感を得るために画質の向上も欠かせません。

ゲーム市場:スマホと同じ成功法則は使えない

最近のゲーム市場における成功と言うと、スマホゲームが挙げられます。

しかし、スマホゲーで爆発的ヒットを産んだ「AngryBird」やソシャゲ「パズドラ」は空き時間にちょくちょくやれるという利点活かしたヒットであり、ヘッドマウントディスプレイを装着しなければならないVRにおいて、同様の成功は望めません。

VRにおいては腰を据えて遊ぶ、据え置き機向けのアプリケーションが主流になるのかなという感じがします。

VR:据え置き機、AR:スマホゲームという感じですね。どんなゲームがヒットするか、現時点では何とも言えません。個人的にはキャラクターと会話出来るゲームか、美しい仮想世界を飛び回れるゲームがいいですね。

エンターテイメント市場:映画、テーマパーク、映像、写真はヒットしそう

私個人として期待している旅行代替となるVR写真・映像や、それを拡張したテーマパーク等は面白そうだなと率直に思います。

映像だけならスマホ装着型によって安価に体験出来ますので、普及ハードルも低く、GoogleやAppleが自社OSにVRを取り込みつつある今、普及は時間の問題だと思います。

その他産業はニッチマーケットとして

医療、教育等の分野はニッチマーケットとして確立すると思います。技術によって独占的にマーケットを持っていくことが出来れば強いですね。

一応、一般的に言うと産業(特にeコマース系)の適用という意味ではARのほうが向いており、VRはコマーシャル・PR以外への活用は限定的ではないかなという印象です(HMDを持っていないとPRにならないこともありますし、費用対効果が割に合うかどうか)。

あと個人的にはアダルト分野ですね。性産業は強い。ビデオやDVD、果てはパソコンも、主流になった理由の一つに間違いなくあるはずです。

国の方針

私が大好きな国の方針については、経済産業省がコンテンツ市場の技術マップを公開してくれていました。

技術マップ2015(コンテンツ分野) 経済産業省

これまでのアニメ・ゲーム等コンテンツ市場は米国に次ぐ世界二位で、日本の強みでもあります(クールジャパンとして日本文化を発信しようという試み)。

AR、VRは今後のコンテンツ市場において、特に地域発信や東京オリンピック等、様々な場面で主役となり得る技術であり、国の強い関心が伺えます。

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(出典:経済産業省)

VR企業マップ

VRに関連した企業(主に米国)をマップにしたものを見つけました。

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(出典:medium.com)

こちらはもっと詳しい、米国のVR市場へ投資するファンドがまとめた企業マップです。

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(出典:The VR Fund)

長く見てきましたが、結局のところVRブームが一過性で終わるかどうかも分かりませんし、ARと比較しても成功モデルが今ひとつ描けない印象がありました。

そもそも上場していない企業のほうが多いくらいですし、投資対象としては「まだ早い」かなと。せめて一通りのHMDが出揃って、比較できるようになってからですね(私自身、一度体験してみないと)。

もし今すぐVR市場へ投資したいということであれば、こうした企業に投資しているベンチャーキャピタルに投資する、Facebook等の買収した企業へ投資することが考えられます。

……とか言いつつ、銘柄調べました。主に日本の銘柄です。

VR(バーチャルリアリティ)関連銘柄まとめ(コメントつき)
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