【米国株】コカ・コーラ(The Coca-Cola Company:KO)の銘柄分析【連続増配銘柄】

米国株

今回はコカ・コーラのファンダメンタル、チャート分析記事です。バフェット銘柄としてもお馴染みですね。

連続増配銘柄としてもご紹介しました。

【配当王】米国株50年以上連続増配銘柄一覧(コメントつき)【Dividend Kings】

動画も作ったので、聞き流ししたい人こちら。

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コカ・コーラ(KO)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

コカ・コーラの事業形態は、原液の供給と製品企画を行う本社(コカ・コーラ)と、製品の製造・販売を行うボトラー社に分かれています。

これをボトラー制度と呼び、要はフランチャイズ契約(というかフランチャイズの先駆け)です。

(出典:The Coca-Cola Company)

原液のみの配送に絞ることで、輸送コストカット=原価削減と大規模な現地生産現地消費による加速的な普及を促しました。

コカ・コーラの原価は炭酸水、原液(糖分、香料、着色料他)、ペットボトルでせいぜい20円程度と言われています。
おまけに製造する部分のコストはコカ・コーラにほぼかからないという、高い利益率も納得のビジネスモデルです。

 

日本には日本コカ・コーラ社があり、米国本社にロイヤリティを払っています。ここらの親子関係はヤフーとかと同じですね。

下は日本コカ・コーラのものですが、日米どちらも基本的な仕組みは一緒です。こっちのほうが日本語でわかりやすいかも。

(出典:日本コカ・コーラ株式会社)

 

18年までにボトラーの再フランチャイズによって本社に製造機能を持たなくなり、売上高は6割くらいに落ちています。

一方で利益はそのまま利益率20%と劇的に改善され、スリムな経営体質を作り上げました。

炭酸飲料以外の拡大

ノンアルコール分野で多数のメガヒットを出しています。日本だといろはす、爽健美茶、綾鷹なんかもコカ・コーラブランドですよね。

世界ブランドだとファンタとかスプライト他、20を超えるビリオンダラー・ブランド(年間売上高10億ドル以上)を有しています。コカ・コーラZeroやダイエットコークなどの健康志向に合わせた新製品投入もしています。

事業内訳としてはざっくり炭酸飲料系が全体の50%程度、その他にジュースやスポーツ飲料などのブランドが40%強あります。

そして、炭酸飲料はもちろんジュース、スポーツ飲料、コーヒー、紅茶の市場で世界トップシェアを握っています。

(出典:The Coca-Cola Company)

 

ちょっと見にくいですが、海外売上比率は6割超えてますかね。

(出典:The Coca-Cola Company)

 

ついでに販売量としては米国外で80%近くと、かなり海外比率が高くなっています。

(出典:The Coca-Cola Company)

マーケティングによる差別化=ブランド化

こうした差別化の難しい商品を売り出すために必要なのが広告宣伝、マーケティングです。

コカ・コーラっていかにもアメリカっぽい印象ありますよね。本当はちょっと変わった味のするただの炭酸水なんですが、世界中どこの自販機に行ってもコカ・コーラがないということは考えられません。

コカ・コーラはマーケティングに強みがあり、後発から入って市場を奪ってしまうビジネスを得意としています。

ペプシ・コーラ対抗でニューコークという長年守り続けてきたコーラの味を変えるというマーケティングの失敗もやらかしていたりしますが。

バフェットが好む消費者独占力は、広告宣伝によって確立したブランドがもたらすものです。

実際、近年はアップルやグーグル、アマゾンなどに抜かれていますが、2013年までの世界ブランドランキングではずっとトップでした。

競合

代表的なのはコーラを始めとした各種飲料水でペプシ・コーラ(PEP)、ドクターペッパー・スナップル・グループ (DPS)、飲料水でネスレ他多数の企業と競合しています。

ペプシ・コーラは傘下にある世界最大のスナックメーカー「フリトレー」が好調で、お菓子部門が強いです。

また、ここはかつて有していたヤム・ブランズ(ケンタッキーやピザハットのチェーン経営)をスピンオフしたりと、経営も非常に上手いです。

【米国株】ペプシコ(Pepsico:PEP)の銘柄分析【高配当】

飲料+食品だとコカ・コーラを上回り、ネスレに次ぐ世界2位になります。

ドクターペッパーも聞いたことあると思います。ドクペも根強い人気ありますし。売っているところが少ないですが、ずっと3番手をキープしています。

コーラの世界シェアを色分けすると下の図になります。アメリカ、日本、ヨーロッパはコカ・コーラで、インドや東南アジア、アフリカにペプシ・コーラというように分けれています。

もちろん世界首位はコカ・コーラで、世界2位がペプシ・コーラです。

ちょっと前のデータですが、炭酸飲料シェアをパーセント表示するとこんな感じです(アメリカ)。コカ・コーラが42%、ペプシ・コーラが27%でした。

(出典:Statista)

飲料水全体でシェア出したものは見つかりませんでした……。缶コーヒーで有名なスイスのネスレ、エナジードリンクのレッドブルあたりは有力な競合ですね。

ネスレはADRで買えるので、一つの選択肢としていいですね(NSRGY)。

市場

飲料水市場は生活必需品の一つですので、人口成長とともに底堅い推移をします。基本的には低成長のコモディティ業界であり、シェア上位企業は非常に安定した業績を誇ります。

→ムーディーズジャパンの飲料水業界レポート

そして、ノンアルコール飲料市場全体として世界的に成長市場といえます。

(出典:StatDB)

炭酸飲料市場、下がっていると思ったんですが意外とまだ伸びているようです。米国市場ではマイナス成長のようですが。

(出典:食品産業新聞)

いくつかの調査を見ましたが、無糖、コーヒー、お茶など市場拡大が続く傾向があるようです。→詳しめのレポート

また少し前のデータですが、ミネラルウォーター市場の伸びが大きく目立ちます。特に新興国での需要増加が顕著です。

(出典:BBT大学総研)

リスク要素

健康志向による炭酸飲料の売上減少

健康志向がトレンドになっていることから、炭酸飲料の将来性を不安視する人も多いのでは。

健康志向は先進国を中心に避けようがないと思いますが、見てきたように、コカ・コーラは炭酸飲料以外のブランドを強化しています。

また健康志向というと、行動経済学でタバコにおける選択の失敗が事例になります。

これは将来健康被害がある(大きな効用)と分かっていても、今いい思いをするほう(小さな効用)を選んでしまうという合理性の限定性が浮かび上がるものです。

このため、「タバコを吸うことは格好悪い」という即時的な効用を下げる施策が効果ありとされています。でもコーラにそんなマーケティングされませんよね。

今後もコーラのトップブランドであり続けるでしょうし、むしろこうして健康被害に懸念がされるたびにコカ・コーラの株価が下がり、利回りが上がり、買い増しがしやすくなります。

そうして過去どの銘柄よりもアウトパフォームしたのがアルトリアグループ(フィリップ・モリス)でした。

ジェレミー・シーゲル「株式投資の未来」を読む

健康志向による売上減少は懸念されるポイントではありますが、投資機会を呼び込むという点でプラスに働くこともあります。

コロナ影響について

コロナ影響で2Qは大幅な下落に苦しみました。スタジアムや娯楽施設の売上が全体の半分を占めるため、ロックダウンの影響が大きかったとのことです。

参考コカ・コーラ、販売数量が4月初め以降に25%減-新型コロナが影響

3Q決算では6%減少と市場予想よりは良かったため、引き続き影響は見られるものの株価は上昇しました。

自宅向けの堅調な推移やコカ・コーラ・ゼロシュガーなどが好調でした。

バフェット銘柄のリスク

コカ・コーラはバフェットが運営するバークシャー・ハサウェイが10%の大株主になっています。

世界一の投資家が永久保有銘柄として投資を続けているという事実がコカ・コーラの価値を保証している一方、直近では航空株の全売却で株価急落するなど、彼が手放したときの影響は計り知れないでしょう。

連続増配の継続性

コカ・コーラは57年連続増配銘柄の配当王で、それを評価して株価が維持されている側面があります。

健康志向の変化からコーラ販売数が減少することで、キャッシュが減少し、連続増配が出来なくなるリスク。

下で見ますが、配当性向は80%程度とやや上昇気味で、当面は問題ないと思いますが将来の懸念点にはなります。

ドル高の影響

国外売上高が大きいため、決算においてドル高の影響を大きく受けます。調達コストについてはフランチャイズ制度のおかげで為替影響は小さいです。

コカ・コーラ(KO)の財務分析

PL

12年度をピークに売上は減少しています。これはボトラーの再フランチャイズ化によるスリム化が原因であって、本社はスリム化してブランド開発に力を入れ、近年また成長率を高めています。

その証左として利益はほとんど下がっておらず、営業利益率20%はこの業界きっての高水準です。

BS

思ったより自己資本比率は低いなという印象。

ボトラー事業の再フランチャイズ化で、固定費は徐々に改善されていくかなと思います。

CF

キャッシュリッチな企業で、非常に安定したフローと、非常に少ない投資キャッシュフローが見えます。

新商品開発、マーケティングに使う以外に使い道はないので、多くの余剰キャッシュは投資家に還元します。

株主還元指標

57年連続増配銘柄ということでDPSは一律的な右肩上がりです。

配当性向はまだしばらく50%~60%でしたが、ここ最近はだいぶ上がってきてはいます。

配当とほぼ同額の自社株買い戻しを毎年行っており、総還元性向は100%を超えていました。キャッシュは当分困らない企業なので、しばらくは継続した増配が期待出来る企業だと思います。

コカ・コーラ(KO)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

コカ・コーラ(KO)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

長期でみると高値圏にはあるのですが、レンジはそんなに広くないですね。

11年~18年まで3ドルくらいずつ切り上げてジリジリ上がっていましたが、10年間概ね40~50ドルの間にハマっている状態。

コロナ影響が割と大きかったこともあり、2020年2~4月の振れ幅は大きいですが、それでも40ドルのサポートラインで差し止まって戻っています。

今後トレンドが変わるまでしばらく、安くとも40ドル以下にはならないかなあ。

  • 最高値:59.9ドル(20年)
  • 最安値:19ドル(03年)

2008年以降のリーマンショックでも過去の安値がサポートラインとして機能する底の堅さはさすがディフェンシブ銘柄という感じですね。

今後の値動き予測

5年チャート

コロナ影響を除くと、40~50ドルの狭いレンジをずっとウロウロして、ついに上にブレイクした形です。

業績も戻ってきたことで上抜けるチャートに見えますが、最近の株式市場はコロナ不況の実態を反映していないのでどこまで続くかですね。

1年チャート

同じくコロナ暴落後を見ると、下値が切り上がっていく上昇トレンドを描いています。暴落前高値の60ドルが壁になるでしょう。

競合との比較

ペプシコ(PEP)との比較。赤がペプシコ。

以下は10年のチャートですが、基本的にペプシコ優勢でしょうか。

ちなみにコカ・コーラをずっと持ってたら162倍+配当くらいになっています。

昔は0.2ドルとかですから、優良株を「そこそこ」の値段で買って、ずっと持っておくという戦略がいかに有効か分かります。

コカ・コーラ(KO)の投資戦略

まとめてみましょう。

  • ブランドランキング上位常連で、世界最大の炭酸飲料メーカー
  • 健康志向も踏まえて炭酸飲料市場のみならずジュースやスポーツ飲料など20を超えるビリオンダラー・ブランドを展開
  • ノンアルコール飲料市場は成長市場で、コカ・コーラのプレゼンスは多くのポジションでトップ
  • キャッシュリッチな企業で、57年連続増配銘柄
  • チャートはコロナ影響で暴落したあと、40~50ドルの狭いレンジを抜けたところ

回答

株価はやや割高という水準ですが、それだけ近年は経営をスリム化して成長率を維持してきたということでもあります。

これから米国市場がどうなるか次第ですが、途中書いたように、サポートライン40ドルは中々強い抵抗帯に見えます。

私はリスク管理で投資タイミングを絞るかどうか、個別株投資についての考え方は人それぞれですが、こうした永久保有銘柄は長い目で見ると買値の差は微々たるものですし、ポートフォリオに加えること自体に意味があるので、配当再投資を前提とするなら買いポイントに拘らず購入もいいかなと思います。


関連記事です。

同じく連続増配銘柄の配当王として、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も分析しています。

【米国株】ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson:JNJ)の銘柄分析【連続増配】

 

生活必需品セクターの大手、P&G(PG)の銘柄分析記事。

【米国株】プロクター・アンド・ギャンブル(P&G:PG)の銘柄分析【連続増配】

 

日本の連続増配銘柄もとっつきやすいかなと思います。

【高配当株】日本の連続増配株上位13銘柄まとめ(銘柄解説つき)

 

これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
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