【高配当株】日本の連続増配株上位13銘柄まとめ(銘柄解説つき)

テーマ株

どうも和波です。

今回は日本株で連続増配をしている銘柄上位をピックアップして解説してみようと思います(16年4月に書いた記事のリライトになります)。

米国の50年連続増配株(配当王)の記事も合わせてどうぞ。

【配当王】米国株50年以上連続増配銘柄一覧(コメントつき)【Dividend Kings】

動画も作りました。

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連続増配株に投資する理由

日本の連続増配株には、20年以上増配している会社が6社あります。

これがどれだけすごいことかという話ですが、直近20年を振り返っても、911にリーマンショック、東日本大震災やコロナショックと「100年に一度」というような出来事が多発してきました。

そのたびに市場は打撃を受けたわけですね。

(出典:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)

配当金というのは、利益がなければ出し続けられません。このような危機をものともせず株主還元を続けてきた会社こそ、一流の会社と言えるでしょう。

増配銘柄がすなわち投資対象として魅力的とはならないものの、優良企業の指標の一つとして、チェックすべき項目です。

高配当=高リターンの過去データ

シーゲル先生著書「株式投資 第4版」によれば、過去60年のデータで高配当株ほど高リターンであったことが明らかになっています。

S&P500を配当によって5グループに分けてパフォーマンスを調べたところ、きれいに配当の多いグループから順番にリターンが順位ついたと。

まあ、配当は収益が出ていないと出せませんから、当然優良株が揃いやすいというのもあります。

ただ、配当貴族とS&P500のパフォーマンスで比較しても前者が勝ったことは記憶しておいてよいでしょう。

このように、連続増配株には魅力がたくさんあります。

  • 財務が安定し、キャッシュを貯め込んでいる優良企業が多い
  • 配当を理由に価格の下支えがされ、値崩れしにくい
  • ダウの犬戦略に代表されるように、高配当銘柄の割安投資は勝ちにつながりやすい

これらによって長期保有がしやすく、資産形成に向いた銘柄ばかりです。

米国連続増配株に対する優位性

単純な増配歴で言えば、米国連続増配株(配当王、配当貴族)に軍配が上がります。

日本は20年以上増配が6社ですが、あちらは50年以上連続増配株が29社もあるのですから。

しかしながら、日本株を選択することは以下の点で明確な利点があります。

  • 配当控除によって配当にかかる課税額を大幅に下げることが出来る
  • 為替影響など気にせず安定した配当金を受け取ることが期待できる

上記2点とも、特に配当生活を考えているなら避けて通れないポイントです(詳細は別記事に譲ります)

iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF(HDV)購入@85.22USD(それと、配当控除のはなし)

こうした観点からも日本の連続増配株は検討する価値が十分にあると思っています。では、具体的な銘柄と解説をどうぞ。

日本の連続増配銘柄(2020年7月時点)

1位:花王(4452) 30年連続

日本の連続増配株における圧倒的トップは花王です。やはりというか、生活必需品セクターの強さが光ります。

花王(4452)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:42.4%
  • 利回り:1.64%

トイレタリー国内首位、化粧品国内2位。有名な日用品ブランドを多数保有しています。

  • スキンケアのビオレ
  • ヘアケアのメリット、エッセンシャル
  • コンパクト洗剤のアタック
  • 台所用漂白剤のハイターなどなど

生活必需品セクターは景気に左右されにくく、セクターとして市場平均にアウトパフォームしてきた過去データがあります。

直近4月の決算でも、花王はコロナショックで売上こそ2%程度下げましたが、漂⽩剤やキッチン洗浄剤など衛生製品が10%近い伸びを見せて、増益を達成しています。

消費増税もあって逆風ではありますが、配当性向の余力や業績見通しから言っても、まだまだ連続増配は続きそうです。

関連記事:P&Gの銘柄分析

【米国株】プロクター・アンド・ギャンブル(P&G:PG)の銘柄分析【連続増配】

2位:SPK(7466) 22年連続

自動車補修部品や産業車両部品(建機や農機など)を取り扱う商社です。

SPK(7466)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:23.3%
  • 利回り:2.81%

17年に創立100周年を迎えたSPKは、業績成長中の会社で、財務も安定しています(実質無借金経営で、自己資本比率は7割)。

海外売上比率は3割ちょっとなので、国内中心ですね。

21年3月決算予想では営業利益率-16%というのが気になりますが……コロナ影響で外出が減っているので、自動車関連事業には打撃が大きいと思われます。

3位:三菱UFJリース(8593) 21年連続

三菱UFJリースは三菱グループの財力を背景にして、高い信用格付けで他社を上回ります。金融方面に強いのが特徴。

三菱UFJリース(8593)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:31.5%
  • 利回り:5.01%

日本の連続増配株には、リース業界が複数ランクインしています。金融業界は景気敏感株で、米国ではリーマンショックで軒並み振り落とされていたので、正直そこまで信用はしていません。ごめんなさい。

リースとはレンタルみたいなものです。顧客が使用する資産をリース会社が購入し、長期間貸出して賃貸料を取ります。

なぜこんなことをするかというと、自社で資産を持たないことによる税制上の利点や設備投資抑制(バランスシートでの表記が変わる)といった理由です。

貸し倒れなどのリスクはありますが、ある程度は想定して引当金を計上しているので、よほどのことがなければ、まあ安定した事業ではあります(そういうのが来るからブラック・スワンなのですが)

3位:小林製薬(4967) 21年連続

「あったらいいな」でお馴染み小林製薬。

小林製薬(4967)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:29.9%
  • 利回り:0.82%

生活必需品セクター同様に、ヘルスケアセクターも過去市場平均をアウトパフォームしたセクターです。

チャートが絶好調ですが、業績はここ数年はほぼ横ばいです。とはいえ、10%を超える利益率は20年度決算でも維持される見込み。

アンメルツ、アイボンなど家庭用医薬品や、芳香消臭剤ブルーレットおくだけ(業界首位)など家庭向けに強みを発揮しています。

5位:リコーリース(8566) 20年連続

中堅リース会社。リコーの光学、OA製品のリースがメインです。

リコーリース(8566)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:23.5%
  • 利回り:3.20%

リコーが複写機やファクシミリ、レーザープリンターなどを製造販売しているので、それをリースで売るのがメインのビジネスですね。

コロナの影響でテレワークが進み、オフィス機器は売上が細っています。そのため、リコーリースも今年度は減収減益の見込みです。

配当性向に余力はありますが、三菱UFJリースと比べても利回りは控えめで、景気敏感株の金融業界ということもあってリスク・リターンがあまり良くないかなあと。

5位:USS(4732) 20年連続

USSは中古車のオークションで業界ダントツの首位です。

USSオートオークション、中古車買い取り専門店「ラビット」、廃車リサイクル事業など、中古車関連の事業を手がけています。

USS(4732)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:67%
  • 利回り:3.16%

オートオークションが全体の売上高の8割を占めます。売上はここ3年横ばい、利益は直近やや微減といったところ。

車は人生の四大支出のうちの一つと言われ、家庭の財政面でも重要性が高いです。中古車人気は高まっており、年々市場は拡大しています。

ニッチ市場のトップということで、利益率は40%超、ROEも二桁と素晴らしい業績です。自己資本比率が80%超えている点も、財務指標の優秀さを物語っていますね。

7位:トランコム(9058) 19年連続

名古屋に本拠地を持つ、物流センター事業のシステム屋ということで、あまり耳慣れない会社。

トランコム(9058)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:20.7%
  • 利回り:1.38%

物流センターの構築や運営として、在庫管理や輸送マッチングなど配送システムを主力事業としています。

年々業績は右肩上がりに伸びていて、見栄えは良いのですが……1600億円の売上に対して、利益は75億円です。

よくこれで連続増配出来ているなと思いますが、ニッチな市場で安定した事業を運営できている証とも言えるでしょう。

8位:ユニ・チャーム(8113) 18年連続

「ムーニー」「マミー・ポコ」「オヤスミマン」など紙おむつ首位、生理用品首位、ペット用品でもトップクラスのシェア。

ユニ・チャーム(8113)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:36.1%
  • 利回り:0.68%

紙おむつは子供用と大人用がありますが、子供用は海外(特にアジア市場)において急成長し、大人用は日本で高齢者向けの成長市場となっています。

将来有望な首位級の製品を複数持っている、優良企業と言えるでしょう。

紙おむつを含む不織布・吸収体のシェアは海外全体でも3位(9%)、アジアでは1位(25%)。タイやインドネシアなどでトップシェア、インドで2位など海外市場でも高いプレゼンスを発揮しています。

そして20年度も増収増益の見込みとなっています。利益率も10%を超え、ROEも二桁と文句ありません。

事業に魅力がありすぎるため、株価が高騰し利回りが低すぎるのが唯一の問題ですね……。

8位:リンナイ(5947) 18年連続

キッチンまわりのガス器具でトップシェア。

リンナイ(5947)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:23.4%
  • 利回り:1.23%

給湯器、ガスコンロ、空調機器など、キッチン周りの機器メーカーです。

日本の一般家庭でのエネルギー消費は、給湯が3割、空調が3割、暖房1割となります。つまり、リンナイの主力事業は光熱費に直結するということですね。

海外売上比率は45%程度で、利益率は約10%前後で推移してきました。自己資本比率70%超えて安定しており、爆発的な成長力こそないものの、今後も連続増配を続けてくれそうな期待感はあります。

8位:シスメックス(6869) 18年連続

検体検査機器が主力の医療機器メーカー。ヘルスケアセクターが市場平均をアウトパフォームしてきた優位性はさっき説明したとおりです。

シスメックス(6869)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:43.1%
  • 利回り:0.90%

ヘマトロジー、血液凝固分野、尿沈渣検査分野で世界首位をとっています。売上の80%が海外となっており、世界的にも高いプレゼンスがあります。

医療機器は人の命がかかっているために、他の機器へ代替が頻繁に行われません。そのため、医療機器のトップシェアはかなり安定性の高いものと考えられますね。

直近決算で営業利益は前年比マイナスになっているものの、売上は増加傾向。

また、シスメックスは唾液を用いたPCR検査キットの開発などコロナ銘柄としても注目を集めており、株価はあまり下がらないのではと思います。

参考唾液を用いた新型コロナウイルス PCR 検査が可能に

8位:KDDI(9433) 18年連続

寡占市場で安定した利益を稼ぐ、大手通信業者の一角。

KDDI(9433)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:41.7%
  • 利回り:3.48%

KDDIは移動体(ケータイ)と固定(光ファイバ通信)の両方を持っている点が特徴的です。

そこに自社サービスでauスマートパスやauでんき、ケーブルテレビのJ:COM、Wifiデータ通信やMVNOブランドのUQを合わせて総合通信事業者という立場にいるわけですね。

モバイル契約数は5200万もありますが、一年の増加幅は300万と伸び悩みを見せています。市場の飽和から、加入者数より一人あたり単価をあげる、au経済圏の拡大(ライフデザイン企業への変革)をビジネスコアに置いています。

利益率は20%強、増加率で見ても売上は前年比6.2%増、営業利益率、純利益も5.5%増と順調な数字を叩き出しています。

(出典:KDDI IR)

MVNOの急成長はありますが、シェアは2位をキープ。なお日本のモバイル端末契約率は80%ちょっとで横ばい、スマホ普及率も60%まで来ました。

なんにしても、日本屈指の優良企業には間違いありません。詳細な分析記事はこちらからどうぞ。

【高配当株&優待株】KDDI(9433)の超詳しい銘柄分析やってみます。

8位:沖縄セルラー電話(9436) 18年連続

KDDI傘下にある電話会社で、沖縄でauショップの運営と、光回線サービス「auひかりちゅらサービス」を展開しています。

沖縄の経済振興のため地元経済界が出資して発足しました。

沖縄セルラー電話(9436)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:40.1%
  • 利回り:3.70%

なんと沖縄県におけるシェアは5割と、地域独占の安定した地位を築いています。沖縄県は全国で唯一、ドコモがトップシェアを握れない地域なのです。

また21年も売上、利益とも成長の見込み。本体KDDIと同じく利益率は約20%、連続増配18年と優秀な業績を誇っています。

8位:サンドラッグ(9989) 18年連続

私もよく使うドラッグストアチェーン大手。安いんですよね。全国に1160店舗もあります。

サンドラッグ(9989)-Yahoo!ファイナンス

  • 配当性向:33.6%
  • 利回り:1.92%

縮小を続ける小売り業界の中で、数少ない成長市場と言われるドラッグストア。もちろん高齢者が増えるからです。今はコロナでさらにニーズが高まっていますね。

サンドラッグはドラッグストアチェーンで売上高6位になっています。

首位がツルハHD、2位がウエルシア。マツモトキヨシは4位ですが、マツモトキヨシHDとココカラファインが21年に経営統合すると、売上高1兆円規模となり、トップに躍り出ます。数が多いので、業界再編の動きは続くでしょう。

小売業なので利益率は5%程度しかありませんが、よく連続増配株に残り続けているなという印象です。

米国株でも小売業で配当王になっているのはターゲット(TGT)のみですからね(ウォルマート(WMT)が47年でそろそろ配当王)。

特徴をまとめてみる

全体的な特徴をまとめてみましょう。

業界や事業内容

いくつか傾向を書き出してみましょう。

  • ニッチ業界や特定地域の首位級
  • 景気に左右されにくい業界(日用品、医療、ヘルスケア)
  • 市場自体の成長はあまり関係ない(レッドオーシャンからも革新的事業は生まれる)

米国株の配当王を見たときに、BtoB工業製品のメーカーのようなニッチ市場のトップシェアが目立ったことから、長期の連続増配には本業の安定性が重要だと分かります。

知名度は決して高い企業ばかりでなく、事業成長にも爆発力はありませんが、長年投資できる優良企業の宝庫だったと感じました。

経営指標、財務指標

どの会社も好業績です。成長率はまちまちでしたが、利益率が2桁を出している企業が少なくありません。

利益やキャッシュが配当の源泉なので、まあ当然と言えば当然ですが……有利子負債も少なく、自己資本比率の見栄えが良い企業が多かったです。

また、全体的に投資効率もよく、ROEや売上高営業利益率といった指標を重視する人にとっては良い選択となりそうです。

配当性向に余裕があるけど、利回りは高くない

反面、利回りは思ったほど高くない印象です。今の利回り上位は5%超えが当たり前なので、それと比べるとKDDI以外は控えめな利回りでした。

かわりに配当性向もそこまで突出した高さではないです。基本的に3~4割で無理な増配はしていないので、もう数年以上は連続増配に期待して良さそうに思います。

10万円、30万円以下で買える株

ちなみに紹介した中で10万円以下で買える株は三菱UFJリースだけです。みんな高い……。

30万円以下にすると、SPK、USS、リコーリースが対象になります。またKDDIがぎりぎり30万超えですね。

13位以降の有力銘柄(JT、ニトリなど)

これに続く優良株は以下のようなものがあります。

  • 日本たばこ産業(JT:2914):16年連続
  • ニトリHD(9843):16年連続
  • ロート製薬(4527):16年連続

余談:16年の記事データとの比較

16年のときに10年以上連続増配株は42社、上位20社あたりになると、13年連続増配になっていました。

当時のリストを載せてみます。増配年数は当時のデータです。

  • 1位:花王(4452) 26年連続
  • 2位:USS(4732) 18年連続
  • 2位:SPK(7466) 18年連続
  • 4位:明光ネットワークジャパン(4668) 17年連続
  • 4位:小林製薬(4967) 17年連続
  • 4位:三菱UFJリース(8593) 17年連続
  • 7位:リコーリース(8566) 16年連続
  • 8位:しまむら(8227) 15年連続
  • 8位:トランコム(9058) 15年連続
  • 10位:プラネット(2391) 14年連続
  • 10位:科研製薬(4521) 14年連続
  • 10位:リンナイ(5947) 14年連続
  • 10位:シスメックス(6869) 14年連続
  • 10位:ユニ・チャーム(8113) 14年連続
  • 10位:芙蓉総合リース(8424) 14年連続
  • 10位:東京センチュリーズ(8439) 14年連続
  • 10位:KDDI(9433) 14年連続
  • 10位:沖縄セルラー電話(9436) 14年連続
  • 10位:サンドラッグ(9989) 14年連続
  • 20位:サンエー(2659) 13年連続
  • 20位:興銀リース(8425) 13年連続
  • 20位:リロ・ホールディング(8876) 13年連続

こうしてみると、上位で落ちたのは明光ネットワークジャパン(4668)としまむら(8227)でしょうか。

日本は株主還元が米国に比べて弱いと言われますが、上位銘柄には引き続き頑張って増配をコミットしてほしいと思います。


今回はここまでです。

※こっちの記事も合わせてどうぞ。配当王の記事はリライトしたので、ボリューム満点の内容になっています。

【配当王】米国株50年以上連続増配銘柄一覧(コメントつき)【Dividend Kings】
米国株25年以上連続増配銘柄・有望15株(コメントつき)
米国株10年以上連続増配銘柄 有望15株(コメントつき)
【米国株】将来連続増配がありそうな銘柄12株(コメントつき)

 

米国株の配当王については、動画も作りました。①~③まであります。

 

ではでは。

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