今回はホーメルフーズ(HRL)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。
事業規模が他より小さいことや利益率も高くないことからスルーしようかと思ったんですが、やはり51年連続増配ということに敬意を表して、せっかくなのでまとめようと思います。
目次(クリックで飛びます)
ホーメルフーズ(HRL)の事業内容
ビジネスを3Cで分解してみましょう。
事業内訳
ホーメルフーズはハムやソーセージ、ベーコンなど食肉の製造販売を行っている会社です。主力は加工肉缶詰のSPAM(スパム)という製品で、米国では非常にポピュラーなブランド。
ただし、売上高の9割以上が米国なので、日本ではほとんどお目にかかることはありません。私も食べたことはないです。
事業は以下5セクターに分かれています。アニュアルレポートが商品画像つきできれいなのでお借りします。
- Grocery Products:SPAMをはじめとした様々な食料品群で、売上全体の18%を占めています。定義は「Shelf-stable」なので常温保存可能な食品ということですね。
- Refrigerated Foods:冷凍食品です。これがホーメルフーズの主力で全体の49%を占めています。ハム、ソーセージ、ベーコン、ハンバーグあたりが見えます。
- Jennie-O Turkey Store:これはTurkey(七面鳥)のブランドですね。全体の18%を占めているのでそこそこ大きいです。
- Specialty Foods:全体の10%くらい。ミルクなどの文字が見えますが、「Nutritional」なので栄養補助食品のセクターですね。
- International & Other:海外部門等になります。全体のわずか5%しかないということで、ホーメルフーズはほとんど米国のみで完結した企業ということが分かると思います。
以下は15年と16年の売上、利益比較です。右側が年度のものです。
これを見ると、売上としてはJennie-Oブランドが売上・利益ともに大きく成長しています。一方でSpeciality Foods(栄養補助食品など)は大幅に縮小してしまっていますね。これから健康志向で市場拡大が見込める領域なだけに、不調は気がかりです。
競合
米国の加工肉最大手はタイソン・フーズ(Tyson Foods:TSN)という会社です。こちらの売上は370億ドルなので、ホーメルフーズの約4倍ですね。
以下の通り、タイソン・フーズはビーフとチキンが主力です。
営業利益率が10%以下しかありません。後で見ますがホーメルフーズも10%程度しかないので、食品業界ってやっぱり儲かりにくい業界なんでしょうかね。
また、グローバル市場における食肉加工品の主要プレイヤーは以下の通りです。他の大手加工食品会社を見ていると、ブラジルが圧倒的に強いですね。
- タイソン・フーズ(米国)
- JBS(ブラジル)
- Marfrig Global Foods(ブラジル)
- Brasil Foods(ブラジル)
- WH Group(中国)
- 日本ハム(日本)
ホーメルフーズも10大加工食品会社の一つに数えられています。といっても、ホーメルフーズは米国内に閉じたメーカーですので、これらと競合している領域は少ないと思われます。
市場
世界の加工肉市場は、2017年から2021年にかけて年平均7%程度成長する見込みのようです。
以下は安定のみずほ銀行レポートですが、加工食品市場としては米国は非常に安定的な成長が期待出来るようです。
米国では多忙のため食事の時間が取れない人が増えてきており、手軽に食事が出来る加工食品の需要は増える見込みです(一人あたり食支出は増加傾向にあり、価格よりも利便性を重視する傾向が見られます)。
また、もっと増えるのは健康食品系ですが、ホーメルフーズのラインナップではメインじゃないですね。
リスク要素
社会的な健康志向トレンド
コカ・コーラ(KO)をはじめとして、いくつかの銘柄で見たように、世界的に健康がトレンドになっています。
鳥インフルエンザでチキン不足
過去には鳥インフルエンザで七面鳥を処分したせいで、胸肉が不足したというバッドニュースもありました。下期単位の販売量で20%も落ち込むというのですから、相当なものですよ。
というか株価の下落すごかったでしょうね。
参考米国で七面鳥が受難-鳥インフルエンザ感染でサンドイッチ用も不足
ホーメルフーズ(HRL)の財務分析
PL
なぜか数字表示されてなくてすみません、スプレッドシートの仕様(?)っぽいです。
意外というか、これまで見てきた銘柄と違って、ホーメルフーズは売上100億ドルに満たない企業です。利益率も10%前後で、そこまで高いという感じはしません。
BS
バランスシートの安全性は非常に高いですね。
CF
キャッシュフローも安全マージンが大きくなっています。
株主還元指標
私がホーメルフーズを調べようと思ったのは、51年連続増配中だったからです。投資家還元において他の追随を許さない米国企業と言えども50年連続増配となると20銘柄程度しかなく、ホーメルフーズがいかに長く株主を大切にしてきたか分かるというものです。
以下の50年連続増配銘柄リストで最後に出てきたやつです。
直近配当利回り:1.70%
利回りはやや低めですが、配当性向は50%を切った状態で余力があります。
ホーメルフーズ(HRL)の株価、チャート分析
とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。
過去の最高値、最安値
うわー、やっぱり跳ね上がってますね。最後のほう下がったのって、鳥インフル被害でチキン不足になったこと含めて決算が微妙だったからでしょうか。
色眼鏡なしで見れば、ずっと右肩上がりに売上・利益とも成長していて、堅実な会社だという印象ですけどね。
- 最高値:45.72ドル(2016年)
- 最安値(リーマンショック後):6.22ドル(2009年)
今後の値動き予測
5年チャート
13年~15年はとても規則正しく上昇していました。16年以降は上昇した分が戻った感じですが、ヨコヨコからやや下落トレンドっぽいチャートに変わっています。
1年チャート
狭い範囲を行ったり来たりで、あまり規則性が見られません。
ホーメルフーズ(HRL)の投資戦略
まとめるほど長くないので割愛します。
回答
強力なブランドを有し、堅実に事業を成長させている老舗メーカーで、連続増配も考えると中々よい選択肢の一つだと思います。
欠点は、株価が高騰していることもあって利回りが低いことと、利益率の低いビジネスであるということ。株価のリスクリワード見合いでは買えないこともないように思いました。
ちなみに今回の記事、調査含めて2時間弱くらいで完成です。毎日更新を自分に課すつもりはないものの、もしやるならこのレベルまで落とさないとキツイな~と思います。
これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。
企業名 (リンク先は分析記事) | ティッカー | 業種区分 | 主力事業、ブランド |
---|---|---|---|
アマゾン | AMZN | IT | ネット小売、クラウド |
アルファベット/グーグル | GOOGL | IT | 広告(検索)、AI |
アップル | AAPL | IT | iphone |
マイクロソフト | MSFT | IT | OS、Office365 |
フェイスブック | FB | IT | 広告(SNS) |
IBM | IBM | IT | クラウド、AI |
インテル | INTC | IT | 半導体(PC、サーバ) |
クアルコム | QCOM | IT | 半導体(モバイル) |
エヌビディア | NVDA | IT | 半導体(GPU) |
オラクル | ORCL | IT | ソフトウェア(DB) |
オクタ | OKTA | IT | オクタ |
シスコ | CSCO | IT | ネットワーク機器 |
アリババ・グループ | BABA | IT | タオバオ、Tmall、アリペイ |
テンセント | HKG00700 | IT | テンセント |
バイドゥ | BIDU | IT | 百度 |
ビザ | V | 金融 | 決済インフラ |
マスターカード | MA | 金融 | 決済インフラ |
アメリカン・エキスプレス | AXP | 金融 | 決済インフラ |
スタンダード&プアーズ | SPGI | 金融 | 格付け機関 |
ムーディーズ | MCO | 金融 | 格付け機関 |
ブラックロック | BLK | 金融 | 運用会社 |
ウェルズ・ファーゴ | WFC | 金融 | 商業銀行 |
JPモルガン・チェース | JPM | 金融 | 商業銀行、投資銀行 |
シティグループ | C | 金融 | 商業銀行、投資銀行 |
ウエストパック銀行 | WBK | 金融 | オーストラリア銀行 |
バークシャー・ハサウェイ | BRK.B | 金融 | バークシャー |
AT&T | T | 通信 | モバイル通信 |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 通信 | モバイル通信 |
ネットフリックス | NFLX | 通信 | 動画配信サービス |
ウォルト・ディズニー | DIS | 通信 | ディズニー、ESPN |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | 医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他 |
メドトロニック | MDT | ヘルスケア | 医療機器(ペースメーカー他) |
アボット・ラボラトリーズ | ABT/ABBV | ヘルスケア | 栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他) |
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ | BMY | ヘルスケア | 医薬品(オプジーボ他) |
ファイザー | PFE | ヘルスケア | 医薬品(プレブナー、リリカ他) |
メルク | MRK | ヘルスケア | 医薬品(キイトルーダ他) |
ギリアド・サイエンシズ | GILD | ヘルスケア | 医薬品(ハーボニー他) |
CVS ヘルス | CVS | ヘルスケア | 薬局、PBM |
ユナイテッド・ヘルス | UNH | ヘルスケア | 医療保険、PBM |
P&G | PG | 生活必需品 | ビューティー(パンテーン、SK-II)他 |
ユニリーバ | UL | 生活必需品 | パーソナルケア(Dove、LUX) |
コルゲート・パーモリーブ | CL | 生活必需品 | オーラルケア(歯磨き) |
コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | コカ・コーラ |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | ペプシ・コーラ |
ゼネラル・ミルズ | GIS | 生活必需品 | ハーゲンダッツ |
クラフト・ハインツ | KHC | 生活必需品 | チーズ、ケチャップ |
マコーミック | MKC | 生活必需品 | スパイス |
ホーメルフーズ | HRL | 生活必需品 | SPAM |
マクドナルド | MCD | 生活必需品 | マクドナルド |
スターバックス | SBUX | 生活必需品 | スターバックス(スタバ) |
ウォルマート・ストアーズ | WMT | 生活必需品 | 大型店舗小売 |
コストコ・ホールセール | COST | 生活必需品 | 会員制小売 |
ホーム・デポ | HD | 生活必需品 | DIY小売 |
フィリップ・モリス | PM | 生活必需品 | たばこ(マルボロ) |
アルトリア・グループ | MO | 生活必需品 | たばこ(マルボロ) |
レイノルズ・アメリカン | RAI/BTI | 生活必需品 | たばこ |
アンハイザー・ブッシュ・インベブ | BUD | 生活必需品 | バドワイザー |
ナイキ | NKE | 生活必需品 | スニーカー(ナイキ・エア) |
ギャップ | GPS | 生活必需品 | GAP、オールドネイビー |
エクソン・モービル | XOM | エネルギー | 石油メジャー |
シェブロン | CVX | エネルギー | 石油メジャー |
ロイヤル・ダッチ・シェル | RDS.B | エネルギー | 石油メジャー |
ボーイング | BA | 資本財 | B787ドリームライナー |
ロッキード・マーティン | LMT | 資本財 | ステルス戦闘機F-35 |
ユナイテッド・テクノロジーズ | UTX | 資本財 | 航空機エンジン、エレベーター |
キャタピラー | CAT | 資本財 | 建設機械(油圧ショベル他) |
ゼネラル・エレクトリック | GE | 資本財 | 照明、航空機エンジン |
テスラ | TSLA | 自動車 | 電気自動車(EV) |
スリーエム | MMM | 素材 | ポストイット |
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