水ビジネスと関連銘柄の研究【テーマ株】

テーマ株

中長期的なビッグテーマになるであろう、水ビジネスについて考察していきます。関連銘柄の紹介はあとの方に出てきます。

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水はタダではない

日本にいると水はタダでいくらでも飲めるものと思いがちですが、世界的には非常に珍しいことなのです。

水道水が安心して飲めるのは、日本を含めて世界に15か国しかないと言われています(国土全体でという制約)。この中にアメリカやイギリス、中国やインドは含まれません。

水資源は日本の地理的な優位性が絡む案件です。

  • 島国であり、周囲が水で囲われた土地であるということ。
  • 偏西風の影響が小さく、モンスーンの影響が大きい日本では、降水量が世界平均の2倍近くあるということ。

21世紀は水の世紀へ

世界にある水のうちのほとんどは海水で、淡水は2.5%しかありません。さらにその中で人間が使える淡水、河川水となると、わずか0.01%に過ぎないのです。

(出典:国土交通省)

増え続ける人口に対して、地球上の水資源には限りがあります。稀少なものに高い価値をつけるのが経済学の考え方でしたね。

20世紀は石油の世紀でした。自動車や飛行機に代表される産業発展のエンジンとなったのは石油だったので、石油を巡って戦争や経済危機が多発してきました。

石油は採掘、精油技術も大幅に上がり、近年はシェールガス革命によって新たな地層から石油を採掘出来るようになりました。代替エネルギーの技術進歩は石油の需要と寿命をどんどん伸ばしていっています。

※下に原油ETFのリンクを貼っておきます。ちなみにですが、水は先物市場が存在しません。

【ETF】コモディティ(原油)への投資【日本株、米国株】

ということは、来る21世紀は水の世紀になるはずです。

石油と同じように不足していく水資源を巡って争いが起こるのか、シェールガス革命のように、地下水や海水の淡水化水を低コストに加工して利用出来るようになるのか。注目したいところです。

水ビジネスの事業区分と市場規模

水ビジネスの市場規模は100兆円に迫る

2007年時点では世界で36.5兆円、2025年予測が86.5兆円でしたが、それは現時点で達成しました。

自治体中心だった以前よりも民営化が進んで、民間企業がどんどん市場を開拓したためです。

2020年にはいよいよ100兆円規模が見えてきたビッグビジネスだと言えるでしょう。

(出典:経済産業省)

地域別に見ると、東アジアのシェアは既に最大で、今後も高い成長率が見込まれます。

(出典:経済産業省)

上水、下水が成長事業

事業区分としては水の利用用途の軸と、バリュー提供形態の軸と2つに分かれます。それぞれの定義をまとめときましょう。

  • 上水:水道水などの、飲用に適した水を供給する水道
  • 海水淡水化:海水を処理して淡水(真水)を作り出すこと
  • 下水:生活排水や産業排水、雨水などの汚水処理
  • 産業用水(中水):飲用には適さないが、産業などで利用出来る水。中水はトイレを流す水や公園の噴水等も含まれる

バリューチェーンで見るとこうなります。

(出典:経済産業省)

水ビジネスの有力プレイヤー

水ビジネス成長の恩恵を最も受けるのは、水メジャーと言われる3社です。オイルメジャーみたいなもんですね。

これらは一夜にして登場したのではなく、実に150年以上前(ナポレオン時代!)から民営化していたために今の地位があります。これを後発企業が崩すのは中々至難の業なのかも。

  • ヴェオリア・エンバイロメント(Veolia:VIE.PA/フランス)
  • スエズ・エンバイロメント(Suez:SEV(パリ)/フランス)
  • テムズ・ウォーター・ユーティリティーズ(Thames Water:非公開/イギリス)

ただ、2000年くらいは世界の水ビジネスのうち70%以上を独占していたのですが、今は30%以下に落ちました。シンガポールなどの後発企業が追い上げてきたからです。

  • Hyflux(シンガポール):シンガポールで急成長の水処理関連会社。シンガポール証券取引所に上場。
  • Siemens(ドイツ):シーメンスも世界的なコングロマリットですが、今は水ビジネスをやや縮小気味。
  • GE(アメリカ):ゼネラル・エレクトリックの一部門で、GE Power & Waterは水関連事業を取り扱っています。GEの銘柄分析はこっちからどうぞ。
  • Pentair(アメリカ):ペンテアと読みます。水の管理や処理サービスの製品、ソリューション提供。
  • Xylem(アメリカ):水技術の専門会社。水質や水位の計測器、水処理技術を有するようです。
  • Dow Chemical(アメリカ):ダウ・ケミカルは世界最大の化学メーカーとして有名な会社ですね。デュポンと経営統合が決まっているので、さらに巨大化します。水ビジネスではフィルター用の膜などが当たり、日本企業の得意分野と競合しそう。
  • American Water Works(アメリカ):米国の民間水道会社。
  • Grundfos(デンマーク):ポンプ世界一のメーカー。水ビジネスにも参入。

有力プレイヤーを並べてみると、本当に世界各国から会社が出てきてますね。

日本から見た水ビジネス

ちなみに水ビジネスにおける日本企業の有力プレイヤーは存在しません。

水処理技術に優位があるため、産業用水や海水淡水化市場で多少シェアを有していますが、それでも世界全体の0.6%に留まっています。

(出典:経済産業省)

日本国内においては既に水道水が飲めるようになっていますので、上水では今後大きな規模増は見込めません。

人口も減っていて、工場も安価な海外移転が進んでいますので、生活用水、産業用水も大幅に増えることはないでしょう。

日本から見ると、国内市場は飽和していて、海外市場(特に新興国)へ打って出る必要があります。

新興国ではこれから生活水準が向上し、人口が増え、工場建設が増えるなど、需要が急増する見込みです。

水ビジネス関連銘柄

ざっくりとビジネスを見たところで、いくつかの有望な水ビジネス関連株を探していきましょう。

ヴェオリア・エンバイロメント(Veolia:VIE.PA/フランス)

(出典:Yahoo!Fainance)

ヴェオリアはNYSEに上場しているようですね。というかめっちゃ低迷してますね。

総合環境サービス事業として、水道事業の他、エネルギー事業と廃棄物処理事業も有しています。

フランス株が米国株より有利とは思いませんので(イギリスと違って税金かからないみたいな有意もない)、買う場合は注意が必要。

スエズ・エンバイロメント(Suez:SEV(パリ)/フランス)

スエズはNYSEに上場していないため、残念ながら購入する手段は限られます。

ヴェオリアと違ってスエズ社の水関連事業をスピンアウトした経緯から、水ビジネスの業績寄与度はこちらの方が高くなります。

テムズ・ウォーター・ユーティリティーズ(Thames Water:非公開/イギリス)

テムズ・ウォーターは株式非公開だそうです。

その他の有力企業

米国株で買えるやつだけね。

ゼネラル・エレクトリック(GE)

最近絶不調。減配も発表しました。

(出典:Yahoo!Fainance)

そのうち底を打って反転するとは思うので、戻ってきたら買いはじめてもいいかなと思っています。

巨大になりすぎただけで、人材育成のノウハウが切れなければ復活できるとは思うんですが、底が見えないうちは待ち。

【米国株】ゼネラル・エレクトリック(General Electric:GE)の銘柄分析

Pentair(PNR)

(出典:Yahoo!Fainance)

上がってるけど、業績に波がありそうなチャートですねえ。

Xylem(XYL)

(出典:Yahoo!Fainance)

随分上がってますね。

ほぼ水ビジネス専門みたいな会社らしいので、水ビジネスが好調になったら一気に上がりそうな銘柄です。

American Water Works(AWK)

(出典:Yahoo!Fainance)

なんか、公共セクターのわりに調子いいですね。

株高もあって配当利回りは1.87%だったので、流石にどこかで落ちそう。基本的に公共セクターは市場平均に劣後するセクターになります。

水ビジネス関連の日本株

日本の銘柄は存在感が薄いのですが、今後成長が見込まれる水処理の技術自体は高いものを有しています。

大手はテーマ株としてのうまみがないので省いています(テンバガーの条件は時価総額が小さいほど良い)。本当はたくさんあります。

  • メタウォーター(9551):富士電機(6504)と日本ガイシ(5333)の水処理事業を統合して設立した会社で、水ビジネスを一気通貫。なんとなくテーマになるとしたらこいつのような気がする。やはりウォーターという名称が付いていることが良いです。
  • NJS(2325):上下水道のコンサルタント事業。ここの水ビジネスべったりなので、たぶん人気化したら上がりそうだなと。
  • ササクラ(6303):海水淡水化装置。
  • ダイキアクシス(4245):排水処理装置、コンサル業。
  • 神鋼環境ソリューション(6299):上下水道の水処理技術。
  • プレミアムウォーター(2588):ウォーターサーバー。

水ビジネスは今後大きな可能性を秘めていると思っています。ひとまずウォッチリストに入れておくと良さそうです。

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