【米国株】マスターカード(Master Card:MA)の銘柄分析

米国株

今回はマスターカード(MA)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

先日ビザ(V)を分析しましたが、ほとんど同じです。参入障壁が高く利益率の高いビジネスモデル自体が旨みとなっており、当面継続する見込みです。

【米国株】ビザ(Visa:V)の銘柄分析【利益率60%超】

ビザが業界リーダー、マスターカードはフォロワーですので、基本的にはビザと比較する形で書いていきます。

動画も合わせてどうぞ。

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マスターカード(MA)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

マスターカードの事業は決済インフラの提供です。

クレジットカードの発行はしておらず、アメックスやJCBのようなイシュアの役割は持ちません。それゆえに57%を超える利益率が実現できるわけです。

(出典:マスターカード IR)

クレジット、デビット、プリペイドやその取引手数料、コンサルやデータアナリティクスなど、事業分野はVISAと同じです。

海外比率は65%程度で、50%のVISAよりもやや海外偏重です。特にヨーロッパで強いのが特徴だと思います。

(出典:マスターカード IR)

事業規模的にはVISAの半分くらいです。カード発行数は20億枚、取引量は6.5兆ドル。

(出典:マスターカード IR)

(出典:VISA IR)

また成長率では優位に立っています。ネットワーク効果が働きやすいビジネスとはいえ、フォロワーの成長余地が大きいのでしょう。

(出典:マスターカード IR)

逆に、利益率など各指標は若干VISAより低く出ています。これはコスト構造の差(規模の経済)が出ているのではと推測します。

まあそれでも利益率57%あれば十分ですけどね。

なお決算上の内訳はVISAと同じ収益種別になっているようです。取引手数料が最も大きく、かつ最も成長しています。

国際間取引が大きいのは海外売上比率の高いマスターカードの特色ですかね。

(出典:マスターカード IR)

ちなみに、直近はコロナ影響で取引量や金額などすべて下落傾向にあります。こればかりはどうしようもありません。

競合

競合は同じ国際ブランドになりますね。5大国際ブランドは以下。

  • VISA
  • MasterCard
  • JCB
  • Amex(アメリカン・エキスプレス)
  • ダイナース

これに加えて最近は中国の銀聯(ぎんれん:ユニオンペイ)も伸びています。

VISAとアメリカン・エキスプレスは以下で個別記事を書いているので、合わせてどうぞ。

【米国株】ビザ(Visa:V)の銘柄分析【利益率60%超】
【米国株】アメリカン・エキスプレス(American Express:AXP)の銘柄分析

カード発行数、取引量ともマスターカードは2~3番手にいます。ユニオンペイは海外売上比率1%なので、中国以外はマスターカードが2番手です。

(出典:THE NILSON REPORT)

(出典:PBR)

実際、私達がクレカを作るときも、最初の一枚はVISAかマスターカードにしているのではと思います。

使えるお店が多いとユーザが集まり、ユーザが集まるとお店も国際ブランドを導入する、正のループがネットワーク効果を生みます。

市場

電子決済市場は急成長中で、10年で2倍以上になっています。特にアジアの成長が顕著ですね。アジアは将来、北米を抜いて購買力トップに立ちます。

(出典:THE NILSON REPORT)

米国ではクレジットカード決済が主流になっていますが、日本のように現金文化が残っている国も多くあります。今回のコロナで流れが加速しそうです。

世界的に電子決済は不可避の流れです。

EコマースなどのEC化率は10%以下ですし、成長余地はまだまだ大きくあります。

リスク要素

事業が安定しすぎて、競合となるのはVISAとユニオンペイくらいです。

ネットワーク効果

バフェットが好んで使う言葉に「エコノミックモート」と呼ばれる指標があります。どこかに書いた気がしますが、モートとは壕のことで、要は他社に対する優位性があることを意味しています。

  • ネットワーク効果
  • 無形資産
  • コスト優位性
  • スイッチングコスト
  • 効率的規模(ニッチ産業という意味)

ネットワーク効果も上記のように入っており、これはサービスの利用者が増えれば増えるほどサービス自体の価値や利便性が高まるという仕組みで、クレジットカードの国際ブランドはネットワーク効果の典型例です。

マスターカードも他社と比較して優位なネットワーク効果を有しているのですが、一方でVISAとの競争もあります。

イシュアやアクワイアラ含めて陣取り合戦なので、大きなニュースがあれば注目したいです。

余談ですが、日本のコストコはマスターカードしか使えないっぽいです(VISAもアメックスも使えない)

消費者にリーチしないビジネスモデルゆえに

貸し倒れリスク等を排除し、資本投下が極力少なく済むビジネスモデルは優秀なのですが、消費者にリーチ出来ない欠点もあります。

付加価値をつけられないということは、ビザが徐々にネットワーク効果で強大化していくところに施策を打てないということです。

自らイシュアにもなるアメックスは、カード発行しているので消費者の購買行動等を集めることができます。

アマゾンがホールフーズ買収以降、実店舗進出を重視していることを考えると、ラストワンマイルの差が将来影響するかもしれません。

フィンテック関連

VISAでも見ましたが、MasterCardとフィンテックは共存可能だと思います。

マスターカード(MA)の財務分析

PL

やっぱりとんでもない利益率と右肩上がりの増加傾向を示しています。VISAが営業利益率60%超えには届きませんが、それでも驚異的な水準です。

売上の伸びも年平均10%以上ですので、直近はコロナで足踏みしていますが、また復調すれば伸びていくと思われます。

BS

バランスシートも非常に安定しています。自己資本比率50%超、VISAとは逆に流動比率が意外と高いです。

事業自体の安定性も考えると、鉄板のBSですね。

CF

キャッシュの余剰は流石のレベルで、安定感が段違いです。事業継続に資本投下をほとんど必要としておらず、フリーキャッシュフローが営業キャッシュフローに重なるように見えています。

営業キャッシュ自体の成長も素晴らしいです。

株主還元指標

株価高騰しているため配当利回りは0.52%とかなり低めです。また配当性向自体も20%を切ります。

しかし、自社株買いをかなり積極的にやっていて、総還元性向はほぼ100%に達します。使いみちのない余剰キャッシュをきちんと投資家に還元してくれているのです。

今は連続増配株ではありませんが、今後はそうなるかもしれませんね。

例えばVISAは12年連続、マイクロソフト18年連続増配で徐々に直接株主還元するようになってきています。マスターカードも同じ道を辿ってくれるとうれしいです。

【米国株】マイクロソフト(Microsoft:MSFT)の銘柄分析

直近配当利回り:0.52%

マスターカード(MA)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

マスターカード(MA)-Yahoo!ファイナンス

今後の値動き予測

株価リターンはリーマンショック以降10年で約25倍と、VISAより若干優位です。成長率が高いからでしょうか?(こちらも大きな会社ではありますが……)

逆にコロナで3割飛ばしたので、VISAより暴落耐性はやや低いとも言えます。まあ株価高いですしね。

見ての通りの上昇トレンドで、14~15年は100ドルの壁がありましたが、あっさり突破しました。

18年の壁であり、直近コロナの下落を止めた200ドル~225ドルのサポートラインがやや堅そうに見えます。

 

また、参考までリーマンショックでは50%ほど暴落しました。今は当時より電子決済が進んでいるので、ここまで落ちないかもしれません。

 

直近5年でも200ドルあたりの壁が見えます。当面のサポートラインですかね。というか既にほぼ戻しているのが……。

マスターカード(MA)の投資戦略

まとめます。

  • VISAと同じく電子決済システムを扱う国際ブランドで、取引量やカード発行数で世界2~3番手
  • 極めて安定したビジネスモデルで、利益率は57%を誇る
  • 市場の拡大はまだ続く見込み
  • チャートはコロナで下落も、200ドルを下限にすぐ復帰した

回答

VISA同様に素晴らしい企業です。

どちらを選ぶというより、ポートフォリオに両方入れておくのがいいのかなあと感じます。

リーダー企業よりフォロワーのほうが投資リターンが高くなるので、マスターカードには期待しています。


動画

これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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