【米国株】シェブロン(Chevron:CVX)の銘柄分析【高配当】

米国株

今回はシェブロン(Chevron:CVX)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

エクソン・モービル(XOM)を前回銘柄分析していますので、それと合わせて見てもらえるとシェブロンの立ち位置が分かりやすいかと思います。

【米国株】エクソン・モービル(Exxon Mobil:XOM)の銘柄分析【高配当】

エクソン・モービルの記事では、スーパーメジャーと中東、そしてシェールガスの3者が主要勢力として競合しているという話も書いています。

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シェブロン(CVX)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

シェブロンもスーパーメジャーの一角で、エクソン・モービルでも比較を見た通り、シェブロンは「川上(上流)」と呼ばれる原油の探鉱・開発・採掘の割合が非常に高い企業です。実に9割が川上ですね。

また、川上の内訳もありましたので載せておきます。

(出典:Chevron)

エクソン・モービルとは成り立ちからして同じスタンダード石油ですので、どことなく企業文化も似ていて、やっぱりバランスシートを重視します。エクソン・モービルは川下が3割近くありますので、川下が1割しかないシェブロンと少し事業ポートフォリオが異なりますが。

シェブロンは数年前からLNGプロジェクトとして、ゴーゴン、ウィートストーン(ともにオーストラリア)のようにかなり積極投資を進めているのですが、それらのプロジェクトが完了し収穫期になりますので、収益拡大が見込めてコストも下がって、業績回復の機運が高まっています。

(出典:Chevron)

(出典:Chevron)

決算書から

直近で黒字決算となりました(前年同期は5億8800万ドルの純損失)。下のキャプチャは16年のレポートなのでまだ赤字になったままですが……(なんかこれに限らず必要なデータがろくに見当たらず……HP分かりにくいですね)。

(出典:Chevron)

  • 米国川上部門の営業利益は1.21億ドル(去年は-19.5億ドル)
  • 海外川上部門の営業利益は8.09億ドル(去年は5.93億ドル)
  • ゴーゴンが本格稼働によってLNG割合増加。
  • 探索・設備投資額は224億ドル(4~5年前あたりは400億ドルだったので、これでも絞ってます)
  • 営業費用を140億ドル削減し、コスト耐性強化。

今後の開発計画。

(出典:Chevron)

あと、レポートでは「Permian:ペルム紀」のことが色々と書かれていました。シェールオイルの生産地みたいですね。

Permian盆地というのがテキサス州~ニューメキシコ州にかかる地域にあり、原油生産の増加地域だそうです。16年の川上投資の半分がこのPermian盆地に集中しています。

競合

エクソン・モービルと同じになります。投資先としてはエネルギー銘柄だとスーパーメジャーくらいしかないでしょう。中東は大半が非上場(サウジアラムコが上場しても当面は不安定で投資先としては不適格)、シェールガスは中小企業ばかりでOPEC原油安誘導で結構破綻したところも多かったです。

財務的にも健全で、株主還元性向の高いスーパーメジャーは、過去の市場平均を上回る成績を叩き出しています。

  • 同業者(シェブロンやBP、ロイヤル・ダッチ・シェルなど)
  • OPEC、中東国
  • シェールガス
  • エネルギー(石炭や天然ガス)
  • 代替エネルギー(太陽光、風力など)

市場

原油市場全般については原油系ETFの分析記事の方で詳しく見ています。

【ETF】コモディティ(原油)への投資【日本株、米国株】

リスク要素

リスクは色々とありますが、シェブロン固有リスクというよりもスーパーメジャーに共通と言ったほうがいいので、ここも割愛します。

【米国株】エクソン・モービル(Exxon Mobil:XOM)の銘柄分析【高配当】

シェブロンは川下=原油安で利益の出る部門が少ない分、ここ2年くらいの原油安によって投資家に不安視されていました。しかしまあ石油メジャーはこうした原油の乱高下は慣れており、エクソン・モービルはこうした原油安局面でも安定した集金ラインを確保すべく川下の比率を一定に保っていて、シェブロンはバランスシートを調整してリスクを負った投資をしない形で乱高下を切り抜ける術を身につけています。

原油価格も株価と同じく未来予知など到底出来るものではありませんので、それを前提に動かないといけないわけですね。

シェブロン(CVX)の財務分析

PL

エクソン・モービルと同じく、原油安の影響が大きく響いて売上は半減、純利益は赤字になってしまいました。

絶対値で言えば、売上高はエクソン・モービルの約半分程度になります。

好調だった頃も含めて見れば営業利益率は15%前後、ROEは20%前後で推移しており、悪くない数字ではあったのですが。

こちらも同じく直近決算が非常に悪い数字でした。

BS

原油ビジネスは大体そうですが、固定資産が高くなるものの、安全率は一定の配慮をしており、自己資本比率も良いです。シェブロンは特にバランスシートのリスク管理に長けており、安定性は極めて高いです。

また、川上が9割の会社ですので、そのまま約9割は固定資産になります。

CF

フリーキャッシュフローは15年度以降でマイナスになってしまいました。原油価格が戻って復活しつつありますが、上流の投資はこれが怖いですね。

原油安によって油田の減損会計が発生するので、原油価格が上がってきたタイミングで買うと業績が一気に好転しますが、一歩間違えると大きな負債に変わってしまうのです。

株主還元指標

すみません、16年度の配当性向は未確定で空欄だったため、最後だけおかしなグラフになっていますが、気にしないでください。

利回り換算だと4%に迫り、かつ配当性向は低いままで余力はあります。ただ、自社株買いはそれほど頻繁にはしない会社で、株主還元という視点ではエクソン・モービルに軍配が上がると言えるでしょう。

といってもシェブロンも配当重視、連続増配重視の姿勢を明確に取っていて、29年連続増配中ですが(配当は年成長8%)。

直近配当利回り:3.98%

シェブロン(CVX)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

シェブロン(CVX)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

  • 最高値:135.10ドル(14年)
  • 最安値:30.66ドル(01年)

原油価格に連動した株価になっていて、ちょっと掴みづらい値動きになっています。とりあえずはるか昔の最安値は流石に戻らなさそうで、60~135ドルが上下ラインじゃないかと。徐々に戻しつつある業績とトランプ相場の好況を受けて、高めの圏域で推移しています。

今後の値動き予測

5年チャート

ほぼ同じ70~135ドルのレンジ。原油安で半減ですから、リスクリワードレシオの設定を誤ると持って行かれます。幸いにしてまた戻って来ているのですが、一般的に株は高値追いをすると一発退場リスクが上がりますので、落ちてから買い、高いところでは見送りが最善です(落ちてからといっても、これじゃ落ちるナイフを掴んでしまいますね)。ブレイクアウト手法は勝率が低く期待値の高い上級者向けの投資手法です。

とはいえシェブロンはシェブロンは値上がり益よりも永久保有する勢いで何十年も保持(&継続投資)する銘柄ですので、この水準で購入スタートしても構わないのですが、ご覧の通り半減しようが動じない心構えが必要です。損が出たら逃げるようではシェブロン投資、ないし長期投資は向いていないです。マインド改革をしましょう。

1年チャート

線が引けませんでした。復調気味と思いきや、年明けてから中途半端な位置で反転してしまっており、方向感がありません。

そうそう、時間の節目(縦の線)というのも一つのトレンド転換ポイントになります。ちょうど17年になってから落ちているところに注目です。今年はトランプ政権発足というビッグイベントもありましたが、そうでない年も一年またぐと動きが変わったりします。

シェブロン(CVX)の投資戦略

エクソン・モービルと同じという扱いで、わりと手抜き。

  • 川上比率が9割と非常に高く、バランスシート管理を徹底してリスク管理をしている。
  • 原油価格上昇に伴い、ようやく復調気味。主力プロジェクトも収穫期を迎えて、事業もスリム化したため、これからしばらくは高収益が期待できる。
  • 29年連続増配銘柄であり、赤字でも増配維持。配当を最優先すると明言しており、資産形成に向いている。
  • チャート的には方向感を失っているが、直近の原油安で株価が半減したところを見て、リスク設計と追加投資のタイミングは注意したい。

回答

一応調べたので記事にしましたが、普通の売上推移やら内訳データなど欠けていて、ショボい記事になりました(まずは事業の全体像を知りたかったのに、投下資本の内訳とか後でいいものばっかり……という感じでレポート見てました)。すみません。そもそも◯◯プロジェクトの成否なんてプロでも分からないのに素人の私が知る由もないので、ざっくりした分析しか出来ませんが^^;

短期的にはシェブロンの業績回復が早いのですが、原油価格はまた上下動し、そのたびに過剰反応が株価に反映されるはずです。

シェブロンが市場のパイを食い合う競合はなにもスーパーメジャーだけではないので、一人勝ち・一人負けという状況にはなりにくく、であればエクソン・モービルと好きな方を選べばいいんじゃないかなと。

エネルギーセクターはポートフォリオに一つは組み入れておきたい銘柄ですが、売上高、確認埋蔵量という安全マージン、情報開示量からエクソン・モービルでいいでしょうか。そのうちロイヤル・ダッチ・シェルも調べます。


全然関係ない話ですが、モニターもう一枚買いました。ノートPCの頃に二枚でやっていたのですが、やっぱり記事作成捗りますね(アニュアルレポートを隣に目線移動で記事が書けるのです)。

チャート並べてみたり、お絵かきにもきっと大活躍してくれると思います。


これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
デューク・エナジーDUK公共電力、ガス
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