コモディティの中でも特に重要な金と原油を見てきました。今回はついでに残りも見てみましょう。エネルギーETFも一緒に見ます。
目次(クリックで飛びます)
その他のコモディティ
いずれも歴史的安値にあります。コモディティETFを探す上ではこちらのサイトが分かりやすいかも。
銀(iシェアーズ シルバー・トラスト:SLV)
個別の金属類で取引が多いのは銀です(ETFの話に限定して)。
プラチナ、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛など色々な金属がありますが、単体で買うものではないでしょう。これらの多くは企業のリスクヘッジとして活用されているもので、収益を狙おうという意図から買うものではないからです。
- ティッカー:SLV
- ベンチマーク: 銀価格
- 基準価格:15.39ドル
- 信託報酬:年率0.50%
- 設定日: 2006/04/21
- ETF純資産総額: 5,824百万(米ドル)
- 月間出来高: 23,727万株
- 分配:なし
見ての通り安値圏にあります。
銀価格は金の50分の1程度と安価です。金と同じく貨幣としての側面、アクセサリーとしての商品の側面がありますが、銀は加工がしやすいため、半導体や太陽光発電等の産業用としても利用されています。金と違って再利用もされないため、今後は在庫減少による希少性向上が考えられます。
このことから、投資先としては銀は金と並んでメジャーなコモディティです。金よりも値動きが激しい特徴があります(青が銀、赤が金)。
ちなみに、現物購入についてはオススメ出来ません。銀は空気中の硫黄に反応して黒ずむため、適切に保管することが求められるからです。
農作物(パワーシェアーズ DB アグリカルチャー・ファンド:DBA)
DBAは農作物指数に連動するETFで、やっぱり歴史的安値圏。
- ティッカー:DBA
- ベンチマーク:DB アグリカルチャー・インデックス
- 基準価格:21.41ドル
- 信託報酬:年率1.01%
- 設定日: 2007/01/05
- ETF純資産総額: 763百万(米ドル)
- 月間出来高:1,040万株
- 分配:なし
農作物のリストは以下の通り。
コモディティ(英) | コモディティ(日) | ベース構成比(%) | インデックス(%) | 上場取引所 |
---|---|---|---|---|
Corn | トウモロコシ | 12.50 | 12.61 | CBOT |
Soybeans | 大豆 | 12.50 | 14.38 | CBOT |
Sugar | 粗糖 | 12.50 | 15.54 | ICE-US |
Live Cattle | 生牛 | 12.50 | 11.29 | CME |
Cocoa | ココア | 11.11 | 9.56 | ICE-US |
Cofffee | コーヒー | 11.11 | 10.29 | ICE-US |
Lean Hogs | 豚赤身肉 | 8.33 | 9.03 | CME |
Wheat | 小麦 | 6.25 | 5.64 | CBOT |
Kansas City Wheat | カンザス・シティ小麦 | 6.25 | 5.41 | KCBT |
Feeder Cattle | 飼育牛 | 4.17 | 3.52 | CME |
Cotton | 綿花 | 2.78 | 2.75 | ICE-US |
農作物ですので、実需としては人口増大による食糧不安によって価値が上昇しますよね(超長期的に見れば)。2050年の世界人口90億人の食事は賄いきれないと言われていますし、嫌な話ですが、これから食糧危機が本格的な課題となってくれば価値が上がるでしょう。
供給としては様々な変動要素があり得ますが、天候に左右される点が一番特徴的だと思います。農家が不作に対するリスクヘッジとして購入することが、農作物先物の意味ですしね。
ただ価格乱高下が他の商品(以下ではトウモロコシと原油)の動きに類似しているため、実需ではなく金融が価格を決めているという指摘もあります。
人口70億人を突破した地球の食糧問題を考える① 日本にいると気づかない世界食糧危機の“実態”とは
また、あまりないと思いますが、個別に投資したい場合は以下のとおりです。
- CORN(トウモロコシ)
- WEAT(小麦)
- SOYB(大豆)
- NIB(ココア)
- JO(コーヒー)
- BAL(綿花)
- SGG(粗糖)
- COW(家畜)
コモディティ複数(パワーシェアーズ DB コモディティ インデックス トラッキング ファンド:DBC)
商品全般をまとめて買える便利なETFです。
ちなみに上の【DBA】とこの【DBC】の間には、【DBB】というLME(ロンドン金属取引所)上場の流動性の高い卑金属先物(銅やアルミニウム等)をまとめたETFもあります。
- ティッカー:DBC
- ベンチマーク: ドイチェバンク高流動性商品指数
- 基準価格:14.80ドル
- 信託報酬:年率0.93%
- 設定日: 2006/02/03
- ETF純資産総額: 2,141百万(米ドル)
- 月間出来高:4,918万株
- 分配:なし
構成リストは以下の通り。
コモディティ(英) | コモディティ(日) | ベース構成比(%) | インデックス(%) | 上場取引所 |
---|---|---|---|---|
Brent Crude Oil | 北海ブレント原油 | 12.375 | 11.60 | ICE-EU |
Light Sweet Crude Oil | WTI原油 | 12.375 | 10.15 | NYMEX |
Heating Oil | ヒーティング・オイル(灯油) | 12.375 | 11.89 | NYMEX |
RBOB Gasoline | RBOBガソリン | 12.375 | 12.28 | NYMEX |
Gold | 金 | 8.000 | 8.93 | COMEX |
Corn | トウモロコシ | 5.625 | 5.91 | CBOT |
Wheat | 小麦 | 5.625 | 5.28 | CBOT |
Soybeans | 大豆 | 5.625 | 6.74 | CBOT |
Sugar | 粗糖 | 5.625 | 7.29 | ICE-US |
Natural Gas | 天然ガス | 5.500 | 4.92 | NYMEX |
Aluminum | アルミニウム | 4.167 | 4.22 | LME |
Zinc | 亜鉛 | 4.167 | 4.63 | LME |
Copper Grade A | 銅 | 4.167 | 3.91 | LME |
Silver | 銀 | 2.000 | 2.25 | COMEX |
主要14種類のコモディティに一本で投資出来るものですので、これまで見てきたコモディティの特徴がそのまま出てくるETFですね。
似たようなものに「iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)」があり、こちらの方が信託報酬0.75%と安いので良いかもしれません。構成比率が少し違うだけで、概ね変わりませんしね。
その他、個別としては以下のETFもありますが、あまり有用とは思っていません。
- PPLT(プラチナ)
- PALL(パラジウム)
- JJC(銅)
- JJU(アルミニウム)
- LD(鉛)
- JJN(ニッケル)
- JJT(スズ)
金鉱株ETF(ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF:GDX)
金鉱株ETFもここでまとめておきましょう。こちらは株式なので配当があり、代わりにリスクも若干ながら存在します。
- ティッカー:GDX
- ベンチマーク:NYSE Arca金鉱株インデックス
- 基準価格:22.28ドル
- 信託報酬:年率0.53%
- 設定日: 2006/05/16
- ETF純資産総額:7.108百万(米ドル)
- 月間出来高:163,008万株
- 構成株式銘柄数:37銘柄
- 分配:四半期毎(利回り0.5%程度)
凄まじい出来高ですね。金銀を買うのはちょっとだけど、それを生業としている企業株ならいいかも、と思う人はこちらでも良いかもしれません。知らない会社ばっかりですがw
エネルギーセクターのETF
順番が前後してしまいましたが、原油を含む企業がたくさん入ったエネルギーセクターのETFをまとめておきましょう。
エネルギーセクターは景気敏感株の集まりで、今回の原油下落を受けてどこの企業も収益が低迷しており(原油は下がって売上が下がると、固定費は重たくなる)、仕込みどきではあります。
また、エクソン・モービルをはじめとして、連続増配企業が多いことも特徴ですね。連続増配というのは、事業拡大による企業価値向上に限界が来た企業が、別の株主還元手段として配当を増やし続けているだけとも言えますが。ま、事業基盤自体は安定しているため、それも魅力的です。
【VDE】バンガード・米国エネルギー・セクターETF
やっぱりバンガードが一番。詳細は以下をご確認ください。
https://www.vanguardjapan.co.jp/docs/FS_VDE_JP.pdf
- ティッカー:VDE
- ベンチマーク:MSCI USインベスタブル・マーケット・エネルギー25/50インデックス
- 基準価格:93.41ドル
- 信託報酬:年率0.10%
- 設定日:2004/09/23
- ETF純資産総額: 3,687百万(米ドル)
- 月間出来高:590万株
- 構成株式銘柄数:143銘柄
- 分配:四半期毎(利回り2.89%程度)
VDEの構成銘柄
構成銘柄は143銘柄ありますが、上位10銘柄で60%以上を占めます。これなら上位10銘柄だけ個別に投資するという方法でも良いかもしれませんね。
構成上位銘柄 | 比率(%) | 産業サブグループ | 比率(%) |
---|---|---|---|
Exxon Mobil Corp. | 20.5 | 総合石油・ガス | 37.4 |
Chevron Corp | 13.1 | 石油・ガス探査・開発 | 26.0 |
Schlumberger Ltd. | 6.8 | 石油・ガス装置・サービス | 16.5 |
Occidental Petroleum Corp. | 3.8 | 石油・ガス精製・販売 | 9.9 |
ConocoPhillips | 3.7 | 石油・ガス貯蔵・輸送 | 7.8 |
Phillips 66 | 3.4 | 石油・ガス掘削 | 2.1 |
EOG Resources Inc. | 2.9 | 石炭・消耗燃料 | 0.3 |
Kinder Morgan Inc. | 2.5 | ||
Valero Energy Corp. | 2.4 | ||
Halliburton Co. | 2.3 |
チャートを見てもそうですが、やっぱり安値圏ですよね。米国S&P500など、全て史上最高値を更新している最中に少し異質です。
【XLE】エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンドとはほぼ差がない
出来高ではこちらが38,000万株と圧倒的であるものの、信託報酬が0.16%と若干高いためにオススメ対象から外しています(バンガードの590万でも十分)。
組み入れ銘柄も比率もほとんど変化ありません。当然チャートもほとんどVDEと同じ動きをしています。
当ブログでは他のオススメETFも紹介しています。気になる方は以下の記事からどうぞ。
以下のリンクから直接飛ぶことも可能です。
銘柄名 (リンク先は分析記事) | ティッカー |
---|---|
VTI(米国全株式市場) | VTI |
VYM/HDV/VIG(米国高配当セクター) | VYM/HDV/VIG |
VWO/EEM(新興国セクター) | VWO/EEM |
VDC/XLP(米国生活必需品セクター) | VDC/XLP |
VHT(米国ヘルスケアセクター) | VHT |
VBR/VBK(米国小型株) | VBR/VBK |
VEA/VGK(米国外株式市場:先進国・欧州) | VEA/VGK |
VT/VEU(全世界株式市場) | VT/VEU |
VSS/VXUS(米国外株式市場:小型株) | VSS/VXUS |
日経平均/TOPIX/JPX400 | 1346/1348 |
S&P500/ダウ工業株30種 | VOO/DIA |
パワーシェアーズQQQ | QQQ |
PFF(米国優先株式) | PFF |
1570/1357(日経レバレッジ/ダブルインバース) | 1570/1357 |
GLD/IAU(金) | GLD/IAU |
1699/USO(原油) | 1699/USO |
SLV/DBA/DBC/VDE(その他のコモディティ・エネルギー) | SLV/DBA/DBC/VDE |
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