前編はこちらをどうぞ。
毎度のことですが無駄に長いので注意。米国ヘルスケア株の情報を個別に取るのは難しいので、VHTの構成銘柄から見ています。
本来、値上がり益狙いなら小型株を狙うべきなのですが……特にバイオテクノロジーはただでさえよく分からない先進医療技術で、しかも米国企業という点を踏まえ、有名で潰れにくい大型株狙いとしています。
なお、購入の段階では更に詳しく調査・分析するので、この記事はちょっと詳しめのリストだと思っておいてください。
目次(クリックで飛びます)
- 【JNJ】Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)
- 【PFE】Pfizer Inc.(ファイザー)
- 【MRK】Merck & Co. Inc.(メルク)
- 【GILD】Gilead Sciences Inc.(ギリアド・サイエンシズ)
- 【AMGN】Amgen Inc.(アムジェン)
- 【AGN】Allergan plc(アラガン)
- 【BMY】Bristol-Myers Squibb Co.( ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)
- 【UNH】UnitedHealth Group Inc.(ユナイテッドヘルス)
- 【MDT】Medtronic plc(メドトロニック)
- 【ABBV】AbbVie Inc.(アッヴィ)
- その他注目の米国株
【JNJ】Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)-Yahoo!ファイナンス
→詳細な個別記事を書きました!!
以下の米国連続増配株でも53年連続増配株として出てきました。
言うまでもなく世界最大の総合ヘルスケア企業で、医薬品、医療機器、一般消費者向け製品と各分野で数万の製品を投入。
【PFE】Pfizer Inc.(ファイザー)
→詳細な個別記事を書きました!
世界最大手の製薬会社ですが、相次ぐ特許期限切れでマイナス成長。ファイザー自体も近年有力な新薬開発が出来ておらず、M&Aの積極展開で巨大化してきています。
高配当が株価の下支えをしている感がありますので、米国が金利を上げたら悪影響出そうですね。
【MRK】Merck & Co. Inc.(メルク)
→詳細な個別記事を書きました!
元々の母体はドイツにありました。こちらも15-20年で多くの主力製品の特許が切れることから、M&Aによる事業再編、パイプラインの拡充を急いでいます。現時点でも売上、利益とも横ばいかやや減少傾向です。
【GILD】Gilead Sciences Inc.(ギリアド・サイエンシズ)
ギリアド・サイエンシズ(GILD)-Yahoo!ファイナンス
→詳細な個別記事を書きました!
主力製品は抗HIV剤とC型肝炎治療薬(ハーボニとソバルディ)。一錠1,000ドルという異常に高い薬価で政府やPBM(薬剤価格交渉)から公な批判を受け、すったもんだした挙句に値下げしました。
今後は抗HIV剤の特許期限切れと、高い治癒力故に後々の潜在顧客を減らすハーボニの売上減少の影響をどうするかが争点です。
【AMGN】Amgen Inc.(アムジェン)
典型的なバイオ銘柄。
DNA、分子生物学の分野に長けており、赤血球増殖薬のエポジェン、白血球増殖薬のニューポジェンの開発に成功。改良したアラネスプは06年にブロックバスター医薬品(従来の治療体系を覆す薬効を持ち、他を圧倒するシェア獲得した薬のこと)となっており、業績好調です。
【AGN】Allergan plc(アラガン)
お。これ安いwなんか失敗したんですかね→これですね。
ファイザーがアラガンを買収するという話でしたが、断念したということだそうです。これによってファイザーの株価は急上昇し、反対にアラガンの株価は急落しました。
アイルランドの医薬品企業(アイルランドにあるため、ファイザーは租税回避に利用するつもりだった模様)で、ジェネリック薬を強みにする企業です。前回の記事に書いたように、特許期限切れに伴い、ジェネリック薬は利用率がどんどん上昇しています。ただその割にはアラガンはここ数年営業利益が赤字です(14年にアクタビス→アラガンに社名変更)。これからどうなるか正念場でしょう。
【BMY】Bristol-Myers Squibb Co.(
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)-Yahoo!ファイナンス
→詳細な個別記事を書きました!
最近のニュースで検索するとオプジーボでいっぱい。小野薬品(4528)との共同開発でがん免疫療法の新薬開発に取り組んでいます。この分野は他に競合が存在しないため、後発が追いつくまでに多額の収益を上げられそうです(治療法的にも薬の継続投与が必要)。
【UNH】UnitedHealth Group Inc.(ユナイテッドヘルス)
→詳細な個別記事を書きました!
こちらは米国最大手の医療保険会社です。ちなみにPBMも業界三位になります。
業績は非常に綺麗に右肩上がりに成長中ですが、これはもちろんオバマケアの影響が大きいでしょう。なんたって全員が保険強制加入ですからね。共和党が当制度の廃止に動いていますので、選挙の行方はUNHの株価を大きく左右すると思われます。
【MDT】Medtronic plc(メドトロニック)
→詳細な個別記事を書きました!
心臓ペースメーカーをはじめとする医療機器の製造販売。心臓ペースメーカーの他、手術機器でも圧倒的なトップシェアによって高い利益率を確保しています。
【ABBV】AbbVie Inc.(アッヴィ)
→詳細な個別記事を書きました!!
バイオ銘柄。
関接リウマチ治療薬ヒュミラが売上の6割を占めるのですが、こちらが2018年に特許失効。しかし、その穴を埋める新薬パイプラインを多数持っているので、見通しは明るいようです。12年に独立したばかりなので、チャートは短めです。
その他注目の米国株
あとはニュースや新技術開発で話題になっている会社をピックアップしてみます。もし他にあれば教えてもらえると嬉しいです。
新薬開発系
12年のBreakthrough Therapy Designation(画期的な治療薬の指定)によって承認審査が高速化された治療薬開発環境により、株として魅力がありそうなのはバイオ医薬品銘柄です。難病や現代病などの治療薬開発に成功した企業を探してみます。
全般的に株価は過大評価されている感じがします。
【CELG】(セルジーン)
がんや免疫・炎症性疾患の治療薬の開発。骨髄異形成症候群の経口治療薬「レブリミド」など。
【BIIB】(バイオジェン・アイデック)
神経疾患治療薬の開発。調べていると認知症の新薬開発で成果を上げてきている模様で、今後期待ですね。
【REGN】(リジェネロン・ファーマシューティカルズ)
がん、眼病、炎症に対する治療薬の開発。黄斑浮腫治療薬「EYLEA」など。
AllAboutに良い記事がありましたので、載せておきます。
【ABT】アボット・ラボラトリーズ
ABBVの分割元。「ヒュミラ」他。
PBM(Pharmacy Benefit Manager)
何度か出てきていますが、PBMとは薬剤給付管理という医薬品会社への契約、ボリュームディスカウント交渉を行う中間業者みたいな存在です。
今は以下の3社寡占市場となっており、これ以上のM&Aは公正取引の独禁法に引っかかる可能性があります。
【ESRX】エクスプレス・スクリプツ
1億人の契約をカバーする米国最大のPBM。ギリアド・サイエンシズに対する強気の薬価削減要求など、高い米国の薬価と保険事情から、本来コストセンターであるPBMは非常に重要な社会的企業としての立ち位置を得ています。
【CVS】CVSヘルス
VDC(生活必需品セクターETF)の主要構成銘柄として記載しました。
→詳細な個別記事を書きました!
【UNH】ユナイテッド・ヘルス
上に書いたやつです。
医療機器系
医薬品と違って特許期限切れはありませんが、優れた機器がシェアを総取りするために開発競争は激しいです。オバマケアにより医療機器に対して消費税(2.3%)がかかることも注意。
ただいずれの企業も財政は申し分なく、安定している上に高い成長性も見込める、有力な投資対象です。
【ISRG】インテューイティブ・サージカル
手術用ロボットの最大手。載せるか悩みましたが、一応関連銘柄として置いておきます。
【BAX】バクスター・インターナショナル
医療機器・医薬品メーカー。売上比はバイオ医薬品開発が半分、医療機器が半分。静脈内投与用の注射器などを製造。
【BCR】CRバード
血管(売上の29%)、泌尿器(26%)、腫瘍(27%)他。成長率も良く、財政は安定しています。
【COV】コビディエン
医療機器の売上が7割。軟組織修復製品他多数の製品を持っています。
【BDX】ベクトン・ディッキンソン
医療機器(売上高の53%)、診断装置(33%)、臨床研究向け(14%)。製品数が多く、業績は安定的。
【SYK】ストライカー
人工膝関節、人工股関節などの整形外科製品が強い。
【STJ】セント・ジュード・メディカル
心調律管理が主力。技術革新の途上にある分野のため競争激化中。
これだけあれば十分でしょうか。そんなに詳しい分野ではないのですが、市場規模(患者の数)や今後の人口動向などを見ながらじっくりと検討するに値する株であることは間違いありません。
日本のバイオ株リストも作りました。