先日SBIバンガードの記事を書いていて思いましたが、VTIとVOOのどちらがいいのかという話をしていなかったと。
今回はVTIとVOOの比較をしましょう。結論から言えば、VTI優位となります。
VTIの解説記事
S&P500の解説記事
目次(クリックで飛びます)
過去リターンはVTIに軍配
VTI設立の2001/05からのリターンではVTI優位です。(青がVTI、赤がS&P500)
リーマンショック時期の下落幅やその後の回復傾向を見ても、ややVTI優位に変わりません。
配当利回りはどちらも2%前後で大きな差はありませんので、上の図がリターンの差となります。
VTIとS&P500の違い
違いはなにかと言うと、銘柄数ですよね。バンガードETFならコストは同じ0.03%です。
- VTI:3637銘柄=ほぼ米国市場そのまま
- VOO(S&P500):509銘柄=米国の大型株、かつ直近黒字の優良企業500社
S&P500の選定基準については以下も参照。
- 時価総額:時価総額が61億ドル以上あること。
- 流動性:評価日までの各半期における売買高が最低 25万株あること。
- 本拠地:米国企業であること。つまり、10-Kを提出していること、米国の売上が大きいこと(しかし、米国売上比率が50%を超えていなくてもよい)。
- 浮動株:最低 50%が浮動株であること。
- セクター分類:セクター間のバランスの維持
- 財務健全性:直近の四半期および直近の連続4四半期で利益が黒字であること。
- IPO:最低でも上場から12か月後になってから検討。
小型株が増える
ということで、VTIとVOOの差はほぼ小型株の差です。S&P500は大型株の集まりなので、VTIで増える銘柄は小型株になります。
財務優良企業を集めているS&P500のリターンが低いのは、ちょっと意外に思うかもしれません。
しかし、小型株効果と言って一般的に小型株が増えるとリターンは高くなります。シーゲル先生の研究でも検証済みです。
小型株の難点はボラティリティ(価格の振れ幅)が大きいこと、業績が安定せず大幅なドローダウンを食らうリスクがあることですが、ETFにすることでデメリットを消しています。
一株あたりの影響力は小さくなり、プラスがマイナスを上回るようになります。
- 小型株効果でパフォーマンスが上がる(プラス)
- ゴミ株が混じって全体のパフォーマンスが下がる(マイナス)
VTIは銘柄組み換えが発生しない
また、S&P500は銘柄組み換えのタイミングでロスが発生します。
なぜロスが生じるかというと、銘柄入れ替えの発表→実際に組み入れされるまでタイムラグがあるからです。
日経平均株価(225社)と同じく、S&P500は最も人気のベンチマークとして採用されているため、確実に上昇します。
それを狙ってアクティブ投資が群がり、組み入れ日には高値になっているというからくり。
ちなみに、わりとチマチマ入れ替えは発生しています。
最近だとツイッターとか。ちなみに入れ替えが発表された日、ツイッター社の株価は4.2%上昇。
参考ツイッター、S&P500構成銘柄に モンサントと入れ替え
S&P500の除外要件(参考)
- 吸収・合併もしくは大規模な再編
- 基準の一項目以上を著しく逸脱した企業
このため、銘柄組み換えはリスク要素になります。
一方でVTIは市場ほぼすべてを買っているので、こうした銘柄組み換えは生じません。
まとめると、VTIのパフォーマンス優位は「小型株効果」「銘柄入れ替えなし」が影響しているものと思います。
銘柄数も多く出来高十分のVTIを優先して買う方針でいいかなと思っています。ま、アセットや国、セクターを選ぶことに比べれば微々たる差ではありますが。
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ダウ工業株30種平均とS&P500を比較した記事です。
eMAXIS Slimシリーズに関する記事。
最近は米国株の購入手数料も下がったので、ETFが買いやすくなりました。
ではでは。