英国への投資と、ブレクジット(Brexit)問題をまとめておく

市況解説、投資小ネタ

ニュースでも二転三転している印象が強いイギリスのEU離脱問題、通称ブレクジット(Brexit)。

英国株への投資には、当面ブレクジット問題を避けて通れないでしょう。改めてまとめておきます。

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ブレクジット概要

ブレクジット(Brexit)というのは要するにイギリスのEU離脱です。

2016/6/23に国民投票を実施した結果、離脱が52%、残留が48%で離脱が決定しました。当時の株価は結構面白かった。

イギリスEU離脱(ブレキジット)で買うべき株、ETF 今後の投資戦略

国民投票で離脱決定後も、はいさようならとは行きません。英国はEUとの間で離脱協定について交渉を進め、EU加盟国と合意しました。

しかしながら、この離脱協定については後で見るように(主にイギリスにとって)問題点が多く、英国下院審議では通せませんでした。

そうこうしているうちに、リミットとなる2019/3/29が迫ってきました。

さあどうしようかというところでしたが、先日一旦ブレクジットの延期が発表されました。

参考為替:ブレクジット延期、ポンドは小幅安、日銀政策金利発表後に円は上昇

EU側と折り合いつかないままリミットを迎える(合意なき離脱)ことは、一旦先延ばしになった格好です。が、問題は何も解決していません。

離脱協定は下院を大差で否決されていますから、もう一度やったところでまず通せません。

参考【解説】 ブレグジット、次はどうなる 延期?――7つのシナリオ

国民投票の再実施とか、ブレクジット自体の中止とか書いてますね。迷走している状態です。

個人的には折衷案であるノルウェー方式「柔軟なブレクジット(ノルウェーはEUに加盟せず、EU市場には参加)」が良さそうですが、いいとこどりですね……。

ブレクジットの問題点

言ってしまえば単にEUを離脱するだけ。なのにどうしてこんなにややこしい話になっているのでしょう。

難しくしているポイントについて列挙しましょう。

英国内の対立

ブレクジットはイギリス中を巻き込んだ大論争となっていますが、二極化した対立構造でもあります。

未だに論争してるんですからね。

  • 反対派:保守、若者、富裕層
  • 賛成派:自由、老人、貧困層

バックストップ(防御策)条項

最大の問題はこの条項です。バックストップ条項は、英・アイルランドと北アイルランドの間で厳格な国境審査をしないという条項です。

つまり北アイルランドから入る物資はEUの検査が入るため、いつまでもEUとの関係を切ることが出来ないのです。これではブレクジットの意味がなくなる可能性があります。

北アイルランドとアイルランドの国境の扱いで揉めているのは周知の事実ですね。
両国間に明確な国境線を引くことが難しいため曖昧なままにしておくという、バックストップ条項はいわばセーフティネットになります。

英国下院は大差で否決し、当該条項の修正案を提出したものの、EUは一貫して拒否している状態です。

そもそもブレクジットの目的は、とにかくEUから離脱して欧州移民がイギリスに入ってくることを止めることでした。

離脱協定には自由移動を終わらせることが盛り込まれてはいますが、このままでは主導権がEUにあり、離脱がイギリスの利益にならないのです。

市民生活や経済への打撃

まあ離脱するのに何を今更というところもありますが、EUの単一巨大市場から離れる影響は大きいです。

まずブレクジットした瞬間にEU法が適用外となります。EUでは国境の自由な移動、労働市場の統合を認めていますから、これが突然に制限されることになります。賛成派はいいのですが、約半分いた反対派にとっては大変なことです。

また、EUの関税同盟からもはじき出されることになります。多くの自由と引き換えにEUという単一市場が維持されているのは、EU域内での経済的なメリットが見逃せません。

各国が自由貿易協定や関税協定を締結しているのはEUですから、イギリスは自身で個別に交渉が必要になります。苦しむイギリスは当然足元を見られるでしょう。

参考Brexit後における英EU将来関係取り決めの展望

EU規制からの開放と経済的な利益、この2点は矛盾した要素を内包しています。

第一に、EUとイギリスは経済的に切っても切れない関係にあります。そして規制があるから多国間から成る単一市場が維持されているわけで、イギリスが自国経済を守るためにはEUのルールに従う必要があります。

イギリスが誰をも納得させられるような交渉結果を得られることはないと思います。

英国株についての知識

さて、こんな感じで英国は二分された不安定な状態が続いています。それでも英国株への投資というのは中々魅力があるのです。

英国株は配当の二重課税がされない

英国株は配当の二重課税がされません。英国以外ではオランダやオーストラリアもそうです。

米国株の配当には10%課税+日本の課税20.315%で合計約30%の課税が発生しますが、英国株であれば日本の課税20.315%で済みます。

米国株も外国税額控除で一部返還されるとはいえ、最大30%近く持って行かれることを考えると税制上有利な投資先ということになりますね。

配当成長やリターンは米国に及びませんが、日本株よりは高リターンでした。課税の観点から配当再投資手法に向いた市場には違いないでしょう。

(出典:ジェレミー・シーゲル)

主な英国株

主な英国株は以下の通りで、ADRで購入可能です。

思ったほど記事にしてなかったので、オランダ、オーストラリア株で記事書いたやつも出しときますw

高配当株自体の不調もありますが、全体的に株価が下がっています。

ブレクジット問題で過小評価されている……とは言えないのですが、拾いやすいポイントかなと思いました。

まあ私は欧州株はVGKで済ませてしまうのですが。

 

また余談ですが、国によっては米国より高額の二重課税が生じるケースもあります。

例えばベルギーに本社を持つビール世界一のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)は、30%(+日本の20.315%)という超高額課税がされるので、配当投資には不向きです。

その他としてよく見る投資先でスイスは10%、中国は10%ということを押さえておけば大丈夫だと思います。


関連記事です。

英国は元々日本企業にとって欧州進出の入り口で、拠点にしている企業も多いと思います。

欧州最大の金融市場であるロンドン市場を有し、言語が英語という点が日本企業の欧州進出に都合が良かったためです。

そういうのが仕込みどころなのかなーなんて記事を書いて、もちろん書いたことを忘れていました。

イギリスEU離脱(ブレキジット)で買うべき株、ETF 今後の投資戦略

 

私は海外サッカーが好きなので、プレミアの動向は気になります。今年は強いですね。

イギリスのEU離脱(Brexit)で、欧州サッカーはどう影響するのか?

 

配当控除、外国税額控除についてご存知なければこちらをどうぞ。

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