3分で分かる、ビッグデータ 市場規模、発展の要素、利活用

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前回の記事は以下からどうぞ。前回は最後少し脱線してしまいましたが、ビッグデータの定義や統計学との住み分けについて見てみました。

ビッグデータについて 統計学があればビッグデータは不要なのか
既にバズワードとしての賞味期限は切れた気がしますけどねw しかしながら、なくなったというわけではなく、むしろ重要性は増してきているよう...

繰り返しになりますが、ビッグデータそのものがテーマとなるというわけではなくとも、今後ますます注目を集めるであろう多くのIT系テーマの根幹・前提として据えられることから、ビッグデータの考察には多いに意味があるものと考えています。

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ビッグデータ発展の要素

前編にて、分析主体が人間からAI(人工知能)へと変わることが大きなブレイクスルーになりそうだと考察しました。ここでは、これまで~これからのビッグデータが発展する要素をもう少し詳しく見てみましょう。

ビッグデータについて 統計学があればビッグデータは不要なのか
既にバズワードとしての賞味期限は切れた気がしますけどねw しかしながら、なくなったというわけではなく、むしろ重要性は増してきているよう...

ハードスペックの向上とIT技術の進展

IoTなんかもそうですが、ハードスペックの向上は要素として非常に大きいです。向上とは具体的に小型化・高性能化・低価格化の方向があります。

こうしたハードスペックの向上(及び低価格化による普及)はこれまで不可能だったビッグデータのリアルタイム計算を可能にしますし、そうなるとこれまで不可能とされていた技術が可能となり、新技術として進展します。また新技術は更なるハードスペック向上のインセンティブを生み、ひとつのサイクルに繋がります。

例えば、VR記事で見たような液晶関連の技術進化ですね。平面として見る場合、液晶技術はもう完成の域にあります(実際、4Kも8Kも大差ありませんよね)。しかしリアルタイムに360度のバーチャルデータを描写するVRの世界では、液晶性能が求める水準に届いておらず、没入感の足を引っ張っているのです。これは近い将来、液晶技術が再度ブレイクスルーを迎えるであろう予感をさせる事情です。

VR(バーチャルリアリティ)についてまとめた 市場規模、大手各社の動き
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半導体集積回路のトランジスタ数が2年で2倍になるという「ムーアの法則」は、2016年現在、大幅に乖離してしまい事実上終焉したと言われています。とはいえ、半導体の性能を示すのはトランジスタ数だけではありません。例えばクラウドを提供するアマゾンは、得意の規模の経済を活かしデータセンターに大量のサーバストレージを稼働させています。すると、省電力化といった方向での進化が今後も見えそうな気がしませんか。

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また、今後量子コンピュータの登場で、これまでのマシンがおもちゃに見えるくらい高速計算が可能になる未来も見えてきています。情報処理能力の進化は、ビッグデータ利活用に最も直接的な影響を生み出すと考えられます。

センサー技術の発達

特に重要なハードウェアはセンサーです。GPS、加速度センサー、ジャイロスコープなど色々な種類のセンサーがありますが、機能としてはリアルデータの収集です(そういう意味では、カメラやマイクも含めていいでしょう)。

どこにでも設置可能な上、精度も上がったことで、「リアルを切り取ったような」データを集められるようになったのです。

クラウドの浸透

ITテーマの中でも特にクラウドの浸透は大きな効果があります。

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既に各社に貯まっている一次データを活用しようとして、いちいちハードソフト揃えてシステムを構築しないと分析に取り掛かれないというのでは、投資に二の足を踏んでも仕方ないでしょう。

しかし、クラウドによってハードもソフトも所有することなく、安い初期投資で動かすことが可能となり、各社最初の一歩が踏み出しやすくなったのです。

スマホの普及は通信インフラの発展

ITトレンドで必ず言及されるポイントですが、スマホの普及によって、誰もがネットワークにアクセス可能なデバイスを片手に持っている状態が生まれました。

下の記事ですごく鋭い指摘がされているのですが、

見方を変えると「消費者自身が社会全体の通信インフラに投資してきた」とも言えるわけです。行政や事業者がやらずとも、消費者が自ら超高性能な通信デバイスを購入してくれて、月々の通信費も自分で払ってくれるわけですから。

出典:http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1406/30/news022.html

ということです。総額100兆円とも言われる通信インフラですが、各社が大金を投じてデバイスを配る必要もなく、消費者自身が購入して利用料を払ってくれるのです。スマホにアプリを落とせば、自社のサービスが届くという「いつでも、どこでも、簡単手軽に」な仕組みが勝手に出来上がっているわけです。

今後はAIがビッグデータを活かす

今もディープラーニングによってどんどん学習し賢くなるAI(人工知能)では、データ量が多ければ多いほど良いです。AIについては別記事で詳しく扱いますので、ここでは割愛します。

ビッグデータの市場規模

これまで見てきたように、ビッグデータは今後他のITトレンドと組み合わせて、継続的に成長していくものと予想されます。以下の記事では2019年に1,500億弱まで成長する見込みとなっています。

ビッグデータの国内市場は年率27%で成長、課題も山積

ビッグデータの分析に使われる情報システムなどのインフラの国内市場が2019年に1469億円に上るとの見通しを発表した。14年時点の444億円から、年平均成長率27%のペースで拡大を続ける(図1)。

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(出典:IDC)

この成長率がどれだけ高いかは、以前見たIT全体の成長率(ほとんど0%w)と比較すると分かるかもしれません。

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また、先ほどの日経の記事では、ビッグデータの認知度が情報システム部門以外では6割に留まり、改善されていないこと、ビッグデータに取り組む予定がないという企業が5割を超えていることを伝えています。

逆に見れば、まだまだ成長余地があると言っているようなものです。現時点でも足りていない人材は今後一層重宝されることでしょう。需要に対してあまりにも少ないデータサイエンティストは、今後人気化する仕事の一つになるんじゃないかな~と。分析自体はAIでも出来そうですが、コンサル含めた利活用提案は当面人間の仕事なのでね。実際、「データサイエンティスト協会」なんてものが出来たりしてます。

国はどう見ているか――ロードマップ

国の方針は投資を考える上では特に大切です。総務省、経済産業省がどのように考えているか、レポートから関連部分を抜粋してみました。

総務省 データが切り拓く未来社会

かなり長いレポートですが、ビッグデータの背景から各国におけるビッグデータの扱い状況、企業のビッグデータ利活用の実態についてなど、膨大な調査データを元に示しています。特に企業(業界)ごとの分析が濃い資料です。

経済産業省 IoT、AI、ロボットに関する経済産業省の施策について

最近のITトレンドと、経済産業省の検討・取り組みについて解説があります。

bigdata24

(出典:経済産業省)

ビッグデータは変革の支柱として捉えているようです。

bigdata22

(出典:経済産業省)

ビッグデータについては、以下のように言及されていますね。

bigdata23

(出典:経済産業省)

総務省 平成27年版 情報通信白書

ICT利活用の進展状況を概観したもの。多数のアンケート結果を用いており、今後のトレンドが見えてくるような内容なので、是非ご一読を。

見ていて特に気になったのがこれ。雇用創出は政府の再注目テーマなのです。というか20万人の雇用創出って……今の日本は失業率3.2%で216万人(16年5月)となっているので、約1割の雇用がまかなえる?

まあ完全失業率ってゼロにはなりませんし(フィリップス曲線だっけ?w)、単純計算も出来ませんが、地方移住と合わせてトレンドを作るかもしれません。

bigdata27

(出典:総務省)

bigdata25

(出典:総務省)

ビッグデータに言及しているのはこの辺りでしょうか。三つの資料の中では一番面白いネタが多い印象でした。

bigdata26

(出典:総務省)

ビッグデータの利活用事例

一般論

情報収集から解析までのフローごとに様々なテーマと結んでいて、活用事例もそれだけ多くなりそうです。

  • 収集:IoT(ウェアラブルデバイス、センサー)
  • 取捨選択:AI、機械学習、ディープラーニング
  • 保管:クラウド
  • 検索:API、レコメンド
  • 共有:SNS、シェアリングエコノミー
  • 転送:ネットワーク(5G)
  • 解析、可視化:AI、機械学習、ディープラーニング

これまで見てきたように、今後は特に解析・利活用に照準を合わせていくと思われます。「現実を現実のままデータとして把握する」ところの次の段階として、利活用の観点では以下のポイントが重要でしょう。

  • Who:消費者(ターゲット)のペルソナ、パーソナライズ=ワン・トゥ・ワンマーケティング
  • What:消費者(ターゲット)のニーズ=振る舞い分析・企画工程からの最適化
  • Which:情報入手ルート、デバイス等=消費フロー把握
  • How:気持ちの変化=提供機会創出
  • Where:場所、行動=提供機会創出

こうした情報を正確に捉えることにより、はじめてビッグデータによる価値創造が可能な土台が出来るわけです。それでも、ありきたりなデータ解析では統計学による範囲を超えません。前記事で記載した通り、IT――特にAIの利活用を中心としたブレイクスルーが必要です。

  • 規模拡大:すべてのデータを活用して分析する
  • 範囲拡大:データを多角的に検証する
  • 組み合わせ拡大:データを組み合わせて新たなアイデアを生み出す

どうです、このトレンドワードをこれでもかと盛り込んだ、分かるようで全く意味不明な説明はww

事例いくつか

書くとキリがないのですが……。

Eコマース

特にECサイトは先行事例としてブレイクしそうな感じがします。

Eコマースはコンピューター上の処理だけで完結するためデータ収集が簡単で、利活用コストも低いのです。IoTによって現実世界もデータ化しますが、まず先にあるのはすべてデータとなっているEコマースかなと。企業としてはAmazonを推してもいいのですが、個人的にはNetflixのインパクトが勝りますね(コンテンツ産業の構造を変えた企業としても)。

Netflixはビデオ・オンデマンドの配信をメインとした事業をしていますが、数百人のアルバイトがビデオを視聴し、マニュアルに沿ったタグ付けをしていくことで、より視聴者のニーズにマッチしたレコメンドが可能なのです(なんとレコメンドからの流入率75%だとか)。

私も将来的にはコンテンツ産業に関わりたいと思っているので、Netflixは詳しく調べているところです。また別記事にしたいなあと思います。

犯罪対策

所謂予兆検知です。膨大なデータを元に、犯人が犯行前に見せる「不自然な行動」を機械が認識します。ECサイトにおいて、例えば大量注文&取り消しを繰り返す等の不自然な行動を検知して不正使用を防ぐ仕組みが導入されてきていますし、現実世界でも監視カメラとリンクして防犯対策が強化されるでしょう。

フィンテックでは個人単位での与信判断としても既に活用されています。

医療

同じく予兆検知として、人が気づかないような微かな変化を認識して警告してくれる医療システム(アドバイザー)は、医者不足&高齢化が叫ばれる日本において今後発展していく有力分野だと思われます。

また、医療ではないかもしれませんが、自動車事故を未然に防ぐ、渋滞を緩和するなどの自動運転とも絡めた成長も期待されます。

農業や伝統工芸

職人の「経験」がデータになり、世代を超えて伝えることが可能になります。医療と同じく人口不足が問題となっている農業などで活用されそうだと見ています。

ちなみに、ビッグデータとロボットがあっても、正確な出力には絶対に職人が必要です。技能を更に成長させるためにも職人が必要ですし、彼らの仕事がなくなるとは思っていません。

事務作業、コールセンター

面白い取り組みとして、コールセンターの無人化があります。お客様の不満・課題はビジネスの種でもあり、音声分析やキーワード分析によって次のビジネスにつなげていくことが出来るでしょう。

あとコールセンターではうつ病も多いので、あまり人を置きたくないんじゃないですか。そら四六時中知らない人に怒鳴られて謝り続けてたら精神参っちゃいますしね。


他のIT系テーマについて以下でまとめております。よろしければ合わせてお読みいただけるとうれしいです。

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