円安止まんないですね。
実際20年ぶりの円安水準という言葉が連日踊っていますから、一つの大相場を迎えていると言えるでしょう。
こうなると「もっとドル持っておいたほうがいいのか?」「どこまで円安が続くのか?」と不安にもなります。
今回は改めてドル転タイミングを検討してみましょう。
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ドル円相場の見通し
これからの為替相場がどうなるかなんてもちろん分かりません。
私はだいたい110円前後になればOKという判断でやっています。これが基準です。
長期的な傾向(おさらい)
長期的な傾向としてみれば、円高円安どちらにも振れるファクターがあります。
- 金利を見ると円安ドル高
- 業績やGDPで見ると円安ドル高
- 貿易の実需を見ると円高ドル安
- 長期リセッションには円高ドル安
- 購買力平価説に基づくとやや円高ドル安
- 政治的要因は不明
個人的にはやや円安優位の目線でいますが、米国株投資家は円高だと損をするので悪いほうを想定して運用した方がよいですね。
大枠の上限下限を60~150円に取り、中央値近い100~110円から大きく外れないようなタイミングでドルを買っておけばいいと思っています。
短期的な傾向
なんで最近円安なの?というのも明確な理由は説明が難しいのですが、複数の要素が絡み合って円安が進んでいると考えられます。
これはそれっぽい説明をするための言葉なので、実際には「ウクライナ情勢で不安定だから有事のドル買いが進んでいる」みたいな単純な説明で片付くものじゃありません。
日米インフレ差=金利差の拡大
一番言われているのは、日米インフレ差の拡大から来る金利拡大ですね。
金利が高い通貨ほど持っているとリターンが大きくなるので、金利の安い国(日本)から金利の高い国(米国)に流れて円安ドル高になるという原理です。
そもそも今の米国はインフレがすさまじいことになっています。
消費者物価指数が11か月連続で5%を超える伸び率を記録するなど、40年ぶりのインフレ水準となっています。
主な要因と言われる家賃や自動車価格についてはピークアウトが見えてきていますが、ガソリン価格はウクライナ情勢次第、賃金上昇もまだ続いている状態となります。
ピークアウトしてもインフレ率が高止まりする懸念は引き続きあるということです。
さて、インフレ退治の王道は政策金利を上げることでしたね。
こうした状況やFRBのコメントを受けて、市場予想としては今年7~9回の利上げ予想が立っています。最終的な金利は1.8~2.5%の間とする予想が多いです。
金融引き締めが加速することで、当然株式市場も下落するでしょう。しかし過度なインフレを抑制するために利上げを急ぐ方針は既定路線と言えます。
一方で、日本は利上げが進んでいません。
長期金利が上がらない理由もやはりいろいろありますが、政策的に金利を上げたくない意向が強いのです。実際、国債無制限買い取り(指値オペ)を発動して長期国債利回りを一定以上にしないような政策を続けています。
なぜそうしているのかというと、ここ10年低金利によって民間の消費需要が喚起され、住宅ローンの借り入れ等が進んだこと、さらに政府としてもアベノミクス以降は大規模緩和による国債発行を連発して予算に充ててきたことが背景にあります。
この状況で金利が上がると民間も政府も返済が重くなって困るということです。
だから政策としては「状況を注視する」しか言ってないんですね。
かといってこのまま放置すれば金利差がどんどん広がって円安ドル高が止まらなくなる可能性もあります。そうなると輸入品、特に食物などの生活必需品の価格が高騰して家計に直撃することになりますが。
今の為替相場はこうした日米金利差の拡大を織り込んで円安ドル高に振れているとみるのが妥当でしょう。
今、ドルを買うべきか?
なんとなく解説したところで、なんとなく対策も考えていきましょうか。
どこまで円安が続くのか?
チャート的にも次のポイントとなる130円の壁は固いんじゃないかと思います。
大きな節目としてはそのあと135円、147円と続くので、このどこかで止まるんじゃないかと思っています。
チャートを見るに、少なくともウクライナ情勢の収束などの大きなトレンド転換が来ない限りはここ1~2年のうち120~135ドル近辺をうろつきそうに見えます。
逆に147円を突破したら次の抵抗帯は非常に遠いので、早めにドル転したほうがよさそうです。
現状だと円安トレンドが止まる材料がなさそうに見えますが、材料出尽くしで戻ることも普通にあります。
130円どころか150円行くとか200円行くみたいな悲観論が目立ちますが、なかなかそんな一方通行に行くことはないんですよね。
まして為替相場は株式市場に比べて動きが小さく、ほとんどの年で1年に20円も動かないです。
ドル転のタイミングについて
なので今ドルを買っておくべきかというと、個人的には別に今すぐ急いで全部ドル転したほうがいいとは思いません。
とはいえこれは私が資産の大半を既にドル転しているから言えることでもあります。
私みたいな人は結局ポートフォリオを作ることを優先するべきなので、購入時にドルが不足していればその時の時価でドル転するくらいでよいと考えています。
さっき見たように私はだいたい110円近辺でのドル転をしていたので、130円近辺だと将来の円高リスクに対してリターンが微妙そうな気はします。
逆に海外資産がない人はすぐにドル転しておくべきだと思います。
私は資産の最低半分は海外資産が望ましいと思っています。多くの人は給料は日本円だと思うので国内資産は十分すぎると思います。
円資産しか持っていない人が円が弱くなるという自分でどうにもならない状況に置かれることに比べれば、持っている海外資産が為替変動で多少増減する程度は小さいリスクと言えるのではないでしょうか。
株を買うことが為替ヘッジになる
ちなみに、株を買うことで為替ヘッジに繋がる面もあります。
購買力平価説によるとインフレ発生は他国とインフレ差を生み通貨安を引き起こしますが、株もインフレで上昇するので株を買うこと自体が為替ヘッジになっているということですね(さっきまでと逆の話になっていますが、為替の説明はだいたいこんなものです)
今後円安が是正されて円高に戻ったとしても、せっかく変えた外貨をまた円に戻す必要はありません。そのまま外国株に投資しておけば為替リスクを相殺してリターンを生んでくれるでしょう。
ドル転にハードルを感じる人も、つみたてNISAで購入出来る海外株の投資信託などを検討してみてください。
余談:円高と円安どちらがうれしいのか?
円安で嬉しいかと言われれば微妙なところもあります。今の資産が増えていくプラス面がある一方で、今後の買い付け可能額が減っていくマイナス面もあります。
資産形成フェーズは円高が良くて、運用フェーズは円安が良い。そんなうまい話はないのですが。笑
結局のところ、安定した為替レートが一番望ましいのです。
でもレートは安定してくれないので、資産のほうを分散して円高円安どちらに振れても大丈夫なように準備しておくのがよいのではないかと。
動画再掲
関連記事です。
過去の米国利上げでの見解をまとめたものです。
金融引き締めで景気が悪化すると、上場企業の倒産が増えるでしょうか?
リーマンショック時には上場企業のうち1%が倒産しました。これが非常に大きい数字だという話です。
米国はコロナショック後にゼロ金利にしていました。その頃の記事。
ではでは。