たまに手息抜きコラム記事でも。
投資の勝ちパターンは人の数だけあるものですが、失敗するパターンはごく限られたものです。よくやってしまいがちな失敗として、買った理由を捻じ曲げるというものがあります。
別に買ってないのですが、例えば東芝株を買う場合で考えてみましょう(ちょうどこのブログで人気記事ランキング一位だったので)。
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シナリオは最後まで変えない
買ったとき
例えば東芝の株を一株209円で買ったとき、まあ買ったわけですから、何かしらの理由がありますよね。
- 割安だと思った根拠がある(チャート、各種ファンダメンタル指標)
- そのうち下げ止まって反転すれば利益になるシナリオ(それまで耐えられる)
そうした情報から買うことを検討して、どこまで行ったら手仕舞う(利確と損切り)を考えて購入に踏み切ったはずです。もし出口戦略を考えてなければそれもやってしまいがちな落とし穴なので注意しましょう。
さて、具体的にはこんな理由だったとしましょう。
- 200円付近に強い抵抗帯があるから、そのあたりで買っておけば反転しそう
- 200円は最安値だからお買い得
- なんだかんだ東芝はでかいし潰れないでしょう
- 別に成長しなくてもコストカットして利益が出るようになれば元に戻る
- BtoBとか原発とか主力事業が復活してうまくいく
相場の世界はAが入力されたら必ずBになる世界ではないので、確実に予測することは出来ません。なので過去に照らし合わせると若干有利である=優位性があればなんでもいいと思います。
そうして、売るタイミングを以下のようにシナリオ立てておきます。
- 損切り:200を確実に割ったら止めるポイントが150または最悪100まで来ないから、騙しの様子見込で140になったら損切りする
- 利確:市場の猜疑心から16年の上昇より鈍りそうだから、350で利確する
ということで、このトレードはリスクリワード優位で、トレンドの転換点を狙った取引です。
実際に落ちてきて
では、このあともし実際に150円を割って140円まで落ちてきたとしましょう。まあそうしたら切ればいいだけなんですが、人には損失回避性向という厄介な性質があります。これが自分自身で立てたルールを捻じ曲げてしまうんですね。
- まあ100円がホントの最終防衛線だからそこまで様子見(出口の移動)
- 最初の考え方が悪かっただけで、これから戻りそうなニュースが出ている(開始地点の誤り)
- 元々長期で持っていつか戻ればいいと思ってたから戻るまで放置(時間軸のすり替え)
- 平均単価下げるために買い増し(予定しないナンピン)
なにせ自分で自分に制約をかけるというのは尋常ではない忍耐力が必要なもので、それにお金の誘惑と損失回避が重なると、もう守れません。
ですが、これで単発的にはうまくいくことがあっても、回数を重ねるごとに勝てなくなっていきます。ルールの一貫性を無視していますから、既に自分の優位トレードにはなっていないのです。
加えて、ドローダウンのリスクが大きくなり、投資第一の鉄則である「大損を避けること」を守れなくなってしまいます。
ちなみに、例えば300円くらいまで上がって、利確の場面でも同じことが起こります。もう十分プラスになってるから、下がる前に利確しようというものです。利確は非常に難しいのですが、大抵は当初シナリオに従ったほうが良い結果になりますので、そのままにしておきましょう(特に短い時間になればなるほど)。あるいは、私の個別銘柄記事のようにシナリオを変化するリスク要素を書き出して、顕在化したらどうするか考えておくのはありですね。
買う前と保持している最中とでは、後者はどうしても見方にバイアスがかかってしまうこと(例えば保有株に打撃となるニュースを過大に評価してしまうとか)、あとはやっぱり途中変更で一貫性が消えてしまうことがよくありません。途中でシナリオを変えると自分の意志で行動決定した感があって満足感は高くなりますが、失敗したときの後悔も大きくなります。
投資回数の多さは場数の多さ
どうやって克服するか。機械的な損切りは簡単には出来ないので、問答無用で指値逆指値を差し込んでおくことをおすすめします。私は常にそうしています。
ちなみに、私はやっと上のようなミスが少なくなってきました(たまにやらかします^^;)。それは知識として学んだためではなく、デイトレをずっとやって来ているからだと思っています。結局のところ、何度も売買して色々失敗して身につけたというのが本当のところです。
買うとき売るとき、いつも注文クリックする瞬間にドキドキしませんか? 慣れてないんですよ。短期投資を薦めるつもりはありませんが、中長期投資は投資機会が少ないので「売買」が上手くならないんですよね。
であれば、そもそも売らない(永久保持銘柄だけに投資する)とか、やり方を自分の好みに合わせるほうがよいと思います。
なんともまとまりのない駄文でしたが、これで失礼します。