Twitterで上げたやつですが、お金に関する世界の数字をまとめたグラフが面白いのでご紹介。一般教養としても大切です。
これ面白い。お金に関する世界の数字がまとまってる。
マネーは世界に86.5兆ドルあって、うち67.5兆ドルが株式市場にある。
金の価値は7.8兆ドルあって、暗号通貨の価値は(意外にも)220億ドルもある。
右の方にジェフ・ベゾスやビル・ゲイツが出てくるのがおそろしい。https://t.co/ve7sdwRnKJ pic.twitter.com/4coXkJz1eQ— 和波@投資活動アカウント (@w_73t) 2019年2月16日
念のためですが、Tはtrillion(兆)のことです。
追記)動画つくりました。よかったら見に来てね。
目次(クリックで飛びます)
世界にあるお金の総量
現時点で世界にあるマネー(通貨供給量)は86.5兆ドル。日本円にすると9,515兆円で、1京円の大台を見据えています。
広義の通貨と狭義の通貨
Physical Moneyは現金流通量と読み替えるのだと思いますが、これが34.4兆ドルです。世界にあるお金の総量とイコールでないのはなぜでしょうか。
これはかつて使っていた広義のマネーサプライと狭義のマネーサプライの考え方です。
- 広義流動性:M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債=86.5兆ドル
- 狭義の通貨(M3):現金通貨+全預金取扱機関に預けられた預金=34.4兆ドル
市場に流通する現金(紙幣、硬貨)に限ると5兆ドルくらいらしいです。
また余談ですが、日本は世界でもキャッシュレス化が遅れた国で、現金が8割近くを占めています。2016年の中国はこれですが、今は5割超えてたはず。
マネーストックとマネタリーベース
似たような単語が多くてややこしいので、ついでに軽く解説します。
- マネーストック:世の中に出回っているお金の総量のことです。M3をよく使います。
- マネタリーベース:日本銀行が供給する通貨(市中に出回っているお金である流通現金+日銀当座預金)。信用創造のもと。
世界の経済活動は以下の図のように、中央銀行→民間銀行→個人へ貸出という形でマネーが流れていきます。
この図は公開市場操作の仕組みを説明していますが、日本はずっとゼロ金利なので金利を下げることでの景気刺激策(不景気時)が出来ません。
そうすると日銀が次に操作するのはマネタリーベースということになります。量的緩和ってやつですね。国債を買い入れる形で市中にマネーを供給し、経済を回そうというものです。
これはつまり、マネタリーベースを増やしていると言い換えられます。
マネタリーベースを増やす意味はあるということ
少し話がそれるのですが、日本の失われた20年に景気浮上しなかったのはマネタリーベースを増やしたのにマネーストックが増えなかったからと言われています。
要は日銀がたくさんお金を刷っても民間に使うアテがなかった、というものです。これはちょっと誤解を生みます。
実体はマネーストック>>>>>マネタリーベースなので、以下の左側の図のように、マネタリーベースの増加に伴いマネーストックも増えてはいます。傾きがやや違うというだけの話です。
マネーストックはマネタリーベースから信用創造して増えたぶんのお金を含みます。それが鈍化しているという理屈は通ると思います。
が、それをもって量的緩和は無駄だというのは誤りです。
反証として、日本は異次元量的緩和の結果、欧米よりはるかに巨大なマネタリーベースを生み出しました。
実体経済の回復については微妙なところですが、アベノミクスとともに少なくとも「デフレから回復」したというのが成果と言えるのではないでしょうか。
また、米国も異次元緩和によってリーマン・ショックから速やかに立ち直りましたよね。
かつてはGDPと同じだったマネーストック
以下のグラフを見ての通り、2000年半ばくらいまで世界のマネー総量とGDP推移はほぼ同じ軌道を描いていました。
それが近年は差が広がり始め、世界の国内総生産(GDP)総額よりも16%多い計算になります。リーマンショックや量的緩和の影響が大きいと言われています。
負債は200兆ドル、デリバティブは1200兆ドル
ちなみに、1京円というマネーサプライを遥かに上回る数字が2つあります。負債とデリバティブです。とんでもない数字ですね……。
資本主義社会の凄さが分かるでしょうか。資本主義というのは将来の成長を前借りしている経済体系です。これが信用創造ですね。
世界にある富より多くの負債がある、レバレッジが効いているというのはそういう仕組みが作用している証左です。
このへんまで含めた本当のマネー総量は1600兆ドル(17京6000億円)くらいと言われています。
マネーの8割が株式市場に流れている
ここまで書いてほぼ満足なのですが、せっかくなので残りも見ていきましょうか。笑
株式市場は67.5兆ドルです。貨幣供給量の78%が株式市場にあるという計算になります。すごくないですか?
シーゲル先生の調査によれば、株式市場は過去200年で年平均6.7%のリターンを叩き出しました。世界のマネーが集まっているのですから、それも当然でしょう。
現在も単独でランクに入っているアップルやアマゾンはとてもすごいですが、それすら霞む圧倒的な規模感ですね。
ちなみに、日本が1989年末に史上最高値をつけたときの時価総額は約590兆円だったそうです。
金が7.8兆ドルもある!
金というのは多くの人がアセットクラスとして検討すると思います。株式市場との逆相関に期待して。
残念ながら金はそれ自体で金利を生まないので、保有する場合は値上がり益が出ないと意味がありません。
先ほどと同じグラフですが、シーゲル先生の調査によれば、過去200年の年平均リターンは0.6%にしかなりませんでした。
一方、レイ・ダリオの全天候型ポートフォリオには金が7.5%含まれます。彼のポートフォリオは過去75年間での最大損失額がわずか-3.93%でした。
金の説得力は今もなお7.8兆ドルもの価値を有している点です。さすが長らく世界経済の中心にあっただけはあります。
金・ドルを国際通貨とした固定相場制:金ドル本位制は1972年まで有効に機能していました。
世界の流通通貨割合
世界の基軸通貨であるドルが43.8%、円も10.8%のシェアを有しています。
1日あたりの取引量は5兆ドルということで、日本のGDPより巨大な資金が毎日動いているということになります。
日本の株式市場の資金移動は1日3兆「円」なので、1/100にも満たないということです。
参考東証、1日平均売買代金3兆円超 リーマン後初、過去2番目の水準
こういう数字を一般常識として覚えておくと、なんだかんだ重宝します。たぶん。
ビットコイン意外と頑張ってる
暴落続くビットコイン(仮想通貨)ですが、1120億ドルと案外健闘していると感じました。もう浮上の目は薄いと感じていますけれども。
なんといってもベゾスなら一人でビットコインを買い占められるというのが資本主義の暴力ですね……。
1億円でアーリーリタイアとか言ってると、規模感の違いにおかしくなってくる数字ですね。
マネーの量をおさえると経済規模を掴むのに最適だと思うので、今回紹介した数字をベースに比較してみてください!
動画もよろしくです。
ではでは。