さて、長々と見てきたVRの関連銘柄を見ていきましょう。前の記事はこちらからどうぞ。
これまでの分析でARほど流行しないよなあと思いつつ、それでも注目を集めているテーマであることと、個人的にも頑張って欲しいところなので、銘柄も探してみることにしました。VR構想自体は1980年頃からありますが、遂に現実になってしまったんだな~という感覚ですね。
とりあえず好き勝手な考察を載っけているので、一つの意見として参考程度にしてもらえたら嬉しいです。
※ARの関連銘柄は以下に記事を書きました。
目次(クリックで飛びます)
VR本体(=プラットフォーム)関連銘柄
Appleが2007年にはじめたスマホ事業も、軌道に乗るまで3年程を要しました。VRプラットフォームも「終わった」とか「いやこれから流行る」とか言われながら様子見が続くでしょう。
受け入れられるかどうかはどうしたって分からないので、株は安く買ってリスクを抑えつつ、当たった時の爆発力に賭けるのが正しいやり方です。
ソニー(6758)
プレイステーションVRが2016年10月13日発売予定。
見てきたように、今回のVRはサービスではなくプラットフォームであり、ビジネスの根幹です。市場規模ではVRゲームに次ぐ二番目(VR hardware)ですが、競争する企業は今のところソニーの他にFacebook、Google、HTCくらいです。収益力も強く、いかに魅力的なコンテンツで新規を呼び込めるかが鍵になります。
プラットフォーム競争といっても高度な技術が必要のため企業数は少なく、安価なPS4が史上最速ペースで普及しているソニーは最有力と言っても過言ではありません。スマホアプリのように、新しくゲーム市場を開拓するのではないかな~と思います。
なお、ソニーの中のゲーム事業を見てみると、昨年比で84.3%の増益と絶好調であることが伺えます。PS4の勢いが凄まじく、人気も注目度も上がったまさに絶好のタイミングでのVR投入となるわけです。
ゲーム&ネットワークサービ分野の売上高は1兆5,519億円、営業利益は887億円となっており、これは全体の売上高の19%、営業利益の30%を占めています。ソニーのV字回復を牽引している事業の一つと言えるので、VRの成功可否は株価への影響も大きそうです。特にソニーは他のテーマ株に関連あるものが少ないため、大きな企業ではありますが、狙い目かもしれません。
Facebook(FB)
オキュラスリフトを買収したFacebookも当然有力候補です。まあFBは今やIT界の巨人で各ジャンルで注目を集める企業なので、VRの成功のみでどこまで株価に反応するか見えないです。ただ、「ソーシャル」という分野は今後もますます発展していくと思われますし、Facebookが今後の事業にソーシャルVRによる「新しいソーシャル体験」を見据えていることは事実です。
今後も右肩上がりに成長する長期保有銘柄としても有力なので、この機会に購入を検討してもいいのかも。奇しくもBrexit騒動で全般的に株価が下がりそうですし(今はPER70倍だそうです。私はPERで投資判断しませんが、それにしても……な数字)。
任天堂(7974)
今のところ全く動きがありません。バーチャルボーイの失敗で二の足を踏んでいる印象です。
ということで、逆にこれからVR参入を発表することを見込んで、今から仕込むというのはどうでしょう。あり得る線としては、次期据え置き機NXにぶち込んでくるとかでしょうか。当初はVRを時期尚早と判断していたようですが、NXの詳細発表延期によって、下の記事みたいな憶測も上がってきています。
まあここの株を買うなら、もうちょっと業績戻してくれないと怖いかな……小さい企業でもないので、もっと安定してほしい。
Google(GOOGL)
まあでも結局Google様が全部掻っ攫って行きそうな気もするw
やっぱりですね、安さ、手軽さ、ARへの発展性、VRで体験したいこと一位が旅行・観光系であること等を総合的に考えると、スマホVRはそこそこ普及しそうに思うんですよ(前記事に書いたように、据え置きVRとスマホVRは住み分けされる)。
とすると既にGoogle Cardboardを売出していて、Android OSにもVR/AR対応を打ち出したGoogleはこのテーマでも一定の成果が見込めるのかなと。AI/自動運転への注目の方が大きいとは思いますが、選択肢に入れておきましょう。
VRゲーム・観光・体験関連銘柄
流石に米国企業まで追い切れないので、日本企業の中で探します。
プラットフォームが浸透してくれば後から後から参入してくると思うので、初期市場はプラットフォーム競争ほど大切ではありません。とはいえ、スマホにおけるAngryBirdのように、良質コンテンツとプラットフォームとは「ニワトリと卵」の関係ですので、現時点で有力なものを押さえておくことにも意味はあります。
まあゲーム各社VR参入を表明しているので、ソフトの当たり外れ次第でどうとでも勢力図が変わってしまうわけですが……↓の記事は参考になるかもしれません。
VRクリエイティブアワード 2016のファイナリストが発表。SAOや攻殻機動隊など全11作品を紹介
ピクセラ(6731)
AR/VR関連銘柄で探すと、とにかく良く見るのがピクセラ。元々テレビ等のチューナーを販売している会社ですが、今後はAR/VR事業に積極参入するようです。特にパノラマVR体験アプリ「パノミル」で360度のパノラマ映像を提供する点に注目が集まっています。
前記事でも取り上げたように、実はゲームよりもスマホVRによる旅行・観光系ビジネスのほうが期待度が高いんだとか。
出来高も400万を超えていますが、直近4年、売上右肩下がりで赤字垂れ流し状態なんですよね。この辺りも株価の反応が鈍い原因だと思うのですが。
パノミル自体は無料アプリなのですが、ピクセラが管理・運営するクラウド上のパノラマ動画のみ対応の模様で、ここで集金するモデルなんでしょうね。技術的に優位性がそこまでなければGoogleやAmazonが似たものを作って自社クラウド(あるいは動画サービスとして)立ち上げてしまうので、個人的にはイマイチに感じました。なにか間違ってたらすいません。
サイバネットシステム(4312)
ARの本命と言われていますが、VRでもソニーと共同でVRソフト開発が見込まれる模様。
cybARnet(サイバーエーアール)は安価で簡単にARを作成・配布出来るポータルサービスです。
イマジカ・ロボットホールディングス(6879)
イマジカ・ロボットホールディングス(6879)-Yahoo!ファイナンス
映画やテレビ番組の企画、制作事業。3DCGに強く、VR技術を活用した映像制作を増やしていく方針。
子会社のイマジカイメージワークスが、ピクセラと共同でサッカー中継をVRで行う実験をしているようで、今後目立つかもしれませんね。オリンピックでもっとAR/VR取り込みたいでしょうし。利益がどんどん下がってるのは気になるけど。
サッカーの試合でパノラマVR ライブ配信の実証実験を IMAGICA TVと共同で実施
バンダイナムコホールディングス(7832)
サマーレッスン、それだけ。
しかも技術紹介だけで販売については未定っていうね。
IGポート(3791)
バンダイナムコエンターテインメントの子会社、プロダクション・アイジーが人気アニメ「甲殻機動隊」のVRアプリを製作していることが好感触を受けて、一時ストップ高。
考察してきた通り、キャラクター産業はVR事業と相性が良く、特に人気コンテンツともなればVR化するだけで収益が見込めそうな気がします。
ソシャゲ企業系
だいたいみんな参入します。長くなるので、簡単にまとめました。
- gumi(3903):「Tokyo VR Startups」を設立して積極参入。
- コロプラ(3668):「Colopl VR Fund」は世界最大級のVRファンド。Oculus Riftで主力アプリ白猫プロジェクトのVR版「白猫VRプロジェクト」をリリースするなど、かなり積極的に見えます。
- ジグソー(3914):ジャパンコンテンツのグローバル展開を行う株式会社LLへ出資。同社を通じてVRサービス展開におけるIoTデバイス及びデータコントロール検証に注力する。
- カヤック(3904):前記事で書いたVRで見れるWebページとか。
- グリー(3632):「Gree VR Studio」。フジテレビとタッグを組んでコンテンツ創出とのこと。
- モブキャスト(3664):米国法人エンハンス・ゲームズに出資……というネタに反応して急騰。
- JIG−SAW(3914):AR/VRエンジン+Unity 3Dの提供。
などなど。
気になるのは企業内でのVRの位置づけですよね。現行ソシャゲの課金型ビジネスモデルを脱却・進化させる方向なのか、それとも今のモデルを補完するのか、全く別のモデルとして併存させて上手く軌道に乗ればよし(最悪乗り遅れなければよし)なのか。
たぶん最後なんでしょうね。いくらGoogle Cardboardが1,500円で買えるからといって、わざわざソシャゲのために買って楽しむイメージは全く湧かないですし、そもそもHMDを装着してプレイする時点で外では不可で、空き時間ポチポチのソシャゲとは相性最悪だと思います。今までのノウハウがどうにも活かされない気がして、ソシャゲと住み分けしてきたバンナムとかのゲーム企業のほうが上手くやれるんじゃないかなあと。
こう考えるとHMDって1980年代からあったわけで、その頃の姿形に固執しすぎなのかもしれません。もっと自然に人にフィットする出力デバイスがあればVRは絶対流行ると太鼓判を押せるのですが……それはMRの領域なのかもしれません。
VR周辺機器(ディスプレイ、ミドルウェア等)関連銘柄
テクノホライゾン・ホールディングス(6629)
テクノホライゾン・ホールディングス(6629)-Yahoo!ファイナンス
360度カメラ(全天球パノラマ撮影用カメラシステム)でフランスのVideoStitch社と業務提携しています。
VRが普及すれば(特に旅行系のVR)、必然的にVRを撮影するカメラも売れていくはずです。そういう意味で、確実な恩恵を受けやすいところだと思います。
ちなみにVRが普及しない場合って、360度カメラはあまり使い道がないものなんでしょうかね?
Youtubeでもスクロール(ドラッグ)で360度動画が見れるようになっていますし、少しはないかなあ……でも機材とか特殊だから難しいか。ここもそうだけど、VR企業赤字が多いですね~。
乃村工藝社(9716)
こいつは高騰してますね。
前にご紹介した、4月21日(木)にリニューアルオープンした「サンシャイン60」(東京・豊島)の展望台で、VRを活用したアトラクションを展開しています。
名前知りませんでしたが、展示施設のディスプレイ事業を川上から川下まで手掛ける最大手なんですね。堅実経営をモットーに決算も右肩上がりで堅調に推移、良さそうな会社ですがちょっと高くて手が出せません。VRで爆発力も秘めていて、こういう株を安く仕込んでおきたいものですが……。
シリコンスタジオ(3907)
VRの本命銘柄の一つ。ハードと同様に欠かせないミドルウェアの制作を手がけており、おかげでゲームのみならず住宅、建築、自動車、映像など多方面に展開可能です。
※ミドルウェアはOS(VRの場合はHMD)とアプリ(ソフト)の中間にあって、様々なソフトで共通して使われる機能を提供するものです。
下の記事はGDC2016のレポートですが、和服女性のリアルタイムレンダリング映像、リアリティと表現の豊かさが素晴らしいです。こういうのアダルトに活かせそうで、その点も注目なんですよね。エロは強い(小声)
【GDC2016】会場で気を吐く日本企業、CRI、シリコンスタジオ、ミライセンス、H2L
CRIミドルウェア(3698)
同じくミドルウェア事業。基本料金+許諾料で売れれば売れるほど稼げる仕組み。
映像・音楽に特化したミドルウェアを研究開発。CRI Sofdec2 for VRはVR酔いのない滑らかなムービー再生を可能にするミドルウェアで、高画質、高機能かつ軽い処理を実現出来るため、VR市場拡大に伴って売上拡大が期待できそうです。
他のIT系テーマについて以下でまとめております。よろしければ合わせてお読みいただけるとうれしいです。