ボブの絵画教室ってご存知の方いらっしゃいますか?
90年代に日本でも放送されていた、30分で超本格的な絵を描いてしまうボブ・ロスの油絵講座です。
Youtubeにたくさん動画がありました。初見であれば、あまりの完成度にびっくりすると思います。
油絵経験者であれば、何をどうやったら30分で絵が出来るんだと思うでしょう。
ボブロス画法ではリキッドホワイトという白い絵の具を油で伸ばしてキャンバスに塗りたくっており、その上に(リキッドホワイトが乾かないうちに)色を乗せていっているのです(Wet-on-wet)。これによって、通常塗って乾かして1か月くらいかけて完成させる油絵を短時間で完成させることが出来ます。
目次(クリックで飛びます)
ボブの絵画教室 私のお気に入りはコレ!
私の好きな作品をご紹介。ついでにどんなポイントが参考になるかも合わせて書いておきます。
一つの記事に動画をたくさん埋め込み過ぎると重くなるので、分けたいと思います。
山の表現
山の描き方は、
- ナイフに濃い色(背景色)を乗せ、山のアウトラインを描く
- 山頂からふもとまで絵の具を伸ばす
- 光の当たる方に明るい色でナイフをかすらせる
- 陰になる方に暗い色でナイフをかすらせる
- 大きな筆でふもとから山頂に向けて払い、なじませる(ふもとが少し霞がかる)
です。私が描いていて感じた注意点としては、以下の通り。
- ぶっちゃけかなり難しいw
- ナイフは落としてしまうくらい軽く握り、僅かにかすらせるだけです。完全に色を塗り替えるのではなく、後ろの地の色を3割くらい見えるように出来るとバランスがいいです。
- 峰は最初に背景色を描く段階で決めます。峰の陰になる部分をナイフで描いておいて、背景色の絵の具も多めに塗っておきます。
- ふもとの加減に困ったら木でも描いてごまかしましょう。
Mountain at Sunset
背景と山の溶け込み方が完璧過ぎるw
Royal Majesty
そびえ立つ山脈の鋭さ。
空の表現
空の描き方は、
- 先に背景色(青系)を塗る
- 上から扇筆で厚く乗せた白(場合によって赤を少し混ぜる等)でぐるぐる回しながら絵の具をこすりつける
- 大きな乾いた筆でさっと境界線を払い、なじませる
です。私が描いていて感じた注意点としては、以下の通り。
- 最初に背景の空の色を塗る時に、多少色がまばらになると思います。雲は筆で足す白色は、なるべく背景色の色が濃いところのすぐ上がよいと思います(雲は白色ですが陰があったほうが立体的で良いので、少し色を重ねると浮き出て見えます)。
- 最後になじませるときは、背景色から白を乗せた方に向かって筆を払うと、雲が少し奥に行き、背景に溶け込んでもやっとした感じになります。
Winter Moon Oval
怪しげな色合いが素晴らしいです。
Mystic Mountain
絵でしか表現出来ない雲という感じがとても好き。
ボブロス画法から得られる絵画のエッセンス
結構見よう見まねで描いてみても、案外「それなり」のものが出来ます。しかしながら、ボブがさらっとやっているところにエッセンスが詰まっているのです。
遠くにあるものから近いものの順番で描く
よく観察していると、必ず遠くのものから近いものの順番で描いていることが分かります。
例えば、奥の美しく描き上げた山の上から(台無しにするようにw)山の陰色を塗っている場面がよく見られます。あるいは奥のほうの木々を大きな筆でぼかしながら描き、近くの茂みはしっかり描き込みます。
また、ボブはよく最後に両側に木を描きます。これによって、途中まで描いていたものが奥に引っ込み、絵全体に奥行きが生まれています。
当たり前なんですけど、描く順番を間違えると描きにくい上に完成しても違和感があります。
暗い色から明るい色の順番で描く
ボブは木や茂みを描くとき、必ず黒でキャンバスを汚してから上に色を足していきます。これはほとんど目に見えなくなるのですが、陰になる部分を先に描いているのです(上と同じ理屈ですね)。
試しに黒で汚さないでそのまま緑色を乗せてみればわかりますが、陰がないために立体感が消え、薄っぺらい絵になってしまいます。暗い色を使って、目に見えない陰をしっかりと描いてから、描きたい色を乗せるようにしましょう。
また、暗いと明るいを分けるのは光です。光のある方向については、絵を描いている間、常に意識している必要があります。
和波の油絵作品
私もすっかりボブの絵画教室にハマってしまい、いくつか作品を描きましたよ。昔の写真を眺めていたら出てきました(写真が良くないのはご愛嬌)。
ちなみに記名してませんw
夏休みに描いたやつです。雲と海のある風景にしました。
冬の家。もうちょっと屋根頑張れなかったのかという思いはある(まあボブも小屋はあまり得意とは言えませんが……w)。それにしても、見てたら久しぶりに描きたくなってきました。
画材、結構高いんですよね。扇の筆や2インチの筆は世界堂でも買えたので、はじめてみたい方はリキッドホワイトだけでも大丈夫です(その他の画材は油絵で通常使うセットと一緒です)。
後編記事を書きました。