米国の電子たばこ市場でJUUL(ジュール)が急成長中

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まだまだこれからと思われていた電子たばこ市場に突如新星が現れています。JULL Labs(PAX Labs)社から販売されているJUUL(ジュール)という電子たばこです。

(出典:PAX Labs)

既に米国市場で7割のシェアを獲得。e-cigarette:電子たばこです。

(出典:CNBC)

電子たばこの製造販売を手がけるベンチャー的な企業で、JUUL Labsが製造、PAX Labs社が販売を手がけています。JUULを発売したのは15年から。

若手中心に人気に火がついてからわずか1年程度で、あれよあれよという間に米国市場を奪い取りました。

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なぜJUULが電子たばこ市場を席巻しているのか

大手たばこ会社は加熱式たばこに注力

元々大手たばこ会社が注力していたのは加熱式たばこで、フィリップ・モリスのiQOSやBTIのグロー、JTのプルームテックがしのぎを削っていました。

加熱式たばこの市場規模は1兆円、電子たばこの市場規模は3500億円で、70~80兆円と言われるたばこ市場全体からするとまだ数%程度です。

(出典:Euromonitor)

加熱式たばこは燃やさないから煙は出なくて、燃やすと発生する有害物質タールを9割カット出来る点で優れていると言われます(が、健康被害については諸説あるっぽいです)。

米国で加熱式たばこの許認可が降りず

日本では大量にばら撒かれている加熱式たばこですが、米国市場では加熱式たばこの許認可が降りていませんので、iQOSも販売されていません。

FDAが加熱式たばこの安全性(紙巻たばこより健康被害が少ないこと)を疑問視し、安全であるかのような宣伝を禁止させています。

たばこは広告宣伝が出来ないことで既存ブランドが甘い蜜をすすっていた市場ですが、ここでも既得権益が守られたわけですね。

米国には紙巻たばこしか選択肢がない状態で、大手が加熱式たばこ許認可で足踏みしている間に、軽視していた電子たばこ市場でジュールが登場したという経緯です。

若い世代への拡散

で、なんでジュールが受けてるのかというと、若者人気なんですね。原動力はSNSのマーケティングで、特に中学生、高校生の間で爆発的に普及しました。

FDA曰く、200万人以上の中高生が電子たばこを吸うんだとか。

  • フレーバーな味:クールミント味、バージニアタバコ味、マンゴー味などのフレーバーなカートリッジ式
  • 安い(?):公式サイトでは4podで16ドルですが別途税金が発生……あんま安くないか
  • スタイリッシュ:小さくて洒落てる、Instagramなどで拡散
  • ニコチン強い:1つのカートリッジに0.7ml、要は1podでたばこ1箱分のニコチンが含まれる
  • これまでのたばこと違う点:燃えない、臭わない

ちなみに電子たばこの仕組みはこんな感じ。

(出典:HARVERD)

JUULはPODと言われるタイプで、上の図のカートリッジ部分に200〜300吸入分のリキッドが含まれます(ので、毎回リキッドを入れる必要がなく、カートリッジ交換だけで済みます)。

またJUULの製造は特許取得技術によるもので、「ソルトニコチン」を使うことで紙巻きたばこと同じような味わいが得られると言われています。

電子たばこ市場の広がり

市場全体での成長率は高く、未成年への普及が進んでいる点は問題でもあります。

(出典:Allied Market Search)

内訳を見ればJUULがいかに突然変異的な成長を遂げているか分かります。赤いのがJUUL。

(出典:Tobacco Control – The BMJ)

その結果として、JUUL Labsは1年と経たずデカコーン入り。

Decacorn(デカコーン)はユニコーンより桁一つ多い、100億ドル以上の価値を持つベンチャーを指しています。

(出典:Pitchbook)

年々市場への浸透が早まり、成長速度も上がっているというのは間違いないですね。

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結果、企業の栄枯盛衰サイクルも早まるので、安定志向には厳しい社会です。

今後の規制次第で既存たばこを脅かす存在に

たばこに有害物質はタールとニコチンが有名で、ニコチンを大量摂取するJUULも当然ながらFDA当局から目をつけられています。

ニコチンは中毒性、タールは有害物質という話もあったりしますが、健康被害に対する懸念は消えません。

訴訟案件も既に多数で、しかも未成年への広がりから全面的な販売規制をかける可能性も高いです。

参考アメリカで味付電子たばこの販売禁止を検討 若者の流行に危機感

紙巻たばこはニコチン量規制をかけるので、大量のニコチンを含むJUULも影響は免れないでしょう。

参考たばこのニコチン含有量、米国で規制へ

米国以外の動きも気になりますが、たばこはコントロールしやすい合法麻薬であることや、たばこ税が各国財源になっていることから、社会問題化するJUULをそのままにしておくことはないでしょう。

余談:既存たばこビジネスの盲点

たばこ市場が高利益体質にある理由は、マイケル・ポーターの5Fなら100点満点の美味しい市場構造にあります。

  • 新規参入:政府規制&広告規制で制限
  • 売り手:たばこ農家
  • 買い手:圧倒的ブランドを背景に増税しても全部消費者に転嫁
  • 代替品:他の中毒性物質は軒並み規制
  • 既存競合:優劣ついている

特に、「政府規制」と「広告規制」というガッチガチの参入障壁で技術革新も必要ないままブランドを維持し、利益を上げてきました。

その壁を壊そうとしているジュールの急成長には、SNSを駆使したマーケティングの力を感じます。

インフルエンサーが新しいものに飛びつき、フォロワーが拡散するマーケティングです。他市場では当たり前の光景ですが、長らくたばこ市場で見られなかったものです。

こうしたアーリーアダプターが増えていますが、彼らは広まったらすぐ次へ行くので、SNSのみに頼ったマーケティングは長く続かないでしょう。

しかし、ジュールはたばこです。自動的にリピーターを生む仕組みである「大量のニコチン」を売っているわけで、一度市場シェアを奪うと取り替されにくいビジネスだと思っています。

電子たばこは賛否両論あるので、何にせよ規制が気になるところですね。

  • 電子たばこは健康に良いのか?
  • 電子たばこにすると禁煙率が上がるデータは本当なのか?

たばこビジネスの潜在的な脅威は他にもあります。

隣のカナダでは先日大麻を合法化しましたし(先進国初)、中国を除いて世界的に禁煙の傾向が色濃くなる中、業界再編の動きも活発化しています。

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それでも新しいIT技術を引っさげたインベーダーに市場を荒らされることはなさそうです。

自分としては、まだしばらくは安定したインカムをもってきてくれそうなたばこ株はホールドします。


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