アイキャッチの通り、トルコリラが暴落しています。2010年には63円だったトルコリラ/円は現在17円を割ってしまいました。
たまにFXの話題も書いてみましょう。
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スワップトレードの時代は終わったんだって
ご存知のかたも多いと思いますが、トルコリラは高金利通貨のためスワップトレードで人気の通貨でした。
スワップトレードというのは金利収入目的のトレードです。日本円がずっとゼロ金利なので、金利差が収入になるわけですね。
トルコリラの他に南アフリカランドとか、もう少し安全な豪ドル、NZドルあたりの通貨が使われます。
これ、FXはレバレッジがあるので17%どころか30%40%稼げるんですよね。30万で年15万くらいいけるんじゃないかな。毎日換算で500円。
ちなみにFXのスワップは毎日つきます。水曜は土日分もつくので3倍です。
こうチャリンチャリンとお金が入ってくるというのは配当収入に似た楽しさがあるので、人気が出たものと思います。
しかも国の通貨だからそう簡単には死なない。皆さんも日本円がある日突然使えなくなるとか想像出来ますか?
――――みたいな感じで聞くと初心者は絶対引っかかりますよね。
実際、リーマンショック前までは結構幅を利かせていたらしいです。ミセス・ワタナベってやつ。
同じ理屈でヘッジファンドによる円キャリートレードも流行っていましたね。
金利低下は経済の必然
景気回復で米国金利は上昇していますが、一昔前と比べて低金利傾向は世界的に顕著です。
そして経済構造上不可逆と思います。
そもそも利子という考え方は資本主義の根幹です。超ざっくり言うと資本主義は未来からお金を前借りして成り立っています。
お金を借りて、使って、それ以上に経済成長することで返す、また借りる。その繰り返しでした。
ところが、世界経済は成長の限界に近づきつつあります。
借り手は今よりお金の使い道が減り、経済成長が止まり、借りたお金が返せなくなります。
とすると借り手が少なくなるので、需給関係から金利は下がることになりますね。
IT分野を中心にまだ技術革新の途中ですが、それでもこれ以上爆発的な成長余地(フロンティア)はないでしょう。以前記事にしています。
日本はもとより米国においてもかつてのような高金利時代はやってこないと思います。かつては20%近い高金利時代もあったんですよ。
高金利には理由がある
高インフレ
その情勢でもトルコリラが17%超えの高金利を維持しているのは、いくつか理由があります。
第一にインフレです。
トルコは高いインフレに悩んでおり、直近で16%以上のインフレを記録しています(25%とも言われる)。
つまり17%というのは名目金利ですが、実質金利は1%程度にしかならないのですよ。
購買力平価説によれば二国間の物価上昇率の比で為替が動きますので、分かりやすくいえばこのり率でも全然儲かってません。
インフレを止めるには金利を上げる必要があります。これも経済の勉強ですね。
政情不安定
需給関係も大いに影響します。
もともと政情不安定な国は金利が高くなりやすい傾向にあります。リスクに見合ったリターンがなければ誰も投資しませんからね。
トルコはエルドアン大統領の強権政治が推し進められており、デモの弾圧やクーデター未遂、テロの活発化など不安定な政情が続いています。
ところがトルコ中銀は今年5月まで長らく政策金利を据え置いていたので、トルコリラは下落を続けてきました。エルドアン大統領が金利上げに反対していたためらしいですが。
崩壊リスクが高いのに金利が安かったらみんな投げ売りしますので、当然通貨は暴落します。
なおトルコは仮想通貨大国です。中央政府が信用出来ない国は、特定国家に属さない仮想通貨が救世主なんですね。
経済はよく破綻する
日本にいるとわからないですが、世界ではよくよく通貨危機が起きています。
今もベネズエラやジンバブエはハイパーインフレが発生していて、アルゼンチンも金利40%超えの危機的状況にあります。
特に中南米のデフォルトはまったく珍しい話ではないですからね。日本は本当に恵まれてると思う。
アメリカは最近金利を上げていますが、これは将来の金融機器に向けて金利を下げる余地を作っているためです。
そんな余力があるのはアメリカくらいなもので、国が発行しているから安心とかそんな盤石なものではないということです。
見た目以上のリスクと、見た目以下のリターン
ということで、取ったリスクの割にあってないというのがスワップトレードの実情です。
どうでもいいけど私ハイリスクローリターンって言葉嫌いなんで絶対使いません。理由はリスクの定義を理解してないみたいに見えるから。
株に比べて値付けが分かりにくいFX
両方やってる人間の意見ですが、FXより株のほうが簡単です。長期前提でね。
株は長期的には右肩上がりが予想出来ますが、FXはそれすら分からんのですから。
自社の業績が良くなれば上がっていく株と、二国間の相対的な力関係が影響するFXとでは難度が段違いです。
はっきり言って、わざわざ分かりにくいFXを選ぶ理由はありません。
FXは短期売買でがんばろ
FXをやるならレバレッジかけて短期で資金回転してさっさと増やすことを考えてください。
株に比べて良い点は、24時間出来て、圧倒的な出来高がある=チャートが機能して、バックテスト環境が揃っていて、手数料が超安い。
これはもうスキャ、デイトレ用にしろって言ってるようなもんでしょ。
損切りの重要性を理解する
損を取り返すのは2倍難しい
投資において退場は一番やってはいけないことです。
以下は当ブログ立ち上げ当初の記事ですが、この点はずっと同じ信念で投資やってます。
もし二番目にやってはいけないことを書くとしたら、大損しないことです。
100万円を50万円にするのは50%ですが、50万円を100万円に戻すには200%です。無理です。
スワップトレードのダブルパンチ
スワップトレードの問題は、金利が下がると魅力が薄れて為替自体が売られる構造で、景気後退期に下落のアクセルを自分で踏んでいくことになります。
インカムロスに加えてキャピタルロスが広がるダブルパンチで、リーマンショック時はこれで多くのスワップトレーダーが退場しました。
株で言えば無配落ちしたみたいなもんですからね。
売りが売りを呼ぶわけで、さっさと膿を切り出さないと手遅れになってしまうのです。
逆に景気悪化でも配当を維持・増配する企業は一時的なキャピタルロスをインカムが補ってくれるので持ちこたえられるのですが、金利はどうしても景気連動するので難しいですね。
損切りしない構造
全世界ETFみたいに構造上ゼロになるリスクが極めて低い場合のみ、損切りしないのも良いでしょう。
下がった局面こそ買い増しでトータルリターンを大きくするチャンスですから、損切りしなくても塩漬けにして見ないふりするとか、追加投資の余力がなくなるなら切ったほうがいいです。
この手のインデックス投資家は投資判断を避ける投資なので、気にせずいつもどおり投入できる余力分を常に市場に投入すれば良いと思います。