投資の成果を出すために最低限必要なのは、期待値プラスの手法、その手法を活かせるポジションサイジング等の資産管理、その手法及び管理を一貫出来るルール、そしてルールを守るメンタルと思います。
今回は統計学についてダラダラと書いてみようかなと。わりと当たり前の話ばかりですが、定期的に自分の投資哲学を見返すというのも大切だと思いますので。
と言いつつ、このロジックを自分の中で落とし込んだのはデイトレ時代なので、投資対象を広げた今も同じなのか読み返しながらって感じになります。
この投資理論って基本自分の頭の中を整理しているだけで調べ物要らないで書けるから好き。
統計学の実利
投資を行う上で、統計学は必須科目だと思っています。統計学は過去のデータを「どのように」見るかという学問ですね。過去のデータはあくまで参考でしかありませんが、それでも投資における判断の根拠は過去のデータからしか取れません。
確率ではなく期待値
確率というのは下の判断です。
- こっから上がる
- 今から下がる
こういう考え方が所謂コツコツドカンってやつですよね。上がるか下がるかはランダムだとしても50%です。問題は「どこまで」上がるか、「どこまで」下がるかという点で、これを元にシナリオを組めば必然的に期待値で考えていることになります。
確率であっても期待値であっても、その源泉は過去のデータです。十分なサンプルのある類似性の高い場面で、過去はどのような値動きをしてきたのか。そこが判断材料になるわけです。
一貫性のあるルール
例えばこれから2つのサイコロを振るとして、「サイコロの目の合計はいくつか?」と言われれば、一番可能性の高い「7」と答えるでしょう。一貫性というのは、これを百回問われても毎回「7」と答えることです。
10回連続で外していると、自信がなくなって「ちょっと変化つけて6にしてみようかな」とか考え出したりします。メンタル面の問題ですね。「機械的に(ルール通りに)取引しよう」みたいなのは、結局この一貫性を作るためのものです。ある人はシステムトレードにしたり、ある人は条件をガチガチに固めたり。
ま、もちろん市場が公正に整備されていること(同じ例で言えばサイコロが細工されていないこと)を十分に確かめないと意味がないことですが。
大数の法則=次の一回の投資結果を予測しない
要するに過去のデータ上は勝てる理論を組んでいるなら、百万回トレードすれば勝ちに収束するでしょうということです。ただし、
- 明日の日経平均株価は上がる、下がる
- 明日のドル円はいくらになる
- ここで買えば絶対上がる、下がる
この辺は考えません。長い目で見れば勝てるとしても、場面場面で切り分ければサイコロの目が10回連続で1を出すことだってあります。その数回の結果に左右されないことが大切です。
もうちょっと勉強すると「予測をするな」と書いてある本を見かけるようになります。これも同じ話で、次の一回を予測しないことと理解しています。何も勉強せずに資産を突っ込むと、この「予測」に縛られて退場する可能性が高いと思います。
こっちの記事で書きましたが、逆に言うと大数の法則を味方につけるような資金管理(=ポジションサイジングによるマーケットと資産変動の結びつけ)が必須です。
理由付けしない
- 今日株価が下がったのはこのニュースが出たから
- 上がると思ったけど、材料出尽くしで下がった
これはやっちゃだめですね。上がった、下がったの理由付けはしません。経済という営みの中で、因果関係は複雑に再帰的に絡み合っていますので、「なにがどうなったらこうなる」という条件付けで定義出来る場面はありません。
そもそも、ニワトリと卵はこの理由付けそのものにもあり、理由探しをはじめるとキリがないです。理論補強もほどほどに、雑音を消すことも大切です(チャートはそこが非常に便利ですね)。
統計学からビッグデータになって
前に統計学とビッグデータの関係について記事を書きました。
要約すると統計学は代表性があるから全データがなくともほとんど正確な推計値を出すことが出来る、ビッグデータは全データを調べて正確な数字に出来るけどそのデータを使ったアウトプット処理は統計学の理論を未だに使っているということです。
で、AIが出てきたら今度は新しい因果関係が見つかるのって話ですが、結局機械が入っても再帰性は変わらないので個人投資家目線では当面同じかなと。むしろ前よりも機関投資家の殴り合いポイント(=私の投資理論での出口=利確と損切り)が分かりやすくなる気もします。
あとは……AIは画像処理が強いので、チャート分析でもぱっと見テクニカルみたいな類似の形をしたチャートを引っ張り出してくるサービスがもっと増えるかなと思いますね。
次は行動経済学あたりでプロスペクト理論でも見ましょうかね。久しぶりに。