こんな記事が出ていました。
参考リストラ数は6年ぶりに1万人超え。業績好調でも早期退職者を募集する理由
2019年1月~9月に希望退職や早期退職者を募集した上場企業は27社で対象人員は1万342人だそうで、大企業のリストラもよく見かける光景になったと思います。
ところで、後半にこんな記載がありました。
2019年にリストラを実施した27社のうち、前期決算の最終赤字は12社、減収減益が6社、残りは業績が好調の企業だ。
昨今の企業は好調でもリストラを行うということです。
キリンHDは18年12月期には過去最高益を達成したばかりですが、高齢社員を間引いて構造改革に着手しました。
やむなくコストカットに踏み切るよりも、経営的に余裕がある時期にきちんと投資をして事業整理をしたほうがいいですね。優秀な経営者でないと難しいですが……。
さて今回は、リストラ上位の企業の株価を見ていきたいと思います。株主目線からすると、基本的にリストラは業績回復のきっかけになるので歓迎されるものです。
19年のデータはまだなので、18年で見ていきます。
目次(クリックで飛びます)
2018年リストラ上位企業
参考2018年の最多リストラは「NEC」の2170名、100名超は6社
NECは1988年の就職人気ランキング1位だった会社です。栄枯盛衰ということで、今の就職人気上位も数年後は怪しいんでしょうね。メガバン、トヨタ、総合商社……。
- NEC:2170人(11/29公表)
- 大正製薬:948人(8/31公表)
- ジャパンディスプレイ:290人(1/30公表)
- 三陽商会:247人(12/25公表)
- 千趣会:212人(12/14公表)
- 川澄化学工業:134人(10/10公表)
ちなみに、2017年の最多リストラはカメラメーカーのニコン(1143人)だそうです。
リストラ企業のその後の株価推移
NEC(6701)
NECは業績不振によるリストラですね。同業の富士通もリストラや配置転換を実施しています。ま、同業から見ても図体だけでかいSIerですからね。
株価はこんな感じ。
18/11/29発表なので、発表後上がってますね。2020年までは国内需要が堅いと思うので、業績もそこそこで行くのでは。
大正製薬(4581)
大正製薬は当時の業績的には前期比プラスの中でのリストラです。今年のアステラス製薬なんかもそうですね。
ただし、製薬業界は薬価改定やジェネリック普及による業績不振が響いており、今後不透明な状況にあります。先手を打ってのリストラということでしょう。
参考「まさに異常事態」国内製薬 リストラが加速―揺らぐ雇用 中堅にも人員削減の波
株価はこんな感じ。
発表後下がりましたね。18年後半から暴落しとります。売上は伸びているものの、利益が下方修正されるなど影響したようです。
ジャパンディスプレイ(6740)
ここは完全な業績不振ですね。結局中国系の傘下に入りました。
液晶はもはや組立産業、ローテクビジネスなので利益を産まない事業になっています。調べれば無能経営がなんだと散々出てきます。
株価はこんな感じ。
ひどすぎて草
リストラどうこうじゃないですね。
三陽商会(8011)
聞いたことなかったですが、アパレル系ですね。
業績不振によるリストラ(3回目)だそうですので、前向きな理由ではありませんでした。
株価はこんな感じ。
18/12/25発表ということで、その後若干だけ持ち直してますね。まあ発表したからかというと微妙ですが、結局業績の悪い会社なので下落が止まっていません。
千趣会(8165)
ベルメゾンというカタログ通販大手です。しかしここも2年連続の赤字で大規模リストラに踏み切りました。
アマゾンなどのネット通販や、メルカリやヤフオク等のフリマ、オークションに押されて顧客を奪われてしまっており、業績低迷。
株価はこんな感じ。
リストラ発表後に底を打って上がっていますね。まあ通販事業の構造改革で黒字化したためですが、リストラを含む改革を断行した成果が出てきているんですね。
参考:キリンHD(2503)の推移
逆に好業績の中でリストラを進めたキリンHDの株価推移を見ておきましょう。19年9月末に発表しました。
参考キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情【スクープ】
きれいに底を打って上がりましたね。好業績のリストラ発表はやはり買い目線です。
関連記事です。
東芝がやばかったときに書いた分析記事です。
経営者の評価は難しいものですが、昨今の大企業における失態を見ていると、無視できないファクターだと感じます。
このネタの17年度版です。
ではでは。