ひっさしぶりになります。和波です。丸々一か月以上も空けたのははじめてで、9~10月は完全に別のことをやっていました。
さて、今回は個別株投資のルールを再度まとめておこうかと思います。値上がり益狙いの投資という意味です。
まあ必ずしも守っているわけではありませんが、YouTubeにも投稿するうえでなにかと都合がいいので、このタイミングで記事化してみます。
動画版はこちら。
本当はこの記事のリライトですが、これは当ブログ2番目の記事でもあり、せっかくだから残しておきます(実は無料ブログ時代の記事をそのままコピペしてきたものなので、元ネタの執筆時期はもっと前だったり……)
目次(クリックで飛びます)
値上がり益を狙うシナリオは2パターン
値上がり益を狙う場合、2つのタイミングで別の投資シナリオを描く必要があると思っています。
以下のハイプ・サイクルと事業ライフサイクルの①期待先行と②売上拡大に当たります。
- 期待先行(①):夢で買うフェーズ。期待先行で上昇するので、IT、バイオなどの最先端事業領域に限る(単年テンバガー株に多い)
- 売上拡大(②):実ビジネスの成長シナリオで買うフェーズ。特に売上の伸びが重要で、シェア拡大のために利益を犠牲にするケースも多い。ただ、複数年かけてテンバガーを達成する銘柄は、売上だけでなく利益も二桁増となるケースが多い
以前紹介した、単年テンバガーと複数年テンバガーの見分け方に近いです。あれも大きな値上がり益を狙う投資なので、当然といえば当然ですが。
そして、シナリオというのは入口と出口それぞれの戦略が必要になります。
「どの株を買うか」「いつ買うか」というエントリー部分にばかり目が行きがちですが、出口戦略とセットです。
2つの戦略に共通のルール
早めの仕込み(相対的な割安投資)
ポジションを持ってからのほうが、持っていないときより冷静な判断が難しくなります。原理はプロスペクト理論で説明したとおりです。
出口戦略のほうが難易度が高いので、入口を絞ってその負担を軽減することには意味があります。
大きく値上がりするような株を割安で買うこともまた難しいのですが、いずれのフェーズについても割安株投資というか、そこまで注目度の高くない初動に仕込むことがベストです。
そのためには数日に跳ね上がりそうな株ではなく、数か月~2、3年先のテーマを選定していくことが重要になります。
また、割安水準の判断はチャートで見ます。
投資戦略はまたがない
先行期待フェーズの上昇を狙って買った株が思ったように上がらなければ、きちんと損切りします。
「またしばらくして幻滅期を抜けたら、ビジネス拡大で再評価されるはず」と思って持ち続けるのは絶対NG。
これは所謂コツコツドカンを避けるためですね。
ただでさえ期待先行フェーズは実力以上に暴騰しているので、バブルが弾けたときに下落リスクは大型株よりずっと高くなります。
いくつかは耐えていれば戻るかもしれませんが、一度戻らない株が出てきたときに、今までの利益をすべて吹き飛ばしてしまい、投資を続けられなくなってしまいます。
そのためには、購入時にシナリオを考え、それを一貫させる必要があるのです。
資金管理を徹底する
投資で最も避けるべきは、一発退場リスクです。
一つのポジションで最大許容損失額は、全体の数%以下になるようにポジションサイジングを徹底する必要があります。
必ずしも成功する投資ではないからこそ、ですね。
そして、最大損失額を限定するためには、投資する時点で出口戦略(利確と損切りの両方)を決めておく必要があるわけです。
資金管理は短期投資の必須勉強科目なので、「魔術師たちの心理学」を読むことをおすすめします。
期待先行フェーズの投資戦略
エントリー戦略(銘柄選定)
このフェーズではビジネスが実態としてどうかは気にしません。
テーマとして人気化するかどうかで、特にテーマの中心に据えられるような銘柄が望ましいです。そして、それにはいくつかのパターンがあります。
- ハイプ・サイクルの黎明期:向こう数年後に来るものがベスト、期待のピークは初動まで
- 国策事業:東京オリンピックなど、国が推進する案件には投資が集まる
- 課題テーマ:今ならコロナワクチンなど
ハイプ・サイクルの黎明期
ハイプ・サイクルとは、「特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図」のことで、ガートナー社が定義した造語です。詳細は以下参照。
ITセクターは期待値を集めやすく、うまく乗れると実態を遥かに超えて株価が伸びます。
一時期はテーマ株の時代で、ビットコイン・ブロックチェーン関連株などで大化けしたことは記憶に新しいですね。
ちなみに、ITに次いでテンバガーの多いバイオセクターも、売上ゼロでも期待値を集めやすい銘柄群になります。
国策事業
国策に売りなし。
東京オリンピックなんかが筆頭ですが、とにかく政府要人の発言には注目しておくべきです。
ただし、2~3年後を狙うという意味で東京オリンピックの旬は過ぎており、大阪万博やパリ五輪の関連銘柄を物色していくべきステージにあると思います。
1年前からそんな感じで、新規採用種目とか、アジア大会で採用されたeスポーツなんかに着目したり……。
課題テーマ
今ならコロナ対策関連でコロナワクチンや、在宅勤務向けのITサービスなど。
コロナは流石に事前予測できないですが、コロナ黎明期の2020年1月~2月に仕込んでも全然間に合いました。
私も気にしたのは1月末くらいからですが、2月に東京かどこかのマラソンを7万人が観戦したというニュースを見て、世間の認知度はまだまだ低いと追加betしたのを覚えています。笑
イグジッド戦略(出口)
利確
明確なポイントを用意しにくいですが、そんなに欲張らず利確します。
定量判断
- 利益額:リスクリワードで考えれば、2倍くらいは利幅を取りたいところ(人気が落ちればたちまち急落して大損をするため)
- チャート節目:節目のポイント手前で決済(出来高が増えるので)
- イベント:節目のイベント前には手仕舞い
- 時間:長くても盛り上がってから数か月以内、時間的期限は結構大事
定性判断
- 強力なニュース、プレスリリース:認知度の高まりと強い反応期待
- 関連銘柄の連れ高:人気セクター化
ジリジリ上がるというよりはある日バブルのように吹き上がるケースが多いため、あらかじめ逆指値を置いておく感じです。
ちなみにバブルについては、私が注意しているルールが2つあります。
- バブル初期は乗っておく
- 1回降りたら同じ相場では再エントリしない
株式市場は正のフィードバック・ループが働いており、上がるから買う、買うから上がるという流れが行き過ぎることがあります。反動の暴落は怖いので、うまく付き合いたいものです。
このへんで長々と語ったので、興味があればどうぞ。
損切り
そこそこの値段で仕込めていれば、価格的な理由で損切りすることはありません。そのためにポジションサイジングを注意し、2~3年くらい待ちます。
- 当初投資したときのシナリオが崩れたら切る
- 一度吹き上がったときに売り抜けられなかったら、大人しく切る(次は期待できない)
シナリオが崩れたら切るというのは、簡単なようで非常に難しいです。
よく、「今だったら買うかどうか自問自答してみる」というアドバイスを見かけますが、それも難しい。何年も持ち続けていると、当初の自分の考えに自信がなくなってくるからですね。
私のおすすめは、あえて「この株に投資しない理由」を粗探しすることです。当ブログの個別株記事でも必ずリスク要素として考察しています。そして、投資する時点で決めた撤退戦略はちゃんと守るようにします。
100%成功が保証されている投資はないので、仕込んだうちいくつか当たったらラッキーくらいでいいと思います。
売上拡大時期の投資戦略
エントリー戦略(銘柄選定)
増収増益を継続、今後のビジネス拡大シナリオを持っていることが大切です。
シナリオについては、普段の個別株分析記事でフォーマット化しているように様々な観点で見ていますが、こんな感じですかね。
- 増収とシェア拡大が続くこと
- 収益構造含めた3C分析(自社、競合、顧客)でビジネス拡大余地が大きいこと
- チャート価格が上がりすぎていないこと
利益の確保や財務指標については、エントリー時点では後回しです。
チャート上である程度安く拾えるようにはします。ポートフォリオに加えられなかったときの機会損失を考えると、変に粘りすぎるのも禁物ですが。
過去最高や最低の価格ライン、直近サポレジライン、中長期の移動平均線あたりを意識しつつ、エントリーポイントを見極めます。
期待と実益のギャップ
シーゲル先生の赤本でもあった言葉ですが、期待リターンが低く(過小評価)、反面実際の業績がよい企業の投資リターンが高くなる傾向にあります。
これのパターン4ですね。
期待リターンが低くなりがちな企業の特徴としては、こんな感じでしょうか。
- オールドエコノミー(ディフェンシブセクター):生活必需品セクターなど、一見すると地味な企業
- リスク要素が多い:たばこ株やエネルギー株など、訴訟リスクや将来の課題が多い企業
- 縮小産業:eコマースに押される小売など、全体のパイが縮小傾向にある業界
こういった企業の中で高成長を続けていると、過小評価が改められて株価が大きく成長します。
期待先行フェーズではITやバイオ中心でしたが、この段階ではそれ以外のセクターにも投資妙味が出てくるわけです。
イグジッド戦略(出口)
利確
目立ったプレスリリースで急騰することもありますが、どちらかというと数年かけてジリジリ上がっていくほうが多いです。
私は緩やかに2倍くらいを狙うか、チャートの節目手前を基準に利確することが多いと思います。
また、上昇状況によってはプレスリリースなどのイベントで手仕舞いすることもあります。
- 大きな発表
- 業績好調な決算
- M&A、業務提携
- 株式分割、優待設定
- 一部上場など
損切り
当初想定していたシナリオが崩れない限りは、多少の悪材料が出ても保持。というよりむしろ、落ちたら買い増し対象です。
しかし、期待先行フェーズより安く仕込める可能性が高く、かつ株価の乱高下もある程度収まっている時期なので、大幅に落ちるようなら損切りしています。
大きなサポートラインや、過去最低価格を割るようなケースですね。逆指値を機会的に置いておくことで、見てないうちに大損することは防げます。
余談
システム化出来ない投資法
私が短期で倍々ゲームを狙って投資するときは、こんな感じのことを考えてやっています。
いずれも、数値化出来ない期待値に投資しているので、システム投資で再現は難しい領域ではないかと思います。
部分部分では優位性を説明出来るのですが、トータルで説明出来ないでしょう。
そこにオールインは出来ないので、全額ではなく資産の20%以下でやっているわけです(私がFXをやっていた時代には、メタトレーダー4というソフトで手法のバックテストもやっていました)
現代のヘッジファンドには生身のトレーダーはほぼおらず、システムに置き換わっていると聞きます。
昔より市場の歪みは少なく、あるスクリーニングが有効に働く期間も短くなってきているように感じます。東証一部への昇格投資の例なんかもそうですね。
こういう時代だけに、システム投資で再現性のない投資のほうが、一周回って可能性を感じなくもないというか。
バフェットを引き合いに出すことに対して
長期投資の神様として、世界一の投資家ウォーレン・バフェットでも年平均リターンは20%だったと言う人も多いでしょう。
しかしあの人確か30歳時点で1億円稼いだんですよね。その頃の回転率は、間違いなく短期投資のそれだと思います。
つまり、年平均リターンも生涯換算だと20%ですが、当然その時期は100%200%超えています。そのくらい行かないなら、大人しく王道の世界分散投資で良いと思うのです。
また、私がバフェットをすごいと思うのは、投資理論がずっと一貫していることです。本記事でもいくつか根幹に関わる理論を参考にしています。
- 長期的に上がる株を、割安と言わずともそこそこの値段で買う
- 損をするな(シナリオが崩れたらきっちり手仕舞いする)
なお、バークシャー・ハサウェイについては、ビジネスモデル自体が優秀(再々保険事業の預り金を使って他に投資している)という点もあります。
関連記事です。
元記事はFXトレーダー時代に書いたものなので、今とは結構違いますね。我ながら、ちょっといいこと書いてあるじゃんと思う部分もありつつ。笑
とはいえ、私は今もデータを信用しつつもメンタル面の影響を重視した投資に傾倒していて、根本の考え方は同じものだと思っています。
それは、データ上での優位性と、メンタル+資金管理での継続性の両方が重要だからです。
これからの株価動向は心配ですが、そこで継続出来なくなるならデータに意味はないし、やめた瞬間にそれまでの投資はギャンブルになるということです。
ちなみに、私が一番好きな投資本は「ゾーン」です。こういう保有握力が試される投資においては、たくさんの気づきをくれる名著です。是非読んでみてください。
ではでは。