ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)は高配当株として人気銘柄ですが、直近の決算はかなり不振でした。50%減益です。
参考英蘭シェル、第2四半期利益は2年半ぶり低水準 天然ガスが不振
主要部門の全てで予想を下回ったとのことで、特に数年前から買収攻勢をかけていた液化天然ガス部門が低調です。15年頃に英BGグループを702億ドルで買収したのが今の天然ガス主力部門。
ご覧の通りチャートでも大幅下落しています。配当金も据え置きでした。
シェルについては以下で詳しく分析記事を出しているので、合わせてどうぞ。
目次(クリックで飛びます)
おさらい:ロイヤル・ダッチ・シェルの魅力
ロイヤル・ダッチ・シェルはエクソン・モービルやシェブロン同様に石油メジャーの一社です。
生産量はヨーロッパ内では最大、石油メジャー内でもエクソン・モービルに次ぐ世界2位のエネルギー企業となります。
また、英蘭企業ですがADRとして米国市場でも購入可能となります。RDSBは配当金の源泉徴収がされないため、パフォーマンスが高くなります。
直近配当利回りは6%を超えており、高配当株としての魅力があります。
ロイヤル・ダッチ・シェルの直近決算
前年同期比でかなりつらそうですね。特に天然ガス部門の下落が顕著です。
プレゼン資料はいいところしか抜いてないので、IR資料見るとこんな感じ。
売上が96,765→90,544(百万ドル)と微減ですが利益は6,001→2,998と約半減しています。
理由は天然ガス価格の下落が大きいのと、トリニダード・ドバコとオーストラリアの事業で減損が発生したため。
キャッシュフローは改善傾向ですが、原油が下がった14年頃はフリーキャッシュフローもマイナスになっていたので、そういうものです。
エネルギーセクターの投資判断をどうすべきか?
私はたいした資金を投じていないのでそのまま放っておくつもりですが、基本的にエネルギーセクターへの投資は問題ないと思っています。
この業界はとにかく原油価格相場に振り回されるところがあります。シェルは加えて天然ガスの下落も響きました。
つい半年前はこれだったんですよね。
原油、天然ガスチャート
原油価格が暴落したのは2014年~2016年。シェールガス革命対抗とか言われましたが。
誤解されやすいですが、現在の石油メジャーに価格操作するほど影響力はありません。
保有油田における埋蔵量は、OPEC70%:石油メジャー3%と更に圧倒的な差があるため、価格決定権はOPECにあることを覚えておきましょう。
なお天然ガスチャートも下落傾向でした。50%OFFは流石に厳しいでしょう。
シェルは川下比率高いんですが、利益の源泉は川上なので相場が下がれば利益が飛びます。
不安定で過小評価されてきた業界である
この不安定さと石油枯渇や代替エネルギー問題で常にリスクが伴い、過小評価されてきた業界です。
期待リターンが低かったことに反してそこそこの利益を上げてきたため、いわゆるシーゲル銘柄として挙げられることも多いですね。
エネルギーセクターはS&P500平均を上回る11.32%の年平均リターンを叩き出してきました。
昔と比べて変わったことと言えば、シェールガス革命が起こったことと、代替エネルギーが実現段階に入っていることです。
とはいえ原油は枯渇しないし、
代替エネルギーが出てきてもなお需要は続きます。
大金を投じる場面ほどデータを見てじっくり考えるべきですが、大半の投資家は感覚的に「エネルギービジネスは終わりだ」と判断して切ってしまいます。
代替する投資先もないし、当面保留で良いのでは?と私は判断しています。
ついでに言えば、ロイヤル・ダッチ・シェル含め石油メジャーは総合エネルギー会社化してきています。石油メジャーの強みって、数字に出てこない交渉力(採掘権獲得)にもありますよね。
直感はときに役立ちますが、「知らない」ということはそれ以上に圧倒的な機会損失を生みます。アンテナ高くしていきましょう。
関連記事です。
WTIの値動きと中東情勢をざっくり解説しています。エネルギー株に投資するなら覚えておいて損はないです。
原油のETFを買うのはおすすめしませんが、原油については正しい理解が必要です。枯渇問題関連やエネルギービジネスの将来像など、解説しています。
下がった今がチャンス……と思う人向けにロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)の分析記事をもう一回置いておきます。
個人的には54ドルくらいから結構良いラインだと思います。