SNSと、SNSが創る未来を考えてみる

アイデア

今回、特に株探しのために記事にするわけではないです。

かつてのハブ型コミュニティとは真逆で双方向的に関わりあうSNSは、登場して10年で社会を大きく変えてしまいました(パラダイムシフトってやつ)。そして現在も変革の最中にあると言っていいでしょう。

SNSの利用傾向は下の図のようになっていて、特に若者の過半数が利用する社会インフラとしての側面も強くなってきていることが分かります。

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(出典:総務省 ICTが拓く未来社会)

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(出典:総務省 ICTが拓く未来社会)

にもかかわらず、こうしたサービスが日本に輸入されたとき、「実名制のFacebookは日本には馴染まない」とかみんなで言っていたわけです。

これからの変化に適応するためには(そして未来について正しい認識を持つためには)、こうした変革を点ではなく線で捉えて結んでいくことが必要です。

……ということで、SNSの今後について中心に、さっくりまとめておこうと思った次第です。

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現在のSNSのビジネスモデル

SNSの収益源は主に3つあります。

広告収入

フリーが浸透したWebビジネスにおける最大収入源は広告収入です。サイト、アプリ上のスペースに、お金を払ってくれた企業の広告を表示します。

最近はSNSのマーケティング効果も認知されているので、手を上げる企業は腐るほどいますよ。人が集まるプラットフォームさえ作れば、あとは場所貸ししているだけで儲かります。

「人を集める」、これがポイントです。AISASモデルに則って、頭の「Attention」「Interest」の人口と通過率をどれだけ上げるかというところがSNSビジネスの正否に関わるのですから(当然、最後「Share」してもらえればなお良し)。

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まして最近はビッグデータの時代です。Facebookの広告収入が非常に高いのは、数も多い上にヒット率も高いからです。

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3分で分かる、ビッグデータ 市場規模、発展の要素、利活用

どういうキーワードに興味があるかデータを蓄積し、パーソナライズしてマッチングさせていく、広告ビジネスは経験よりもサイエンスの世界ですね。

[データは語る]世界のSNS広告市場、Facebookの広告収入は依然断トツ

日本で特徴を挙げるなら、Twitterの普及率の高さでしょうか。匿名でゆるく繋がるというのは日本人の気質に合っているのかもしれません。

完全な余談ですが、下の本で面白い内容があったのでご紹介。

ある化粧品の広告を打つときに、経験豊富な担当者とコンピュータでどちらが成果を出せるか競争したという話です。

最初のうちは経験に勝る担当者が圧倒します。コンピュータはしばらく手探りで適当な広告を出しては反応を記録するだけです。しかし、徐々に広告に対する反応データが揃ってくると、今度はコンピュータが圧倒しはじめました。

で、ここからが面白い指摘なのですが、コンピュータは完全に合理的選択しかしません。ある条件に合致した人には必ず同じ広告を表示します。確率は大数の法則で収束するので、それは絶対的に正しい行動です。

しかし、もし他の広告を表示したらという潜在需要、機会損失、不確実性を評価することは出来ません(少なくとも現時点では)。つまりそういった思考の飛躍は人ならではの領域なのかなと思います。

課金

基本無料、だけど一部機能・サービスには課金するというのはもはやアプリの常識。

ちなみに日本は世界でも稀な課金先進国(世界が注目ですよ)。この称号がどうなのか置いておいて、全て自社内で完結するのでビジネスモデルとしては一番安定性が高いです。スマホの登場で、決裁インフラ的にも心理的にも課金が簡単になったことは見逃せませんね。

まあでもこれ、日本の場合独特の市場背景を経て進化しているので、他国が真似したり日本のモデルを海外に適用させられるかどうかはちょっと判断が難しい。

日本は元々ガラケー時代からiモード等で携帯でのインターネットインフラが普及していて、かつGREEやモバゲーといった携帯ゲームコンテンツが早くから存在していました。さらにキャラクターコンテンツが強力な国です。アプリやサービス、特にソシャゲガチャなんてコストは絵師に描かせるお金くらいなものですから、利益率が非常に良いですね。

あと、ソシャゲのライバルは据え置きゲーじゃありませんよ。スキマ時間の使い方がライバルです。ソシャゲが流行って地味に死んでるのがパチンコ業界だったりします。パチンコは暇つぶし以外に利用価値はないですしね(金稼ぐなら株FXやればいいとしか)。

FXのトレードルール デイトレーダーの本領(デイトレ、スキャ)

別サイトに誘導し課金

これはそのサービス自体で完結させず、サービス外で課金するモデルです。

この場合、SNSは集客ツール(入り口)として見ていてあんまり利益になりません。その代わりに他の高利益率のサービスと連携し、全体として収益を上げられればいいなという考え方です。

SNSではないですが、楽天は非常に分かりやすい事例ですね。

あそこの収益の半分以上は楽天カードです。しかし、ただ楽天カードを売っても使ってくれなませんよね。そこで楽天は「楽天ポイント経済圏」として自社内に多種多様なサービスを用意し、お客さんに回遊して使ってもらいます。

単体だと収益にならないMVNOをはじめたのもここですね。ポイントはシナジーを作りやすいのです。実際利用してみると、ポイントがちょっと残ってて安くなるからなんか買おうかな、となりますよね。

MVNO(格安SIM)って投資対象としては魅力ない銘柄ですよね。

また、個人の例でも、無料購読出来るブログを集客窓口にして(アフィリエイトの収入は微々たるものでも)、セミナーを開いたり本を書いたりして収入を得ていくのが理想的です。

市場規模、ロードマップ

SNSを利用した市場は2019年までに400億円を超える規模となる見込みです。

と言われると規模が小さい気がしますが、ソーシャルビジネスって所謂「無形資産」、しかも価値として測れない資産が強みじゃないですか。

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(出典:IDC Japan)

収益の数十倍という非常に高い時価総額で評価されているということからもそれは分かります。

今の財務諸表に情報という項目はありませんので、Facebookの強みである12億人のユーザや、ユーザから得られるビッグデータは価値として計上されていません。ですが、情報社会の現在、こうしたお金としての数字に現れない部分に競争優位の源泉があることを私たちはよく知っています。

ロードマップ(Facebookの例)

Facebookはかなり明確に未来像を打ち出しています。

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(出典:Facebook)

10年間のロードマップで、Facebookはネットワーク強化、AIやAR/VRを利用した各種サービスの拡充により、単なるコミュニケーションツールとしての域を超えた存在を目指しています。

SNSの未来像、今後の展望

未来像を考えてみましょう。なお、現在の動向は以下のサイト記事を参考として紹介し、今回は省略させていただきます。

【最新版】2016年7月更新。11のソーシャルメディア最新動向データまとめ

SNSも各社が参入して、既に過当競争の状態です。どれが残るんでしょうか。

ちなみに、2015年に一番利用者が伸びたホットなSNSはInstagramでした。まだほとんど売上もない時代に買収したFacebookは、流石自分たちのビジネスをよく理解しています(彼らは写真がSNSのキラーコンテンツになると分かっていたのです)。

2015年、最も成長したSNSは「Instagram」で、利用率が1.5倍に

――SNSの次に来るもの

双方的で手軽で緩やかな、広く浅くの繋がりが当初のSNSのトレンドでした。

ところが、結局スタート位置の関係上、リアルな人間関係がバーチャルでも継続したことで、リア充の投稿でイラついたり、「いいね!」「リツイート」の押し合いしたり、既読スルーでモヤモヤしたりと、SNS疲れが目立ってきてますねw

情報量と幸福度は反比例するとよく言われますが、その通りだと思います。

で、今後ですが、リアルの人間関係をバーチャルから出発した人間関係が食っていくのではと思います。

たまたま同じ学校のクラスメートになったからといって、そこからしか友達を作れないわけではありません……と書くと悲しいですが、今どきひとつしか趣味がない人も、ひとつしかコミュニティに属していない人もいません。コミュニティによって自分の立ち位置も違うし振る舞いも違うのが当たり前です。

そういう意味で、クローズドなリアルの代替としての繋がりを求めて、より濃い人間関係が作られるのかなと。

今後どれが生き残ってどれが消えるのか、具体的には言えませんが、リアルタイム性(その場限りの体験)や、リアル(現実)への繋がりが鍵になるかなーと思っています。

匿名より実名なのかと言われると微妙なところで、見せたい顔に応じてどちらも使い分けするのではないでしょうか。


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AI(人工知能)のある未来を考えてみる(2045年くらいの未来社会)

もっと小説ちっくに生活風景を描写したり、絵でイメージを描ければいいんですが、ちょっとそこまでの時間がなく。

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