MVNO(格安SIM)って投資対象としては魅力ない銘柄ですよね。

テーマ株

3キャリア独占の源泉だったSIMロックの解除義務化を総務省が発表して以降、MVNOと呼ばれる通信基盤をキャリアから借りてサービスを提供する事業者が参入し、所謂格安SIMが普及してきました。

3キャリアとの違いは何と言っても料金が安いこと。私は楽天モバイルZenfone2 laser)を使っていますが、月額たったの1100円

神。

ただただ神。

前までソフバン(iphone)で毎月5000円くらいかかっていたのが馬鹿らしく感じます。

これは絶対流行りますね!

……で、そんな素晴らしい格安SIMなんですが、投資先としてはどうなんでしょう。

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MVNOが提供しているもの

教科書には「ある会社の製品、サービスを実際に体験して良いと思ったなら、他の人も同じことを考えるだろう。するとその会社は繁盛する。だからその会社の株を買おう」と書かれていたりします。確かに、日用品みたいに自分が使うもの、イメージ出来るものだけ買うというのも立派な戦略です。

ですがMVNOはあくまでキャリアから通信基盤を借りてサービス提供しているだけです。一体どんなサービス(付加価値)を提供しているのでしょうか。

安さ?

正直これ以外ないですよね。MVNO事業者の提供するサービスだと、回線は制限されてるし時々繋がりにくかったりします。どんな謳い文句があっても、サービスの質がキャリアに勝ることはありえません。

ですが、そんな色々な不便もある中で使うのは圧倒的に安いからです。

では、その安さの源泉ってどこにあるんでしょうね?

日本の携帯料金は安くはない(高いというほどでもないらしいけども)

寡占市場だから安定的に利益確保してるし、その分差っ引いて安くなったんじゃないか説。これはあまり正しくなさそうです。

日本人一人あたりの月額料金は平均して7,000円くらいだそうで、これは世界で4番目の数字。ただ料金プランが複雑化していて単純比較が難しいので、順位付けは正当ではないんだとか。個人的には毎月7,000円なんて高いとしか思えませんが……ちなみに1位のニューヨークは10,000円を超えます。

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また、こちらのOECDの各国携帯料金調査では上から3番目です。それでも端末実質ゼロ円とかやっているので、利益は出しているにせよ劇的な差を示すものではなさそうです。

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社会インフラ企業は巨額投資と回収モデル

投資コストが低いぶん安く出来る説。まあこっちですよね。

MVNOは回線をキャリアから「借りて」サービス提供しますので、基地局ネットワークの設備投資がなくて済みます。このコストが乗らないからこそ、安価な価格設定が出来るのです。

……あれ、それじゃあどこのMVNO事業者も一緒では。

難しいMVNOのビジネスモデル

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一般的には売上=客数×客単価です。MVNOの場合、客数=契約者数、客単価=一契約者あたりの月額料金×12となります。

差別化が難しい(出来ないとは言ってない)

同じ回線設備を使っている以上、根幹のサービス自体はどうしたって差が出ないことになります。

実際どんな方向で差別化戦略を打ち出しているのかなと思い、調べたものがこちら。

バリュープログラム+3つの“し放題”で差別化を――「NifMo」の戦略を聞く
ニフティがMVNOとして提供している「NifMo」は、当初からセット端末を販売し、ショッピングに応じて通信料に還元する「バリュープログラム」を提供。そして「3つのし放題」を打ち出すなど、独自色が目立つ。そんなNifMoの戦略を担当者に聞いた。
  • 端末とセット販売(楽天がZenfoneの8GBモデルを独占販売していたりします)
  • さらなる値下げ(アフィリエイト広告等と連携)
  • リアル店舗との連携(写真プリントサービスとか)

やっぱりオリジナリティあるサービス打ち出しには苦労してるみたいです。

単価が上げられない

MVNOは構造上、単価を上げられません。だって安いことが最大の価値がなのですから。高いなら3キャリアと契約するだけなので、ひたすら下げる方向で魅力をアピールするしかありません。

それでもコモディティ化した市場で待っているのは熾烈な価格競争ですが、どうなんでしょうね。

参入障壁がない(群雄割拠の状態)

今も新規のプレイヤーがこぞって市場へ参入してくる状況です。それはわりとどこでも事業をはじめられるからです。

各社が最安値を競ってくれると消費者としては嬉しいですが、投資家としては複雑ですよね。

今後の展望(勝手な予想)

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勝手に今後どうなるか予想してみます。世間一般に言われていることなので、全くの無根拠でもないです。

「格安SIM」に変わる上品なバズワード

こちらに面白いことが書いてありました。

「格安SIM」の現状と今後の展望がMVNO担当者から語られた,MMD研究所主催のイベント「MVNO3社に聞く,格安SIMの現状と未来」をレポート
 MMD研究所は,メディア向けの勉強会「MVNO3社に聞く,格安SIMの現状と未来」を10月19日に開催した。「格安SIM」の現状や今後の展望について,MVNOであるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ,ビッグローブ,ケイ・オプティコムの担当者が登壇した,パネルディスカッションの模様をレポートしよう。

“格安”という言葉には「安かろう悪かろう」といったマイナスイメージも含まれるため,「格安SIM」ではない何か別の表現ができないか,模索している最中だと話していた。

なるほど確かに新しいバズワードが発端となって流行るなんてのも、最近よくある話ですね。

それじゃあ「スモールSIM」とかどう? ……だめですね。

ポイント経済圏の争い

というネタはさておき、いの一番に思いつくのは「ポイント経済圏」ですね。

まず第一に、どうしてMVNOに参入するかと言えば、ユーザ囲い込みだと思うんですよ。

見た通りMVNO事業は既に競争が激化しており、このままいくともはやMVNO事業で収益を上げることが出来なくなってしまいます。つまり、MVNOで集客し、他で収益を上げるモデルにするしかありません。

そこでポイント経済圏ですね。

  • 楽天モバイルは楽天ポイント
  • DMMはDMMポイント
  • TONEモバイルは提携してTポイント発行するっぽいです。

ポイント経済圏は今後の大戦略なのでここでは割愛しますが、なんとなく分かる通り、全部同じポイントでやりとり出来たほうがいいですよね。だから一つポイントカードを持ったら他の商品やサービスも利用してくれる確率が上がるわけですよ。

そういう意味で、経済圏を持っていないIIJとかNiftyとかは今後厳しいと見ています。オリジナリティと言って新規サービスを打ち出しても、真似されてしまうだけなので……。

MVNO銘柄一覧

そもそも独立系のMVNOが少ないんですよね。例えば楽天モバイルを運営する楽天コミュニケーションズにしたって楽天の100%子会社です。楽天モバイルの会員が増えても楽天カードの会員が大幅に減ったら株価が下がるかもしれません。

「夏が暑そうだったらアイス関連株を買え」と言ってもサーティワンしか買えないのと同じです。例えば氷菓子を売っている会社だけなら明治HDも同じですが、全体売上の一部でしかないので、インパクトが薄いです。まあ大手企業は大概多角化しているので、テーマ株の爆発力に期待するなら中小株が向いているという話かもしれません。

NTTコミュニケーションズ(OCN)、UQモバイルはそれぞれNTT、KDDI子会社なので、シェアは高くても中々MVNO銘柄とは呼べません。それ以外でシェアの高いものは以下の通り。

インターネットイニシアティブ(3774):IIJmio

ドコモ系で通信品質に定評があるみたいです。ビックカメラと提携していてサポート体制も整えているそうなので、業界のシェアは2位(1位はOCN)、顧客満足度トップだとか。

iij

ニフティ(3828):NifMo

大手プロバイダのニフティ。昔は長らくお世話になりましたが、こんなところで名前を聞くことになるとは。後発っぽいですが、評判いいらしいです。ネットの紹介ページから申し込むとZenfone2 laserが一番安く買えるはず(1万円くらいのキャッシュバック)だったのですが、あっという間に品切れになりました。頼むぜ。

nifty

フリービット(3843):トーンモバイル

フリービットモバイル改めトーンモバイルとなりました。TSUTAYAでの販売やTVショップ販売等、チャネル多角化。月額料金でTポイントがつくことがある意味最大の特色かもしれないです。

日本通信(9424)

パイオニアとして必ず名前が出てきます。現在はどうかと言えば、正直なところ……。

MVNO関連銘柄

MVNO事業自体は収益が薄くとも、徐々に加入者が増えているのですから、周辺事業が儲かるはずです(書いてから思うけど、むしろこっちをちゃんと書くべきだったのでは)。

  • ワイヤレスゲート(9419):ドコモMVNOのWifi-LTE。オリンピックでも注目を浴びている株です。
  • ビックカメラ(3048):先述のIIJとの提携で、MVNO事業に参入しています。
  • フルスピード(2159):フリービット傘下の企業。ネット広告事業系。

今回はここまでです。

 

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