今回の記事は下の記事を補完になります。
チャート型バリュー投資家が見るべき経営指標について
私の場合、ファンダメンタルズはそれほど重視していません(特に定量的な数値はそこまで見ていません)。それは事業のライフサイクルが早まっていることもありますし、やっぱり私自身が基本デイトレ脳だからということもあります。
ただまあチャート外の部分で定量的ないし定性的にでも○×の判断が出来るのであればやりたいなということで、ちょっと整理してみました。
ハイプ・サイクル記事と連動している箇所が多いので、一緒に読んでもらえると嬉しいです。
事業ライフサイクルとハイプ・サイクルから、投資戦略について考える
企業の安全性評価
私の投資戦略上、企業の安全性、ビジネス存続性に対してある程度担保の取れる数字のジャッジがほしいなと思っています。
定量的評価
定量的評価とは主にはB/S、P/L、C/Fから読み取れるデータです。
- 自己資本比率:40%あるかどうか(業界ごとに違う)
- 流動比率:投資時期にはたくさん借金して(流動負債を高めて)事業拡大してほしいし、キャッシュを得る段階だったら1:1以上に設定したい。場合分けが必要。
- 営業CF、FCFの継続的な上昇(新興テーマの導入期は上昇していないので無視、一旦上がりだしてからは継続的な上昇がほしい)
- 主要株主の構成:分散されていることが望ましいです。また、機関投資家の買いが見られれば評価されているということです。
- 株の出来高:閑散としすぎていないことですが、倒産間近も出来高は上がりますか……。
もっと大きな企業がM&A等で新規事業に打ち出す時には、単純な新興企業とわけが違いますので、以下も安定性観点に含めます。
- 配当の増加(連続増配):配当利回りが無理(100%近い)してないか注意
- 利益(営業利益率、EPS)の安定推移
定性的評価
定性的評価とは主にシナリオで考える部分です。ポジショントークを差し引きした上で外部の評価を参考にすることもあります。
- 業界におけるポジション:リーダーあるいはニッチャーのナンバーワンがとれいているかどうか。
- 企業ライフサイクルにおけるポジション:これから拡大期にあるのか、成熟期で収穫時期にあるのか。後半になればなるほど安定性評価は落ちます。
- 主力事業がコモディティ化しないか:ブランド、のれんといったB/Sに計上されない無形資産価値を十分に持っているかどうか。
- 参入障壁は十分か:外部の脅威が少ない業界構造であることは、事業ライフサイクルを長期に伸ばします。スイッチングコストが高ければ尚良し。
- 差別化出来るコアコンピタンスはあるか:上と似ていますが、人的、技術的、情報的、ビジネスモデル的なアドがあるかどうかということです。
- リスクに対する対処は万全か:社会問題や知財問題(訴訟)のリスク、あるいは技術革新により競争優位が消えることに対してどんな対策が見えるか確認が必要です。
- 事業が社会問題を解決する大きなテーマに関連している:社会的ニーズがある企業は潰れません。テーマであれば注目度も上がります。
- 経営者の評判が良い:小さな企業ほど経営者の質がものを言います。
- 業績不振がある場合:一時的なものか、市場構造によるものかの判断が必要です。
企業の収益性評価
収益性は現在の収益と未来の収益を見ます。前々から書いているように、未来の収益性や株価の妥当性を評価することは出来ません。
定量的評価
- 営業利益率、EPS:ハイプ・サイクルで見た通り、時期によります。ライフサイクル後半では二桁%、継続的な成長が望ましいです。
- 持続可能成長率、本業外成長率:本業収益、あるいは株式調達や事業再編、M&Aによる収益です。過去10年に遡って見る場合、ニュースも追いきれなくなるので、収益のタイプを機械的に分けて判断します。
- ROA、ROE、ROIC:投資効率は利益に直結しますので、二桁以上が望ましいです。
- FCFの還元:収益化が出来ているか、CFで確認します。
定性的評価
- 業界におけるポジション:安定性と同じです。リーダーあるいはニッチャーのナンバーワンがとれいているかどうか。
- 事業の継続的拡大が見込める:将来のシナリオが描けることですね。ビジネスモデルはもちろんのこと、社会へのインパクトを考えないといけません。
- 業界(技術)の継続的拡大が見込める:どんな業界に属しているかというのも大きなポイント。全体の市場規模や普及のロードマップを気にしたいところ。