【未来図】小さな経済圏という未来社会と、クラウドファンディングの可能性

アイデア

私の考えと非常に近い、素晴らしい本を読みました。「なめらかなお金がめぐる社会。」という本です。

普段から将来はどんな社会が生まれるのだろうと、あれこれ考えています。

将来について考えるというのは、投資をするためにも必要ですが、何より自分の生きる方針を決める上で重要なことです。

この時のコツはなるべく夢があって楽しいものにすること。悲観的なシナリオは自分でどうしようもないものばかりですから、そういうなるようにしかならない未来は考えても仕方ないのです。

その中でも私は小さな経済圏という話がとても好きです。知っておいて損はないと思いますよ。

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豊かになるとバランス感覚が生まれる

よく物質的に豊かであることと精神的に豊かであることは違うと言われます。

お金をたくさん稼いで、好きなだけ欲しいものを買って、それだけで満たされる人はもう珍しいのですね。

かつてのように滅私奉公し、サラリーマンとして身を粉にして働く人生はもはやロールモデルにはなり得ません。むしろ現代人はお金、地位、名誉よりも自分の時間を大切にし、好きなことをして生きていきたいと思っている人の方が多数派のはずです。

本書にも記載がありますが、モノを持たないミニマリストやシェアリングエコノミーといった生き方、フリーランスや小さな起業家のような在り方が肯定されるようになってきました。

米国では実に全労働人口の1/3以上がフリーランスで、そろそろ1/2になろうかという記事も見かけたことがあります。

豊かになると余裕が生まれ、人生のバランス感覚が尖ってくるのだと理解しています。これまで物質的な富に重きを置き過ぎていたところから、ようやく修正が始まったのです。

精神的に豊かになるために、私達はなにをすれば良いのでしょうか。

大きな経済圏と小さな経済圏

さて、小さな経済圏の話をはじめましょう。

と言っても、現代社会で支配的な経済は、「大きな経済圏」です。

およそ全てのものが貨幣という統一尺度で測ることが出来て、貨幣が価値の象徴=富むことを幸福の第一条件としてきた社会、国同士大企業同士が競争し、急速に発展してきた資本主義社会ですね。

対して、「小さな経済圏」というのは文字通りもっと小さな経済集合のことです。

グローカル経済とか里山資本主義みたいに、その時々の流行で色々な言葉に置き換えられますが、本質は全部同じです。

普通の経済より規模も範囲も小さく、代わりに距離感も近いのです。田舎の小さな街全体であったり、インターネット上の数人グループであったり、そうした集まりのことを指しています。

小さな経済圏単体では大きな経済圏には敵いません。両者は敵対ではなく共生関係にあります。

やり取りにお金は要らない

小さな経済圏の事例を代表するなら、「隣の家から醤油を借りてこれる社会」です。これを贈与経済という言葉で表現します。

自給自足生活では、朝は畑に水をやり、昼に狩りに出かけて、夜に料理をしないといけません。しかしある時、自分はずっと畑仕事をしてたほうが効率がいいことに気が付きます。自分は余分に採れた作物、狩りに行った人は余った肉を交換すれば、動物性タンパクも不足しません。これが分業の始まりです。

分業社会において、物々交換というのは極めて重要な役割を担ってきました。ジャガイモを作る人、クマを狩る人、家で家事をする人も傷の手当をする人も、お互いが自分の得意なことを提供し合って、助け合って生きてきました。

それが、私達はいつからお金がないと価値を理解出来なくなったのでしょう。それはたぶん、お互いが顔見知りでなくなった頃からです。

そもそもお金というのは、村が発展して見知らぬ人同士が互いに価値の分かっていないものを市場で売買するとき、共通の価値の尺度として便宜的に用いたことが始まりです(最初は貝殻を使っていたんでしたっけ)。

逆に言えば、互いの顔が見える社会では「あいつは何もお返しをしてくれない」という不信感がないので、お金という媒介必要がないんですね。

シルビオ・ゲゼルの理論

と言っても、全くお金がないのも可視化しにくくて不便です。ということで、地域通貨を発行することは1つの良いアイデアです。

小さな経済圏と関係ないですが、地域経済で面白い事例があります。

前も書いたかな、シルビオ・ゲゼルの理論です。第二次世界大戦直前(1932年)のオーストリア、ヴェルグルという街において、独特な地域通貨で大成功しました。

当時は大恐慌とブロック経済政策による世界的な大不況期にも関わらず、その地域通貨を発行した後、失業者が25%も減り、経済が急回復しました。

この通貨がスタンプ貨幣と呼ばれ、「額面の1%に相当するスタンプを買って貼る」という貨幣です。要するに、持っているとお金を取られる「悪貨」ですね。

そもそも、貨幣というものは何年でも価値が保存出来るという点で、他の財と比べて強すぎるのです。畑で採れた大根も人参も、山で狩りをしたイノシシの肉も、数日もすれば腐りますが、貨幣は永遠に腐らないのですから(だから貯蔵機能として重宝されたのですが)。

スタンプ貨幣というのは、擬似的に貨幣を「腐らせる」ことで、貨幣の持つ特別な機能を奪ったのです。

スタンプ貨幣は貯金していると価値がなくなる一方の悪貨なので、みんないち早く使い切ろうとします。まさに悪貨は良貨を駆逐するの言葉通り、市場には悪貨が流通しました。

こうすると確かに社会の貨幣的価値の総和はどんどん減っていくのですが、一方で、お金が足りない人はいなかったそうです。なぜなら、誰もが国に取られるよりマシだと不要なものも買い込んだので、経済が非常に活発化したのです(老人が貯め込む日本と真逆!)。

なんか聞いたことありますね。そう、今のマイナス金利に近い話です。

まあ日銀がこの事例を参考にしたとは思いませんが、今日ではスタンプの代わりに銀行口座のお金を勝手に引き落とすことで簡単に実現可能です。

結局のところ、私達が貯金をするのは将来が不安だからです。60歳で定年退職してから、20-30年無収入で生きるということが不安だから備えているのです。

ところが、地域内で食料が採れて、帰る家があって、インフラが整って、互いに融通し合えるなら、余計なお金を持つ必要はないのかもしれません。

借り手が見えるお金にこそ

余っているところから不足しているところへ再配分するというのが金融の役割です。大きな経済圏を成長させてきたのはまさしく世界規模の再配分に他なりません(中心の先進国と、周辺の途上国)。

しかし、金持ちが金儲けの道具として使うお金は一から十まで「投資」であって、色はありません。

小さな経済圏は逆になるでしょう。

これまでの話は、別に小さな経済圏に貨幣経済が入り込むことを否定するわけではありません。むしろ、お金の貸し借りがしやすくなる経済です。

なぜならお金を貸した側、借りた側双方が見えるからです。

すると、「どんな」ことにお金を使うのかという視点に加えて、「誰が」そのお金を使うのかという視点が入ってきます。

価値の尺度が貨幣から信用に変わる

こういった考え方を信用経済と言ったりします。文字通り、個人に対する信用力が貨幣価値の代わりになるのです。

社会的なプラットフォーム

こういったことを成し遂げるのは、社会的な成熟はもちろんのこと、単に技術的な側面も無視出来ません。

本の著者がCAMPFIRE(後述)の運営をしているので、クラウドファンディング(融資型クラウドファンディング=ソーシャルレンディング)について取り上げられています。

これまでの金融機関では貸し手がつかないような企画でも、世の中には一人くらい共感してくれる人がいるかもしれません。

そういうサポーターとの輪を、現実世界の距離という壁を取り払って繋げられるのはまさにインターネットという技術の力です。

私がVALUというサービス開始直後にソッコー記事にしたのは、この辺を思い浮かべたからです。

VALUとはなにか――VALUがなぜ凄いのか詳しく考察してみる

まあ残念ながらVALUは今や投機家であふれています。貨幣経済を脱するための仕組みが、結局貨幣価値に振り回されているのですから、皮肉なものです。

利便性と経済性がないと新しいサービスは普及しませんが、ありすぎても目ざとい投機家を呼び込むだけです。ここは難しいですね。

AIが仕事を代行してくれるなら

AIが将来人の仕事を奪うと言われています。私はこの言い方が好きではなく、代わりに仕事をしてくれるありがたい存在になってくれると期待しています。

冒頭に書いたように、暗い話はあまり考えても仕方ないのです。

AI時代には仕事で達成感を得られることは少なくなります。人の仕事は機械に取って代わられ、空いた時間に人は機械に出来ないこと――創作活動やコミュニケーション、旅に出たり考え事をしたりします。

暇を持て余すと芸術に没頭するのは人の性みたいなもんです。「自分は何者なのか」みたいな、一種哲学的な活動に力を入れるようになります。

やりたいことをやって、好きに生きる。それでいいじゃないですか。

アリとキリギリス

アリとキリギリスという童話がありますが、あれの教訓はなんだと思いますか? どうもコツコツ働けという教訓を伝えたい童話ではないように思います(そもそも、アリとキリギリスは結末が複数あるので野暮な話ですが)。

アリはキリギリスを無償で助けたのではなく、キリギリスも施しを受けたわけではなく、両者で価値があるものを交換し合っているのかなと思いました。

アリはコツコツ働いてしっかり将来の備える一方、キリギリスは音楽の才能を伸ばして、アリを楽しませることの見返りをもらったというのは、強引な解釈でしょうか。

キリギリスが遊んで楽しているように見えるせいで、どうも「キリギリスを助けるなんて甘い!」という考えに陥りがちですが、これからの私達はキリギリスのように

情報発信と社会認知

さらに現代では自分の活動をインターネットを通じて発信することが出来ます。その積み重ねの結果、小さな世界の「専門家」として市民権を得るのです。

あらゆる財とサービスを機械が提供するなら、お金を払う必要がない日もきっと来るでしょう。そうなると、無形の信用が未来社会の新しい貨幣として役割を果たすのではないでしょうか。

移り変わりが始まっている

最近、個人の力が以前より強まったと実感します。

アラブの春はSNSを使った草の根運動から始まりましたし、アメリカのテレビ局でトランプが大統領になると調査出来たのは片手で数えるほどでした。この前たまたまテレビをつけたら、「今日のネット動画」なる、ただ動画再生するコーナーまで登場して擦り寄る始末。

10年前ならいざ知らず、今になっても「インターネットに社会を変える力はない」と豪語する人はいないでしょう。

当ブログも書き始めて1年半、投資ブロガーなのかは自分でもよく分からんのですが、何もしていなかった頃と比べれば、私の話を聞いてくれる人もいるんだなと思えるようになりました。

個人をブランディングしていくというのは、これから一層大切になっていくことだと思います。

第一歩としてのクラウドファンディング

ということで、新しい社会の第一歩として注目しているのがクラウドファンディングです。近年、急速に人気化してきています。

インターネットによって個人to個人をマッチング出来るようになったので、金融機関が融資してくれないような案件に応援することが出来るのです。

自分がなにかを始める上で資金調達をお願いするも良し、誰かを応援しようとするも良し。

日本最大のクラウドファンディングは先ほども挙げた「CAMPFIRE」ですね。ユニークなプロジェクトがたくさんあるので見ていて飽きません。

興味を持った方は、まずここに登録するのが一番いいかなと思います。

というか、私も融資を受ける側になってプロジェクトやりたいですよ。

学生レベルで資産運用について学べるゲームを作ったり、創作活動の応援サイトだったり、色々やってみたいネタはあるのです。

グダグダ言ってないでさっさと動けよって言われそうですが(笑)、イマイチ「これだ!」というものが出てこないので後回しに……。

ソーシャルレンディングについて

また、そうは言いつつ当ブログは投資ブログなので、出資者にもしっかり見返りのある「投資」としてのオススメも置いておきます。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)というものです。

現在は法規制の関係上、直接個人to個人の資金のやり取りではありませんが、以下のクラウドクレジットであれば融資が行き渡るのは新興国の個人や小さな企業です。



ソーシャルレンディングでオススメするならクラウドクレジット一択です。伊藤忠がバックについているので信用度が高いです。

新興国などの海外向け融資案件が主流で、利回り10%以上の案件も多く、そのわりに過去の貸し倒れ実績は1件も出していません。

欠損リスクを考えるとフルインベストメントは到底出来ません。とはいえ、1万円から始められるので、「ちょっとやってみようか」くらいの感覚で飛び込んでみると面白いですよ。

和波は新しいサービスを見つけたら、とりあえずそうやって首突っ込んできました(笑)


フィンテックの主役は当面ビットコインでしたが、こうした新しい金融サービスは確実に社会を変えつつあります。今回はそんな記事でした。

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