遥か未来の世界の象徴だったロボットも、既に手が届くところまでやってきました。
10年前、誰もスマホを手にしていなかったころを思い出せば、10年後には一家に一台のロボットと一緒に暮らしていると言っても非現実的な話ではありません。今後10年の産業の中心を担うのはロボットで間違いないでしょう。
しかもこの分野は日本が世界にリード出来る数少ない先進テーマであり、確実に動向を押さえておきたいところ。
(出典:日本ロボット工業会)
ということで(だんだん導入が適当になってますが)、この記事ではロボット産業を見ていきます。
ロボットの種類、分類
ロボットについての定義は、「(1)センサー、(2)知能・制御系、(3)駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム(『ロボット政策研究会報告書』平成18年5月、経済産業省)」となります。
この定義の中には、人に代わって作業する産業用ロボットもあれば、家庭の家事代行するロボットもあります。ドローンや自動運転車もロボットの一種です。人型、動物型、腕や足など一部のパーツと形もバラバラです。
あるいは、前にAIでも語りましたが、人間がロボット化していくという事実もあります(義手義足のみならず、やがてAIによる思考補助や臓器を機械が代替すれば、人すらもロボットと言えるのでは?)。
このため分類が難しいのですが、とりあえず一般的には産業用ロボットとサービスロボットに分けるらしいので、それで見てみます。
(出典:近畿経済産業局)
後ほど見るつもりですが、政府が今後ロボット活用を進めるべき分野として、「ものづくり」、「サービス」、「介護・医療」、「農業」、「インフラ・災害対応・建設」の5分野を重点分野として位置づけています。
産業用ロボット
ここで言う産業用とは、ファクトリーオートメーション(自動化)において必要とされるロボットのことで、自由に関節を曲げて動く手型ロボットです。
ロボットのイメージはこんな感じです。
- 垂直多関節ロボット:人の腕型でぐねぐね曲がるため非常に汎用性が高く、搬送から溶接や塗装、組立まで幅広い工程に導入される産業用ロボットの主軸です。このロボットの緻密な制御に日本は長けています
- 水平多関節ロボット:部品の押し込みに使うプレス機みたいなイメージ
- パラレルリンクロボット:出力を一点に集中して、高精度のプレスが可能
- 直交ロボット:直線的に移動するシンプルで自由度の高いロボット
ついでに産業用ロボットの活用分野と工程も調べてみましょう。
(出典:2013年 国際ロボット連盟)
(出典:2013年 国際ロボット連盟)
やはりと言うべきか、緻密な部品設計が求められる自動車や、精密機器の電機に多いです。需要の大きいこれらの産業用で先行して適用され、やがて他の業界でも自動化が進むという流れが期待できます。
食品・医薬品・化粧品のように商品の種類が多くひとつ当たりの生産量が少ないことが特徴の業界でも、自動化の恩恵は大きいです。
現在はハンドリングのような基本部メインですが、今後は組立のように高度作業も含め、全工程の自動化が求められます。
サービスロボット
産業用に当てはまらないロボットは全部ここ。ちょっと未来ちっくな感じのロボットも多く、これから注目です。
コミュニケーションロボット
かつての「AIBO」、「ASIMO」今はソフトバンクの「Pepper」、ロボガレージの「Robi」など、日常生活において会話相手になったり、情報提供をするロボットのことです。カメラやセンサーで擬似的な感覚器官を持ち、感情表現ができます。
人間そっくりの外見にしたり、動物にしたり、いかにも機械っぽくしたり、外見は色々です。
海外ではMITメディアラボ発のコミュニケーションロボット「Jibo」も。
日本ではPepperの認知度が非常に高いですが、企業の導入はまだまだ。接客、アプリ開発、コミュニケーションロボを活かしたサービス等、活用余地はこれからという感じ。
(出典:株式会社MM総研)
情報通信業や教育、医療業界にはポテンシャルがありそうです。
こっちの図で見ると、介護はロボットの登場を望まれていますね。介護する側も高齢者だと身体にも心にも負担が大きいですからね。
(出典:ガベージニュース)
ちなみに、この「ロボットと仲良く一緒に生活する」という発想は、あまり海外にはないそうです(日本はドラえもん、海外はターミネーターだから?)。なんでアメリカ人の作品はいつもロボット相手に生身で戦ってるんでしょうか。
家事代行ロボット(ホームロボット)
とりあえず今の家電に人工知能をくっつけて自動化すればホームロボットの完成です。真っ先に思いつくのはiRobot社の「ルンバ」ですね。欲しい。
(出典:iRobot)
あれはセンサーと人工知能を駆使して自律的に行動するロボットそのもの。
他にも電子レンジに人工知能をつけて自動調理、テレビに人工知能をつけてレコメンド。これらはスマートハウスとしてひとつに収束していくと思います。
医療代行ロボット
上の介護ロボットが家庭に一台あってコミュニケーションや簡単な介護補佐をするロボットなら、これは手術の補佐、代行を行うもっと高精度のロボットです。
日本に医師が不足している現状は周知の通りですので、より高度で精密な作業をロボットが出来るようになれば社会問題の解消にも繋がるのです。
あるいは、ナノロボットという極小サイズのロボットもあります。これは人間の体内に入り込んで癌の摘出とか出来そうです(将来は)。
農業ロボット
農業はIT化の進展著しい分野です。ビッグデータが起こり、今まで経験知でやってきた農業が数値(データ)化され、機械化が進んできています。
高齢化して畑作業が苦しいところをロボットが代わりにやってくれると楽になるのは分かりますし、後継者問題も解消に向かいますね。
パワーアシストスーツ(ウェアラブル)
人の身体に装着し、手足の筋力を補うものです。上で見た介護、農業や建設など、重たいものを持つ事業現場で活用出来るはず。宇宙スーツ(宇宙ロボ)もここに分類でしょうか。
義足義手、人工臓器も含めます。でもAIが機能する場面は少ないかもしれませんね。
セキュリティロボ
犯罪者の撃退みたいなことやってくれるとか。敵のビルに突入したらセキュリティロボがいっぱい出てくるみたいなSFを思い出します。
ビッグデータで見ましたが、振る舞い検知で犯行を事前に予測出来ますので、パトカーの代わりに取り締まり。
3分で分かる、ビッグデータ 市場規模、発展の要素、利活用
測量、危険地帯作業ロボット
ドローンもここに含まれますね。
3分で分かる、ドローンビジネス ドローンってそんなに有望かな?
東日本大震災以降、人が立ち入ることが出来ない場所においてロボットの活用が期待されています。実際、福島の原子力発電所の内部写真を撮影したのはロボットです。
自動運転車
これも主要なロボットのひとつ。別途記事にします。
ロボットの技術要素
先ほどロボットの定義を「(1)センサー、(2)知能・制御系、(3)駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム(『ロボット政策研究会報告書』平成18年5月、経済産業省)」だと調べました。
ドローンも同じロボットなので、やっぱり似ていますね。これでロボット三要素と言うらしい。
- センサー:目、耳といった感覚器官。カメラやマイク、加速度センサーやGPS等、色々なセンサーが取り付けられています。
- 知能・制御系:コンピュータ。CPUやメモリ、あるいは制御プログラムですね。
- 駆動系:モータやアーム、移動装置等の外部筐体になります。
まだ続きます~。
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