今日はこればっかりなんですが、日産のカルロス・ゴーン氏が逮捕されちゃいましたね。
ニュースとしては、日産自動車(7201)の会長であるカルロス・ゴーン氏が、報酬を50億円以上過少申告した疑いで検察当局に逮捕された、というものです。
こんだけ金持っててなんてガメついんだろうと思いますが、この人そういう人でしたね。コストカッターのイメージでは。
それはそうと日産の株価が気になるところですが、自分には結構致命傷に見えます。とりあえず明日暴落して、そのうち経営悪化して低迷するんじゃないかなと……。
ちなみにルノー株はニュースが報じられて以降、64→56ユーロと実に15%も下落したらしいです。
目次(クリックで飛びます)
カルロス・ゴーンはどう評価されていたのか
名経営者としての辣腕
カルロス・ゴーンは2000年に日産の社長に就任して以降、倒産寸前だった日産を”救った”と言って間違いない功績があります。
販売台数の伸び
日産単独の販売台数は2000年に263万台→現在566万台に倍増し、その大半はグローバル市場(特に中国・北米・ロシア)です。
16年に不祥事から三菱自動車を傘下に入れて以降、今や販売台数は1000万台を超えています。17年上期にはじめて世界一になりました。
中国を中心としたアジアや北米で強い日産、欧州で盤石のルノーの両頭体制を推進したのがゴーン氏でしたね。
徹底したコストカットとコミットメント
当時の日産はとにかく倒産寸前だったので、コストカットにより有利子負債圧縮を断行していきました。
ちなみに1999年は国内販売台数前年比-13%だったようで、相当危険な状況でした。
- 不採算部門を切り捨て、工場も次々売却(1兆円のコストカット)
- 短期で利益にならない事業も中止
- ラインナップの絞り込み(ブランドを捨てる)
- 一方でユニークな新車を投入
- 日本市場軽視し、海外市場を拡大
その結果、翌2000年度会計で過去最高の3,311億円という利益を叩き出しました。
ところが、イノベーションのジレンマにあるように、一つの成功体験は次のイノベーションを阻むことになります。
日産の評価としては今も似たようなものでして、同氏のDNAが受け継がれているように見えますね。
- 収益重視で変化の少ないラインナップ
- 一方でリーフなど次世代自動車への取り組みは他社に先行
- 日本市場では5位にとどまる(日本ではシェア20%→12%に減少)が、グローバル市場ではトップ級シェアに成長
2009年頃の低迷と再度のコミットメント
ちなみに、2009年のリーマンショック以降赤字転落しています。これじゃいかんと再びコミットメントで立て直したのもゴーンです。
日産がこの20年で得たものと失ったものは大きいですが、全体的には完全なプラスと言って差し支えないでしょう。
フランス政府との関係
日産とルノー(あと三菱)は3社連合のアライアンスを組んでいますが、最近ちょっと気になる動きがありました。
それがルノーと日産の経営統合でして、今後2年をめどに決定する方針と報じられていました。
参考ルノーと日産自の関係、「近い将来にはっきりさせる」-ゴーン氏
現状ルノーが日産に43.4%、日産はルノーに15%を出資していますが、今まで各社独立性を保ってきました。カルロス・ゴーンがアライアンスのトップとして調整してきたからですね。
が、ゴーンが自身が退任後を見据えた提携のあり方を見直すとなると話は別です。
この資本関係上、ルノーは日産株の33%以上を有しているため、議決権があるということになりますので。
フランス政府はルノーの筆頭株主ということ
で、この関係見直しを迫っているのがフランス政府だったりします。ルノーの筆頭株主はフランス政府で、19.7%くらいを有しています。
フランスは14年にフロランジュ法というものを制定しました。
これは株式を2年以上持つ株主の議決権が2倍にするというものですが、フランス政府がさらにルノーへの出資比率を引き上げると、50%以上で議決権(拒否権)を獲得することになります。
これでルノーの持ち分法適用で日産がフランス政府の管轄下に入るという寸法\(^o^)/
なんか、この辺からきな臭いというか。日産の経営権を取られるくらいならカルロス・ゴーン逮捕で白紙になるのは日産株主にとって悪いことばかりでもなんじゃないのって思います。
マジで。
今回の件、日産内部のクーデターと言われたりしますからね。
検察って証拠掴むまで動かないって聞きますし、実際内部通報から調査が始まったみたいです。
参考日産のクーデター?救世主ゴーン氏逮捕「私的流用が判明」日本で外国人経営者は成功しないというジンクス
日産の今後の株価を考える
参考1:17年4月に社長退任したとき
日産社長を退任すると発表したのは17年2月でしたが、結構下がってますね。ただこの時期市況が最悪で、だいたいの株が下がっていたので全部とは言えないかもしれませんが。
カリスマ経営者が一線を引いたあとは停滞してしまうものです。17年もやってたわけですしね。
参考2:無資格検査が波紋したとき
そういや、最近内部告発によって無資格の人間が出荷検査していたことが明らかになりました。17年9月くらい。
経営にも影響したし、普通に不祥事で下がる。
でもすぐ持ち直してます。みんなそろそろ慣れちゃったのかな。データ偽装とか流行ってたしね。
“本業に関係のない事象”と言えるか
結局はこの一件が本業にどこまで影響するかということで、彼個人の横領であって本業の収益力自体には影響しないとも言えます。
しかし、カルロス・ゴーンは日産・ルノー・三菱連合を一人で掌握しているキーマンなので、間違いなく今後の本業に影響が出ると思います。
11月20日はストップ安だと思うが
ということで、まあ明日11/20はストップ安まで暴落するでしょうね。
こんな追い出し方をしたってことは次のトップは日本人だと思いますが、日本担当はあまり優秀じゃないっぽい記事もちらほら見ます。
岐路に立たされた自動車産業の舵取りがお友達人事でうまくいくか実に怪しい。大丈夫だという声も聞きますが、調べていると本当にそうかなあと。
ま、こんな何度も不祥事起こす株を買う気はしないのですが……。
配当利回りは高いけど
ついでに。
利回りは6%超えて来ていますが、あんまり意味ないと思います。そもそも自動車は典型的な景気敏感株なので、好景気で上がり不景気で下がります。
常に一定のキャッシュフローを得られることを第一とした配当金投資に向かない株です。
自動車株についてはなんか利回り高い!→投資しよって考えないほうがいいです。これは銀行株や商社株も同じで、彼らは今まで何度も不景気に減配してきた過去があります。
気をつけましょう。
関連記事です。
自動運転についての分析記事になります。
自動運転が本格的に普及するとOS勝負になるので、自動車メーカーも今のPC・スマホメーカーのように箱売り商売で儲からない時代が来るかもしれません。
先程も載せた不祥事を起こす会社のその後です。不祥事は買いという言葉もありますが、それは本業の今後に大きな影響がない不祥事に限ります。
高配当ということで、日産とは関連薄いですがJTの記事です。配当狙いならこういう株のほうがいいです。