ベルギー高級チョコレートブランドのゴディバが日本事業を売却へ!

ニュース

たぶん日本で最も有名な高級チョコレートブランド「ゴディバ」が日本事業を売却することにしたようです。

9月くらいから記事にはなっていましたが、親会社のユルドゥズ・ホールディングがトルコリラの暴落で債務拡大し、いよいよということになったようです。

参考「ゴディバ」が日本事業を売却へ 買収に10社近くが名乗りあげ争奪戦に

ゴディバは元々ベルギーのブランドですが、トルコの大手食品会社が07年にキャンベル・スープから買収したため、現在はトルコ傘下にあります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

売却額1,000億円の妥当性

ゴディバにとって日本市場は極めて重要です。なにせ売上の1/3は日本ですから。

ゴディバは全世界に650店舗以上を有していますが、うち日本の直営店が289店です(2014年には47都道府県すべてに出店しています)。40%以上ですよ。

日本のチョコレート消費量、一人あたり消費量はずっと右肩上がりで、年3~4%程度の成長率となっています。

ちなみに一人あたりチョコレート消費量が多いのはドイツ(11.7kg)、スイス(10.2kg)、イギリス(8.3)あたりです。意外とベルギーは3.1kgで日本とさほど変わりません。

(出典:みずほ証券)

一方でゴディバの日本事業売上は2010年から2015年の間で倍増しているようです。成長率で言えば年平均17%と驚異的なペースです。

IRがトルコ語だったので読解は無理でした……w

明らかにゴディバは日本で受け入れられ、親しまれたブランドと言えますね。

 

さて、ゴディバ・ジャパンの売却額は1,000億円らしいです。

いくら急成長していると言っても、日本事業の年間売上高は3億5000万ドル(約397億円)なので、利益率10%と仮定して回収に25年要する計算です。

ゴディバの利益率はもっと高そうですが、商標権をベルギー本社から借用する形になるので、ライセンス料で数%差し引かれて10%くらいかなと。
ヤフーと日本ヤフーマクドナルドと日本マクドナルドの関係みたく、ライセンスフィーはもらう側が資本主義の勝者なので、本家への投資が推奨されるのです。

9月時点では売却想定1,700億円の設定だったのでこれでも下がってますが、相当な高値であることは分かります。

日本のお菓子メーカーの売上水準を見ると、1ブランドで1,000億円はまず届かないですね。

(出典:業界動向)

要は”ゴディバ”というブランド価値にいくらの値付けをするかということです。

ゴディバのブランド戦略

きれいな包装や限定チョコレートの投入で高級感を崩さず、一方で手頃な価格帯のラインナップも充実させ幅広い層に展開しています。

コンビニでの展開も進んでいて、気軽に買うことが出来るようになっていますよね。

「アスピレーショナル(あこがれ)とアクセシブル(行きやすい)は相反するものではありません。両立できるのです」……(中略)

……コンビニに並ぶゴディバのチョコレートは、人々が小さな特別感を、場所や時間にとらわれずに手にしたい気持ちの反映であり、現代の日本人が求める新しい選択肢「アクセシブルなラグジュアリー」といえそうだ。

参考高級チョコレートの代名詞 ゴディバがコンビニで販売される理由

高級腕時計を大衆紙に出すブランド戦略と少し似ていて、コンビニでちょっとした贅沢品という立ち位置を得ることがブランドイメージで重要なのだと思います。

あとはSNSや広告戦略がとても上手いですね。

日本は、義理チョコをやめよう。

今年2月1日、バレンタインデー前に他ならぬゴディバが日経新聞の広告に載せた言葉です。すごいインパクトでしたね。

(出典:日経新聞)

SNSなどで反響も大きく、話題を提供するという意味で広告は成功と言えるでしょう。ちなみにこの広告について過半数が賛成だったようです。

ゴディバは高級チョコレートのため義理より本命向けという声もありましたが、うちの職場だと女性は毎年義理チョコでゴディバを配って回っています。

日経新聞に載せたということで、職場の人間関係に疲れたサラリーマン層に向けたメッセージなのかなと。

そういう意味で、チョコレートにマイナスイメージをつけない戦略でもあったように思います。上手いなあ。

母国の経済動向を気にしないといけない場合

私はチョコレートより和菓子が好きなので、まあゴディバは別に良いのですが(どうせ商売は続けるのですし)、こうした事例を見ると母国の経済動向をどこまで見るべきか気になります。

今回は親会社がトルコという現在政情不安の国にある企業で、経営多角化に向けた買収資金を調達していたのが、トルコリラ暴落で債務が膨れ上がった格好です。

また、ユルドゥズ・ホールディングはトルコ国内売上比率は分かりませんが、Wikiによるとトルコ国内に工場が59/83だそうで、たぶん内需が大きいと推測します。

参考ユルドゥズ・ホールディング Wikipedia

例えばイスラエルは紛争地域にありますが、中東のシリコンバレーと呼ばれ、世界最高クラスのサイバーセキュリティ大国でもあります。

ちなみに、VRやドローンはイスラエルで生まれた新技術だったりします。

ここのベンチャー企業は売上をイスラエルに依存しないグローバル企業となっており、かつ米国市場等に上場して資金調達を行います。

このため投資先として不安は感じません。いや、開発拠点がイスラエルにあるからちょっと不安かもしれませんが。

日本にいると感じないのですが、地域によっては地政学的リスクやポリティカルリスクを考えることも重要だなと改めて思いました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ニュース
フォローする

関連記事



このブログは和波の運営する雑記ブログです。
記事の質問やお仕事の相談など、お問い合わせフォームにてお気軽にご連絡ください。
和波の投資生活ブログ@米国株・ETF&テーマ株投資
タイトルとURLをコピーしました