配当金生活を考えると、平均利回りは結構気にするポイントだと思います。
VTやVWOなどの世界分散で使われるETFや、VWMやHDVなどの高配当ETFの平均利回りがどのくらいか?ということですね。
過去平均からして十分な利回りがどこのラインなのか知っておくことで、買い場の判断材料やFIRE後の平均的な収入目安になると思います。
株価が下がってきそうで来ない状況ですが、焦らず基準を持っておきましょう。
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直近配当利回りとは
たまにYahoo!ファイナンスとかで「直近配当利回り」という言葉を目にしますが、これ微妙に誤解を生む表記だと思うんですよね。
例えば3月に1円、6月に1円、9月に3円、12月に3円の分配金を配る、基準価額100円のETFがあったとしましょう。ないですけど。
このETFの年間利回りは(1+1+3+3)/100=8%となります。これはOKだと思います。
ところが直近配当利回りはというと、3月の配当金額が参照され、それをベースに年間配当額を暫定計算(つまり4倍)します。
つまり、直近配当利回りで算出すると、(1*4)/100=4%と、実態と大きく変わってしまうわけです。
このように、直近配当利回りは直近の1回の配当金額をベースに年換算して算出した利回りになります。配当金が少ない期をベースにすると全体の利回りも少なく算出されてしまいます。
SPYDの21年12月の分配金が前期比で70%近く減ったことがありましたが、よくよく計算してみると年トータルではさほど変わっていなかったのです。
直近配当利回りベースで見ると急に渋い利回りに見えるので、インパクトが大きいわけですね。
そもそも配当は会社によって年4回のところもあれば2回のところもありますし、支払時期もバラバラです。なので直近配当利回りではなく、年単位での利回りを計算した方がよいです。
そこで今回は一年間のトータル配当収入額を、各年の前年末の株価で割った値で利回りを求めていこうと思います。
VOO(S&P500)の配当利回り
S&P500の配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
見方は共通で、年間分配金がバーで右軸、配当利回りが赤で左軸、増配率が黄色で左軸となります。増配率はETF側の設定もあるので、極端な数字はのけています。
VOOは2010年設立のため、リーマンショック時のデータを取る関係で2007~2009年はIVVから引用しています(途中までVOOで作ってたから許して)
数字だとこんな感じ。
平均利回りは1.83%、平均増配率は5.35%でした。
利回りはかなり安定していますが、1.8%を切るとちょっと割高感がありますね。
2011年以降安定して増配を続けています(コロナ影響で20年は少し下がっていますが)
リーマンショックの2008年~2009年で18%の減配が発生しており、これがここ50年で最大の下落です(というか、ほぼ下落がありません)
ちなみに減配が大きかったのは主に金融株で、ディフェンシブセクターは連続増配を続けている銘柄が多かったです。
世界恐慌でも30%ちょっとの下落らしいので、配当金は最悪でも30%減をMAX値として見ておけば十分現実的な計算が可能ですね。
S&P500の詳しい分析はこちらからどうぞ。
VWOの配当利回り
VWOの配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
数字だとこんな感じ。
平均利回りは2.45%、平均増配率は6.01%でした。
株価が上がらず下がらずぱっとしない中、配当も年によって結構上下があります。
トータルの利回りはほとんど横ばいなので、今後の成長性を考えるといつ買ってもいいかなと思えるETFではあります(中国比率が4割なので、やや政治リスクはありますが)
VWOの詳しい分析はこちらからどうぞ。
VTの配当利回り
VTの配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
数字だとこんな感じ。
平均利回りは2.06%、平均増配率は10.32%でした。
VTのうち55%以上が米国市場ですが、米国単体より利回りが高いのはそれ以外の分配金貢献が高いから。とはいえ米国市場は過去100年で先進国トップクラスのリターンを叩き出した市場ですけどね。
リーマンショックやコロナショックで減配が目立ちますが、流石に世界分散投資だけあって全体的には安定した推移を見せていると思います。
VTの詳しい分析はこちらからどうぞ。
VYMの配当利回り
VYMの配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
数字だとこんな感じ。
平均利回りは3.01%、平均増配率は6.55%でした。
リーマンショック時期に19%減とS&P500と変わらないレベルの減配をしていますが、それからは安定的に増配が続いていることも見逃せません。
私の中ではポートフォリオの最大を占めるETFですね。
構成株はディフェンシブセクターばかりではないのである程度の影響はやむを得ないとしたうえで、生活費に余裕を持たせる運用が望ましいと思います。
VYMの詳しい分析はこちらからどうぞ。
HDVの配当利回り
HDVの配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
数字だとこんな感じ。
平均利回りは3.43%、平均増配率は9.83%でした。
VYMと比べた内容は分析記事に譲りますが、VYMより利回りは平均して高めで、増配率は安定しない感じです。
HDVの詳しい分析はこちらからどうぞ。
SPYDの配当利回り
SPYDの配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
数字だとこんな感じ。
平均利回りは4.30%、平均増配率は0.78%でした。
ほとんど増配はないものの、ここ数年は利回りずっと高い水準で止まっています。
単純にS&P500の中で高配当株を80銘柄組み入れているだけなので、リーマンショックのような暴落時にどう動くかは気になりますが、値上がり益を捨てて少し高めのキャッシュインを求めるにはよい選択肢です。
SPYDの詳しい分析はこちらからどうぞ。
QQQの配当利回り
QQQの配当金と年ごとの利回り推移はこんな感じです。
数字だとこんな感じ。
平均利回りは0.72%、平均増配率は23.16%でした。
まあ分配金に期待するETFではないので利回りは今回取り上げたものの中では最低となっています。
一方でこの10年で最大の勝ち組ETFであり、株価の上昇が配当の低さを補ってあまりある伸びを見せました。
成長市場だけにキャッシュはあり増配率も高いですが、将来はマイクロソフトのような新たな連続増配銘柄が増えてくることにも期待したいですね。
QQQの詳しい分析はこちらからどうぞ。
比較まとめ
ということで、ざっくりまとめてみましょう。平均利回りはそれぞれこんな感じでした。
- S&P500:1.83%
- VT:2.06%
- VWO:2.45%
- VYM:3.01%
- HDV:3.43%
- SPYD:4.30%
- QQQ:0.72%
今回の趣旨と異なるので過去トータルリターンは出しませんでしたが、とりあえず配当金(分配金)狙いなら、この数字を基準にこれより安かったら買っていいんじゃないかと思います。
あまり狙いすぎても買えないので、良いものを妥当な値段で仕入れられれば十分だと思っておきましょう。
ポートフォリオを組み込むという考え方も大切ですしね。
増配率まで見た安定感はVYMが一歩抜けているかなという印象なので、やっぱりFIREに向いた銘柄だなと思いました。
過去記事探してもまとめてなかったので、今更ながら記事にしました。
動画再掲
関連記事です。
最近は配当より自社株買いが主流になりつつあります。そのあたりをまとめた記事。
記事内で何回か出てきた最大下落30%の元ネタ。リタイアすると収入が上振れしにくいので、基本は最悪ケースを想定して、それでも余裕を持たせておく運用が望ましいです。
今回は利回りからポートフォリオの収入面にフォーカスを当てましたが、支出面はこちらの4%ルールを参考にしてみてください。
ではでは。