3分で分かる、それでも3Dプリンタに期待してしまう理由

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3Dプリンタ、メイカーズ革命といったキーワードは、モノ作りを根本から変えると称して2013年頃に爆発的に流行っていたテーマでした(下の図は2013年のもの)。

hype20(出典:Gartner)

逆に今はAI、IoT、自動運転といったキーワードが流行っており、一時ほどのトレンドワードではないことは確かです。

前に記事で見たハイプ・サイクルでもその傾向は見て取れます(詳細は後述)。

事業ライフサイクルとハイプ・サイクルから、投資戦略について考える
ちょっと理論的な話をしたいと思います。 ハイプ・サイクル ハイプ・サイクルとは ハイプ・サイクルって聞いたことありますか? こんなやつ...

しかしながら、特に産業用3Dプリンタについては幻滅期を経て普及期へと突入し、ビジネスにおいて実績が生まれ始める、株としても「買い」のタイミングに差し掛かっているとも言えるんじゃないかと。

……ということで、今回は3Dプリンタを見ていきたいと思います。

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3Dプリンタとは

3Dプリンターとは、通常の紙に平面(二次元)的に印刷するプリンターに対して、3DCAD、3DCGデータを元に立体(3次元のオブジェクト:製品)を造形する機器。
日本語では立体印刷機(りったいいんさつき)とも言う。

出典:Wikipedia

3dpri1

(出典:みずほ銀行)

3Dプリンタが流行った背景、歴史、経緯

3Dプリンタは技術的には30年以上前から存在していました。しかしながら、当時は1000万円を超えるような高額製品のため見向きもされず、小さい市場に留まっていました。

流れが変わったのは、2009年に3Dプリンタ関連技術の特許が切れ、一気に値段が下がってからです(特に家庭用3Dプリンタの値段が数万円程度まで劇的に低下)。これにより多くの企業が参入していきます。

ただし、実は3Dプリンタそのものの技術自体はそう変わらないらしいのです。プリンタ部品の小型化・高性能化やネットワークの改善等、3Dプリンタを取り巻く環境の変化のほうが大きいとのことです→参考

また、2012年に出版されたクリス・アンダーソンのMAKERSの本が後押しとなり、ブームに火が付いたということです(元WIREDの編集長である筆者は、「ロングテール」「フリー」といった新時代のビジネスモデルを提唱し、ニューヨーク・タイムズのノンフィクションベストセラーリストに上がるほど)。

詳しくは以下のサイトが大変分かりやすかったので、合わせてご確認ください。

3Dプリンターはここまできた!時系列で辿る3Dプリンターの歴史

最近は目立ったニュースが全くなくなっていますが、ちょっと前までは個人が銃の製造に使うなどの問題が出現していましたね。

ハイプ・サイクルから

2015年のデータは以下のようになります。

hype13(出典:Gartner)

ハイプ・サイクル的には産業用、家庭用(もっと細かく言うと、産業用・家庭用・3Dスキャナー・バイオプリンティング)に分類され、基本的に全部期待ピークを超えたあたりから幻滅期の間で推移しています。

ちなみに、2016年のデータからは消えてしまっていました。

hype15

(出典:Gartner)

  • 産業用は少し幻滅期を脱しつつあり、試作、型の確認等、実際の業務利用が進んでいます。17~20年に本格的な実用化がはじまると予想されています。
  • 家庭用は期待ピークを過ぎて幻滅期にあります。家で自作するには高価で大げさな機械でしかないためですね。まだ普及は見えておらず、2020年以降と考えられます。

Googleトレンドで見ても、3Dプリンタに対する興味の推移は少し落ちてきていますね。

3dpri2

(出典:3D NEWS)

一番キツイ時期ですね。まあ、あらゆる技術がこのフェーズを経て、生き残れば実用化になるのですが……。

3Dプリンタの課題――素材の制限や製造速度あるいは精度という技術的課題や価格の一層の低減等については、やがて解決されていくとは思います。

しかしながら、ここから巻き返すには、ビジネス化するにあたり、供給面ではマネタイズのモデル化、需要面では社会問題の解決(利便性向上)という社会的ニーズの喚起が必要となります。

現状、3Dプリンタがやれることは大きいけど、3Dプリンタを使わなくてもいい分野が多いからです(既存技術で代替出来るうちは、スイッチングコストが発生し簡単に乗り換え出来ません。まして今まで大量生産のために最適化された領域を変えることは容易ではないでしょう)。

こちらのセミナーで面白い指摘がありました。

実は2Dと3Dのプリンターの性質はかなり似ています。年賀状の印刷ビジネスを思い出してみてください。初めはプリンターを皆こぞって買ったが外に出した方が高品質・低コストなので、そのうち持っているプリンターを使わなくなりましたよね。

出典:JMC

一見便利な技術に見えても、実際に購入する段になると、非常にシビアに消費者から選別されることがよく分かると思います。こうして名前が上がったけど消えた技術は数知れずです。

実施方式

実施方式はいくつか種類が存在しています。細かい説明はキーエンスのHPでご確認ください。材料とか周辺ツールについても書かれています。

以下にちょっとだけ抜粋させていただきます。

  • 光造形:紫外線硬化樹脂(紫外線に反応し硬化)を装置内のレーザーを使用して硬化・積層する手法。
  • 粉末焼結:粉末素材を装置内のレーザを使用して焼結・積層する手法。
  • 熱溶解(FDM):熱可塑性樹脂を高温で溶かし積層する手法。
  • 粉末接着(固着):主に石膏材料を接着材で硬化・積層する手法。
  • 面露光:可視光硬化性樹脂をプロジェクターを用いて硬化・積層する手法。
  • インクジェット:液状の紫外線硬化樹脂(紫外線に反応し硬化)を塗布しUVランプにより硬化・積層する手法。

出典:キーエンスHP

下に行くほど新しい技術です。これを超適当に分類すると、安価に出来る粉末接着方式、スピードのある面露光方式、精度の高いインクジェット方式って感じですね。

当然、それぞれ用途も得意分野も違ってきますが、印刷のテーマは基本的には平面印刷と変わらず、「スピード」「高画質」「強度(堅牢性)」「汎用性」「コスト」の5つが争点になりそうです。

3dpri3

(出典:みずほ銀行)

インクジェット3Dプリンタで造られた靴の完成度はこれくらい。すごい。

参考)3DCGと3DCAD違い

余談ですが、3DCGと3DCADの違いは3Dを使う目的にあります。具体的には以下のようになっています。

  • 3DCG:デザイン要素を立体モデル化(プレゼンやイラストに使用)
  • 3DCAD:寸法の入った図面を三次元化(製図モデリングや設計に使用)

という区分けですので、3Dプリンタ用ソフトとしては後者の3DCAD中心になります。私が興味あるのは3DCGですが。

また、2Dイラストから3Dを起こす技術も出てきているらしいので、3DCGは別方向に需要が継続するかと。

3Dプリンタのなにが画期的なのか?

マスメディアが喧伝するような、「誰もが製作者になる」という華々しい未来社会を実現する……かどうかはともかく、3Dプリンタの方向性は以下の2つになるはずです。

  • 精密なものづくりによる高付加価値化
  • ものづくりの裾野拡大
3dpri4

(出典:製造産業局素形材産業室)

上については今の順当進化です。機械がより精密化することで、最終製品がよりエラー率の低いものになることが予想できます。

注目したい「ものづくりの裾野拡大」

3Dプリンタが「画期的な点」は、個人でものづくり(複雑な商品開発)が出来るようになることだと思うのです。

歴史的に言って、機械によるものづくりは、これまで職人技術の世界だった製造工程を汎用化し、専門知識・技術のいらない形に変えてきました。3Dプリンタも同じことです。3Dプリンタは中間部品製造を飛ばして最終製品を直接出力出来るので、製造コストが劇的に下がります。

大量生産による規模の経済を享受する事業分野ではコストメリットがありませんが、IoT、ビッグデータによってパーソナライズ化が進む現代で主流になると見られる、オーダーメイドな製品販売ビジネス(=少数多品種生産)とは非常に相性が良いです。

しかも3Dプリンタによるものづくりに必要なのは、「3Dプリンタ本体」、「材料」、「データ化された設計図」だけなのです。

  • 3Dプリンタ本体:どんどん価格下落&小型化しており、文字通りいつでもどこでもものづくりが可能になっています。
  • 材料:あらゆるものを投入出来るので、原料が用意出来れば理論上はあらゆるものが製造出来ることになります。
  • データ化された設計図:3DCADで設計しますが、今やデザインされたアイデアをオンライン上でやりとりし、世界中の人々と共有・共創(オープンイノベーション)が出来る土台が整っています。

そう、あらゆる産業に適用され、生活にも劇的な変化を生む可能性を有した技術なのです。しかも個人で製造出来るので、小回りが利きます。スピードや製造精度といった技術的課題もやがては解決されるでしょう。

本当に、残る問題はマネタイズなんですよね。

個人レベルの副業としても有力な選択肢になると見ています(これを考えて昔3Dを勉強しようとしましたが、難しくて挫折しましたw)。

3dpri5

(出典:みずほ銀行)

後半は3Dプリンタで現在出来ることや未来に実現しそうなことを中心に見ていきたいと思います。

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