このところ、AI(人工知能)の進展が凄まじいことになっています。
今月12日にJAMA(アメリカ医師会雑誌)に掲載された論文では、乳がんの転移を調べるための画像判定にAI(注1)が挑み、11人の医師と成績を比べたところ、大幅に上回ったことが示されました。
究極の専門領域とも言える医学においても、医師を上回る成果を出しはじめたということが報じられました。
AI関連の記事は結構数多く書いてきていますが、そろそろアップデートしないと古い情報も多いですね。
ちなみに、一応当方の本業はAI含め新規技術の商談展開(雑)なので、こういった話題は嫌でも絡んできます。
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何もかもがAIの得意領域だけど
機械が元々得意としているのはデータの記憶と検索なので、答えがある問題であれば、正解にたどり着くのはマシンパワー次第でした。将棋や囲碁でプロに勝つのはこれが理由で、ルールによって動きが限定されていて、無限の可能性を考えなくて済むからです。
ところが、当たり前ですが、現実世界において一意に答えが決まることのほうが少ないですよね。将棋で勝てる人工知能があっても、それを他で活用することは出来ませんでした。
どんな技術もお金にならなければ消えていきます。
結局、コンピュータがまるで人間の脳のように自力で考えて結論を出すことが必要だったのです。
そこで登場したのがディープラーニングで、これは人間の脳の構造を模した学習体系です。人間の脳が電気信号(0と1の2進数)で情報のやり取りをしているなら、同じ原理を持つノイマン式コンピュータでも実現出来ないはずがないという理屈に基づいたものでしたね。
人間と同じかより優れた頭脳を作るのですから、AIはあらゆる産業を代替する可能性があります。ポテンシャルは凄まじいですし、こぞって研究する理由も分かります。
とはいえこれは究極系で、2045年に起こると予測されるシンギュラリティと言われる出来事です。
医療は今のところAIを活かしにくい領域だと思う
先ほどの記事を読む限り教師あり学習っぽいですけど、ディープラーニングの一種だそうです。
実は16年時でディープラーニングを活用した画像認識は、人間の精度を超えていました(たぶんもっと前から超えていたはず)。
AIというのはただ一つの万能な知能があるというより、得意不得意があります。画像処理と自然言語処理では方向性が異なりますし、認識推論AIとエモーショナル(感情)AIとでも用途は全く異なります。
少なくとも現時点では、ある特定の処理が得意な部分的な人工知能を並列につなげないと実用に耐えるものにはなりません。
先ほども書いたように、機械が得意なのはデータの記憶と検索です。AIは言うなれば機械の人間化ですが、まだまだ機械的な特徴が強く残っています。
逆に人間が得意なのは右脳的な処理です。右脳的というのは例えば連想、発想といった曖昧な感性や直感といった言葉で説明出来ないような感覚イメージですね。
ガンや生活習慣病というメジャーな病気は事例も豊富ですが、世界には数少ない難病が山のようにあります。データの足りない未知の出来事に対応し得るのは右脳分野で、今はまだ人間が必要なんじゃないかなあと。
まあでも、いずれ人間とは全く別のやり方で新種の病への対抗策も見つけてしまうんでしょうけどね。
中国のAIが人に通じない言語で会話をはじめたとかいうニュースもありましたし、AIは成長軌道も予測不可能です。
人の機械化
これから人間の機械化もどんどん進みます。原初的には、例えば書物なんてある意味身体の外にある頭脳じゃないですか。
本来ちっぽけな人の頭の中でしか出来なかった記憶という機能は、人が文字を覚えたことで外に飛び出しましたね。書物はPCやスマホのハードディスク、インターネット(クラウド)と形を変えて、今や個人の脳の限界を超えた膨大なデータベースに成長しました。
これから、自分の脳にある曖昧なイメージを映像化する機械が生まれれば、あとは膨大なデータベースをAIが検索すれば答えが出るわけです。
前にも書いたかもしれませんが、ハードウェア的にも人の機械化が進むと思います。老いを止める方法は、遺伝子操作か身体を機械にしてしまうことでしょう。
心臓が機械になれば、定期的にスペアパーツにメンテナンスするだけで止まることはなくなります。頭脳が電気信号の波に変わったら、私達は身体という実態すら持たなくなるかもしれません。果たしてどこまでが人間で、どこからが人間ではないと言えるのでしょうか。
なんにせよ、機械は人に近づいて、人は機械に近づくと思っています。
仕事が奪われるのではなく、仕事しなくて良くなると考えよう
こういう話を聞くと決まって「人工知能に仕事が奪われる!」と騒ぐ人々がいます。
その仕事クソだって毎日言ってなかったっけ?
と思わないでもないですが、まあ生活かかってますからね。将来の不安はどうしても付きまとうでしょう。
正直どうしようもないことです。AIとAIの命令で動くロボットが出来たら、人が働く必要なんてなくなりますからね。
私だってAIが自分自身をプレゼンテーションする能力を持ったらお払い箱です。まあそれならそれで面倒事が減るから、出来るようになってもいいんだぞ。笑
SF的に機械の反乱があるのかは未来のみぞ知るですが、たぶん働かなくなる日が来ますよ。いいことじゃないですか。そしたら好きなことに没頭出来る時間が生まれます。
そこはクリエイティブな自己実現が出来る人間が認められる社会ですよ。今のうちから好きな趣味、人に自慢出来る趣味を磨いておくといいですね。(*´∀`*)
AI関連株の動向について
一応株ブログなんで、さらっと株動向にも触れておきましょ。下の記事も今は変わってるかもしれません。
ハイプ・サイクル的な期待ピークで正しいのか
ガートナーが2017年のハイプ・サイクルを発表していました。アマゾンとかあれだけ儲けててクラウドって幻滅期なのか?
AIは期待ピークにあると言っています。たぶん期待ピークは間違いないのですが、この先、幻滅期は短時間のうちに通り過ぎてすぐ事業化フェーズに行くんじゃないかと思うんですよね。
理由としては、AIは第一次や第二次AIブームの時に期待ピークと幻滅期を既に経験にしてるから。
確かに、GoogleHomeは複数の依頼をするとすぐ諦めちゃいますし、「思ったほど色々やってくれない」感じはまだまだあります。
やれることやれないこと手探り状態で、意外と出来ないことが多いということが幻滅のきっかけかもしれませんが、すぐに人とタスクの振り分けして導入が進むと思います。
というか、競争が厳しい市場で最大の削減・効率化余地になっていて、先行して導入した会社がコストメリットで優位に立つようになっているからです。現場の経験知は汎用化していかないとですね。
幻滅期に入るイメージは、AIが意外と使えないという方向よりも、AIは危険だ的な声が広がって不安感から下落する方向かなと予想してます。
AI関連株の値動き予想
ハイプ・サイクルに沿って今が期待のピークで、どこも株高になっています。シェア拡大に向けて売上先行で利益は小さく、PERだと高水準に出ます。
IBMなんて法人向け無料にしましたし、リクルートも今年5月くらいだったかAI無料開放したので私も少し触ってみました。データ量正義なので、データ集めたいのかなと思ってますが。
さて、株価的にはもう少しすると幻滅期に入って、株価も大きく下がるでしょう。多くの新規技術は幻滅期が超えられない壁になりますが、AIはおそらく超えます。なので、ここが買い時ですかね。
多くのソフトウェア会社同様、AIもしばらくはニッチ分野で生き残れそうなので、技術のある会社を選ぶべきです。
安値で買って放置しとけばそのうち数倍になると思いますが、いつ安値になってくれるか、どこまで下がったら安値なのか判断が難しいのはいつものこと。
利益化しやすいサービスモデル
古くからの箱売りモデルが終わって、サービスモデルの時代になりました。
商品の売り切りではなくて、サポートやアドオン、コンサル等のアフターサービスと商品をセット販売で囲って、月額で継続的に売上立てていくモデルですね。単なるパッケージ売りよりも良いビジネスモデルだと思います。
アドビやレッドハットあたりがパッケージ販売からサブスクリプションモデルに変えましたが、利益になるアフターサービス契約を確実に取れるんですよね。
AIはクラウドとも相性が良く、基本的にデジタルサービスモデルになりますので、利益は高くなります。特にAIは汎用性が高いので、一度作ったら売りやすいタイプでしょうね。
一応、導入には個社カスタマイズ部分が出てしまいますが、それも新しいロジックを開発するというより、AIにデータ食わせて学習させていくことで実現出来るものです。
なにが言いたいかというと、AIは金になる技術だということです。