レバナス、レバレッジをかけたNASDAQ100のこと。
レバナス結構人気なので、私の見た限りで分かったデータと、投資判断について考えているところをまとめておきます。
結論を先に言うと、私には不向きのためたぶん投資しないかなと思います。
動画作った。
目次(クリックで飛びます)
レバレッジETF、レバナスのリターン
レバナスとは
レバレッジETFとは、もとの指数の値動きの2倍3倍になるように組んだファンドのことを指します。
ある日の日経平均株価を100とすると、元指標が10%伸びたら、レバレッジETFは20%伸びる、みたいな感じです。
で、レバナスはNASDAQ100を元指標としたレバレッジETFでした。
そもそも高いリターンを出してきたNASDAQ100に、さらにレバレッジをかけて2倍3倍の動きになるわけですから、当然リターンはけた違いのものになりますよね。
という理屈で絶好調&大人気投資先だったわけです。
なお、レバナスの説明でよく(借金して)2倍のお金を投資しているというものがありますが、厳密に言えば違います。
元手が2倍ではなく、毎日の値動きの2倍の動きになるように設計しているということです。
なので、レンジ相場みたくちょこちょこ上げ下げする相場だとリターンが小さくなります。性質として上昇トレンドがないと儲からないことは覚えておきましょう。
レバナスの過去リターン
過去15年でNASDAQはS&P500を上回っていて、さらにNASDAQ100はNASDAQ平均を上回ってきました(赤がS&P500、青がNASDAQ、黄色がNASDAQ100)
NASDAQ100の対象銘柄についてはQQQの解説記事をご覧ください。GAFAMをはじめとしたITセクターに偏重していて、近年はこのセクターが強すぎるからリターンも突出。
で、さらにここでレバナス3倍となるTQQQだと、緑色のラインになります。圧倒的すぎますね。
仮に2011年にレバナスに100万円を投資した場合、2021年には35倍になっていました。
同じ期間にS&P500へ投資していたら4.6倍ですから、まさにけた違い。まあS&P500も相当優秀だと思いますけどね。
世界分散投資もそうですが、市場の拡大・値上がりが続くことを前提とした投資をしているわけですから、上がる前提ならレバレッジをかけたほうがリターンは高くなるのもそれはそう、ということです。
レバナスのデメリット(一般的に言われていること)
レバナスのデメリットはだいたいこのあたりです。一つずつ見ていきましょう。
- ドローダウンの大きさ(暴落耐性の低さ)
- 長期保有(ボックス相場)での逓減
- つみたてNISA不適格、金融庁の警告
ドローダウンの大きさ(暴落耐性の低さ)
上昇が2倍なら下落も2倍なので、暴落時の資産の減り方は尋常じゃないです。
20年3月のコロナショックでは、S&P500やNASDAQより大きな暴落を起こしています。そこからの回復力もすごいですが。
TQQQは2010年に販売開始されたのでリーマンショックの影響はチャートだと確認できませんが、過去暴落時の想定で計算すると最大98%減になります。
積み立て投資で計算しても、リーマンショックで70%以上減って、3年後もマイナスのまま。
株式市場は下落の勢いがより強くなるので、暴落耐性は極端に低いと言えるでしょう。90%も飛ばしてて市場に残るのは相当な覚悟が必要というか。
暴落はポートフォリオ全体でカバーするか、別の収入源をあてにするしかないです。
前者については、レバナスに限らずレバレッジETF全般同じ傾向にあり、レバレッジポートフォリオでは債券を多く保有するようリバランスしてシャープレシオを最適化していました。
相場を読む難しさはありますが、ヘッジ手段としてはインバースETFを活用する方法もあります。インバースは指数が下落すると利益が出るタイプの商品です。
後者については、暴落時の仕込みができるような入金力が一番大事だってことですね。次で見るように暴落時に持っているような商品じゃないというか、タイミング投資前提なんだと思います。タイミング投資が難しければシステマチックに一定割合下落したら突っ込むとか。
積み立て投資をする場合、このドローダウンの大きさが出口戦略を難しくしてしまいます。これは後半で検討します。
長期保有(ボックス相場)での逓減
先ほど説明したように、ボックス相場での逓減でリターンが伸びないのは事実です。
また暴落でのマイナス影響が大きいため、暴落前にポジションを持っているとリターンは小さくなります。早くはじめて長期で積み立て投資するという資産運用の基本が通用しないのです。
一方で、先ほど見たように過去10年のデータではリターンが伸びていたということもあります。
暴落から回復してここ10年、力強い米国市場の成長に引っ張られて逆転したわけですが、上記データを踏まえると、高値掴みした場合長期投資して報われるには通常より時間がかかるということです。
以下はSPXL(S&P500の3倍レバレッジETF)の過去シミュレーションデータですが、もしITバブル崩壊の頂点で購入していた場合、2020年にようやく同水準に戻ったことになります。
つみたてNISA不適格、金融庁の警告
金融庁はこういったデリバティブ商品について警告を出していて、つみたてNISAには不適格とされています。
NISAではまだ買えますが、今後どうなるか。世界的にデリバティブには目を光らせているので、制度上でなにか有利になることはないかなと思います。
またリターンの高さに隠れてますが、信託報酬も0.5%前後とやや高い部類に入ります。
ポートフォリオにおけるレバレッジETFの活用
リターンの高さに反して、デメリットもそれなりにあるとわかってきました。
とはいえリターン高いんだからフルレバで突っ込んで落ちそうになったら逃げればいいんじゃねって思うかもしれませんが、お金が貯まってくるとリスクのほうに目が向きがちになります。
自分の人生での必要額と今の資産状況によって、たとえ長期で最も高いパフォーマンスを発揮するポートフォリオがあったとしても、自分にとって最適ではないケースも出てくるということはありますからね。
今の資産状況というものを3段階に分けてみましょうか。
- 資産形成段階:資金が少ない人がこれから増やしていく段階
- FIRE準備段階:ある程度資産がたまって、FIREが現実になってきた段階
- FIRE段階:ポートフォリオを組んで安定的な経済的自由を得た段階
資産形成におけるレバナス活用
①資産形成段階にいては、レバナスや仮想通貨などハイリスク商品に投資して少額でも一発当てようという考えはありでしょう。
「ゆっくり金持ちになる」インデックス投資と異なり、うまくいけば一気にリタイアが近づきます。
FIRE準備段階におけるレバナス活用
私の場合は②になります。もうそこまでリスク取ってお金稼ぐ必要がなく、生活費ぶんを安定的にキャッシュで取り出せればよい状態です。
これだと最悪9割以上の資産を失う可能性があるレバナスにオールインなんてできません。
たとえ最終的なリターンも大きくなるとしても、それを手にするのが20年後じゃダメなんですよ。
やるならポートフォリオの一部をサテライト運用する程度かなと思います。
FIRE段階におけるレバナス活用
レバナスは出口戦略が非常に難しいと感じます。
まずいつ暴落するかわからないし、暴落した時のドローダウンが大きく、それを追加投資(積み立て投資)で補っていくことが前提ですよね。タイミング投資でなければ。
ところが、資産形成後半になると投資額に対する入金額の割合が下がるので、追加入金分が利益を出しても暴落の損失をカバーできなくなります。
特に取り崩し段階で暴落がはじまった場合には4%ルールとかまったく使えないので、インデックスの取り崩し運用代わりにレバナスと考えるのは無理があります。
タイミング投資をする人を除いて、レバナス運用でFIREはやめておいたほうがいいでしょう。
安定的なポートフォリオが一番です。
去年レバナスで稼いだ人は
レバナスで資産増えた人は当ブログで私と一緒にFIREに必要なポートフォリオ整備やっていきましょう、ということです笑
米国市場は今年下がりそうな気がするので、今のうちに勝ち逃げがおすすめです。
もうひと稼ぎするならインバースETFもいいですが、お金は十分得られたなら適度に下落を待ちつつ、安定的なキャッシュインが見込めるVYMあたりにじっくり突っ込んでいくのが良いかと。
動画再掲。
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ではでは。